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ロックされています  甲子園に行けたなら  名前: バイオ・テクノロジー  日時: 2013/03/22 05:26    
      
恐らく、ほとんどの方がはじめましてかと思います。バイオ・テクノロジーと申します。

ズダダンさんを利用させていただくのは、だいぶ前(たぶん5年くらい?)以来になります。よろしくお願い致します。

今回は、小説の方に挑戦させていただきました。
拙い文章が目立つかと思いますが、少しでも興味を持っていただけたなら、目を通してくださると嬉しいです。

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ロックされています   Re: 甲子園に行けたなら  名前:バイオ・テクノロジー  日時: 2013/03/22 05:35  No. 1    
       
序章【大沢圭。〈元〉野球バカ】

 ある日の放課後、俺は友達の長谷川雄太(はせがわ ゆうた)に呼び止められた。

「なぁ圭。お前、なんでこの高校選んだの?」
「女の子が可愛かったから」
「……お前、ホント変わったよな」

 高校入学から三カ月。
 この質問をされるのも、もう何度目だろうか。
 たしかに中学時代の俺、大沢圭(おおさわ けい)は野球バカだった。
 これ以上ないくらいの、野球バカだった。
 だから、俺がこの〈野球部のない〉鳳来高校に入学したことに、みんなが疑問を抱くのは、そんなにおかしなことではないかもしれない。

 でもさ。
 中学の野球バカが、高校に入ってまで野球バカを続ける意味なんて、きっとないんだと思う。
 だから、俺もこれを機に高校デビューする。
 部活なんかやらないで、勉強とバイト両立させて。そしたら女子にもすげーモテたりしてな。
 うん。俺のこの高校生活の目標は女子にモテモテのいわゆるリア充というのになることに決定だ。


「まぁ、圭がそれでいいって言うなら、俺も止めはしない……けどさ」
「けど、なんだよ」
「アレ、どうするんだよ」
「アレって……うわ……」

 俺と雄太の進行方向。というか、教室のドアの前に、一人のおっさんが立っていた。

「げっ……また出やがった」
「出やがったとはごあいさつだなぁ! 大沢圭よ!」

 コイツは、金山熊雄(かねやま くまお)。愛称クマ先生。由来は名前と容姿。
 ウチの学校の教師だ。ちなみに教科は倫理担当。
 ウチの学校で倫理が必修なのは2年時だけなので、普通なら今の段階でコイツと関わりを持つようなことはないはずだったんだけど。

「今日こそは野球部に入ってもらうぞ、大沢」

 入学式の時から、なぜか俺はこの男に目をつけられている。

「……この学校野球部ないでしょうが。あっても嫌ですけど」
「だから、俺とお前で作るんだと言っているだろう! 何度も!」

 だから、嫌だって言ってるんじゃんか。何度も。
 てか、雄太のやつしれっといなくなってるし。逃げやがったなあのチビ。
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ロックされています   Re: 甲子園に行けたなら  名前:バイオ・テクノロジー  日時: 2013/03/22 05:39 修正1回 No. 2    
       
「野球は二人じゃできませんよ。てか、そもそもわざわざ作ってまで野球やろうとするんです?」
「……聞いちゃう? それを」
「いや、話したくないなら俺は別に」
「そんなに聞きたいなら仕方ないなぁ! 特別に教えてやろう!」

 うぜえ。

「俺は人生の勝ち組だ! 何故だかわかるか?」
「……教師だからですか?」
「その通り! 俺は教師、つまりは公務員だ! いわゆるニートや、はたまた失業者なんぞとはとっても縁遠い存在と言える。故に勝ち組」

 そのセリフはとても教師とは思えないけどな。
 てか、コイツに倫理教わるとか、来年が来るのが嫌でたまらないんだが。
 それと、ウチの学校私立だから公務員ではねーよ。
 本当に教師かよ、お前。

「だがな、一つだけ問題がある、それはな……」

 やたらと溜める金山。
 正直もう帰っちゃいたいんだが、腐っても相手は教師。
 さすがにこっちから勝手に話を切って帰るわけにも……。

「……教師って、モテないんだよ」

 流れる沈黙。
 その時、俺の頭の中で、何か筋が切れるのを感じた。

「だけどな、甲子園優勝監督とかになればもしかしたら」
「わー、それは大変ですねー。ホントに大変ですー。それじゃ先生、さようなら」
「え、ちょ、待っ」

 さすがにこれ以上付き合ってるのも馬鹿らしかったので、俺は金山を振り切れる程度の小走りで廊下を駆け抜けていった。モテたいから野球やろうなんて、本当にくだらない。

「じゃあ、俺がこの高校生活で目指す目標ってのも、くだらないってことかな」

 高校生活の目標はリア充。
 うん、改めて考えてみると、実にくだらない。
 やっぱり、そんなんじゃなくて、もっときちんとした目標をもって、高校生活を送りたいな。

 ……もちろん、野球関係以外で。
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ロックされています   Re: 甲子園に行けたなら  名前:バイオ・テクノロジー  日時: 2013/03/27 21:28 修正2回 No. 3    
       
「もし圭がやるってんなら、俺も一緒にやってもいいかなって思ったんだけどな、野球」
「それ、俺のこと見捨てて逃げたやつのセリフじゃねーよな」

 次の日、登校途中に出会って早々、雄太がふざけたことを言っていたので、とりあえず一発チョップしておいた。
 短髪チビの雄太には、おでこを守る髪がないため、チョップはクリーンヒットする。

「痛っ! いや、別に見捨てたとかじゃねーって!
 ただ、圭ってやっぱ野球やりたいんじゃないかって思って、それなら、金山ときちんと話した方がいいかなって……」
「……余計なお世話だよ」

 てか、俺が野球やりたいって、なんでそんなこと思えんのかがわからん。
 野球やりたいなら、野球部ある学校行ってるだろ普通。

「じゃあ、圭はなにがしたいんだよ……?」
「それは……」

 それを言われると、ちょっと痛い。
 昨日一晩考えてみたけど、結局新しい目標みたいのは見つからなかったし。

「特に決まってないけど、まぁ、なんかカッコいいことだよ。少なくとも野球じゃない」
「……野球やってた圭。結構カッコ良かったけどな」
「男に言われても普通に気持ち悪いだけだから、それ」

 女に言われたとしても、皮肉にしか感じられないだろうけどさ。
 だって俺、別に野球上手かったわけでもないし。

「じゃあさ、陸上とかやらね? 圭って脚めっちゃ速いじゃん」
「パス」
「えー……」

 野球部よりかはマシかもしれないけど、そもそも部活とかやる気がない。
 面倒くさいし。

「なんかさ、圭、いくらなんでも冷め過ぎてない? 中学のころのお前はもっと……」
「だから、俺は成長したんだよ。いつまでも中学のころみたいな、クソガキでいるわけにはいかないだろ
 努力ってのは、もっと将来役に立つことにすべきなんだよ。部活なんかに努力するのなんて、くだらねーよ」
「……そりゃ、そうかもしれないけどさ」

 そう、部活の努力なんて、本当にくだらない。
 一握りの、プロになれるような奴ならともかく、俺みたいな才能のない奴が部活をすることに、一体何の意味があるというのか。
 何も成果のない、意味のない努力なんて愚かで空しいだけだ。
 ……それこそ、中学の時の俺みたいにな。
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ロックされています   Re: 甲子園に行けたなら  名前:バイオ・テクノロジー  日時: 2013/03/27 21:32  No. 4    
       
 そんな風に俺が、雄太に現実というものを教えてやっている時だった。
 
「……だっさ」

 やけに透き通っていて、それでいてとがった声が後ろから響く。
 同時に、黒い髪を肩程度まで垂らした驚くような美人が、俺達の間に割って入ってきた。

「え……」
「自分がどれくらいだっさいこと言ってるか、わかってる? あなた」

 その美人さんは、俺や雄太がぽかーんとしているのを完全に無視して、話を進める。

「たしかに、私も意味のない努力はない、なんて言うつもりはないけどね
 でも、意味がないかなんてのは、それこそ、やってみないとわかることじゃない」
「いや、その……」
「にも関わらず、やる前から『意味がない』だとか悟ったようなこといって、結果何もしないなんて本当に、この上なくだっさいわ」

 ……いや、ちょっと待ってよ。
 意見つらつら並べるのは結構だけど、それ以前にさ。

「キミ……誰?」

 これだよ。雄太にしては適切する一言だった。
 なんで俺、名前も知らない人にこんなディスられてんだよ。

「あなた達に名乗る名前なんてないわ。私、あなたたちが大嫌いだもの」

 ならそもそもなんで話しかけたよ。
 
「というわけで、私はもう行くわ。もし私に文句を言われたくなかったら、これ以降、そういうみっともない発言は控えることね。
 それと、その長い髪、全然似合ってないわよ、大沢圭」

 それだけ言って、呆然とする俺達を放っておいたまま、早歩きで校舎の中へと消えていった。

 なんだったんだ一体。
 なんで俺の名前知ってんだよ。
 てか、そもそも誰なんだよ。

 あまりの混乱に俺と雄太は、その後、一言も会話を交わすことなく校舎へと入っていった。
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