個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!Ⅱ 名前:広さん日時: 2012/12/04 18:51 修正1回 No. 14
      
~第7話・越えなければならない滝~

今日の試合は阪神タイガースとの勝負。

清水監督「みんな来てくれ。オーダー発表する。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
清水監督「これで行くぞ!」

全員「ハイ!」

隆浩「よっしゃあ!7番ライトだ!」

飯田「俺はやっぱり1番だな。」

大引「俺もやっぱり4番だ。」

そんなこんなで試合が始まった!

飯田「相手の投手は・・・喜多川?聞いたコトないな・・・。」

大引「イヤ、ドラフトで指名されてたぞ。しかも1順目で。」

飯田「まじすか・・・。」

情報取得が意外に遅い飯田であった。


プレイボ――――――――ル!

1番・センター・飯田

飯田(対戦した事のない相手はまず様子を見るのが当たり前だ。)

ビシュッ!

ズバ――ン!

ストライ――ク!

飯田(134キロ・・・)

ビシュッ!

バシ――ン!

ボール

飯田(136キロ・・・?まさか・・・)

ビシュッ!

バッシ―――ン!

ストライ――ク!

飯田(141キロ!やっぱり!)

飯田は発見した。喜多川の球は、一球一球速くなっている。

ビシュッ!

飯田(外角低め・・・もらった!)

ククッ・・・

バシ――ン!

飯田「なっ・・・!」

ストライ――ク!バッターアウト!

大引「い、今の球は・・・」

難波「カットボールだ!」

鶴川「球速が速く打者の手元で曲がる球だ・・・。」

飯田「カ、カットボール・・・」

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!Ⅱ 名前:広さん日時: 2012/12/04 19:17 修正1回 No. 15
      
2番の御村も三振に倒れ、バッターは3番・石井

石井(あの二人を三振にとった投手だ・・・一体どんな球を投げるんだ・・・?)

ビシュッ!

石井(外角高め・・・外れるな・・・)

ククッ・・・

バシ――ン!

ストライ――ク!

石井「なっ!シンカーだと!?」

喜多川のシンカーは一味違った。普通のシンカーは打ちにくくするため投げるものだが、喜多川のシンカーは変化量が少ない。そのため、コースギリギリのボール球に投げ、少し変化させストライクゾーンに入れるというものだった。選球眼が命の石井には、この球はとてつもなく打ちづらかった。

ビシュッ!

ククッ

ズバ――ン!

ストライ――ク!

石井「くっ・・・」

石井(こういうボールから手元から絶妙に入ってくる球は苦手だ・・・)

なぜかと言うと、変化すると思い込んで変化しなかったとき、ボール球に手を出すことになり、詰まったり引っかかったりしてしまうからだ。

ビシュッ!

バシ――ン!

ボール

石井はもう一つの球も怖かった。カットボールだ。飯田が経験したように、コースギリギリのところに投げられ、外に逃げていく球に引っかかりそうだからだ。しかも、変化しなかったら三振となってしまう。

ビシュッ!

石井(コースギリギリ!どっちだ!?)


石井(変化しない!)

ガキィッ!

石井「うっ・・・。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バシィ

アウト!

なんと、現在首位打者である石井がいとも簡単にキャッチャーフライに打ち取られてしまったのである。しかも、カープ打線では珍しい三者凡退を喫してしまった。
カープにとって喜多川は、目の前に立ちはだかる『滝』のような存在となっていた・・・

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!Ⅱ 名前:広さん日時: 2012/12/04 19:37 修正1回 No. 16
      
広島東洋カープの先発は工藤。156キロの剛速球と変化量が多くものすごい球威の『工藤カット』が持ち味。

工藤「うおおっ!」

ビッシュウウウ!

今日の工藤は冴えていた。しょっぱなから148キロを記録。1番を三球三振に打ち取った。しかも、工藤カットの変化量・球威も半端ではなかった。変化量26センチ、球速145キロという前代未聞のピッチングを見せた。2番・3番も速球と変化球を駆使し、たった9球、つまり三者連続三球三振を記録した!次のカープの攻撃。主砲の大引が打席に向かった。

大引(飯田、御村、石井、この三人の仇は俺がうつ!)

ビシュッ!

大引「うおおっ!」

ブンッ!

バッシ――ン!

ストライ――ク!

清水監督(大引いかん、力みすぎだ!)

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!Ⅱ 名前:広さん日時: 2012/12/05 19:33 修正2回 No. 17
      
大引(俺は・・・引退するまでに55本以上打たなければいけないんだ・・・!!)

だが俺の成績はどうだ!?55本を目指しているのに50本にも届かないじゃないか・・・!

ビシュッ!

大引「俺は55本塁打越えを達成しなくちゃいけないんだ――っ!」

バッキィ―――ン!

ファ――ル

隆浩「大引さん・・・バットが折れたのに場外ファールなんて・・・。」

清水監督「あいつは昔からパワーだけは誰よりもあったからな・・・」

隆浩「清水監督・・・。」

大引「打たないといけないんだ―――!」

ビキ――ン!


アウト!

個別記事閲覧 Re: プロ野球・鯉の陣!Ⅱ 名前:広さん日時: 2012/12/06 18:04 修正1回 No. 18
      
隆浩「お、大引さん・・・なんでそこまで・・・。」

飯田「・・・打たないといけないんだ・・・。」

隆浩「!!」

飯田「ある理由があるんだ・・・。」

時は昨日にさかのぼる。これは、昨日の練習後の出来事であった。

プルルルル・・・プルルルル・・・

大引「ん?病院からだな・・・」

ガチャッ

大引「はい。」

医師「大引さんですか?」

大引「はい、そうですけどどうかしましたか?」

医師「実は・・・あなたのお父様が・・・!」

大引「えっ!?」

~~~~病院~~~~

ガチャッ!

大引「親父!」

大引の父「ああ・・・健太か・・・。」

大引「ど、どうしたんだよ親父・・・。」

大引の父「俺はどうやら心臓病らしいんだ・・・。」

大引「な、なんだって!?」

大引の父「近々手術をする事になった。でもな・・・そんな事やる勇気がないよ・・・。」

大引「親父・・・。」

大引の父「もう俺はダメかもしれない。そろそろかもな・・・。」

大引「・・・・・打つよ・・・。」

大引の父「・・・え?」

大引「俺が、王選手の55本塁打をぬかして見せる!だから!親父も頑張ってくれ!頼むよ!」

大引の父「王貞治の55本塁打を・・・ぬかす・・・。」

大引「とにかく打つから・・・頑張ってくれよ・・・。」

バタン・・・

大引の父「・・・・・。」

大引の父(あいつがあんな記録をこえようとしているのに・・・俺は・・・。)

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飯田「あのときから、父親を勇気付けようと必死になっていたんだ・・・。」

隆浩「そ、そんな事が・・・。」


その後、喜多川の変化球と速球に苦しんだ俺達は、1-0で敗れてしまった・・・