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息が切れていた。口はからからなのに、なんだかしょっぱい。 汗が口に入ったのだろうか。それとも、涙だろうか。きっと両方だろうと思う。 どうして何も言えなかったんだろう。 どうして逃げ出してしまったんだろう。 辞めたくないです、でも絵は描けません、なんて言えるはずはなかった。 気がつけば、私は家の前に立っていた。ふるえるひざを抑えて、息を整えた。 ドアをあけようとして、ぴた、と手が止まった。遅くなると連絡するのを忘れていた、と思い出しだからだ。 お母さんは何とかなるとしても、お父さんはこういうことにはうるさい。 いつもならこの時間はお風呂からあがって、ビールでも飲んでいるはずだ。 玄関を開けたらそこに立っている、なんてことだったらどうしよう。 いつも「俺も若いときは――」なんて言いながら、こういうときにかぎって手の平を返したりする。 大人って、卑怯だ。 おそるおそるノブに手をかける。『カチャ』の音に必要以上に敏感になってしまう。 あけたとたんに、人影が見えた。とにかく頭を下げる。 「遅くなってごめんなさい! 連絡も忘れてごめんなさい!」 あんまり怒らないでください。今日の私は、耐えられません。 「何してんの? 姉ちゃん」 こいつか、とほっとしたのもつかの間で、こいつもこいつで面倒くさいなと思った。 「何でもない。お母さんは? あと、お父さんも」 「母さんはドラマ見てる。父さんは――」 誠二は最後を言いかけて、リビングの方を見た。 「カンカンだよ」 やっぱり、とため息をついてしまう。 「どうすんだよ。こんな時間にってことはついに彼氏の一人でも出来たの? それはそれでやばいだろうけど」 もちろんいるはずもない。でも、こいつに向かって堂々といません、と言うのも、ちょっと悔しい。 「その様子じゃまだみたいだな。んじゃ、ちょっとは父さんもマシなんじゃね?」 そうだった。今はそんなことよりもお父さんだ。 どうしよう、とあせっていると、誠二が笑い出した。どういうこと? 「嘘だよ。今日は残業だって。あー姉ちゃんのあせりよう。おもしれー」 バカ! と殴りつけてやる。 「悪かったって。なんならお詫びに男でも紹介してやろうか?」 「そんな気分じゃないの」 扉の向こうのお母さんに、心の中でそっと、ごめんね、と謝って、階段をのぼった。
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