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正は,黙って,うん,うん,とうなずいて話を聞くのみ。吉良の話は続く。 「ところで,正。俺がどちらかの仕事に専念すべきであれば,どちらがいいと思う? ……,勿論,俺はどちらもやめたくない。しかし……,不正をやるのはとても,とてもつらくもあった。それで,秀行にも,お前にも,死んだ母さんにも,今まで悲しい思いをさせてしまったな……,本当にすまん!」 吉良は頭を下げた。 「父さん……」 正の心に突き刺さる。正はもの心がついたころから,内心,父の事を哀れに思っていた。嫌悪の気持ちも正直あったが,それを押し殺していた。けれども,目の前にいる父のこの姿は,今まで見たことがない。家族に頭を下げる父など……。 正は,少し目をつむり,黙考。そして……。 「父さん……」 「何だ?」 目の前の吉良は,頭を上げる。正は続ける。 「僕は,父さんのその言葉を聞いただけでも,とても嬉しいよ……」 正の目には,うっすらと涙が。続ける。 「父さん,確かに不正はやってはいけないことだよ。でも,お父さんは,僕と兄さんのために,決めようとしているんだね。……,仕事はどちらかに専念すべきだよ。土建屋でも,役場の仕事でも,どっちでもいいんじゃない? もし万が一,お父さんの仕事が行き詰まってきたら,その分,いや,何倍も僕と兄さんが稼いでみせるさ。だって,僕と兄さんは……,プロ野球選手になったんだもの!」 向かいの吉良の目も,潤み始めている。正は腕で,涙を拭う。吉良も。 「だから……」 と,言いかけたその時。 「ありがとう……!」 吉良の声は,ふるふる,震えていた。嗚咽(おえつ)も混じって。 「いいんだよ,お父さん。あと,たぶんだけど。兄さんも,内心,お父さんのことを心配していると思うよ。ずっと前からね。僕は分かるんだよ。何年も兄さんの捕手をやっているからね……」 以降の話は割愛させていただく。ただし,これだけは言える。初めて,晩餐がこんなにも温かくなったのだ。数日後,ロードワーク中に,正は秀行にそのことを明かす。秀行の大変安堵した表情が,正の心に刻まれたのだった。
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