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ロックされています  プロを目指せ  名前: 疾風騎士  日時: 2012/10/27 23:27 修正9回   
      
このHN、そして小説サイト…ずいぶん久々な気がする。正直半年以上のブランクは痛い、この小説はかつて、他のサイトで書いていたが閉鎖により保存していなかったため、残念ながらほぼ全ての話を消滅させてしまった…。
ならばここで書き直すまで…
※このスレでは私以外の書き込みを禁じます。

第1章〜氷水高校へ〜 >>1-30
第2章〜夏の大会編1年〜 >>31-65
第3章〜荻野中学編〜 >>66-82
第4章〜主戦力の穴と新戦力編〜 >>83-100
第5章〜2年生編〜 >>101-
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/02 01:01  No. 79    
       
第79話〜荻野中学編13〜

「あ、茜ちゃんもココア飲む?作るから待っててね〜」
美歩は茜を家に招き入れる前提で言う。

「え?…えっと、お邪魔します。」
茜はポカンとしながら美歩に言われるがままに家に入る。

「こうく〜ん、横須賀中央第1中学校のお友達が来たよ〜」
美歩は間延びした言い方で荻野に言う

「…久しぶり、浩一君…。」
茜はやや俯きながら言う。

荻野は突然のことに驚きながら
「え?え?えっと…あの…」
荻野は茜の名前を言おうとするが中々出てこない

「神原茜!神原茜だよ!」
茜はやや叫ぶように言う。

荻野はキョトンとしながら
「茜…ちゃん?どうしたの…?」
荻野は思わずなぜ茜が来たのか疑問に思いふと聞いてみる。

茜は下唇を少し噛み締めてから口を開く
「…これ、今まで浩一君が学校来なかった間に配られたプリント、後冬休みの宿題。」
茜は荻野に荷物を渡す。
「…後さ、浩一君…なんで学校来ないの?皆心配してるんだよ?どうしたの?何か合ったの!?私が相談に乗れるなら聞くよ?というより学校来てよ!浩一くん以外は毎日全員学校来てるんだよ!浩一君も学校に来てよ!なんで?なんでなの?なんで学校来ないの?教えてよ!」
茜は荻野に怒っているのに今まで溜まりに溜まりこんだ感情が爆発したのかイキナリ泣き始めてしまう

茜の分のココアを作り終えた美歩は茜の高さに合わせて頭を撫でながら
「ごめんね、茜ちゃん。担任から頼まれて家にきたの?」
美歩は優しくて柔らかい声で茜に話しかける。
茜はプルプル小刻みに震えながら小さく頷く。

「そっか、ココアでも飲んで落ち着いて?ね?」
美歩は茜に優しくしながらこう言い続ける
「でもね、こうくんも学校に行こうとと夏休み明けは何度も努力したの、でも学校の中には入れない、正門前で怖気づいて帰ってたの。
それでも行こうと思っても、今度は通学路に出るところでやっぱり弱気になって…それでどんどん学校行けなくなって…それにこの子は人懐っこいけど人見知りが激しいから家庭の問題で学校を転校することになったのも転校して直ぐに不登校になっちゃった原因の1つかもしれないわ…。」
美歩は茜の肩を優しく叩きながら言う
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/02 01:23  No. 80    
       
第80話〜荻野中学編14〜

「…ココアご馳走様でした。」
茜は丁寧にお辞儀をする、顔は泣きじゃくった後のようで顔は真っ赤だ。

「あの…茜ちゃん。…その…ごめん。」
荻野は申し訳なさそうな顔をしながら茜に謝る。

茜はビックリしながら
「茜ちゃん…か。浩一君がそう呼びたいならそれでいいよ。ううん、気にしてないから…と言ったら嘘になるけど…大体理由はわかったよ、でもさ浩一君。冬休み明けから学校に来てよ、私も手伝えることがあったら手伝うから!」
茜は荻野に軽く微笑む

「茜ちゃん、そういえば貴方はどの辺りに住んでるの?暗いし、近くまで私付いていこっか?」
美歩は心配そうに茜に聞く

茜はニコッと笑い
「美歩さん、心遣いありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。私の家はこのマンションの10階に住んでますので。あ、そっか!そうすればいいのか!浩一君、貴方が冬休み明けから学校に来れるように朝迎えに行くよ。それなら学校行けるでしょ?」
茜は美歩に丁寧にお辞儀にした後に名案が浮かんだのか嬉しそうに話す。

荻野はウッとなりながら
「う、うん…そのお願いしていいかな?」
荻野は苦笑を浮かべる

「は〜い。あ、後さ…今どこ習ってるか分からないでしょ?これから暫く冬休みで予定が開いてる時とか学校が終わった放課後に私が教えられる範囲なら教えるよ、授業についていけるかどうかはそこまでは分からないけどとりあえずやっておいて損はないでしょ?じゃあ…また、明日ね。」
茜は荻野を気遣うかのように言う。

「あ、うん…じゃあね。『明日…か。』」
荻野は茜に軽く手を振る

翌日から茜は宣言通りに荻野の家に再び来て荻野にノートを見せながら勉強を教える

『茜ちゃんのノートって…見やすいし、凄い字が綺麗…』
荻野は茜のノートを見ながら自分のノートに内容を書き写す。

茜は荻野の方をしっかりと向いて
「浩一君、その…昨日は怒鳴っちゃってごめんね?」
茜はやや照れながら笑みを浮かべて謝る

この時の茜はまだ髪を染めてなく素朴な感じで一般的な女子中学生という感じだった。
「え、あ…いや…学校行ってなかった僕の方こそ…ごめん。」
荻野は茜の笑みから視線を逸らしながら茜に謝る。
その顔は少し赤かった。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/02 12:21  No. 81    
       
第81話〜荻野中学編15〜

年が明け、1月今年の冬は異様なまでに寒い、朝から寒いのは当然だが外に出たくなくなるぐらいの寒さだ。

「眠い…」
荻野は鍵をかけながら欠伸をする。

茜は寒そうにしながら
「この時間に起きるの…久しぶりだもんね…寒いね…今日」
茜は手を口元に寄せながら言う。

「…学校か。」
荻野はボソッと呟く。

「まぁ久々の登校だからいろいろ仕方ないところもあると思う、そこは覚悟しておいた方がいいよ?でも大丈夫だから…。」
茜は久々の登校に不安を抱え込む荻野の不安を取り除くように言う。

学校に着いて、教室に入ると先に来ていた生徒からは驚いたような顔で荻野を見る生徒が多い。
荻野は自分の席に早めに座り込む。
視線は何度も感じるが誰とも話さずに昼休みになる。

机をくっつけて6、7人の班で各々お弁当を食べる。

「えっと、荻野くんだっけ?やっと学校に来てくれたんだ」
内海が荻野に話しかける。

「そうだぞ、荻!お前が来るの皆楽しみにしてたんだぞ!」
野村は荻野に箸で指をさしながら言う

「ちょっ、野村、おいてめぇ…!」
野村の迎え側に座ってる神田はご飯粒が机に飛んできてイラッとする。

茜はごはんを食べる手を一旦止め
「2人共元気ね。仲いいよね」
クスリと微笑む。

「このクズは小学校の時からこうだ、変わりやしねぇ!」
神田は呆れながら言う。

野村は苦笑しながら
「っせぇな神田…。そういえばさ、冬休みにさ川崎まで彼女と出かけたんだよ、川崎結構広いぜ、いろいろ売ってるしな!」
野村は神田に自慢するように言う

「また、脳内彼女ですか…。」
内海は少し悪意のある笑みを浮かべる。
野村は何も言い返せずムスッとなって弁当にガッツク。
その姿に野村以外は全員大笑いする。

「ほんとに野村の奴って面白ーい!いいムードメーカーよね。って荻野くん、どうしたの?なんで泣いてるの?」
内海は大笑いするがなぜか泣いてる荻野に気づき心配するように言う

「え?いや…アレ?なんでだろ…」
荻野は笑みを浮かべているが涙が止まらない。
この学校に入ってきて荻野が初めて笑ったかもしれない、感情が出たかもしれない。
荻野にとっては久しぶりに心の底から笑えた瞬間で嬉しくてつい涙が出たのだろう
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/02 15:14  No. 82    
       
第82話〜荻野中学編16〜

荻野はこの日以降、笑顔が増え次第に学校に行くのが楽しくなり、1年の2月下旬に野球部へと入部する。

しかし、野球部で投手をやるもフォームが一定せずにコントロールも悪く投手から足の速さを買われて外野に飛ばされてしまう。
俊足を活かした打撃で1番打者として紅白戦や練習試合に出ていたが、とにかく三振が多く。塁に出ることすら少ない。しかし、出塁すれば荻野の足は脅威となる。

ある初夏の試合で荻野は相手投手の甘く入った球を思いっきり引っ張る、しかし、打球は二塁を守っていた荻野と同じぐらいの小柄な少年がダイビングキャッチで捕球した。彼は、後に同じ高校で出会う橘和巳だ。

そんなこんなしているうちにあっという間に時間は過ぎていき、既に部活は引退し受験活動が始まっていた。

「そういえばさ、浩一君って高校どこ行くの?もう決めた?私は氷水高校を受けるつもり」
ある日の帰り道、照りつける日差しがうざったい中で茜は荻野に話しかける

「実はさ、僕も氷水高校受けようと思っているんだ。偏差値高いから不安だけど…」
荻野は苦笑を浮かべる

「そうなの!?じゃあもしかしたら同じ学校にまた通えるかもね、大丈夫!一緒に勉強しよ?私が教えるから!」
茜は少し自身ありげに言う

「流石は生徒会長さん…ってとこかな?うん、お願いします。同じ学校行くなら…」
荻野は少し茜を小馬鹿にした言い方をするが、しっかりと頼み込む。

「生徒会長は関係ないと思うけどな〜」
茜は苦笑する。
この日から荻野の家で氷水高校合格に向けての勉強が始めた。

「そっか、2人共氷水高校目指すんだ。私は落ちたけど…でも2人共頑張ってね〜」
美歩は帰ってくると2人の受験勉強しているのが気になり、ふと志望校を聞いてみたのだ。

「あ、浩一君。それ違うよ。ここの和訳は…」
茜はふと荻野の間違いに気付きどこが間違っているかふと教える。

『…茜ちゃんの髪って意外といい香りするんだ…。それに優しいし…可愛いんだよね。』
荻野はボーッとしながら茜の方を見つめる。

「ん?どうしたの?浩一君?」
茜は荻野の視線にふと気付く。

「え?あ、いや…ちょっとここが分からなくて…」
荻野は少し顔が赤くなりながらも茜にわからないところを聞く。

その後、2人共なんとか志望校に合格し、4月からはしっかりと氷水高校へと通ってる
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/02 15:47  No. 83    
       
第83話〜紅の故障〜

さて、荻野中学編は前回で終わり。
今回からは元の時系列、決勝戦敗退後の新チーム発足後の話に戻る。

ある日の練習、紅は投球練習を中断すると右腕がだらんと下がる。
大橋は紅の異変に気づき自分の車にのせて、病院へと向かう。

医師の診断結果は「右肘じん帯断裂」と重症だった。
いつも冷静な顔の紅も診断結果に表情がこわばる。

大橋は診察が終わると再び紅を車に乗せ学校に戻っていく

「…紅、お前はどうしたい?」
大橋は紅を慰めるつもりではないが監督として紅に今後について質問する

「…まだ、やりたいですよ…。治したいまた投げたい。」
紅は感情を押し殺すように冷静に言う

「…そうか、ならばうちの提携校であるパシフィク・ノーザンユニバーシティに留学しろ、大学ではあるがうちの学校では留学生扱いとして在籍しそのまま元の高校、つまりここでの単位を取得することが可能だ。で、そこの医学部で手術を受けろ」
大橋は車を運転しながら紅に話しかける

「…トミー・ジョン手術…ですか。」
紅は右肘を軽く抑える

「そうだ、日本のプロ野球選手やメジャーリーガーも何人かやっている手術だ…日本でやるより本場でやったほうがいいだろう。ちゃんと復帰用のプログラムも用意されているからな。」
大橋は紅に助言をする。

「…します、手術します!肘を治したい、野球を辞めたくない」
紅が決断するまでそう時間はかからなかった。

「よし、分かった学校に戻ったら手続きをとる、単位の発生は夏休み明けからだが…まずは渡米して手術した方がいいな。後で手続きで必要な書類を一式渡す。」
そうこうしているうちに学校へと戻る

紅は大橋とともに職員室に行き、必要な書類を受け取る

「よし、皆集まれ!」
大橋は部員全員を集める。
「え〜、本日の練習お疲れ様でした。また明日から頑張りましょう。それともう一つ。皆さん心配してたと思いますが紅は右肘じん帯断裂と診断され、紅と話した結果来週から提携校へと留学し、そこの大学病院で手術しそのままリハビリを行うため来週から1年近く彼はアメリカへ留学します。以上です!」
大橋が話を終えると当然のごとくざわめく。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/02 22:47  No. 84    
       
第84話〜エースの不在〜

夏休みが終え、残暑が残る中二学期が始まる。

「どーすんだよ、紅いないって…2年に投手できるやつなんざいねぇぞ」
池田は溜息をつく

「ってことは俺と中学時代投手経験のある荻野だけか…」
黒木は荻野の方をチラッと見る。

そう、3年が引退後のエース紅優生と誰もが疑わなかった。しかし、絶対的エース不在で秋大会を戦わなければならない。とはいえ、紅の穴は大きく埋められるかが懸念材料である。

荻野はブルペンで投球練習を行う。ゆったりとしたフォームからボールを投げるが、コントロールは相変わらずつかない。

「制球難か…だが、計算に入れるしか無いか。次、黒木!」

黒木はスリークォーター気味のフォームから130km中盤のスピードが出るが、こちらも制球があまり定まらない。

「『黒木も荻野もイマイチだな…それにこの2人が1試合投げきれる体力はない…だとすると2人で1試合か』よし、荻野!秋の大会はお前も黒木と一緒に投手として調整しろ!」
大橋は荻野に投手として準備して欲しいと告げる

荻野は「はい!」と力強く言うと再び投球練習を始める。
球速は黒木と同じぐらい出るがコントロールは黒木よりは悪い。

荻野の投げる隣で黒木も投球練習を始める
「おい、荻!あいつの穴埋めようって思ってるんじゃねぇぞ、あいつには悪いが帰ってきてもあいつの居場所がないと思わせるように頑張ろうぜ!」
黒木は思い切り投げ込む

『そうだ、紅の穴は大きく今のうちでは埋めるのは不可能だ、だがそれぞれが意識を高く持ってくれればいい。そうすればこのチームは強くなる』
大橋は練習を腕を組みながら見守る

しかし、ここにも1人動きが悪い選手がいた。
橘はノック練習で尽くボールを弾いてしまう。
『なんでだよ…そんな…』
橘はブツブツ言いながら守備練習を行うが今度は送球がそれてしまう
『僕ってこんなに守備下手だったのか?』
橘は自問自答するが答えは出てこない。
あの決勝戦での最後のミスが邪魔しているのか以前に比べて守備を怖がっている印象が見て取れる。

紅の離脱、橘の不振、荻野黒木のイマイチな感じ、新チームの船では泥船かもしれない。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/03 22:50  No. 85    
       
第85話〜秋大会、そして…〜

「しっかりしろ、オギ!」
池田はショートの守備位置から荻野に声をかける。

荻野は肩で息をしながら捕手のサインに頷く。
スコアボードを見渡すと湘南商業に6回表で9−0と大量リードされている。どうやらこの回に6点も取られたようだ。
先発の黒木は足を捻って僅か1イニングで降板、その後荻野がずっと投げているため、これで9失点ということになる。

『オギ…ごめん。』
橘はマウンド上で苦しむ荻野に掛ける言葉が見当たらない、守備が得意なはずなのにここまでで3失策、走攻守全てにおいて橘は精彩を欠いている。おそらくいや、当然試合後は大橋からの説教が待っているだろう…。無論荻野も。

塁上は埋まっている、アウトカウントは2つ灯っている

カウントノースリーから投じた4球目、打球は池田の正面に転がるが、直前でバウンドが代わり、池田は打球を弾いてしまい、ついに10点差となる。
そして、次の打者には甘く入った初球を完ぺきにとらえられスタンドまで運ばれる。
荻野は打球を見る気力もなかった、それくらい心身ともにボロボロにやられた。
試合は14−0という屈辱的な大敗で敗れてしまう。

荻野と橘は話しかけづらい程度に落ち込んでいた。
「…中学の1イニング7失点KO以来の登板だったけど…今日はイニング増えたけど失点は倍増…笑えないし、悔しいな…今度こそ…」
荻野は虚ろな表情ながら僅かな笑みを浮かべる

「オギ、ごめん…僕はもっとしっかりと守れば」
橘は言葉を振り絞るように言う、事実荻野は橘のエラーが無くても炎上したかもれない、打たれたかもしれない、だが橘のエラーは全て失点に絡んでしまっている。

引退した先輩や紅がいないがために苦しい秋大会になるのは予想されていたが、初戦敗退という結果に終わった。

「お前、届け出出すのか?」
場所は代わり、学校の3年の教室で影浦の話し声が聞こえる

「ああ、現実的に考えりゃ厳しいかもしれないが…諦めたくなくてね、かかるか分からないけどな…俺は目指すよ、プロを…あいつの分までな…」
白瀬はプロ志望届を提出し、プロを目指すことを決意する。
白瀬の言う"あいつ"とが、故障で進学することになった澤田のことだろう。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/11/09 11:07  No. 86    
       
第86話〜ドラフト会議〜

10月下旬、この日はドラフト会議が行われる日だ。プロ志望届を提出した人にとっては運命の日でもある。
氷水の3年生部員複数は同級生とともに学校でドラフト会議の中継を見ることにした。

「指名されるといいな、淳。」
高橋は白瀬に話しかける

「ん?ああ。まぁ…指名されなきゃセレクションで受かった大学に行くだけだ」
白瀬はフッと笑いドラフト会議の中継を見続ける。

アナウンスでは次々と有力選手が指名される。
「第1巡、選択希望選手、東京ヤクルトスワローズ、白瀬淳、投手、氷水高校」
白瀬の名が上がるとドラフト会場はざわめく。一部の野球マニアは知っているが、全くと言っていいほど知名度のない白瀬、そして氷水高校。まさに大穴中の大穴だ。

「なっ、俺の名前だと!?」
白瀬は半ば疑いながら中継を見続ける
他の球団から白瀬の名は上がることがなかったが、ヤクルトが指名したことは確かな事実だ。

『俺が…1位指名…』
白瀬は驚きを隠せずにした、指名されるかもというのは以前スカウトが来たので予想はあったがドラ1とは予想だにしなかった。

「今の気持ちをお教えください。」
何人か視聴覚室で待機してた記者から質問が飛ぶ

無数のフラッシュ、白瀬にとっては慣れない出来事だ
「非常に嬉しいです、僕でいいのかなって」
白瀬の顔からは笑みが溢れる。

「ヤクルトスワローズにはどういう印象がありますか?」

「えっと、そうですね…投手力が素晴らしいですし、先発が揃っているので…なんとか食らいついていけるように頑張りたいです。」

「では、最後に一言お願いします」

「はい、まだ実感はわかないですが、1年目からしっかりと活躍し、周囲の活躍を裏切らないようにしたいです。」
白瀬は質問を全て終え、視聴覚室が出ると一息つく。

「さすがのお前も緊張したか」
大橋はフッと笑いながら白瀬に声をかける

「…流石にドラ1で指名されるとは思っていませんでしたし、こういうインタビュー受けたことないので…疲れました」
白瀬は苦笑しながら言う。

その後、こっそりとプロ志望届を提出していた影浦はドラ6で日ハムから指名された。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/21 18:50  No. 87    
       
第87話〜弱気な橘〜

「いつまで寝てんだカズ!とっとと起きろぉ!」
池田が怒鳴り声を上げる。

橘は肩で息をしながらようやくグラブを構える。
飛んできた打球に飛びつくが惜しくも弾いてしまう

「惜しいぞ!カズ!だが、お前の守備はそんなもんだったのか!カズ!」
池田は橘に檄を飛ばし続ける。

そう、橘はあの夏の大会以降走攻守において大幅にパフォーマンスが低下してた。

「いえ、違います!」
橘は覇気のない声で池田に返答する。

「じゃあなんだ?遊んででもいたのかよ!」
池田のノックは痛烈さが増していく

橘は回りこんで捕球するが、1塁ベースに入ってる荻野への送球が大きくそれてしまう。

荻野はホームベース側に返球しながら
「たっちー、こんなんじゃあ取れないよ。」
荻野は橘に心配そうに声をかける。

「いや、オギ。今のは取れないがお前の動きもダメだぞ。お前は左投げだから外野か一塁しかポジションがねぇ。今日はバリエーション増やすために一塁に入ってもらってるが、それじゃあお前仮に一塁コンバートされました、じゃあ守りましょう。サードが難しいあたり取りました、でもファースト取れませんでした。じゃあテンション下がるぞ?基本外野だろうが守れるようにしておけ、この後お前には外野ノックを受けてもらうぞ」
池田は橘だけではなく荻野の壊滅的な内野守備にも苦言を呈す。

橘は決して遊んでるわけではない、ただ心が折れかけて必死にそれを食い止めている状態が何ヶ月も続いている。

橘は息を切らしながらなんとか回りこんで荻野に送球する。

「っしゃあ!いいぞ!カズ、ナイスプレーだ。」
池田は橘を励ますように言う

「後10本連続成功なら終わりだぞ『カズ、未だに吹っ切れないようだな。俺は二遊間コンビを組む相棒としてお前をしっかりと良い時の守備に戻してやりたいし、今のお前の苦しみも俺は分かる。でもとにかく練習で改善するしかない。気持ちの面はお前次第だ。そうだろ?高橋先輩』」
池田はフッと笑いながらノックバットを構える

「…オギ、落球するなよ。」
橘は心配そうに荻野を見つめる。

「ははは…頑張るから捕りやすくね」
荻野は苦笑を浮かべる

「いや、想定は俊足のランナーが際どいタイミングで1塁に行く局面を想定しろ。緩い送球じゃあ間に合わんぞ」
池田は2人の厳し目の口調で正す。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/23 11:54  No. 88    
       
第88話〜練習〜

「いいぞ!オギ!でもなんでその送球が投手や内野だと出来ないんだ?よし、次は打撃練習やるか。オギ、お前から。」
池田は荻野を褒め称えながら言う。

荻野はバットを短く持つのを嫌い普通のグリップ位置でバットを握る。

荻野は大橋が投げる球を打ち返すが、バッティングフォームが前に比べれば固まってきてはいるが、まだムラがある。

「外野守備ならまぁ悪くない足は橘と1位2位を競うレベルの俊足、打撃が課題とはいえ…シニアにいてもおかしくない奴だな」
池田は荻野の打撃練習をしっかりと見ながらボソッと呟く。

「池田先輩、こうい…荻野くんはシニアに行かなかったんじゃなくて入れなかったんです。本人曰く入団テストで落とされたからって」
茜は池田にドリンクを渡しながら言う。

「ありがとう、マネージャー。なるほどねぇ…シニア落ちたから部活動で、か。まぁあいつが入部してきた時の打撃じゃあそうかもな。『まぁ、それ以外もあるだろうが…そこは後であいつと話し合うか』」
池田はフッと笑みを浮かべる。

荻野はしっかりと弾き返しても力負けで打球はあまり飛ばない。
「結局ヒット性の当たりは5、6本か…」
荻野は苦笑を浮かべながら橘と交代する。

「オギ、ちょっと来い!」
池田は腕を組みながら荻野を呼ぶ、その声は何か荻野としっかりと話したいことがあるような口調に見える。
荻野が池田の方に歩き始めると荻野を誘導するかのように校舎の方に歩く。
大橋は2人が校舎裏に向かうのをチラッと確認してから橘の方を向く

橘は打撃フォームを模索中で試行錯誤の繰り返しだ。足を活かした打撃の道を見つけるために。

「監督、お願いします!」
橘はペコリとお辞儀をする。

「よし、行くぞカズ」
大橋は橘にそう一声かけると橘に投げ込む。
すると橘はいきなりバントの構えをして球の勢いを殺す。

「おぉ、バントの精度良くなっているんじゃないか?カズ」
大橋は橘を褒め称えながら2球目を投じる。
すると、今度は無理に引っ張らず右方向に綺麗に流し打つ。

「いい当たりじゃねぇか!カズ!この調子だ!」
大橋は常に橘を褒め称えながら橘のテンションを維持させる。

「ありがとうございました!」
橘はペコリと頭を下げる。

大橋は息を切らしながら
「まるで2番打者だな…お前…」
途切れ途切れながら言う。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/23 12:10  No. 89    
       
第89話〜池田対荻野〜

校舎裏は日陰になっておりひんやりとしている。
荻野は池田が立ち止まると荻野も立ち止まる

荻野は池田が何かを言いかけたのを遮るかのように
「池田さん、なんですか?」
荻野はキョトンとした顔で池田に聞く、どうやら呼び出された理由がわからないようだ。

池田はハァとタメ息をついてから
「…オギ、お前今まで悔しいと感じたことあるか?お前の打撃、いやプレー全てから勝っても負けてもいっつもヘラヘラして自分が出れなくても活躍できなくてもいいや。って伝わってくるぞ!」
池田は厳しい口調で言う。

荻野はビクッとなりながら
「いや、僕だって!本気でやってますよ!でも打球は飛ばないし…」
荻野はブツブツ言う

「打撃フォーム自体は今のベースでいい、お前はコロコロ変えすぎなんだよ!後筋肉つけろお前は。それはいいんだよ。お前野球にかぎらず執着心や野心ってもんねぇだろ。練習見てても争いに勝つ姿勢見えねぇしよ、だから結果出ねぇし、練習でも思うような結果出ないんだよ。自主トレも軽く流すようにやってるだけだろお前」
池田の語尾はドンドン荒くなっていく。

荻野はやや狼狽えながら
「結果が出てないのはたっちーだって、橘くんだってそうじゃないですか!何で僕がこんなこと言われなきゃいけないんですか!?」
荻野は狼狽えながらも池田に反論する。

「ふざけてんのか、オギ!あいつはなぁ、確かに夏の大会以降結果は出てない。でもなあいつは皆が帰った後しっかりと自主練をしてるし、誰にもレギュラーを渡さない気でいる。あいつはもがき苦しんでるんだよ、必死に練習しても思うようにいかない毎日、前まで捕れたやつがビビって捕れなくなりながらな。だいたいそういう口答えすることがお前は執着心が無いし、泥臭いことを嫌い格好つけることばっかりしたがる。勝ち負けに執着できない奴は後輩入って来たらあっさりレギュラー獲られるし。それに勝ち負けに執着心がないやつは俺もいらないし、監督もそう思うだろう。執着心がないなら部活やめて、草野球でもやってろよ。だからシニアの入部テストも落ちるんだ。」
池田は荻野に冷たく言い放つとグラウンドの方へと戻る。池田は後ろを見なくても荻野が俯いているのは分かった、ここまで言って這い上がらなければ池田があえて荻野のために怒鳴ってのも無意味になってしまう。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/28 00:29  No. 90    
       
第90話〜やる気ゼロの男〜

池田はグラウンドに戻り、荻野がまだ戻ってきてないのを確認して。

「おい、1年。荻野が戻ってきても慰めるな。俺も言い過ぎたってのもあるが。今のあいつに慰めはいらないというか。慰めないで欲しい。特に神原、君はあいつと同じ中学だからかめっちゃ仲がいいし、君が優しいのも分かってる。でも今の荻野に慰めないで欲しいな。戻ってきてもいつもどおり世間話だけで。頼むよ。」
池田はそう言い終わるとヘルメットを被り打撃ゲージに入る。

「…はい。」
茜は小さくコクンと頷く。

大橋は肩をグルグル回しながら
「イケ!結構言い過ぎたようだな。」
大橋は池田に声をかける。

「まぁね、でも監督もあいつに言いたいことたまってたでしょう?」
池田は一度素振りをする。

「ん?ああ。しかし主将としてしっかりとやってくれるな。一度断ったのに、なんであの時断ったんだ?」
大橋は池田にボールを投げながら言う。

「簡単ですよ、俺はそういうキャラじゃあない。それに紅の方が向いてると。そう判断しただけです、それと監督頼みがあります。もしあいつが俺が言ったことを本当に理解して戻ってきたならば、その時はあいつに主将をやらしてください。そうしないとあいつはダラけるでしょう。責任をもつ立場になればそれはなくなるかと」
池田は監督に意見を申し出る。

大橋は少し悩みながら
「そうか、だがあいつは戻ってくるのか?退部すんなら俺は引き止めないぞ?まぁお前の意見を尊重しよう。」
大橋は悩みつつ池田の意見を尊重することにした。

「甘い!」
池田はそう言いながら大橋のスッポ抜けた球を完ぺきに捉える。

「相変わらず、池田先輩は完璧に捉えると飛ぶなぁ。」
橘は黒木とのキャッチボールを中断して池田の打球に見とれる。

池田が戻ってから20分ぐらいしてだろうか、荻野は泣きじゃくった跡が残る顔のままグラウンドに戻ってきた。
「…はぁ。」
荻野は弱々しい声でタメ息をつくと上を向いて涙をこらえようとするが再び涙がこみ上げてくる。

その後荻野は練習に参加することが出来ず見学という扱いで練習が終わり解散となる。
次の日から荻野は練習に顔を出すことはなかった。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/28 01:48  No. 91    
       
第91話〜決意〜

荻野はすっかり部活に行く熱意が失せ、ここ一ヶ月学校が終わると同時に見つからないように帰ってしまう。
橘や茜、黒木は引き止めたい気持ちがありつつ自重する。

「ん、どーした?神原?」
黒木は深刻そうな顔をしている神原の方を見る。

茜の脳裏には中学の時が思い浮かぶ
「ちょっとね、いや…ううん、なんでもない。ごめん。私今日体調悪いから帰るね。ごめんね。」
茜は何かを言いかけたが足早に去っていった。

「どうしたんだ神原のやつ?」
黒木は足早に帰る神原を見ながら言う

「さぁ?」
橘は首を傾げる

荻野は野球部が練習している頃地元のカフェでくつろいでいた。
「ここはいつ来ても美味しいな」
荻野は1人でボソッと呟く

荻野は池田に怒鳴られたことが相当キタのか。ここ一ヶ月部活に顔を出さずに毎日遊び呆けている。
たったあれだけで気持ちが萎える荻野を見たら本気で部活やっている人が見たら殴りたくなるだろう。

荻野がくつろいでいると、どこかの野球部の集団が来店する。

「んだよ、今日部活ねぇのかよ!」
1人の坊主頭の部員がボソッと呟く

「まぁ、久々のオフだ。楽しむとしよう」
そうもう一人の部員が言う

荻野はその会話を聞いていると野球の話が聞こえてくる。
すると自然に笑みが溢れる
「『…ってなんで僕は笑っているんだ!?もう野球は…いや、好きだけどもう僕は…』」
荻野は自分で自分に嘆きながら会計を済ませ逃げるように店を出る。

「執着心がない、か。…もう一度やってやるよ、やってみせる!」
荻野は逃げるように店を出たと地元にあるバッティングセンターに向かい打撃ゲージに入る。
しかし、やるうちにうんざりするぐらい打てなくて自嘲するかのように笑う

「ははは…まぁそうだよね、ただでさえ打てない奴が部活サボってなんもやらなければ当然こうなるよね。…でも、今の僕から野球とったら何が残る?地味な高校生になるだけさ。」
荻野は苦笑を浮かべる

数日後、荻野は伸ばしていた自慢の長髪を全て切り落とし坊主頭で現れる。
「池田さん、監督。申し訳ありませんでした。わがままで申し訳ないのですがもう一度僕にチャンスを下さい!」
ふざけて言っているわけではなく、短い言葉ではあるが強い意志が篭っている言葉である
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/28 17:35  No. 92    
       
第92話〜けじめ〜

荻野は当然無断で不貞腐れてサボっていたのは許されないのは理解している、自分で戻りにくいのもわかっていた中、荻野は丸坊主にしてけじめをつけて戻ってきた。

「…なぜ戻ってきた?言ったはずだ、俺はやる気のない奴はいらないと。」
池田は冷たい言葉を季節特有の冷たい風が吹き付ける中荻野に言い放つ。

荻野は一瞬池田から目をそらすがすぐに池田の方に向く
「僕には…やっぱり野球しか無い。このまま逃げ続けたら今までと何も変わらない僕も変わりたい。」
荻野は自分の決意、意思を己に確かめるかのようなニュアンスで言う。

「…まぁいいだろう、だがベンチ入りすら危ういお前だ必死こいて努力しろ。俺から見て努力、やる気を感じられなかったら監督が止めようが俺が問答無用で野球部を辞めさせてやる!バツとして、校庭10km走れ!んで、それが終わったら球拾い。まずはこれを1周間やってもらおう。」
池田は荻野に最後通告を突きつけるとシート打撃に向かった。

「はい!」
荻野は深々と池田にお辞儀をすると10km走を開始する。

荻野は練習が終わり家に戻ると食事を取り、家の近くにある公園で素振りを始める。
すると、コンビニ帰りの茜が素振りしている荻野を見かけ声をかける。
「浩一君がこの時間に素振りしているの初めてみたよ。」
茜は荻野に聞こえるように皮肉っぽく言う

「うん、流石に1日50回は少なかったからね…ひとまず今日は100回を目安に…」
荻野は手短に言うと素振りを続ける。

「…5,50回…流石にそれは少なすぎだよ…そっか、頑張って。三日坊主にならないようにね。じゃあまた明日。」
茜は荻野に声をかけると向かい側の階段を降りていく。

「…み、三日坊主にはならないよ…やってやるさ。認められるように!信頼させれてないなら認めさせてやる!」
荻野は茜の一言にムッときたのか茜に決意を語る。
荻野の涼し気な瞳、いや荻野全体から闘志が伝わってくる。

茜はクスリと笑って公園を後にして自宅へと向かう
「『浩一君があそこまで熱心に自主練やってるの初めてみたな…失った信頼を取り戻す、か…。私はマネージャーとしてどこまであの調子が続くか見せてもらおう』」
茜は心の中でそう思いながら寒いからか足早に帰っていく
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/29 10:15  No. 93    
       
第93話〜故障の原因〜

日本とは違い12月だというのにここは暖かい。
紅はトミー・ジョン手術の関係で提携校のあるアリゾナ州に留学していた。
紅は驚異的な回復力を見せ、既に軽めのキャッチボールを再開している。
「『馴染んできている…でも、まだ怖さはあるな』」
紅は少し不安を感じながらキャッチボールを行う。

「Is it good for a moment? kurenai(クレナイ、ちょっといいか?)」
紅に声をかけたのは紅ののリハビリ担当コーチであるエリック・ファニーマクである。

エリックについていくとビデオルームに連れて行かれる
そこには怪我する前の紅が投げている映像が映し出せれていた。

「This is a form before you are injured. Externals often(これが、君の怪我する前のフォームだ。よく、見てくれ)」
エリックは椅子に座ると細い棒で映像に映る紅を指す

「Perhaps, kurenai. You … It might have been related to the speed. Though reducing [teikubakku] so as not to make the other party easy to beat, and throwing out to hang to the finger firmly are good … This form is a form that the load rests upon the elbow easily, and most people who stick to the speed become forms that the load rests upon the shoulder elbow. (おそらく、紅。君は…スピードに拘ったのだろう。相手を打ちにくくするためにテイクバックを小さくし、しっかりと指にかかるように投げ込むのはいいが…このフォームは肘に負担がかかりやすいフォームだ、スピードにこだわるほとんどの人が肩肘に負担がかかるフォームになってしまう。)」
エリックはフッーと煙草をふかす

紅は図星なのか何も言えずに硬直していた。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/29 10:43  No. 94    
       
第94話〜フォーム改造〜

「『…まさか、自分で自分の首を絞めるフォームになっていたのか、俺は…うかつだったな…そこまでスピードにこだわりはなかったのに…』じゃ、じゃあ…どうすれば」
紅は苦虫でも噛んだような顔でエリックを見る。

「Therefore, kurenai. The elbow will be hurt again as it is this form though the operation succeeded … Let's change it into the form that the load doesn't rest upon because I cooperate. (だから、紅。手術は成功したが、このフォームのままだとまた肘を痛めるだろう…俺が協力するから負担のかからないフォームにかえていこう。)」
エリックは紅に助け舟を出す感じで提案する。

紅はふと考えこむ、聞こえるのはモニターの音だけ。
故障の原因になったとはいえ、結果を出し続け長年慣れ親しんだフォームだ。今更かえると失敗して元のような輝くを失うかもしれない。

「分かりました、お願いします。」
紅は悩みながらもフォーム改造の提案を飲んだ。
前のような球が投げられるかは不安ではあるが、不安要素をなぎ払うのなら…それしかない。紅の決意は揺るがない。もう一度チームの元に帰り貢献するために、でなければ辛く長いリハビリをやっている意味がなくなる。

紅は宿舎に隣接されているメーングラウンドに出ると
「あいつら元気にしてるからな…オギ!たっちー!待ってろよ」
紅は照りつける日差しを見ながら、そう呟く。日本にいる同級生には当然聞こえるわけがない、聞こえたらオカルトだ。

「『…とはいえ、フォーム改造となると今まで以上の練習が必要だな、後で練習メニュー見なおして相談してみるか』」
紅はハッと我に返りエリックと相談の元設定したメニューの変更を視野に入れた。
リトルシニアと類まれた才能で壁にぶち当たったことのない紅。しかし、彼は自分の才能に自惚れず自分に課すハードルは高く故障前後からの自主練は厳しいものばかりである。フォーム改造が成功し、日本に帰ってきた時のニューバージョンの紅が楽しみである。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/31 11:38  No. 96    
       
第96話〜1年捕手〜

1年生部員が入って1ヶ月がたとうとしている、1年生同士の仲も深まり、当然先輩方も慣れてきて、ようやく落ち着いてきたとも言えるだろう。
空は青くさわやかな風が吹き付ける

「ほう、今年の1年は動きがいいなぁ!去年の1年より動きがいいんじゃないか?」
大橋はニヤリと近くにいる橘に聞こえるように言う。

橘はムッとするが練習に集中する。そんな中、1年で一際存在感放った選手がいる。

「荻野先輩、次走者として盗塁してくれませんか?」
吉村が荻野に走者として盗塁してくれないか?と頼み込む。

荻野は吉村の言われたとおり1塁ベースにつき、黒木が投げると同時にスタートする。
「『黒木くんはクイックが苦手だし、僕の足を持ってすればっ…』」
荻野は自信を持ちながら2塁めがけて走る。

吉村は黒木からの投球を受け取ると即座に2塁ベースカバーに入った池田に投げ込む。

吉村から放たれた送球はまるで鉄砲玉のように池田のグラブに突き刺さり、荻野の盗塁を阻止する。
荻野は池田に思い切りタッチされた影響から尻もちをつき、驚いた表情で吉村を見る。

「黒木先輩、今の投球とそれにクイック良かったですよ、今のタイミングで覚えれば貴方の苦手なクイックも改善されますし、今の位置で話せば投球も安定しますよ。」
吉村は落ちたマスクを拾いながら黒木にアドバイスをする。

「いい送球だったぞ!ルナ!…余裕でアウトだったな、オギ」
池田は吉村が正面向いたのを見てから返球し、荻野に声をかける

荻野はおしりについた砂を払いながら
「いてて…先輩のタッチ激しすぎますよ。…たっちーほどじゃないけど足には自信があったのにこうも簡単に刺されるとは思いませんでしたよ」
荻野は自慢の快足が吉村によって阻止されてやや不満があるような顔になる。

吉村は黒木の自信のある球を投げさせ、黒木のモチベーションを高める

「確か、あいつ…ルナって加須シニア出身だっけか?埼玉の奥地からこっち、神奈川の奥地に来るとはな…しかしまぁ、入部したてなのに投手のモチベーションをあげる。配球に鉄砲肩…結構いいキャッチャーになりそうだな。ルナは…」
池田はフッと笑いながら吉村を見つめる。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2013/12/31 12:14  No. 97    
       
第97話〜三浦の鷹〜

荻野は焦っていた。野球部に復帰してからは練習をしっかりとやってはいるが練習でも思うような結果が出ず、本日行われている練習試合でも思うような打撃が出来ずに4タコだった。

挙句の果て打撃フォームを結果を出すことだけを求め崩してしまった。
ある雨の日室内練習で荻野はエアロバイクをこいでいると池田が話しかけてきた。

「おいオギ、お前最近なに焦ってるんだ?」
池田は荻野の悩みを撃ちぬくように言う

「…いくら練習しても結果が出ないんで」
荻野は結果が出ないからか気分が落ち込んでいるようにも思える。
それはまるで今日の天気のように暗い

「…その挙句バッティングフォームを崩すとはな…キャプテンの重圧か?おい?
まぁいい、オギ。結果ってのは直ぐに出るもんじゃねぇそんなに簡単なスポーツじゃないだろ、野球は…結果も大切だけど焦るな!すぐに出るわけではない!しっかりと自分の打撃を見つけろ!そうすれば自ずと結果はついてくる!…三浦の鷹は二度飛翔する。だがお前はまだ飛んでないだろ?これからだ」
池田は荻野にしっかりとアドバイスを送る。

「『三浦の鷹は二度飛翔する…?どういうこと?』」
荻野は頭のなかにはてなマークがいっぱい浮かびそうなほどに疑問に感じた。どうやら理解は出来てない模様だ。意味深な言葉であるが今の荻野にとってはアドバイスであることは違いないだろう

「『…理解できてねぇようだな…だが今のあいつはまだ羽ばたいたことのない小鳥だ。飛ぶことを覚えてくれればあいつは…』」
池田は考え事をしながらエアロバイクを漕ぎ進める

吉村は自慢の怪力を鍛えあげるため、負荷が大きくかかる筋トレを始める。
吉村の筋トレやる姿に大橋は唖然とする。

なぜなら、影浦が3年間やって叩きだしたスクワットの数値とあっさりと記録を更新したからだ。
いや、吉村はユニホームを脱ぐとがっちりした筋肉質の体型ではあるが。それでも先代の4番にいきなり超える体型を持った新入生がいるというのは驚きだ。
数値だけ見ると1年生ながら4番に置かれるのも文句は無いだろう。それくらい吉村の筋力は凄いのだ。
練習試合では一本もホームランは出てないが出るのも時間の問題だろう
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/01/04 09:40  No. 98    
       
第98話〜若き燕〜

ある土曜日、荻野は夕暮れの中部活から家に帰る。

「ただいま〜ってアレ?お姉ちゃんいないの?」
荻野は鍵を開けただいまと言うが美歩からの応答はない。

荻野は荷物をおいて部屋着に着替えるとリビングに戻る。
すると、1枚のメモ紙が置いてあったのでそれを手に取り荻野は読んでみた
「えっと…これから出かけます、帰りは遅いと思うから晩御飯は作って冷蔵庫に入れてあるから好きなときに食べてねっ☆。ミホダヨー…か。晩御飯は何だろ…」
荻野はメモ紙を机に置くと冷蔵庫を開け美歩が作っていった料理を探す。
「…とんかつか。よし、後はソースとからしは…っと」
荻野は1人晩御飯を食べる準備を進める。

晩御飯の準備を終えると荻野はTVをつけ、チャンネルをかえると野球中継がやっているチャンネルがあった。どうやら試合は始まったばかりのようだ
対戦カードはヤクルト巨人という東京ダービーのようだ。

1回表のヤクルトの攻撃は工藤にあっさりと三者凡退に打ち取られ、巨人の攻撃へと移る。
背番号67をつけた、若い選手がマウンドへと上がる。

「…って、今日のヤクルトの先発白瀬さんなのか…。」
荻野は思わず嬉しくて笑みが溢れる。

「ヤクルトの先発は高卒ルーキーの白瀬を持ってきました。」
実況は淡々と言う

「そうですねぇ〜、今ヤクルトは投壊しているのでなんとか若い力で打破したいということでしょう。今日は選手兼監督の古田くんがわざわざスタメンマスクで出ていますし、若い力が強力打線の巨人相手にどこまでやれるか見たいですね〜」
解説の中畑は笑みを浮かべながら言う

「『プロ入り初登板初先発がよりによって巨人相手か…』」
白瀬はマウンド上でも緊張が消えないようだ。

古田は白瀬のもとに駆け寄り
「いいか?淳。思い切ってやれ!緊張するな!自分の力を出しきるんだ!期待しているぞ」
古田は白瀬に檄を飛ばすと守備位置に戻っていく。

「白瀬さん頑張ってください」
荻野は中継を見ながら応援する。

結果はというと白瀬は5回6回に巨人の強力打線に捕まり、6回途中KO自責点9、被本塁打4という苦いデビュー戦となってしまった。

「…にしても、お姉ちゃん遅いなぁ…どうしたんだろ?…もしかして彼氏でも出来たのかなぁ?」
荻野はふと時計をみると既に22時に近い時間で、中帰ってこない美歩のことが心配になってた
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/01/05 00:12  No. 99    
       
第99話〜レジェンドプレイヤー〜

所変わりアリゾナ。芝と土の匂いが心地よく感じる中、紅は書類上スポーツ特進コースに所属しレポートを学校に提出さえすれば授業は免除されている。

「ちっ、くそぉ!」
紅は珍しき声を荒らげ感情をあらわににする。

紅はかごに入っているボールをグラブに入れると投球フォームの確認をする。
焦りと不安だけで時間が過ぎていく。

暗いトンネルを彷徨いながら手探りで光を探す紅。
紅はボールを投げ込み、新たなボールを取ろうと後ろを向くと意外な人が後ろにいた。

「『あの人は…レジェンドプレイヤー。パトリック・ジョンソンじゃないか…』」

パトリック・ジョンソンと言えば、昨シーズンニューヨーク・ヤンキースで引退した通算300勝の大スターである。メジャー級のメジャーリーガーである。そのプレイヤーがなぜここにいるかというと、この施設はプロも利用しているからだ。

紅が驚いてパトリックを見ているとパトリックは紅の近くに来る

「Seem always to say according to the desire the Japanese though showed the practice.
(日本人よ、練習を見せてもらったが、思い通りにいってないようだな)」
紅が驚いているうちにパトリックから紅に話しかける。

しかしパトリックの体は引退した選手とは思えないほどの強靭な体つきだ。

「It is, and though it thinks managing the throw form to be finished … The position and the power of a ball that separates the ball : … It doesn't go to Seems Like Old Times, and there is only uneasiness.
(…はい、なんとか投球フォーム自体は完成したと思うのですが…ボールを離す位置や球威が…昔みたいにいかなくて、不安しかないですね。)」
紅は抱えている悩みを吐露する。自分でも屈辱ではあるがここまで不安になったのは初めてである。
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