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「横井さんは今がどういう時期か分かってるの?」 「――はい」 絵画コンクールに向けて、絵を描く上での最初のターニングポイントだ。 ここをきっちり越えられるかどうかが作品の肝になる。 答えは、分かってしまっていた。だからこそ、何も答えることが出来ない。 「今度は受験生の担任ですか。残念ながらまだ2年生なんですけど?」 また、香奈ちゃんが言った。どんどん言葉がきつくなってる。 「あなたは黙ってなさい!」 普段の永井先輩からは想像もつかないような声だ。あの香奈ちゃんが黙り込んでしまった。 「どうなの?」 永井先輩の目は私をまっすぐとらえて離さない。 「すみません」 目をそらして答えた。よれよれになった黒い靴がそこにある。私は、この靴と同じで惨めだ。 「もう一度言うわね。謝って欲しいわけじゃないわ」 また言ってしまいそうになるのを必死になってこらえる。 「横井さん、あなたはこれでいいと思ってるの? どうしようか考えてるの?」 美術部はやめたい。でも、やめたくない。 絵は描きたい。でも描けない。 「答えられないのね」 永井先輩は大きなため息をつくと、肩にかけた鞄に手をやった。ファスナーをあけて何かを取り出した。 二つ折りの紙だ。 「私はもっとあなたに頑張って欲しかったけれど、仕方ないわね」 よく考えなさい、と私に差し出した。 ――紙には『退部届け』の文字が書かれている。 香奈ちゃんがのぞき込んできて、声にならない声をあげるように息を吸ってから、永井先輩に向かった。 「ちょっとこれ、どういうことですか! 雫がなんでやめなきゃならないんですか! 雫はすっごい絵がうまいんだから!」 香奈ちゃんがどなった。 仕事帰りのサラリーマンがちらほらこちらに視線を寄せているのを感じる。 「絵がうまいことと作品の良し悪しは関係ないのよ。完成に至るまでに、何を思い、何を感じ、何を残そうとしたか、なのよ。 美術館で『変な絵!」って言いだしそうなあなたみたいな子には分からないでしょうね」 「そんなものが分かって何の意味があるんですか!」 私は食い下がる香奈ちゃんの腕を引いた。 「香奈ちゃん、もういいの。ありがとう」 雫! と言った香奈ちゃんを抑えるようにして、私は永井先輩に頭を下げた。 「ごめんね」 私は、その場から逃げた。前が見えないのは涙のせいだ。
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