Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/11/23 16:19 修正1回 No. 95 |
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- 〜第28話・天性のセンス、飯田海翔復活〜
一方、広島対ソフトバンクの一戦は、代打で出場した飯田が、 ソフトバンクの中継ぎエース舘石から、計17球のファウルボールを出し、粘りに粘っていた。 「な、なんだよコイツ……俺のフォークをなかなか空振りしない……どんなバットコントロールしてんだよ……」 舘石がそう思うのも無理はない。実際、舘石のフォークボールは、決して当てようと思って当てれる代物ではない。 それに、あの長身から繰り出すだけあって落差も相当なはずだ。 それなのに、飯田は舘石の緩急を活かしたピッチングに屈していない。 並の打者なら、もうとっくに三振していてもいいはずだ。 飯田は、打席に立った瞬間から、妙なものを感じていた。なぜか体が自然と球についていく。 身に染み込むほど猛練習した訳でもない。しかし、何かが飯田の体には染み込んでいる。 第十九球目、アウトコースの低めに、舘石のフォークが投じられた。 その瞬間舘石は目を見開いて驚いた。投手から見て、ベース側に飯田の体が信じられない程傾いているのだ。 それでも、飯田はバランスを崩すことなく本来のシャープな振りで、ライトのライン際へヒットを放った。 そして、バットの感覚で飯田は遂に思い出した。自分の名前は飯田海翔、広島の1番打者。センターの飯田海翔……。 飯田は、にやりと笑みを浮かべながら、なんと1塁ベースを蹴って2塁へ向かった。 ライトはこれを見て、急いで2塁へ送球した。タイミングは完全アウトである。 しかし、飯田はタッチに向かってくるグラブをスライディングしながら沈み込んでかわし、そのまま足をベースに伸ばした
「セーフ!」
飯田の野球センスは完全に復活した。 実際、飯田のスライディングがそれを物語っていた。 広島ベンチはまるで優勝したかのような大騒ぎ、この間に3塁の石井はホームイン、大引も後に続いてホームインした。 飯田は、2打点となる2ベースヒットを放ったのである。 3−0、広島は試合の流れを一気に掴んだ!
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Re: プロ野球・鯉の陣!U 名前:広さん日時: 2013/11/23 23:15 修正1回 No. 96 |
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- 「やっぱり、飯田の体にはセンスと言う名の天性のモンが染み込んどるな」
二宅は静かに微笑み、頑張れよと呟いた後、ベンチを後にした……
記憶喪失から復活した飯田、臨時の1番隆浩、そして主砲の大引が中心となり、6回裏、広島打線は爆発した。 打ちに打ちまくり、それでも乱打戦になることなく投手はきっちりと抑える広島のワンサイド気味に試合は進んだ。
そして9回裏。抑えに回った工藤が、ソフトバンク打線を三者三振に抑え、広島は11−0で勝利を収めたのである!
「よーし! 今日もよく頑張ったぞー!」 「日曜日もいい試合見せろよー!」
ファンからは応援の言葉が飛び散った。 「しかしなにか気分がいいですね。たったペナントレースの1戦を勝っただけなのに」 隆浩はバットをバッグにしまいながら言った。 「そうだな、まあ1試合と言っても色々あったからな」 と大引は満足げに言った。 「よし、寮に帰ったら今日は盛大に飲みに行くか! もちろん、神庭のおごりでな!」 「わ、ワシは金持ってませんのー!」 「いや、見たぞ。立派に8万ほど入れてただろうが!」 「大引さん、いつの間に神庭さんの財布覗いてるんですか!」
広島ベンチに笑顔が戻った。
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