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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります  ファイターの小説  名前: パワプロファイター  日時: 2012/06/23 06:37    
      
 皆さんに私から、重大な告知をしなければなりません。ついに私は決意しました。私が自分の家の印刷機で紙に刷っていた小説の第1章から第9章までを、可能な限り毎日、このズダダンに発表したいと思います!このパワプロファイターこと「タカハシユウジ」が! この小説、その名も「イーグルスの星」!
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/09 15:02 修正2回 No. 97    
       
 三田は、複雑な気持ちになった。真上秀行に勝ちたい。そのためには、とにかく、目の前の打者たちに向かっていかなければならない。当然、岩村も抑えなければならない。三田はの心は揺らいでいた。そんな気持ちが、心の底からジワリとにじみ出る三田吉男。だから、投げるのを躊躇してしまった。と、その時である。運河が叫んだ。
「おい、三田! 何をぐずぐずしているんだ!」
 その言葉に、はっと我に返った。咄嗟に運河のサインを確認する。「降臨」を要求していた。一気に仕留める気だ。スタミナがどうこうの問題ではなかった。三田はゆっくりと、かみしめるように、うなずいた。

 岩村さん、すみません!

 そう小声でつぶやいた。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/09 15:04  No. 98    
       
 たったの三球で仕留めてしまった。岩村は、三回ともフルスイングしたが、全盛期の面影はどこにもなかった。何か、波打っているようなスイング。バットを片手に持ちながらトボトボとベンチに帰って行く。三田は彼の背中を見ながら、心が濃い青色に染まるような、何とも言いようがない悲壮な気持ちになった。
 岩村はベンチに無言のまま座った。じっと目を閉じている。白組ナインは一瞬のうちに暗くなった。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/09 15:06 修正2回 No. 99    
       
 神保貴宏は見事な送りバントを決めて、二死、三塁の場面で、秀行の打順になった。秀行は、気合を入れて打席に向かっていく。
「秀行くん、がんばるでありんす!」
「ヒットを打ってよ〜」
 藤原と原田の声援を背中に受けて、打席に立ち、構えた。秀行は、三田に対して自身ありげの表情を浮かべた。三田は、鋭い眼光を放った。双方に火花が走った。

 ……、スリーボール、ツーストライクまで勝負が進んだ。秀行は、「あのボール」に狙いを絞っていた。
 しかし、三田はそろそろ、「アノ球」を投げようとしていた。運河もそのつもりでサインを出した。三田は勝利を確信したような表情を浮かべた。
 三田は渾身の力を振り絞り、投げつけた。その刹那、秀行は、いや、みんなが意表を突かれた。それは大きく高めに外れたクソボールの様に見えた。秀行は一瞬信じられないような顔をした。
 しかし、その「クソボール」は、急激に落下し始めた。秀行は慌ててバットを出した。が、ボールはバットの下を掠めていった。三田の「第二の魔球」である。その名も「雷神」。打者の手元で、大きく急落下する特殊なフォークである。秀行は、あえなく空振り三振に倒れた。三田は不敵な笑みを浮かべてゆっくりとマウンドから降りて行った。秀行は、驚愕と脅威を感じたような目つきで彼を見るのであった。
「そんな……。もう一つあったなんて……」
 白組はまたもや好機を逃した。岩村はその一部始終を見て、ゆっくりと三塁に向かっていった。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/09 15:09  No. 100    
       
 第十一章は終わり。ご愛読ありがとうございました!
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/30 21:16 修正1回 No. 101    
       
 第十二章

 三田はベンチに戻ると、嫌名から祝福された。
「ようよう! 三田ぁ。秀ボウズをけちょんけちょんにやっつけちゃってよぉ、やるじゃねぇか! スカッとしたぜ!」
 三田はそんな嫌名に対して、「どうも」とさりげなく言葉少なげに返した。嫌名は「本当にお前、カッコいいじゃあねえか!」と嫌名はニヤニヤしながら肩をポンポン叩いた。しかし、三田は違和感を感じていた。

 手がガタガタしてるな……。

 一方の秀行は、さらに闘志を燃やしながらマウンドへ向かっていた。その直前に、藤原から「三田さんのフォーク、凄かったでありんすねぇ。ビックリしたでありんす!」と、声をかけられた。そんな彼に秀行は、語気を強めてこう返した。

 確かに見事なもんだ……。
 
 秀行は、マウンドに登ると、打席に入った七番の西田哲朗を睨みつけた。壮大な決心を抱きながら。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/30 21:18 修正1回 No. 102    
       
 西田は、走攻守三拍子そろった好打者であり、将来を嘱望されている。
「さぁ、何を投げようか……」
 秀行はつぶやく。
 秀行の持ち球は、全部で十二種類ある。スライダー、切れ味抜群のカットボール、伝家の宝刀高速カーブに、サークルチェンジ、パーム、フォーク、シンカー、高速シンカー、シュート、ツーシーム、ムービングファースト、そして、ノビ抜群の直球。これだけ多くの球種があるので、ふつうの投手ならばうらやましい。しかも、何を投げるか迷ってしまい、ウイニングショットを決めることができなくなることが多い。しかし、秀行の場合は違うのだ。精密なコントロールに加えて高速カーブとカットボールが最大の武器になる。少し考えた後、秀行は決めた。シュートのサインである。そうすれば胸元をえぐれるからだ。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/30 21:21 修正1回 No. 103    
       
 河田は従った。秀行は、大きく振りかぶってしなやかな腕の振りで投げた。しかし、西田はたまたままヤマを張っていた。乾いた打球音が響いた。彼の鋭いスイングでうち放たれた打球は、瞬く間にレフトポールに直撃。本塁打になった。秀行は、試合前に報道陣に向かって言い放った「公約」を裏切ってしまい、ガックリとうなだれた。雪ははっと思い、すぐさまマウンドへ駆け寄る。
「秀行く〜ん、落ち込まないで〜。ワタシあなたの暗い顔みたくないわ〜」
 秀行は、そんな雪に対して「すみません、ユキちゃん……」と、弱い口調で返すのみであった。
「秀行く〜ん、元気出して〜! お願いよ〜」
 雪は懇願するが、やはり切り替えは難しい。そこへ、岩尾がやってきた。
「む〜ん。真上君、どうしたのかな〜。どうしたのかなぁ〜」
 秀行はキョトンとしてしまった。
「岩尾君……?」
 岩尾は続けた。
「真上君、ただ一点失っただけ。また、今までの様に、三人を切ればいいだけ。一点じゃ、まだ試合の主導権は握られたとは言えない。公約にがんじがらめになってはダメ〜」
 秀行はハッとした。三回一失点でも立派なものなのだ。後続を打ち取ればいい。まだ、三田には負けたことにはならない。
さらに岩尾は続ける。
「しかも〜、三田さんの手がガタガタ。これは、かなり握力消耗してる〜」
 雪は驚いた。
「えぇ! 岩尾君、そんなことまで観察してるの〜!? うそーん、ワタシ信じられな〜い!」
 秀行は、再び、そうかと思った。三田のスタミナがかなり消耗しているのだ。一方の秀行はまだ余裕がある。秀行は、ぽろっといった。
「この勝負……、勝てる……。ありがとう、岩尾君!」
「む〜ん。分かればいいよ〜」
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/30 21:23 修正1回 No. 104    
       
 岩尾はゆっくりと走りながら、戻って行った。雪も「ヨカッタ! 頑張ってね!」と声をかけて、ファーストに戻って行った。秀行の心に再びエンジンがかかった。八番の運河無志太郎に相対する。全力で高速カーブを三連投した。打てない捕手の運河はあえなく三球三振。
「うっし!」
 秀行は小気味よくガッツポーズ。一部始終を見ていた三田は、「俺がいい場面を作ってやる!」と、手の甲をぽきぽき鳴らしながら打席に入って行った。秀行対三田の一打席勝負が始まった。
 右打席の三田は、並々ならぬ気持ちで睨みつけた。秀行は、彼に言い放つ。
「わるいけど、全力で行かせてもらうぜ!」
 三田も言い返す。
「俺がお前を打ち崩して見せる!」
 秀行は内角高めに全力ストレートを投げ込んだ。三田はそれを待っていた。が……、バットを握る手がガタガタだった。

 ガキンッ!

 鈍い打球音だった。ボテボテのショートゴロだ。三田は必死に一塁へ駆けていく。しかし、岩尾は難なくグラブに収め、一塁に送球。三田吉男を打ち取ったり。秀行は吠えた。木本はうんとうなずいて、拍手。一番の嫌名に対しては、全球カットボールでバットをへし折って見せた。

 真上秀行、マウンド上で輝いていた。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/08/30 21:27  No. 105    
       
 第十二章はこれで終わり。ありがとうございました!
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/15 20:10 修正5回 No. 106    
       
第十三章

三回の裏、白組の攻撃。マウンドに向かう三田吉男の体力は最早限界の域に達していた。ただでさえ、「降臨」を連投し、「雷神」まで投げてしまったのだから、握力はすでに尽きていた。しかもだ。先ほどバットを握ったのだからなおさらである。三田はつぶやいた。
「もう俺は限界だ……。でも、頑張らなければならないな……」
 しかし、言葉には力がない。右手はガタガタと震えていた。白組は打順が一巡していた。岩尾結が打席に入っている。相変わらず緊張感のない、のんべんだらりんとした表情をしている彼である。しかし、妙な威圧感を発している岩尾が怖くてたまらない。三田は心身ともに疲れて体がふらふらしていた。まともに運河とサイン交換ができていない。運河はそんな彼に心底気をもんでいた。しかも、だんだんじれったくなり、彼はついにしびれを切らした。


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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/15 20:24 修正2回 No. 107    
       
 バシィーン! と大きな乾いた音が響いた。運河が思い切って拳をミットに叩きつけたのだ。三田はハッと我に返らざるを得なかった。一八・四四メートル先にいる女房役を見つめる。鋭い眼光だった。運河が「何をやっているんだ、何を!」と自分に訴えかけてくるのがひしひしと伝わってくる。
 運河のサインを確認する。「直球」とだけ、要求していた。コースは指定されていない。ストライクさえ入ればいいということだ。三田はつぶやいた。

 もうどうにでもなれっ!
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/15 20:27  No. 108    
       
力いっぱい腕を振った。しかし、案の定だった。打球は右中間に向かって鋭く放たれた。乾いた、三田にとって苦しいほどに「痛快」な音とともに。岩尾は足が速い。外野が捕球をもたもたしているさなかに悠々と三塁に向かっていった。ようやく送球が帰ってきたころにはもう、セーフだった。三田は放心するしかなかった。それをしり目に、藤田一也がゆっくりと打席に入ってくる。
運河はその場で大きな声を出して彼を励ますが三田にとってその声は「彼方」であった。しかし、運河はあきらめていなかった。こうなったら一か八かだ……! と。
 もう直球はあてにならないのは自明の理である。運河は落ちる球に賭けようと思った。しかし、三田の握力は限界である。でも、背に腹はかえられないのだ。運河は「降臨」を要求した。
すると、そのサインを見た途端に三田の目が輝き始めたのだ。まるで運河の思いが通じたかのように。彼はかみしめるように首を縦に振り、セットポジションから思いっきりしなるように投げつけた。すると、その刹那、岩尾がスタートを切った。ヒットエンドランを仕掛けるつもりだ。だが、いくら藤田が巧打者といえども、降臨には歯が立たなかった。鈍い音がした。ピッチャーゴロだ。岩尾は俊足を飛ばし、気にせず本塁へ突進してくる。三田は急いで捕球すると、必死の思いでトスをした。運河と岩尾が交錯する。結果は……、アウトだった。そして運河は迅速な判断で一塁へ送球。藤田は全力で疾走していた。これまたギリギリの判定だ。塁審は思わず大きな声で連呼した。
「セーフ! セーフ!」
 しかし、無死三塁のピンチが一死一塁に状況が変わった。運河は拳を握り、三田は思わず大きく声を上げた。一部始終を見ていた者たちは、おおっ! と声を荒げたのであった。三番の中島には雷神を連投させ、空振り三振に切って取り、四番の雪に回ってきた。二死一塁。三田は心の中で、自分に言い聞かせた。

 俺は……、勝って見せるんだ!
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/15 20:30  No. 109    
       
一方の雪は,極度に緊張しながら打席へ向かおうとしていた。巨体がぶるぶる震えている。
「どうしよう〜。ワタシが打たなきゃ秀行くんが負けちゃう〜」
 しかし、そんな彼に救いの手が差し伸べられた。秀行が、声をかけてくれたのだ。
「ユキちゃん、俺の勝ち負けはどうでもいいんです。ただ、気持ちだけでは三田に負けないでください! 俺は、数字で負けてもハートでは負けたと思っていないんだ!」
 雪は心を動かされた。うん、頑張る! ホームランを打つわ! そういうと、打席で力強く構えた。
三田は、渾身の力で降臨を投げつけてきた。雪は無我夢中でバットを振った。しかし……。

 ストライーク! アウト!

 あえなく、空振り三振に終わった。三田は大きく高笑いしながら、悠々とマウンドから降りるさなか、雪は悔し涙を浮かべながらバッターボックスを後にした。秀行は厳しい表情を浮かべ、ベンチから粛粛とさがっていった。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/15 20:33  No. 110    
       
翌日のことである。秀行はシート打撃に登板していた。怪我で二軍調整を命じられた草野と銀次を相手に、昨日の疲れなど感じさせない快投を見せていた。次の打者が向かってくる。
「ウッス! 岩村さん」
 秀行は彼にそう挨拶すると、岩村も軽く返した。
「おうっ! 宜しくな! お前の球を打ってみたかったんだ」
 秀行は初球に動く球、ツーシームを投げた。岩村はそれを打ち返す。乾いた音を発した打球はセンター方向にライナーで飛んで行った。

 今日の岩村さん、スイングが鋭い。昨日とは違うな。

 秀行はそう思いながら、彼に合計三五球を投げた。岩村はヒット性の打球をそこそこ飛ばしたものの、さく越えはゼロだった。そういう意味では衰えの証拠である。視察に来た星野監督は、終始妙な寂しさを覚えたのだった。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/15 20:35  No. 111    
       
 これで第十三章は終わりです。ありがとうございました。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/23 18:13 修正2回 No. 112    
       
第十四章 前篇

 昨日の一軍の紅白戦の方は、二軍以上にハラハラドキドキな展開だった。紅組先発のダックワースは立ち上がり二人を簡単に抑えたと思ったら、三番の鉄平に単打を打たれたのを皮切りに四番のガルシアを歩かせ、五番に入った川又宗助に豪快なセンターバックスクリーン弾を打たれてしまった。一方の白組先発の永井はコントロールが安定しない。一番〜三番を四球で立て続けに塁に出すと、四番の牧田に三点タイムリーヒットを打たれるなど初回に六失点という、こちらも仕上がりの悪い内容。結果は六回規定で十三対十二と紅組の勝利に終わったが、投手陣をいかに仕上げるかが今後の課題となった。この件に関して星野監督は、「何やってるんだ、ウチのピッチャー共は!」
しかし、華々しいデビューを飾った川又は報道陣に大きく絶賛された。「未来の四番、現わる!」日刊スポーツでは秀行と三田の勝負の結果よりもこの記事が大きく扱われた。練習が終わった後で、秀行はこの川又の記事に目を通すや否や、「これはこれは……」と複雑な様子。

 叩かれずに済んだけど……。

 そう小声でつぶやいた。 
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/23 18:15  No. 113    
       
ちなみにこの日の大手各スポーツ新聞一面記事の見出しはこのような感じであった。

 スポーツ報知 「横田、さく越え二十五本!」 

 日刊スポーツ 「川又、未来の四番!」

 デイリースポーツ 「なでしこジャパン、フランス下す!」

 サンケイスポーツ 「ザックジャパン、本田2ゴール!」

 スポーツニッポン 「宮里藍、首位に立つ!」

 中日スポーツ 「高橋周平、強烈弾!」

 東スポ 「巨人、松坂狩りへ」
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/23 18:17  No. 114    
       
 藤原が秀行に話しかけてきた。
「川又さん、凄いでありんすねぇ〜」
 それに原田が相槌を打った。
「まさにバリバリだよ〜」
「そうだよな〜」
 秀行は適当に返した。三人は秀行の部屋でたわいもない会話をしているところだ。と、そこへ、ノックが響いてきた。

 おーい! 

 おやっさんである。

 秀行は「どうぞ〜」と言いながらドアを開けた。すると、高崎はまた大きな箱を持ってきていた。
「なんすか? これ」
 秀行はキョトンをした。
「いやぁなに! これ貰っとくれ。紅白戦で活躍した褒美じゃ!」
 秀行は恐縮しながら受け取ると、高崎は機嫌よく去って行った。
 三人は、興味を抱きながら包装紙をとってみると、「おおお!」と大きな声を上げた。仙台名物「萩の月」だ。実は高崎は生粋の「仙台人」である。秀行たちは分け合って食べることに。しかし、秀行はそんな気持ちにはなれなかった。

 気を使われているな。俺……。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/23 18:20  No. 115    
       
 スポーツ新聞各紙には秀行の「公約破り」は載せられなかった。スター秀行の気持ちを察してのことである。しかし、秀行は自分が「部落民」であるということで変に気を使われたのではないか? と無駄に心配してしまったのだ。その気持ちは、そのような身分である彼にとって強く突き刺さる。部落=同和。部落民であるがゆえに「特別扱い」される身。ある意味で「特権階級」である。彼らの中にはその権利にあぐらをかくものも多い。秀行の父もその一人だ。秀行はだんだんと食欲がなくなっていくのだった。藤原と原田はそんな彼をただ心配そうに見つめるしかできなかった。
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返信記事数が276件。300件を超えると書き込みができなくなります   Re: ファイターの小説  名前:パワプロファイター  日時: 2012/09/23 18:21  No. 116    
       
 これで前篇は終わりです。後編に続きます。ありがとうございました。
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