Re: 頂点に立つのは背番号1 名前:カニカマ 日時: 2013/05/19 16:26 修正2回 No. 1
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8年前のことだ。とある少年は真夏に友人の家で遊んでいた。そのとき何気なくつけた甲子園のテレビ中継。 優秀で負けず嫌いな少年の目にはグランドの中で一番高いところにあるマウンドはまるで王様の席のように見えたのだろう。 その王座に立っている選手は車の速度より遥かに早い速度の球を腕から解き放つ。 少年が見た速球表示は155キロ、少年は高校生になればあのくらい投げれるようになるのか、と思ったが。 違う、その人が凄すぎたんだ。その選手のいたチームは甲子園を優勝し、その選手はプロ野球へ進んだ。 これが、少年が野球をはじめるきっかけとなった。
それから数年が経ち、あの少年は中学生になっていた。もちろんポジションは投手をやっている。 もしも少年が、並の投手ならば、あんなことは起きなかったのだろう。 少年が中学三年の春、シニアの日本選手権の予選リーグの初戦だった。 その試合は5エラーにより失点4、それに対して得点は2。負けていた。 だが、少年のホームランにより逆転。絶対勝ったとみんなが思った。クールな少年ですらガッツポーズをしていた。 だが、パスボール、エラーが重なった結果。5対6のサヨナラ負け。 少年はしばらくの間スコアボードを見上げていた。速球表示が出ている。142キロ、しかし少年の目に写っていたものは自己最速の速球表示ではなく6という大きな数字だった。 最後はパスボールで負けてしまった。そのため、捕手の選手は何度も謝っていた。 だがプライドや態度だけは異常に成長してしまっていた少年は彼を許せず何度も何度も殴った。 気がつけば、シニアをやめさせられていた。 少年の心の中にはモヤモヤがある。それは全国の舞台へ羽ばたけていないこと。 高校では必ず全国へ、と意気込む少年だが、少年の学力では高校へ行けるか危うい。 が、少年は基本的に嫌いなこと、失敗しそうなことはしない主義である。 つまり、勉強嫌いの少年は受験生にもかかわらず勉強しなかったそうだ。 そう言えば紹介がまだだった。少年の名は冷泉 蒼空(れいぜい そら)身長も高くルックスも良好、金髪で制服は着崩している。 ちなみに自然と野球をやっているやつである。暇なときは野球。そんなやつだ。 もしかしたら、この男が高校野球で大旋風を巻き起こすのかもしれない。そんな淡い期待が少年には込められている。
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