個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/02/14 19:12 修正1回 No. 28
      
〜第12話・対喜多川戦〜
交流戦を間近に備えた5月。ここで、広島にとってまさに宿敵と言える、阪神タイガースとの試合が組まれていた。前回、喜多川の微妙なコントロールと変化球になすすべもなく倒れた隆浩たちだが、これで勝てば晴れてリベンジが果たせる。選手達の士気も最高潮だった。
「ついに戦えますね、喜多川と!」
隆浩がワクワクしながら言った。実際に喜多川との対決経験がない隆浩だったので、他の選手の誰よりも打つのを楽しみにしていた。そんな隆浩に、石井が喜多川の球について言った。
「あいつの球は滅茶苦茶打ちづらいぞ隆浩。ストライクに絶妙に入るかと思ったらカットボールやシンカーで芯を外され、ボールから微妙に入ってくるシンカーはかなり打ちづらい。変化量が多い方が打ちやすいと思ったのはこれが初めてだよ」
隆浩は、はいと返事を返すと、フリーバッティングをやりにグラウンドへ出た。

カキィ――――ン!
カキィ――――ン!
カキィ――――ン!

(行ける! 今日のバッティングは絶好調だ!)
隆浩はこの日に備え、充分な睡眠、かなりの練習を積んできた。その好調のピークがまさにこの日だった。
「ほほ〜、ヒロもそろそろ本格起用出来るかもしれんな!」
清水監督が関心、関心、とつぶやきながら、隆浩のもとへ向かった。その清水の目は、何かを決心したようだった。そして、驚くべき事を隆浩に言った。
「隆浩! お前、3番を打ってみる気はないか?」
「ええっ!?」

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/02/14 19:51 No. 29
      
「じょ、冗談でしょ監督・・・?」
隆浩が苦笑いしながら清水に聞く。それに対し、清水は笑いながら答えた。
「冗談なんかじゃねーよ。お前は今日、喜多川と戦うために誰よりも真剣に練習に取り組んで来たろ?その半端ない努力で2番なんてとても打たせられるかよ。」
清水がなおも笑いながら言った。しかし、その顔には、なぜか説得力があった。そして、隆浩は迷わずに3番を打つ事を選んだ。

「ええ〜っ!?そ、それは本当ですか監督!」
大引が驚きながら清水に言う。
「ああ、本当だよ。石井には悪いが、あいつが半端ない努力をしているのに、2番なんか打たせたら失礼だろ。あいつは打てる。俺は信じてるんだ。」
その言葉に、大引も石井も、チームメイト全員が納得し、隆浩を3番として正式に打順に組み込んだ。