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深呼吸した。ひざが、手が、震えてる。 手の平に『人』と書いて飲み込んだ。のどを通って胃を抜けて、おなかの底で波紋が広がるように浸透していく。 美術室のドアに手をかけた。 お母さんは、私を怒りはしなかった。 嘘ついててごめんなさい、と謝ったら、話してくれたから許す、と言ってくれた。 そして、次にやりたいことを頑張りなさい、と応援してくれた。 香奈ちゃんは、ここに来る前に、小指を立てて、手を差し出した。 「ファイト」 そう言って、ニコッと笑って送り出してくれた。 私、逃げるためかもしれないけれど、頑張ってみる。 ドアを開けると、中からふわっと風を浴びた。潮のにおいと、油のにおいが鼻に来る。 えづきそうになるのをこらえて、一歩足を踏み入れた。 目の前には、絵を描いている永井先輩がいる。退部届けをぐっと握り締めて、私は必死に歩を進めた。 「永井部長」 声をかけると、永井先輩は絵筆を置いて、こちらを見た。切れ長の視線が痛い。怖い。 「ご迷惑を、おかけしました」 退部届けを、差し出す。永井先輩は、驚くほどあっさりと、退部届けを受け取った。 「そう。本当に、持ってくるなんてね」 永井先輩がため息をついた。 「あなたにとって、絵は、その程度のものだったってことね」 分かりました、と言って、永井先輩は、またキャンパスに向かった。 外から、野球部の声が聞こえる。練習が始まったみたいだ。 「失礼しました」 頭を下げてから、きびすを返す。 「あなたには、期待していたのに。残念だわ」 すみません、とも何も言わずに、私は美術室をあとにした。 「お疲れ」 美術室を出てドアを閉めると、香奈ちゃんがいた。いつものジャージ姿だ。 香奈ちゃあん、と胸に飛び込む。 「雫、頑張ったねー。よしよし」 香奈ちゃんが私の頭をなでた。私はまた、泣いてしまう。 好きだったものを捨てる悲しさと、今好きなものに近付ける嬉しさと、入り混じった涙。 「歓迎するよ。野球部に」 私はこれから、新しい道に飛び込むんだ。
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