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ロックされています  都立高校の逆襲  名前: 魁斗  日時: 2014/01/25 11:41 修正1回   
      
king nineと同じように進めます。
king nineと同じで駄目作なので暇つぶしにでもどうぞ。


数々の生徒をあの有名な東大などに入学させる名進学高校、都立呉島(クレシマ)高校にひとりの天才が入学した。その名は青浪蓮(アオナミ レン)。勉強の天才である彼にはもう一つ、天才的な能力を発揮出来る物があった。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/01/25 21:59  No. 1    
       
都立呉島高校の入学式が行われてから1週間が経った。難問を回答し入学した1年生も何とか高校生活に慣れてきた。

「おーし、バッチこいやー!」

野球部のグランドでノックを受けるこの少年もその一人。この少年の名は青浪蓮。勉強の天才と中学時代から言われその名の通り高校最初のテストでも学年一位を獲得。しかも性格はバッチリ、顔は男前でわずか1週間でクラスでの人気を獲得。そんな男は勉強の天才と同時に野球の天才でもあった。



「お疲れさんでしたー!」
大きな声でそう先輩らに言った青浪は練習が終わりすぐに帰って行った。その理由は野球よりも好きな勉強をするためである。



「あいつ、なんであんなに野球上手いのにウチに来たんだろうな。あかつきとか行けただろうに…」

「何でも、勉強の方が野球よりも好きらしい。野球ならあかつき大附属はもちろん、光都区高校からもスカウトは来てたんだってよ」

「へえ〜」

そう会話するのは2年生の大瀬研二(オオセ ケンジ)と橋団吉(タカハシ ダンキチ)。お世辞でも野球は上手とは言えず暇つぶし程度に野球をやっている選手達である。

その他にも暇つぶし程度に野球をやっているのは何人もいる。熱を入れてやっているのはキャプテンの結城京介(ユウキ キョウスケ)と副キャプテン井上大河(イノウエ タイガ)、それと青浪くらいだろう。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/01/26 13:11  No. 2    
       
次の日、青浪は同じクラスになり同じく野球部に入った大西雄二(オオニシ ユウジ)と学校へ登校していた。

「青浪、お前勉強もいいけど野球もやればどうだ? 他の皆も野球やってお前もちゃんとやれば甲子園なんて…」

「俺がちゃんとやっても、他の皆は暇つぶしでやってるだけだろ? 他の皆がやるって言うなら俺は勉強の量も減らすけど」

そして学校へ到着。大西と青浪はグラウンドへ向かうがやはり結城と井上以外だれもいない。

「おお! 来たのか青浪、大西! まだ時間はあるし、着替えてきてくれ」

結城は二人に伝えた。すると大西が「おい、青浪行こうぜ」と言うと青浪は「いや、俺授業の準備するから…」と言い校舎へ向かう。


「はあ…京介、やっぱりあいつも勉強が大事みたいだな。一度、野球部全員集めてやる気があるのか聞いた方が…」

「それは無理だな。ここの高校の部活は自由参加なんだから。俺ら二人は親の都合でここに入ったから野球のやる気はあるけどあいつらは違うから…」
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/01/28 16:57  No. 3    
       
この日の放課後、野球部全員が部室へ集められた。部員の本心を聞く為である。

「よし、それじゃあ…野球に対するやる気があるやつは部室に残ってくれ。無いやつは…今日限りで野球部から出て行ってくれ」

すると、一人の選手が出て行くと同時にほとんどの選手が部室から立ち去っていった。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/01/30 21:21  No. 4    
       
「まさか…これだけ…?」

部室に残っていたのは結城、井上、大西、それから蓮ともう一人入部していた1年生であった。
しかもその一年生は女性。体は小柄で髪の毛は短め。

「どうする?」

そう井上が聞き結城は「…しょうがない、部員を探そう。とりあえずまずは4人…」

そう言って結城は部室を出て行った。それを追うように井上が続いて出て行った。

「おい、お前らも部員探し手伝え。あ、探すのは一年生な」

井上は部室を出てすぐに携帯電話を取り出し結城に連絡をしながら校舎へ向かう。


「あーあ…それじゃあ青浪…いや蓮でいっか。蓮と…確か綾瀬ルカ(アヤセ)さんだよね? 一緒に部員探しに行こうか」

「あ…はい…お願いします…」

「大西、俺は部室棟を探すから二人は校舎を頼む。とりあえず一人見つけたら連絡する」
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/02/07 20:59  No. 5    
       
呉島高校は3年になるとほとんどの生徒が部活動を辞める。それは受験勉強に専念するため。だが、親戚や教師からのプレッシャー逆に学校を勝手に退学、また部活に打ち込む生徒もまたいる。


蓮は一人で一年の校舎棟を歩いている。それは部室棟には野球をやりたい者がいず、校舎を探すことにしたから。現在探しているのは息ピッタリの二人。二遊間を組んでもらいセンターラインの強化をしたい様である。

(…いない…仲が好い二人は見つからないのか…)

そう思い次に蓮が考えたのは、(情報通を探すか)という事。そして30分…探すがまったく見つからず無理か。と思った時大西からの連絡。

「おい、蓮、一人見つけた! 名前は…矢部部和雄。かなりの情報通らしいぞ!」
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/02/12 20:49  No. 6    
       
蓮は緊張した面持ちで大西達が待つ場所へ向かう。大西には速く来いと言われたが蓮は真面目すぎるのが影響か、人にぶつからないようにかなりゆっくり歩いていた。
矢部部の想像をし、場所に近づいてくると蓮は自然ににやけてしまった。

そして、矢部部の顔が見える所まで見えてくる。
どうやら日焼けしていて顔が茶色、瓶底メガネをしている様である。

「あ! 来たでやんすね! 初めまして、おいら矢部部和雄でやんす!」

「………は?」

蓮は困惑している。語尾にやんすを付けているからである。

「あの…ふざけてるのかな? やんすとか…」

「まったくふざけてないでやんす! おいらはとっても真面目でやんすよ」

「…もういい、情報通なんだよね? それじゃいい二人教えてくれよ…あ、電話だ」

電話を掛けてきたのは井上。とっさに電話に出ると、「おい、青浪! 見つけた! 名前は…日向葵(ヒナタ アオイ)と、仙道涼平(センドウ リョウヘイ)。早くここまで来てくれ」

その事を簡単に説明すると矢部部が、「おいらが紹介したかったのはその二人でやんす! 二人は小学生時代、野球をやっていたでやんすよ!」

3人のいる場所へ行くともちろん、井上がいた。そして、もう一人の男子も姿を見せている。そして、もう一人。体系からして男ではあるが顔はおそらく誰よりも可愛いであろう女性である。

「あ…井上さん、自己紹介、お願いします」

すると、女性のような男性が口を開く。

(こっちが…葵さんかな。名前も女みたいだし、顔も…)
大西はそう感じた。だが、自己紹介はまったく逆であった。

「仙道涼平、男です」

「え!?」
大西は思わず声を出してしまった。

「ちょっと待て! あんた女だろ! どう見ても!」

「何言ってるでやんす。涼平君は男でやんす」

「僕は男だよ。よく女に間違えられるけど」
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/02/13 21:15  No. 7    
       
大西はやってしまった。涼平を見た瞬間、女だと思い込んだのが影響なのか、涼平に一目惚れしたのである。


(やばい…一目惚れしたかも…)
蓮は見た感じ、綾瀬は女の勘、矢部部は持ち前の情報で涼平が男なのはすぐに分かった。しかし、頭がいいと言ってもそこまででもない大西は気付かずに一目惚れしたのである。


「あ、俺言っていいかな。日向葵です。涼平とは中学生の頃からの友人。男です」

「結城には連絡を付けてある。それじゃ、一度グランドでキャッチボールでもしよう」

すぐにその場から皆はグランドへ出て行く。しかし、大西はまったく動かない。

「大西君、どうかしたの?」

「ひゃっ!?」

大西は涼平に声を掛けられ驚愕した。しかし、涼平は本当に女の様だ。髪は少し長め、目元や口元、鼻は女同然。身長も160あるかないか、体重もかなり低そうである。
そして、何より女に見えるのが…

「大西君、僕も行くね」
この女性の様な喋り方である。

「あ…俺も行くよ」

大西はすかさず返事した。これから大西はグランドに着くまで様々な事を質問する。

「涼平は野球やってたの?」

「好きな女性のタイプは?」

「俺の事どう思う?」

いつの間にか、呼び方が涼平と、呼び捨てになっているし、かなり慣れ慣れしい。

やっとグランドに到着。距離は短いのに非常に大西と歩いた距離を涼平はかなり長く感じる。

「おお。3人も入部者が…それじゃ、体操服かジャージに着替えてくれ。グローブは俺達が貸す」

結城と井上はすでに着替え済み。綾瀬がまずユニフォームに着替えその後男が着替え始めた。

「ねえ、葵。体操服わすれちゃった。ジャージも。サイズ、葵が少し大きいくらいだったよね。貸してくれないかな」

涼平が体操服もジャージも忘れたようだ。しかし、葵も、「ごめん、俺ジャージしか持ってきてないんだ」と、ジャージしか持ってきてないようである。するとそこに大西が現れ、「涼平、良かったら俺の借りてくれ。俺はユニフォームあるし」と、ジャージを貸した。

「ありがとう! 綺麗にして必ず返すね」涼平はそう言い大西から貸してもらった。その時見せた笑顔はまさに女性…

(ぬおお! これは…)
大西は完全ににやけている。

「おい、大西。何してるんだ? 涼平は男だぞ」

「あ…ごめんごめん」
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/02/14 22:45  No. 8    
       
グランドに出るとグラブが用意されていた。
「涼平、キャッチボールしない?」

「うん、いいよ!」

蓮が涼平にキャッチボールの誘いを受け一緒にボールを取り合うことに。葵は大西と、矢部部は綾瀬と、結城は井上、という組み合わせとなった。


「とりゃ!」

「うお!」

蓮の右手に付けているグラブは遠くへ飛ばされた。

「あ、ごめん! 怪我はない?」
涼平はすぐに謝るが蓮はその間にこう考える。

涼平は野球の天才ではじゃないのか? と。蓮のグローブは何球かキャッチボールをしただけで皮が破れもう使えない物に。その様子は大西のグローブにも表れていた。

「すげえ…何て球だ…」
その様子を見ていた結城はすぐにボールを集め葵をショート、涼平をセカンドへ着かせた。

「よーし、ノックするぞ! 涼平と葵がノックを受けてくれ! 他の者はボール拾い!」

「はい!」

ノックが開始し、結城のノックは下手なのか全ておかしい方向へ飛んでいた。
しかし、それは全てわざと。結城は葵と涼平が本物の天才なのか確かめているである。
二人は全ての打球を軽々と補球していた。たまにはゴールデングラブ賞を何度も獲得した荒木、井端の様なプレーを見せる事も。
その時、グランドにいた全ての野球部員が悟った。「二人は天才だ」と。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/02/18 21:07  No. 9    
       
葵と涼平が二遊間を組むという事はすぐに決定。結城が次に決めようとしたのは野球に一番重要なポジション、投手だ。
しかし、中々我こそは! という者は出て来ず。そこで、突然大西がマウンドへ走りだす。

「俺がやる!」
硬球を握った左手を天に突き刺しそう叫ぶ。
それに対し、結城が「…それじゃ、一度投げてくれ」と言い大西のテストを始めた。

大西のフォームは豪快で、振りかぶりスリークォーターでボールから手を放した。

「うぉ!」
捕手を務める蓮は思わず声を出す。大西の球はあのミサイルの様な驚異的な速さと圧倒的なノビがあったのである。
だが、一つ完全な欠点をその場にいる部員全員が感じた。大西はコントロールが大変悪い。いわゆるノーコンだったのである。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/02/27 18:06  No. 10    
       
部員が揃い始めポジションも大分整ってきた。
外野には蓮、矢部部、綾瀬。
内野には井上と結城、それと葵に涼平。投手には大西が揃う。なのだが、その大西の球を捕る捕手がいないのである。


「野球やりませんかー」
毎日の様に呼び掛けるのもそろそろ飽きてきた。
しかし、やらければ野球はやれない。
辞めた部員達を引き戻す事も考えたが、辞めさせたのに引き戻すのもそれは申し訳なく感じる。

「大西、今日はもうやめようか」

「そうだな...」


その時である。
「オーイ、俺野球やりたいんだけど」
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/03/11 18:20  No. 11    
       
そう呼びかけたのは金髪でいかにも不良の様な男。その時蓮が感じたのは(なんでこんなバカがこの高校にいるんだよ!)と言う事。

「(良い体してるな)…あ、俺は大西。それじゃ部室に来てくれ」

部室へ向かう間、大西は涼平の時の様に質問を開始。

「なあ、名前なんて言うんだ?」

「柩。遠海柩(トカイ ヒツギ)」

「かっこいいな。野球は?」

「小学1年からずっとやってきた。捕手だ」

(あれ、簡単に答えてくれるな。不良なんかじゃないのか?)

どうやら、柩はただ金髪をしたくてやっているのではないらしい。だから、不良なんかではない。深い訳があるようだ。
それを、大西は何度も問いかけた。しかし、それだけは教えてくれず。


そして、グラウンドにはまもなく全国の高校へ逆襲を開始するメンバーが集った。

「よーし、ついに集まったな。それじゃ、監督お願いします」

すると、結城の後から体はでかく髪が長い男性のような女性が出てきた。

「見るからに弱そうな奴しか居ないわね。あら、そこのあなたは結構やりそうね。名前は?」

「え、男だよな…?」

「ああっ!? いいから名前言いやがれ! オカマ舐めんじゃねえよ!」

「……青浪…蓮です…」

「良い名前ね。それじゃ、隣のホモみたいな貴方は?」

「なっ、ホモ!? 俺はただ男が好きなだけだ!」

「うるさいホモ野郎! お前はとりあえずグラウンド10周だ!」

この様に呉島野球部の監督、蒲倉春奈(カバクラ ハルナ)、旧名蒲倉憲司(カバクラ ケンジ)は人を凍りつかせる程のオカマなのである。 

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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/03/28 11:20  No. 12    
       
時が経つのは速く、新生野球部が誕生して1カ月が経過した。そろそろ練習試合などを組み夏の大会に向けての本格的な準備を始めて行きたい所だ。

「それじゃ、一度集合〜」

蒲倉はいつのもように部員を集合させた。

「皆さんにお知らせです。練習試合が組めました。相手は生柳(キリュウ)高校です」

生柳高校はこの地区でもかなり弱い方のチームである。今の呉島野球部にとってはかなり都合の良いチームだ。

「オーダーに関しては4番青浪君以外まったく決めていません。試合までの1週間で決めておきます」

蓮は1カ月間の練習でかなり成長した。打てば快音ならし本塁打を量産、走れば盗塁はほとんど成功、守ればファインプレーを連発していた。成長したのではなく元々のセンスなのかもしれないが…

「よし、今日は連携プレーや実践形式でのノックなどを中心的にやっていくぞ。練習再開!」

結城がキャプテンの様に上手く声を出す。。結城も最初に比べるとかなりキャプテンらしくなってきた。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/04/15 22:30  No. 13    
       
練習試合はついに前日となった。その前日にはオーダーがやっと発表されそれぞれの選手が与えられた仕事をはたそうと今日の練習に挑んでいる。

4番には蒲倉の最初の宣言通り蓮が入りセンター。切り込み隊長にはセカンド涼平、その涼平を次の塁へ繋ぐのはショート葵。3番はファースト結城、5番はサードの井上と経験がある二年生二人。6番は呉島野球部の扇の要、キャッチャー遠海柩。7番レフトに俊足矢部。そして8番には呉島野球部たった一人の女性選手綾瀬。最後に本格派の剛速球投手、大西。部員9人全員が大きな実力を持つと蒲倉は感じこの様なオーダーとなった。


日が落ちてき、キャプテン結城が蒲倉に呼び出されたところでこの日の練習は幕を閉じた。全員が達成感を感じかなり充実した練習がこの日は送れたのである。

「皆さん、明日はかならず勝ちましょう。そして、我々を見下す強豪校達を逆襲していきましょう!」
蒲倉による言葉は部員達の心に弓矢を突き刺した。この一言で今まで勉強を主にしていた部員に目標を作らせたのである。

そして蒲倉は一人の客を招いていた。それは蒲倉の昔からの付き合いであり主に高校野球を専門とする記者、三田村甚太郎(ミタムラ ジンタロウ)。三田村に呉島高校の記事を書いてもらい、世間に呉島野球部を広めようとしていたのだ。もちろん無料ではなく練習試合に勝てば、の話。記事を書いてもらうため蒲倉は選手一人一人に厳しい指導をしていた。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/05/21 18:26  No. 14    
       
試合開始まで30分前となった。
1時間程前に、相手の選手たちがグラウンドに入り、選手達はベンチ前で素振りやキャッチボールなどを行い、試合への準備を着々と進めている。
ピッチャーの大西はベンチ裏で投球練習を行っていた。左腕から放たれる剛速球は補球の時の皮の音でその脅威さを表に出していた。
捕手の遠海はノーコンである大西の剛速球を難なく補球している。これが経験というものだろうか。

「それじゃ、ラスト一球、スライダーで」
大西は遠海に指示を出し、スライダーを宣言した。元々、スライダーなど投げれなかったが少しの間で決め球としても使用できる球になった。
ホームベースの手前で大きく曲がるスライダーは切れ味もよく、遠海は打てるやつは少ない、そう思った。


これで、コントロールもマシになれば…


何度も遠海はそう感じていた。



そして、試合は開始する。
ピッチャー大西は振りかぶり、インコース高めにストレートを投げ込む。

「ストライク!」

審判はそうコールする。相手のバッターは一度打席を離れスイング。
すぐに打席に戻りバッターは次に来る球を待つ。打者は威圧感を感じるが、呉島の選手達はかなり驚いている。

それもそのはず、あのノーコン大西の剛速球がインコースの一番いいところに入ったのだから。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/06/21 11:53  No. 15    
       
だが、良かったのはその一球だけであった。
続く二球目、速球は打者の背中の後に投じられた。
その時から、大西の制球はまったく安定せず3者連続でファアボールでランナーを出しノーアウト満塁の大ピンチを迎えたのである。
そこで、捕手の柩は一度マウンドへ行き大西に声を掛ける。

「大西、速くなくてもいい、とりあえずストライクをいれてくれ」
その言葉から大西は球速を135程から100程まで下げた。
だがそれが影響なのか、大西は打ちこまれ始めた。

何とかスリーアウトにしたが、7点取られ大西のスタミナはほぼ切れてしまった。
「しょうがないですね、ピッチャー交代しましょうか」
だが、呉島に控え選手はいない。そこで蒲倉が指名したのは蓮であった。

「え、俺?」

「君しか、まともな球を投げれる選手がいないんです」

涼平や葵、柩達がいるだろうと蓮は少し反対したが、守備に影響があると良い却下された。

打席に入るのは一番セカンドの涼平。
打席に入るとすぐに投手は球を投じる。

(甘い!)
初球はど真ん中に近いストレート。少し引っ張り打球はライト線に落ちた。
涼平は全力疾走でニ塁ベースまで突っ走る。

「よし、続け葵!」
結城の言葉に押されやる気を出した葵は打席に入るとバットを寝かせバントの構え。

バットにボールが当たると葵は自分も生きようと全力疾走。バントは成功し葵もセーフ。
ノーアウト1塁3塁の大チャンスを作りキャプテン結城を迎えた。
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ロックされています   Re: 都立高校の逆襲  名前:魁斗  日時: 2014/08/23 18:26  No. 16    
       
一回の表が終了した頃、呉島野球部員の大半がこう感じていた。


俺達のレベルは低すぎる。


しかし、一番涼平がいきなりチャンスを作った。
そこから葵のバントでチャンスは広がった。
そして、キャプテン結城京介が打席に立つ。


「一発打ってやれ! 京介!」
ベンチからバットとヘルメットを準備しながら
井上大河は声を出す。
初球、120km/h程のストレートが結城の胸元を通過する。ボール。
二球目、外角いっぱいに円を描きながらボールが吸いこまれる。カーブである。それを結城は振る。
だが、上手く捉えられずファール。
しかし、三球目である。甘い所へボールは来た。

(いけ!)
ボールを打った瞬間、結城だけでなくベンチの部員ほとんど全員がそう言った。
打球は本当に遠くまで飛んでいく。
左中間を破るツーベースヒット。涼平だけでなく
葵もホームまで戻ってきた。2対7。

「よっしゃー!」

結城、井上、蓮、部員全員そう叫んだ。
そして、四番の青浪蓮が打席に入る。
左打席に入り、鉄人金本のようなフォームをしている。
その初球である。とても難しいコースにボールが来た。だが、蓮はバットを振る。
そしてとても気持ちの良い快音が響く。
あっという間に打球はライトの校舎方向へ飛び遠くへ消えた。
ホームランである。
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