個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/03/04 18:06 No. 41
      
〜第16話・協力〜
隆浩の刺殺によりピンチを逃れた広島カープ。しかし、喜多川は気落ちすることなく先頭の飯田をセカンドゴロに打ち取った。
そして2番の御村に打順が回る。今日ここまで無安打の御村だが、今までの3打席で投球パターンを掴みかけていた。
そして第一球目、喜多川は強気で真ん中低めのストレートを投げた。御村はその好球をきれいに弾き返すつもりだったのだが、
手元で伸びてくる喜多川の速球に対しなかなか前へ飛ばすことが出来ない。ファールチップでバックネットへダイレクトで当たるファールとなった。
喜多川は外角低め一杯にカットボールを投げる。その球はわずかにボールになり、1ボール1ストライクとなった。
(う…今のは全く手が出せなかった…。今までの配球と全然違う!)
御村は厳しい表情で頭の中でつぶやくと、何かを決心したかのように表情を変えて構えた。
喜多川は手にロージンの粉をつけると、大きなワインドアップから第三球目を投じた。
御村の賭けは当たった!前の三打席の内、すべてインロー一杯のシンカーで打ち取られている為、
四打席目も同じ手で打ち取ろうとしている!
インローにきわどく入るシンカーを御村は叩いた。レフト前に痛烈な一打を放ち、1アウト1塁となった。
そして、この試合のカギを握っていると言える3番の隆浩に打順が回る。
(御村さんのヒット…無駄にするわけにはいかない!)

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/03/13 19:02 修正1回 No. 42
      
喜多川は間隔をあけて、第一球目を投じた。インローのきわどいコースにストレートが入ってくる。
隆浩は果敢に初球から打っていったのだが、簡単に前へ飛ばせない。バットの上に当たるファールとなった。
すると喜多川はあまり間隔をあけずに第二球目を投じた。すると、隆浩が狙っていたインコースにストレートが来た。
隆浩は全身の力をバットに込めて思い切り振った。

ククッ

しかし、それは高速のシンカーだった。そのキレは、WBC台湾代表の王建民のシンカーそのものだった。
隆浩は詰まると分かっていながら全力で振り抜いた。バットが根元から真っ二つに折れ、サード前方のゴロとなった。
隆浩は走る。もはやこれはセーフティバントと同じだ。サードは素早く捕球し、鋭く一塁へ投げた。

アウトォ!

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/03/15 15:24 修正1回 No. 43
      
隆浩はあっけなくサードゴロに打ち取られてしまった。しかし、その間に御村は2塁へと走り、1死2塁とチャンスを迎えた。
ここで4番、現在9本塁打の大引に打順が回った。親を勇気付ける為にこのシーズンで球界記録を塗り替えようとしている、この大引に。
(隆浩…お前のアウトは決して無駄なアウトじゃない。もはや送りバントと同じだ。自信を持て!)

喜多川はインハイに直球を投じた。浮き上がるような喜多川の速球に、うかつに手出しが出来ない。
第二球目、うなりをあげて速球がインローに入ってくる。大引は辛うじてバットに当て、サード方向のファールとなった。
大引はいきなり2ストライクと追い込まれてしまった。そして第三球目…

ビシュッ!

(親父が心臓病で倒れて…俺が55本塁打を超えると誓った…。絶対に打ってやる!!)


カキィ―――――――――――――ン!!!


大引は振り抜いた。白球は空中でアーチのような軌道を描き、その白球はマツダzoomzoomスタジアムの柵を越え、
場外へと消えて行った。大引は、10本目の本塁打を、場外アーチで飾った。

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/03/24 09:51 修正1回 No. 44
      
5番と6番が連続三振し、ついに広島1点リードで10回の裏へと突入した。
ここで打順は9番喜多川!自分で点を取り返す、まさにそのような目をして打席に入った。
(この試合…絶対に落としたくない…!)
そして神庭がセットポジションに入ったその時、喜多川の手から赤い液体が垂れた。
喜多川が凄い握力でバットを握っているため、手が切れたのだ。
神庭はワインドアップから第一球目を投じた。
低めに来たストレートに対し、喜多川は積極的にバットを振った。
ボールがバックネットへぶつかる。早くもタイミングが合っている。
そして神庭の第二球目…

カキィ――――ン!

アウトコース低めの球を喜多川は振り抜いた。白球はスタンドへ向かって一直線に飛んでいく。
ライトを守っていた隆浩はどんどんと下がり、ついにフェンスについた。
誰もが同点を確信した次の瞬間、隆浩はフェンスを登り踏み台にして飛んだ…


「放送席、放送席、ヒーローインタビューです。今日のヒーローは10回の裏に同点を阻止するジャンピングキャッチを成功させた川井選手です!」

隆浩はジャンピングキャッチを見事成功させ、神庭の渾身の投球で広島は勝利を収めたのだ。
マツダzoomzoomスタジアムには、大きなウェーブが作られていた…