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先制点を取られたベンチがにわかに緊張を帯びる中で、健太は親友の失態に笑いを堪えていた。実際彼はしばらくの間うつむいていなくてはならなかった。健太は、この失態はルイの悪癖が招いたものと分析していた。悪癖とはルイの手抜き癖である。 ただ、ルイの「手抜き」は怠惰から来るものではない。それは日々の練習と同じく準備であった。稀代の天才左腕にとっては、甲子園の場ですら勝利が最優先の目標にはなりえないらしい。それでも打線を抑えてしまうまでに、彼の水準は他を圧倒していたのである。 「手抜き」は非力とされる下位打線でとくに顕著であった。手を抜いたルイは、投球の寸前、対峙する打者のことが頭から消え、注意を自身の身体感覚に集中させる。そして、リアルタイムで自身の投球動作をつぶさにモニターする。無理に力を上乗せすることなく、フォームから自然と放たれる球を素直にリリースする。フォームや制球に異常が検出されれば即座に修正を試みる。このとき、ルイに速い球を投げようという感覚はない。丁寧に、慎重に、自身の投球動作を監査し、調整する。つまりは練習である。 全ては、投手として必ず相手をねじ伏せなくてはならないときのため、そこで球威と制球を両立させた最高の一球を投じるため、ルイにとって至高の瞬間のためであった。 彼は球威を乗せるために制球を犠牲にするというトレードオフを、自身の投球からは徹底して追放しようとしていた。ルイにとって球威とは、精密な制球の上に加算されるべきものである。 怖いと感じる相手と向き合う。投球動作の監査をやめ、配球を吟味し、最大限の力を指先に集約する。その上で自身の手を離れた白球の軌道を自在に制御する。球威と制球の両立は彼を以てしても困難な作業であった。それを彼は最も喜んだのである。 ただ、最高の一球を投じるために消費するコストは体力よりむしろ集中力であった。それと関連するように、ルイは自身が非力と感じた相手に対して全力を出せなくなった。手抜きは自然と身についた彼の特性であり,意図的な成分は存外に小さい。さらに、手抜きは試合展開とは独立していた。これ以上ない実戦練習を可能にするこの奇異な特徴は、ルイを一層成長させた。 幸いにして、この調整としての投球をルイはそれなりに楽しんでいた。すなわち、あらゆる局面において、ルイは投球を楽しんでいたのである。
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