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まさかの一言で五郎丸は呆然とするが、それにお構いなしに奈々は淡々と話し続けた。 「…だから、正左翼手の大石に、あたしの背番号と交換するの納得させるの大変だったんよ。プロでクリンナップ打ってるすごい外野手が多いって、思いつきで言ったら上手くいったよ〜♪」 あながち言った事は間違ってはないが、聞けば聞くほど素直に納得した大石を哀れむしかない五郎丸の心境だった。 「それで、監督が問題だったんよ!!」 奈々は、お構いなしで不機嫌に監督との約束を話し続ける。 「背番号の条件で、試合で負けたら野球を辞めろだよ、まったく何を考えるかな…あのパパは、あたしのする事に、ちょっかいいれるし…」 「おぃっ…あの監督ってお前の親父か!?」 五郎丸は、約束よりも監督と奈々を親子とは知らず慌てふためいた。 「え、言ってなかったっけ?五郎丸はチームに入って長いから知ってると思ってた。」 確かに、奈々と監督の名字は同じだったが、練習や試合の時ですら、親子らしいやり取りはあんまり感じなかったと五郎丸は振り返った。 「あれで、普段は親バカでベタベタしてくるから困るのよねぇ〜。」 奈々は、怪訝な顔で監督改め父親の事を語った。 そして、ハァーとため息をついた。 「五郎丸、あんたがちゃんとリードしないから汗でベタベタだし、頭グリグリするから髪型崩れちゃっでしょ!!」 そんなこんな好き勝手な発言をする奈々だが、この後に五郎丸のグリグリが待っているのは言うまでもなかった。 「あぎゃぁぁ〜〜○×っ△◆〜っ!!」 日の暮れ始めた河川敷に、今日は二度目の奇声が響き渡った。 こうして、奈々のクローザー8試合連続の成功と背番号7を勝ち取ったのであった。
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