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――この状況から脱する術を誰か教えてくれないか? 光輔は教室で両手をついて倒れている。ここまではいい。しかしまずいのはここからだ。 今の俺の姿勢は簡単に言うなら四つん這いだ。なので俺と床との間には多少の間があり、人一人が仰向け、又はうつ伏せで入れるぐらいの隙間もある。 もう分りました? 分かったよな? 分からない? 分かれよな!! ならば簡潔に言おう。俺は今、少女に覆い被さるようにして四つん這いで倒れていて、(ここからは常時変態主人公光輔の妄想です) 少女が涙目で「優しく…してね?」なんて言ってくれる、どこぞのエ○ゲーさながらのシチュエーションと同じ状況に立たされているのである。 しかし覆い被さっている相手が最悪だ。なにせその相手はリア充大地の恋人の飛鳥なのだから。 「早くその腐った体を退けてください、この豚野郎…」 どことなくいつものオラオラ感が感じられないような…。なにやら頬も紅い気もするし…。 「は、早くその体を退けろと言っているでしょう!!」 「お、おい! いきなり動くと…うお!」 飛鳥が急に動いたせいか、俺が早く退かなかったせいか、俺はバランスを崩し完璧に飛鳥に倒れこみ、飛鳥は俺を受けとめようとしたのか、なぜか俺の背中に手をまわして抱きしめる形になっている。 ――今この状況見られたら確実に俺が襲いかかったみたいに見られるんだろうなぁ…。畜生! なんだこの良い匂いは! めちゃくちゃいい匂いじゃねえか!! お前はお前で恥ずかしげに顔を逸らすんじゃねえ!! 不意に背後で何かを落とす音が聞こえた。反射的に顔を向けるとそこには口をぽっかりとあけ、信じられないというような、眼でこちらを見つめている。 「だい…ち…。違うんだ…。これには訳が…」 ここまで言ったところで大地が狂ったように笑い出した。 「違うって何が? この状況のどこをどう見たら違うって言えるんだよ!!!!」 大地はこちらまで大股で近づいてきて俺を飛鳥から引き剥がした。大地は俺を床にたたきつけそのまま馬乗りになり俺を殴り始めた。 俺は特になにも抵抗せずただ当然のように大地の拳を受け止めていた。 大地は相変わらず笑いながら俺を殴り続ける。 飛鳥は泣きながら大地を引き剥がそうとしている。 俺はただ思っていた。 ――俺はとんでもない大馬鹿野郎だ……
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