Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/10/22 22:48 修正5回 No. 92 |
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- 〜第27話・怪物、天海陽介降臨〜
ここで、今年ロッテの監督に就任した里崎がベンチを出た。投手交代である。
『千葉ロッテマリーンズ、選手の交代をお知らせいたします。 ピッチャー 唐川に代わりまして、天海。背番号18』
まるで先程の本塁打は無かったかのように、ロッテ側のスタンドが沸く。 ロッテは、脅威の1年目で18勝4敗を打ちたてた怪物、天海陽介をリリーフとして送ってきたのである。 「こ、この場面で天海かよ……」 井浦は天海を見て、額から汗を流しながら言った。 そこへ、現在は打撃コーチの小笠原が、 「知ってるとは思うが、奴は舞空高校を全国制覇へ導いた天才……いや、怪物だ。奴の約187pの長身から繰り出される直球は160km/hをゆうに超えると聞く」 井浦は、飲んでいたスポーツドリンクを吹き出した。 「ひゃ、160km/hを軽々と超えるだと!?そんなに速かったのか!?」 井浦の手からスポーツドリンクが落ち、中身がベンチの床にこぼれる。 驚くのも当たり前だ。現在の日本記録は由規(ヤクルト)の161km/h。160km/hをゆうに超えるとなると。 確実に161km/hの記録は塗り替えられるのである。 「ああ、しかも奴はスタミナ、コントロール共に最高級だ。その上変化球も多いと来た」 小笠原は、天海との対戦は無いが、見た事はあるのである。 地をいつまでも這うような伸び。重力が作用しているのか疑わしいほどの変化球。 すべてがハイレベル。まさに「怪物」……
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Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/10/27 19:39 No. 93 |
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- 天海の投球練習は圧巻だった。150km/hは出ているであろう剛速球を軽く投げ込んでいる。
その投球練習に、巨人ベンチは唖然としていた。 これほどの投手がロッテに、しかも中継ぎ、抑えとしても場面に応じて出陣する。 天海は、怪物としか言いようがないほどの投手であった。
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Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/11/16 22:34 修正2回 No. 94 |
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- 打順は5番の佐藤。1年前にドラフト2位指名で巨人軍に入団した期待のスラッガーである。
佐藤は足元を固めたあと、チラッと天海の方を向いた。 本人はマウンドを均しているだけのつもりなのだろう。しかし、天海の体からは、 静かに燃える、青き炎のようなオーラが漂っていた。 佐藤は少々怖気づいたのか、少し身震いした。 「な、なんて奴だよ……体が大きく見えやがる……」 佐藤から見た天海は、まるで3m(大袈裟だが)ほどあるのでは、と思うほど天海が大きく見えた。 そして第一球目。豪快なワインドアップから、天海の直球が放たれた。 手から離れた瞬間にミットに入ったと思うほど、天海の直球の精度と速度は尋常ではなかった。第一球目はボールだったが、 キャッチャーが天海にボールを返した後も、佐藤は見送った構えからなかなか戻れなかった。手を出す暇もないほどの速球なのである。 何だったんだ。佐藤の顔から冷や汗が滴る。 完全に低めの直球だと確信した。しかし、天海の直球は、失速など俺の辞書にはないとでも言っているかのように、 少しの失速もない一直線の軌道を描いた「ストレート」だった。
「この人も……本気で投げるまでもないのかな……」
天海はそう呟くと、静かにロージンバックを手に取った……。
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