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―1月1日― 今日は新年最初の日。一年の計は元旦にありと言うわけで様々な思いを胸に神社へと向かうこの一本道は着物で着飾った他人でごった返していた。都心にしては珍しく前日から雪が降り続き、道路脇には土埃と交じり汚れてしまったそれが片されていたものの今日のこの様子だと徒労におわりそうだ。天気予報によるとこの日も冷え込むそうではあるが、神社に集まった人々の表情からはそんなことへの不満は微塵も感じられず晴れやかであった。いや、中には何か重要な願掛けをするのか少々硬い表情をしている人物もチラホラ見えている。そんな集団のなかにあるグループがあった。男3人、女1人の計4人。年の頃は十代半ばと言ったところか。 「うへぇ、やっぱり人が凄いな。」 4人の中でもどことなく幼さの残る顔をした一人がうんざりしたような表情でつぶやいた。 「そう言うなって。そもそも、初詣に行こうって言ったのは省吾だろ?」 「そりゃ、そうだげどよ。」 呟きを聞いた集団の中で一番の長身の少年が、省吾と呼ばれた少年をたしなめるように話した。4人で待ち合わせし出発してかれこれ2時間は経っており、これならば家に残って受験勉強の続きをすれば良かったとちょっとだけ後悔した。とは言え、言い出しっぺというのは事実でありここまで来て引き返すのも何か癪に障る。 「・・・そう言えば淳平。寮にはいつ頃入るんだ?」 「卒業式が終わって2,3日してからかな。でも、揃えないといけない物もあるしな。」 「わ、結構ドタバタじゃない。」 4人とも同じ中学3年生で受験があるものの、このうち淳平ともう一人は推薦入学で既に進路が決まっており、紅一点の少女は志望校の合格ラインには楽に届いている。つまりはこの中で進路が危ういのは省吾ただ一人。 「大輔! 淳平! 舞! お前ら、俺の合格祈願まともにする気あるのかよ!?」 省吾は切羽詰まっている自分を後目に悠々綽綽と話している他の3人に涙混じりに怒鳴りつけた。物心付いてから一緒にいる4人、うれしい時も悲しい時も4人で分かち合ってきた。だがしかし、幼馴染3人の答えは――― 「無ぇな。」 「無いな。」 「無いわね。」 心無いものだった。
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