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ごめんね、と香奈ちゃんが言った。謝る必要なんてない。 それから、香奈ちゃんはよくしゃべった。さすがに自他共に認める盛り上げ担当だな、って思う。 私に気を使ってくれているのかときどき話題を選んでいるように見えた。 「ごちそうさま!」 香奈ちゃんは手を合わせると、水筒のお茶を口に含んだ。ふたを戻しながら向かいの私のお弁当をのぞきこむ。 「これおいしそー! もーらいっ!」 ニュッとはしが伸びて、コロッケが香奈ちゃんの口に吸い込まれた。 本当においそうに食べてて、なんだか嬉しくなってくる。 「なに笑ってるのよお。って、雫、全然食べてないじゃん!」 「食欲でなくって」 私は、はしをケースにしまった。 「やっぱり、きついよね。雫、最近ずっとぼーっとしてるから」 お茶を水筒のふたに注ぎながら、香奈ちゃんが言った。 「そんな風に見える?」 「見えるよ。気力を失いましたって感じで、ウチの話も全然聞いてなかったし。ホントに大丈夫?」 涙ぐみそうになって、慌てて袖で目をぬぐった。 「大丈夫だと思う」 つくろうように、答えた。嫌な沈黙が続いた。そう思っていたのは、私だけかもしれないけれど。 予鈴がなって、周りの子たちがぞろぞろ戻りはじめたとき、香奈ちゃんが意を決したように言った。 「コンクールの絵を描いたあとって、どうなるの?」 「どうって、選考があって、もし受賞なんかしちゃったら、どこか会場に飾られたり」 「ああ、そういうことじゃなくって、絵を描いたら、どうなれるの? 何になれるの?」 「いろいろある――よ」 「コンクールの絵を描いたからなれるわけじゃないよね? 美術部だから、なれるわけじゃないよね?」 そう言われたら、そうだね、と答えるしかなかった。 美大に行こうと思っても、学校の勉強はもちろん出来ないといけないし、専門技術は学校では身につかない。 「だったら」 香奈ちゃんは、私の目を見た。 「美術部辞めても、問題ないよね? 前に話してたとき、辞めたがってるように感じたし」 「それは」 「ウチ考えたの。でね、すっごい良いこと、思いついたんだ! 驚かないでね?」 香奈ちゃんの重心が前に来ているのが分かった。言いたくて仕方ないって顔をしてる。 「なによお」 「野球部のマネージャーになっちゃいなよ!」 たぶん、私はカバみたいな口になってるんじゃないだろうか。
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