Re: ショートショート、はじめました。 名前:ナナシ 日時: 2013/02/19 21:59 修正2回 No. 2
|
|
とりあえずスレッド主として先陣を切らせていただきます。。。
―――――
“おはなし”
ユウジはコーヒーをゆっくりすすった。渋い苦みが口の中を伝って、喉元へと一気に流れ込む。ファミレスのドリンクバーのものだが、それなりに味が深い。あっという間に頭が刺激されて、溜まった倦怠感を吹き飛ばした。そして目線をコーヒーカップから彼女へと向き直す。相変わらず口元をせわしく上下させていた。 「それでね、この後めっちゃ驚いたんだ」 つまらない。口や態度には出さないが、ユウジはイライラしていた。昨日見た夢の話をしているのだが、中々結末を言ってくれない。 まるでバラエティ番組みたいだ。終わり際にコマーシャルばかりを詰め込んで、視聴者をもてあそぶようにじらす。第一自分がそんなものに興味を示さないと分かってるはずなのに、どうしてこんなに話していられるのだろう。鬱陶しい。それでいて退屈。ふーんと言葉を漏らして、ユウジは小さく相槌を打った。 「死んだはずのお父さんが私の所にやってきたんだよ」 へぇ。そりゃすごい話だね。言葉とは裏腹に、そっけなく平坦なトーンで切り返す。そしてコーヒーを一口。苦みがもう一度広まっていく。飲みきった後、乾いた笑みで彼女に応える。もういいだろう。満足頂けただろう? もはや彼女に対する付き合いも、社交辞令のような感じで過ぎている気がする。
|
|