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以上の論考は、健太とルイが議論を重ねたうえで確立されたものであった。その過程で、同じ投手としてかつては劣等感と敵対心の源であったルイを、ためらいなく親友と呼べるだけの経験と適応とを健太は得ていた。故に健太は忌憚なく意見を口にすることができる。ルイの「手抜き」が怠慢からくるのでないにせよ、チームの勝利を少なからず危険にさらす以上、健太に言わせればそれは単なる悪癖である。 後続を抑えてベンチへと帰ってくる友の顔に明らかな不満を認め、健太はついにニヤリと笑みを浮かべた。 「おい、あれは読み打ちなんじゃねぇの」 「それならまだ救われる」 座ってタオルで顔の汗をぬぐい、差し出されたコップを受け取ってルイはそう言った。 「四番にまで抜いて放ったろ?これでちっとは懲りるといいんだ」 「おかげで思い出した,四番のあいつ。梶間。シニアの時のあいつ知ってんよ。公立の四番なんかやってるけど、ちょっとすげえんだ、あいつは」 ルイが同世代の人間をそのように評するのを聞いたのは初めてだった。健太は少なからず驚きを覚えた。 「お前より?」 驚きに連れ添って遠慮がちに顔を見せた嫉妬をあわてて隠すように、健太は茶化そうとした。 「まさか。二世紀はやい」 健太が友の高慢に満足を抱いたちょうどそのとき、強い風が吹いて、炎天下の球場に今朝の涼しさがしばし舞い戻った。珍しく先制された状況にあって、しかし、ベンチに焦りはなかった。ただ、健太は親友のしぐさに似合わない懸念を認めた。 「初回一巡目で先制されるなんて。成田さまには久しくないご経験でしょうか」 場違いな気休めがルイの無言の思索を遮断する。 「あの一番にしろ梶間にしろ、配球読んで打ったんなら、どうとでもなる。むしろ問題は向こうのピッチャーだろ。下手するとあれは相当厄介かもしれない」 それを聞いて、健太の口が嘲笑で歪んだ。 「やけに評価が高いな。自分が三振したからか」 意地の悪い言葉は行き先を隠されて宙に漂い、ルイの視線がその合間を縫ってマウンドに戻った里見廉に注がれた。 ルイのその後の人生において、里見廉との邂逅は重大な意味をもつものとなった。今後も決して真似できないと確信できる投球技術を目の当たりにすること、ルイにとってそれは初の経験だったのである。
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