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夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2013/06/30 21:11
さて夢色高校なのですが、久々の更新となるとどう構成していたのかもわからなくなってきましたので最初から書き始めることにしました。
文章力やストーリーの構成など様々なことで至らぬところや、途中で前の夢色高校をやめてしまったことなど申し訳ないところが多いのですが、申し訳ありません
では前回とは少し違った夢色高校をお送りいたしますのでよろしくお願いします。
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Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2013/10/28 17:28
No. 17
プレイボール!
審判の一声でゲームが始まる
先攻は夢色高校で、高校があかつき大付属となっている
一番の草木が左打席に入り審判に一礼をする、そして足場をならしゆったりと構えをとり相手投手をにらみつける
しかしそれに動じることなくサインにうなずいているのが、マスコミなどで騒がれている猪狩 守だ
はたしてどんなピッチングをするのかと夢高ナインは睨みつけるように猪狩をみていた
サインにうなずいた猪狩はゆっくりと息をはきモーションに入る
初球は外のストレート、ギリギリいっぱいのストライクだった
草木は少し目を細める、どうやら少し遠くに感じたらしい…しかし審判は絶対、これで草木は外のくさい球にはすべて手を出すことを余儀なくされた
(ちょっと遠いね…集中集中)
草木は頭の中で淡々と考えていく
先頭打者の仕事といえば出塁はもちろんのこと、初めて対戦する投手の持ち球、球速、コントロールの良さなど様々なことを見なければならない
ただ打席に入って振ってあたって出塁することなんて誰にだってできることだ、つまり一番打者に入っているということはこれらができて当たり前なのだ
猪狩は自信満々の見下した表情を見せ次の球を投げる
「おっとっと…」
草木の肩口からえぐれるようなカーブ、一瞬だがのけぞってしまい手を出せるような態勢ではなかった
カウントはツーストライク
三球目はベースからボール三個分外のボール球、しかし草木は踏み込みそれをカットする
(球速、コントロール、変化球どれも本当に一年生なのかなーってぐらいいいね…でもちょっと今日の審判外広いなー…)
カットした後心の中で少し文句を言いながらいつもの優しい雰囲気で構えなおす
(三球目は外…かなー)
少々山を張りながらグリップを握りしめ猪狩を見る
大きく振りかぶって放たれた球はアウトローに向かって進んでいく、もちろん手を出さざるをえない
軸足から体重を送りながら腰を回転させ始めるしかし
「うっ!ととと」
腰を回転させたがバットを出すのをやめた、どうやら三振を取るためのフォークだったらしい
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2013/10/31 14:08 修正2回
No. 18
草木は再び考え直しギュッとグリップを握りしめる
猪狩は打ち取ったなと確信したように大きく振りかぶり、ボールをはなす
(もう一回アウトコースなんていやらしいね)
草木は踏み込み腰を回転させていく
しかし
(スライダー!?)
アウトコースのスライダー、だんだんとボールが外に逃げていくのがわかる
しかしここで三振しないのが上級生だ、草木は押し手をはなし片手でスライダーをとらえ上手くレフト前に打球を飛ばす
これで無死一塁
猪狩は悔しそうな表情を見せながらセットポジションに入る
そして二番の小山はバントを一球で決めこれで一死二塁、打順は三番の坂倉に回る
得点圏打率7割を誇る我らが夢高の主将はどんな打撃をするのか、周りから少し注目されているようだ
猪狩は落ち着いたそぶりを見せながらボールを放つ
するとアウトコースの真っ直ぐは快音とともにスタンドに突き刺さった
「ファールボール!」
審判が両手を大きく上げ宣告する
「あのさ二宮…一年生で抑えられるとおもってるの?」
まるで獲物を食らう狩人のような目で猪狩をにらみながら、あかつきの正捕手二宮にはなしかける
「そんなこと思ってねーよ、特にあんたと笠松の場合は」
そういってサインをだし、猪狩はそれにうなずきクイックからボールを放つ
しかし
それは快音とともにバックスクリーンにぶち当たり2ランホームラン
これで2−0となった
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2013/11/06 23:08
No. 19
「よぉ二宮ー…一之瀬大先輩様はどこにいんだよ?」
次は四番の笠松、打席に入り二宮に話しかけながらマウンドにいる猪狩ににらみを利かせる
「一之瀬さんなら今日は休養日だ…お前らなんて猪狩で十分だ」
その言葉に笠松が少しだけ反応し、いつもの陽気でおちゃらけた雰囲気は一切なくなった
「おい二宮…今日ボロボロに負かしてやっから後できゃんきゃんほえるなよ?」
そうこういっている間に猪狩は二宮のサイン通りボールを投げる、今日一番になるであろう速球だ
しかし夢高の四番、怪物スラッガーの笠松には造作もないストレートだった
フラミンゴのようにあげられた足からとんでもないスイングスピードでとらえられたボールは快音と共にレフトの場外に消えた
投じられたボールはアウトローの速球、しかし笠松は完ぺきにとらえ場外まで運び込む
…まるでどんな球でも場外に運んでやるといった気迫がこもった一撃だった
これで3-0初回にしっかりと一之瀬でなければ抑えることができないぞと相手にイメージを植え付けることができたようだ、しかしそれでも一之瀬はでてこない
さすがに二連発もくらってしまっては間を取るしかないと思い二宮は審判にタイムをもらい猪狩に駆け寄る、しかしずいぶんと冷静な様子だったのでそのまま何もなく戻る
(しかし次は一年だろ?まだ猪狩でも何とかなるだろう)
マスクをかぶり打席に入った一年をじっくりと観察する
猪狩は二宮のサインにうなずき見下したように投げる、まるでお前には打てないそういったような感じだ
しかし、インコースのスライダーはライトスタンドに突き刺さる
この時浅井健吾は少し悲しそうだった…
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2013/11/23 03:37
No. 20
その後は全くいいところのない猪狩を打ち崩し、終わってみれば13-5という名門相手にとんでもないような点数を取って大勝した
そんな猪狩はというと
被安打13
失点7
4回での降板となった、猪狩が崩れるのが予想よりはるかに早く準備のままならない投手をマウンドに立たせさらに失点を重ねたあかつきに追いつくすべはなかった
監督である鬼門はあかつきの監督である千石に挨拶をし、ふらふらと考えながらバスに向かって歩いている
一年生の小鴉は強力なあかつき打線を七回5失点に抑えた、抑えたという表現はおかしいのかもしれないが、一年生がここまでできるとは思っていなかったので大きな収穫だと鬼門は大満足である
そしてほかの一年生も活躍をしたのが喜ばしいことである、これでレギュラー争いがさらに過酷になっていくだろう
「後はもうちょっと人数が欲しいところだな・・・」
余りスカウトには力をいれていないほうなので、来年はしっかり頑張りたいと思っている
まだ四月、この段階でのレギュラー争いの激化は夏までのいい刺激になってくれるであろう
「しっかしこの後の千石のおやっさんがどんな練習をするんだか・・・考えただけでも恐ろしい」
苦笑いを浮かべながらグランドを後にする鬼門、その後はミーティングをしてバスに乗り、高校に帰るそれだけだった・・・
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2013/11/23 04:04
No. 21
練習も終わり自主練習を始めようとした瞬間とてつもないスピードで誰かに拉致される、とてつもない巨体に担がれた俺こと浅井健吾はあまり人のいない場所に連れて行かれた
「…んだよ二人とも…」
連れて行かれた先には雅ちゃんとあおいちゃんがいた、しかしさっきの巨体はだれだったんだ?
「ちょっと浅井君話があるんだけど!」
そういって口を開いたのはあおいちゃんだった、突然大きな声を出されてしまったので少々驚きながら、はいと答えてしまう
「あの!僕もいいかな浅井君!」
普段あまり大きな声を出さない雅ちゃんまでいったいどうしたというのだろうか?もしかして面倒なことに巻き込まれてしまうのだろうか…
そう考えているとあおいちゃんに、聞いてる!浅井君!と怒られてしまう
「で?話っていうのはなんなんでしょうか?」
二人の威圧感に負けて少々腰が低くなってしまう
「正直に答えてね?」
「嘘はついちゃだめだよ?」
…二人して真剣なまなざしをしているが全く見当がつかない、もしかして寮に帰るのが遅いから注意とか?いやいやそれなら慶次も一緒のはず…まさか坂倉さんの殺人的にまずいプロテインをだまして飲ませたからとかかっ!
やばい…怒らせること結構してる…
「ハァ・・・」
最近ため息が増えたな俺…
「私しりたいんだけど、どう思ってるの?」
「そうそう気になるな僕も」
いたずらのことか、どう思ってるて言われてもなぁ…
「楽しい気分になるかな?」
『へぇ〜』
「あっあのー…練習してきていいですか?」
「いってよし!」
「はい!失礼しますあおいさん、雅さん!」
そういって俺は小走りでその場から立ち去る、正直一刻も早く遠くに行きたかった
しかし何の話だったんだろうか?今日は少し眠れないかもしれないな…ハァ…
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/01/10 04:27
No. 22
一日おきに一年生はウエイトルームに通っている、まだ入部して間もないので体作りが必要なのだ
現在は四月の後半で、もう五月に差し掛かろうといった感じの日、浅井健吾と前川慶次はあの日のことを思い出していた
月日は四月の頭にさかのぼる
「君たちは元気だねー自主練手伝ってあげようか?」
にこにこ笑顔で主将に話しかけられた二人は、主将に話しかけられた嬉しさと手伝ってくれるという言葉で舞い上がっていた
しかしこの時点では気づくことはできなかった、これから地獄に向かって足を踏み入れることになるなんて
「さて君たち二人にはあらかじめ右か左かをえらんでもらいたい、どっちにする?」
ウエイトルームに入る前に坂倉さんが突然質問をしてくる、もちろんどういう意味かは二人にはわかっていない
全く悩むことなく健吾が左打ちなので左、慶次は右打ちなので右といった選び方になった
「やっぱりそうなるよね…よしようこそ地獄へ」
坂倉さんはニコニコ笑いながらウエイトルームの扉を開く
しかし聞き間違いだろうか?ようこそ地獄へと聞こえたのだが
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/03/29 05:41
No. 23
「ほらほら浅井ー、もっと腰を下ろさないと空気椅子になってないぞー」
「おいこら慶次!なにサボってんだよ!」
と坂倉さんと笠松さんが言っている気がするが二人の耳には入っていない、気絶寸前のようだ
現在二人は空気椅子をしており、ストップウォッチは40分を記録している
さすがに見かねたつかささんが二人を止めてくれ、やっと空気椅子が終了した
正直な感想は人間がやるようなトレーニングではないだ、明日の練習が怖すぎて今日は湿布を張って寝なければならないようだ
「はい休憩終わり、次は幸樹も一緒に腕立て伏せな」
とてもさわやかな笑顔でメニューを言い渡す坂倉さん、だが今回は笠松さんも一緒なので内心はよしっと喜んでいる
「いや死ぬって・・・」
そうやって一人また一人と倒れていくので、今回のウエイトは終了となった・・・
「いやほんとに地獄だったよな健吾」
「そうだな慶次、俺あの時死んだと思ったもん」
『だよなー』
などと話していると
「おやおや二人とも余裕そうだね、手伝ってあげようか?」
さわやかな笑顔の坂倉さんが現れるわけで、またもや地獄のようなウエイトが始まるのはお約束なのであった
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/03/29 06:28
No. 24
やはり4月と違い5月になると気温が上がってくるので熱いと感じてしまうことが多くなってきた、自主練習が基本となるこの高校では練習をさぼる選手がいないため飲み物の消費量は多い、それを作るのはマネージャーの仕事となっている
「よいしょっと」
せっせと作った飲み物を運ぶのは1年生のマネージャー川井菜実と2年生マネージャーの栗原舞だ、早川あおいや小山雅のように選手として練習に参加することはないが彼女らも立派な野球部の一員だ、なので野球部のために仕事はきっちりとこなす
「でも私知りませんでした!まさか舞さんが笠松さんとつきあっているなんて!」
「そうなんだてっきり菜実ちゃんはしってるかとおもってた、それより菜実ちゃんは浅井君どうなの?」
ニコニコと一緒に飲み物を運びながら聞いてくる舞さん
「ちょっといきなり変なこと聞かないで下さいよ!」
「あれ?まだそういう間柄じゃないの?」
「ちっ、違いますよもー」
と話しながら運んでいるが、女の子には少し重いので正直疲れる
運び終わると一息つくことができるので、さっさと運び終わってしまいたいというのが心境だが毎回のごとく途中で邪魔が入る
「いやぁーのど渇いたー」
そう笠松幸樹だ
「ちょっと幸樹君!?」
「なんだよ舞、いいじゃんか別に減るもんじゃねぇし」
「減るものです!」
まだ運んでいる途中にもかかわらず持ってきたコップをいれ口に持っていき注ぎ始める笠松、勝手すぎるの一言にかぎる
「笠松さん運び終わってからにしてください」
「菜実ちゃんに言われてものど渇いたから却下で」
なんて横暴な先輩だろうか・・・尊敬に値するレベルまで達していると思う、しかしコップに注いだ飲み物を飲み終わると決まって
「じゃあのど潤ったから持っていくよ」
とマネージャーの仕事を手伝ってくれるのが笠松さんのいいところでもある、舞さんがうらやましいといったのは少し前だが今でもそう思っている
「はぁー」
私は小さくため息を吐くことで気分を紛らわせて仕事に戻ることにした
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/03/29 06:44
No. 25
夢色高校では毎年五月になると体を大きくするためにウエイトメニューが増えるらしい
本来筋肉はウエイトトレーニングでつけるものだが、ついた筋肉を使えるようにするために2カ月かかるものだといわれている
つまりウエイトトレーニングをいくらしても筋肉が使えるのは2カ月先ということだ
現在ウエイトルームでは約20人の選手たちがウエイトをおこなっているのだが、1年や2年間でこれほど差が出るのかというほど筋力が違う
先輩たち曰く細マッチョはダメらしい・・・何がダメなのかはわからないが
「じゃあ一年生はこっちに来てくれるかな?」
『はい!』
と元気良く返事をするがここにいる1年生は外野手の俺こと浅井と投手の小鴉だけだ
慶次はダッシュメニュー、あおいちゃんはブルペンで投げ込み、雅ちゃんは同じポジションのつかささんと守備練習と別々で練習をしている
「ちなみにだけど小鴉は身長は何cmあるんだい?」
「はい僕は172センチです」
ふむといった感じで身長をきいた坂倉さんは少し考え込む、まだまだ身長が伸びる可能性がある状態でウエイトトレーニングをすると、筋肉で伸びる邪魔をしてしまうからだ
「そうだねじゃあ小鴉は投手だしインナーマッスルを鍛えるかスクワットをするかどちらかだね、背筋はまだ身長が伸びるかもしれないからあまりしないほうがいいね」
淡々とメニューをつげ、小鴉はメニューに従いスクワットの器具のところに向かう
はたして今回はどんなメニューを言い渡されるのだろうか?4月のスクワット系のメニューはめちゃくちゃだったので正直勘弁してほしい
「浅井は身長180ぐらいあるから心配ないね、だから今日はいつものスクワットじゃなく背筋からのベンチプレスにしようか」
「はい」
珍しくスクワットから解放されてうれしいのだがベンチプレスと背筋は怖い、なんせどちらの器具にも本当に野球選手かというような筋肉の塊がいるからだ
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/03/29 06:46
No. 26
最初に向かったのは背筋だ、ジムのようなウエイトルームなので背筋の機材も十分にそろっているのだが重さが尋常じゃないので、最初はバックチェストというバーベルを肩に担ぎ持ち上げるという方法で背筋をつける
「っあ!!」
目の前では背筋の器具を使い化け物のような重さをあげる先輩がいる、2年生でレフトのレギュラーである三木 博文(みき ひろふみ)さん
夢高の超長距離砲の一人で体格がプロ野球選手顔負けだ
「三木さんよろしくお願いします」
と声をかけるがちょうど終わったばかりなので腕や額などに血管が浮かび上がっており正直怖い
「おぉ浅井か、坂倉さんにメニュー言われたんだっけ?」
「はい、三木に任せるって言ってました」
「そうか、ならとりあえず背筋つけるために一回自分のMAXあげとくか」
「はい!」
そういって気合を入れたが・・・
「なんだよ浅井それ位しかあがらないのかよ」
と言われてしまう、筋力が違うのをわかってほしいがそんなことは先輩相手に口が裂けても言えないのが真実だ
すると三木さんが笑いながら話を始める
「背筋は何をするにしても必要なもんだからあったほうがいいぞ?ボール投げるのも打球飛ばすのも全部背筋使うから、背筋ない奴はダメだ」
とわかりやすく説明してくれる三木さん
そんな説明を聞かされると熱くなるのは当然で、限界を超えるためにそして2か月後の本番をめざし気力を振り絞った
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/03/29 15:44
No. 27
「はいお疲れさま、次はベンチプレスだね」
限界に近づいている中坂倉さんが俺に話しかけてくる、幻聴なんだろうか?
「ほらほら休んでる暇はないよ、メニューは言ってあったでしょ?」
確かに言ってました
俺はしぶしぶベンチプレスに移動するがそこでも化け物がいた
「っぐあぁぁ!」
重さにして約150s、いったいどうなればこうなるのか謎である
肩をトントンと叩かれ頑張れと声をかける坂倉さん、無茶苦茶だと逃げ出したいがあきらめよう
「あれ?浅井だったっけか?」
「あっはいよろしくお願いします」
この人は国府 英明(こくふ ひであき)三木さんと同じ2年生のレギュラーでファーストを守っている超長距離砲
筋肉のお化けである
体がプルプル震えているがあきらめるしかないようだ・・・気合入れていこう・・・
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/05/14 23:38
No. 28
5月といえばゴールデンウィークだよねーと目の前の女子高校生が世間話をしながら歩いている、たしかに5月にはゴールデンウィークがある
それは一般的にはうれしい少し長めの休日で、何処かに遊びに行ったりなど楽しい休日になるのは確実だ・・・あくまで一般人の話である
現在ゴールデンウィークという休日のせいで苦しめられている野球部員たちがいた、そう夢色高校の野球部員たちだ
「おらぁ死ぬほど走れー」
いつものあまりやる気の入ってないトーンで選手たちに指示を出す、珍しく全体練習となったはいいがメニューが鬼だ
「栗原ー今のタイム何秒だ?」
「15・67です」
首から下げたストップウォッチを見てタイムを淡々と読み上げる栗原、それを聞いた監督は
「おっせえぞ小山ー!三木や国府じゃねぇんだからもっと速く走れ」
「はい!」
ぜぇぜぇと息をきらしながら返事をする
「全員やり直しだ、ベースランニングもまともにはしれねぇ奴が試合に出れると思うなよ」
監督が厳しい言葉を投げかけるがそれに負けないように選手全員が声を張り上げて返事をする、誰も彼女を責めたりしない
「ほらしっかり」
汗を流しながらつかささんがニコニコ笑い声をかける、流石は三年生と言ったところだろうか体力が違う
「全員が15秒きるまでベーランおわんねぇからな、しっかりやれよ」
『はい!』
「まぁこんなもんか・・・じゃあ今から少し休憩、それから紅白戦やるぞーメンバーは考えとくから休んでろ」
そういって歩いていく監督
「しっかし気合入ってんなー監督」
地べたに座ってマネージャーから飲み物をもらい飲みながら話す笠松
「去年の借りがあるからじゃないんですか?」
笠松と同様に地面に座り話す浅井、どうやらランメニューは得意のようであまり辛そうではない
「それは違うかな、たぶん警戒してるんだよ県内の高校を」
割って入るように坂倉が口を出す
「どういうことですか哲さん?」
「うちの高校はあかつきやパワフルといった高校とは違う県だろ?でも一昨年に決勝で負けた北川西高校が最近力をつけてきているから、それに負けないようにしているんじゃないかと思うんだ」
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/05/14 23:41
No. 29
へぇー」
聞いておいてその返事はないだろうと思うような返事をする笠松、しかし坂倉は全く気にしていない、どうやら慣れているようだ
「メンバー決めたから集まれー」
のそのそと歩いてきながら支持を出す監督、どうしてあんなにやる気が見えないのだろうか?
「じゃあ紅からだ
投手 大石 三年 レギュラー
捕手 幸田 二年 補欠
一塁 国府 二年 レギュラー
二塁 林 三年 レギュラー
遊撃 増田 二年 補欠
三塁 栗峰 二年 レギュラー
左翼 三木 二年 レギュラー
中堅 飯谷 二年 補欠
右翼 吉見 一年 補欠
以上
次は白
投手 小鴉 一年 補欠
捕手 坂倉 三年 レギュラー
一塁 多田 三年 補欠
二塁 草木 三年 レギュラー
遊撃 小山 一年 補欠
三塁 栗峰 二年 レギュラー
左翼 浅井 一年 補欠
中堅 新井 三年 レギュラー
右翼 笠松 二年 レギュラー
以上後は交代で出るから準備しとけ」
メンバーの発表がおわり準備に取り掛かり始める、しかしチーム内とはいえ少しは緊張するものだ
普段は頼もしい仲間だが敵になると怖いというのは少しある、だがこのプレッシャーも練習になるのである
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/05/14 23:43
No. 30
先攻は白から
一番はセンターの新井さん、俊足堅守が売りの選手だ
打席に入り主審の監督に一例をしてバットを構え投手の大石さんをにらみつける
「おおこえぇ・・・」
小さくつぶやきながら大きく振りかぶりキャッチャーミットをめがけ腕を振りぬく
新井は足をふみ込腰を回転させとらえに行こうとするがそれだけで止まる…インコースのスラーブ
毎回のごとく切れ味は抜群で、打者は腰を引いてしまうような球を投げるのが大石だ。
主審の宣告はボール、ほっと息を吐きながらさらに集中力を高めていく新井はグリップをギュッと握り頭にイメージを思い浮かべる
(強くだ、強く変化をセンターに)
しかし思惑は外れてしまいアウトコースに直球が決まりカウントはワンストライクワンボール、この後あっさりと追い込まれてしまいツーストライクワンボール
「次インローのVスラっすよ新井さん」
後ろからぼそりと声が聞こえてくる、生意気な二年生の幸田だ
幸田はインコースのVスライダーだと言い張り黙り込んでしまう、しかしストライクは二球ともストレートのアウトコースで、もう一度アウトコースで遊んでくるかもしれない
考えれば考えるほど変な思いが頭をめぐる、めぐってしまうのが打者だと思う
新井は自分によしと言い聞かせグッと奥歯をかみしめ構える
基本に忠実なフォームから腕が振りぬかれキャッチャーミットにボールは吸い込まれる
小さくうっと声を漏らし苦虫を噛んだような顔をする新井
バッターアウトと主審が宣告し、やられたという思いでベンチに帰る
新井はアウトコースのスライダーでボール球と山を張っていたのだ、それがインローギリギリいっぱいの147キロの直球と来たものだから手を出すことができなかったのだ
軽く舌打ちをしながら、やっぱり夢高のエースだなとため息を吐いた
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/05/14 23:51
No. 31
二番はショートの小山 雅
小山は左である大石さんに対し右の打席に立って構える、何か意図があるようなのだが今はそれがなんなのかは全く見当がつかない
「よろしくね雅ちゃん」
急に後ろから声をかけられる、もうすでにここで揺さぶりをかけてきているのだろうか?
しかし余計なことは考えるべきではないと思い集中する
初級は胸元いっぱいの直球でストライク、二球目もインコースでストライク
カウント2-0
「三球勝負するから」
またもやぼそりとつぶやき黙り込んでしまう幸田、ここで考えるのをやめればよかったのだがすでに遅かった
三球目のストライクからボールになるインコースのスラーブを振らされ三振してしまう
「ごめんねー雅ちゃん」
と聞こえた気がしたが言葉は頭に入ってこない、完全に遊ばれて三振されてしまったのだ悔しくないわけがない
うつむき気味にベンチに帰っているとネクストバッターの坂倉さんが声をかけてくる
「気にすることはないよ、ただし次の打席はもう少し冷静になった方がいいし切り替えた方がいい」
それだけを言い残して打席に向かっていく
はっとなった小山は小走りでベンチに戻り気持ちを切り替えた、もともとそんなにカンカン打てる打者じゃないのを一番知っているのは自分だ
たかだか一打席の三振でくよくよしていても仕方がない、役に立てるのは守備なんだと言い聞かせ声を張り上げる
「坂倉さーんかっ飛ばせー」
ベンチでできるのはこれが精一杯だ、自分の与えられた仕事はきっちりこなさなくて意味がない
そう自覚した小山だった
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/05/14 23:56
No. 32
2アウト1.3塁で打席が回ってきたのは浅井 健吾である
3番坂倉4番笠松両方ともがクリーンヒットを放ちチャンスが回ってきたのである
左の打席に入りゆっくりと息を吐いていく浅井
セットポジションから足をあげ腕を振りぬいた球は田村のキャッチャーミットめがけて進んでいく、アウトコースの直球
浅井は足を踏み込みショートの頭の上に打球を飛ばすことをイメージした、完璧なタイミングだ
しかし快音が響くことはなかった、ぼてぼてのショートゴロだ
必死に走るが二年の増田に悠々と裁かれてしまいアウト、チェンジとなってしまった
自分が完璧だと思っていたのにもかかわらずどうしてぼてぼてのショートゴロだったのか考えればわかるが、今の状態では難しいだろう
「…完璧なタイミングだったのに…」
「ほら切り替えろ健吾、野球は9回まであるんだしっかりしろ」
声をかけてくれたのは笠松だった
そういわれた浅井は返事をしてグラブを持ち守備位置に走ってい言った
「厄介なことになりましたね哲さん」
「確かに、まさかここで新しい変化球を使ってくるとはね」
初回から不穏な空気が流れる中試合は歯車を回し始めた
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/05/14 23:59
No. 33
このままトントンと試合は進んでいき6回裏、今までヒットは打たれるものの抑えてきた子鴉が紅チーム国府と三木にアベック弾をゆるし2-0になってしまう
負けじと白チームも笠松が疲れの見えた大石からソロホームランを放ち2-1とする
そして現在は9回表、2番の小山からだ
打席に立ちゆっくりと構え大石をにらみつける…何としてでも塁に出なくてはこの回の逆転は難しい
このまま負けてしまうか、塁に出て勝機をつかむかは小山にかかっている
小山は必死に食らいつき、何とか四球をもらい塁に出るそして坂倉笠松も続きノーアウト満塁で浅井に回ってくる
(死んでも打たないと)
そう思ったがそう都合よく結果はでないものだ、結果はファーストライナーのダブルプレー
しかしそのあと何とか栗峰がフェンスダイレクトのスリーベースを放ち3-2とする
が安心したのもつかの間、三木にサヨナラツーランをたたきこまれゲームセット
終わってみれば3-4と僅差のゲームになっていた
浅井は大石の新たな変化球カットボールに全く手も足も出ずに、チャンスで全く打てなかった
もちろん負けたチームには監督からのきつい罰ゲームがあり、その日は白チーム全員がぐったりしていた…
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/06/17 04:20 修正1回
No. 34
「いやぁーありゃまじで死ぬかと思ったッすよ哲さん!」
監督の地獄の罰ゲームを終え風呂に入り全員が待つ食堂にゆったりと向かう笠松と坂倉、今日は全員でビデオを鑑賞するようだ
「そうだな、さすがの俺も正直辛いところはあったな」
そうこう言っている間に食堂に到着する両名どうやら一番最後の到着のようだ
「すいません遅くなりました僕たちが最後です」
「すんませーん」
両名監督の鬼門にお詫びを言いながら坂倉は全員がそろったことを伝える
「おーそろったか、まぁ今日の紅白はお疲れさんいいもん見させてもらったから今後の題材とさせてもらう…でだ今日はお前らに見せたいビデオがある」
そういってビデオテープをビデオに入れる
「スケベなビデオを期待していたやつは残念だがあきらめろ」
へらへらと鬼門はそう言って準備を始める
「俺ちょっときたいしてたんだけどなー」
「うっわ…慶次君最低…」
「ちょっとフォローしきれないよ」
「慶次それはちょっと」
あおい、雅、菜実と三人からことごとく暴言を吐かれ終いにはゲテモノを見るような目で睨まれる慶次
あわてふためいたのか今度はとなりに座った健吾に話題を振る
「なっなぁ健吾!お、お前だって期待しただろ?」
「俺に振るなよ、俺までケダモノみたいに扱われたら敵わないからやめてくれよ」
「あー、世の中ってすっげー理不尽だよな」
突然わけのわからないことを言い出す慶次
「おら、お前ら始まるから静かにしろ」
どうやら準備ができたみたいで、ビデオの映像が始まった
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2014/08/09 20:32 修正1回
No. 35
ビデオの内容は去年の夏の大会決勝、夢色高校対北川西高校の試合
ビデオが流れ始めた瞬間先輩たちが少し張りつめた空気になる、しかし無理もない去年煮え湯を飲まされた相手なのだから
「あぁー1年生も知ってると思うが去年は決勝で北川西に煮え湯を飲まされてる、まぁ相手の投手だわな特筆してみるべき相手が」
そういって画面を指さす
そこには二年生のサウスポー小宮 亮が映し出されていた
二年生ながら名門北川西のエースを張っており球速は140前後スタミナコントロール変化球ともに申し分ない投手だ
「でだ俺が見せたいのはこれなんだこれ」
そこには夢色高校現主将の坂倉が映し出されていた
「まぁ後ろから映してるやつだから見えるとは思うんだけど、この小宮の最大の武器はとんでもないコントロールだ、ベースからボール1個分の出し入れを平気でやってのける」
その言葉に全員が静まり返る
「まぁだからなんだって話なんだが問題はこっからだ、これを見てくれ」
そういって別のビデオを入れて再生する
「そりゃあ去年の夏から春にかけてだから成長はしてると思うんだがちょっと成長しすぎていてな…ほれ栗原説明してやってくれ」
すると舞が立ち上がり手にしていたノートを読み始める
「これはまだまだ春先の試合なんですけど、現在球速はMAX152更に今までのスライダーやSFFに加えてシュートそして緩急をつけてくるチェンジアップを使っていましたね、去年より体が一回り大きくなっていてスタミナも申し分ないようです」
「というわけだ、どうだ?県内ナンバー1左腕の呼び声が高くなるわけだ」
と鬼門が一息おいてさらに続ける
「だがうちにもナンバー1の呼び声高い左腕がいる、それにだ去年グランドでスタンドで苦い思い出をした選手たちもいる」
そういって周りを見渡す
「これから約2か月間俺は久々に本気で練習に力を入れようと思う、それで故障や体調不良を起こす者もいるかもしれないだが、俺は勝ちたいし甲子園に行きたい、それにお前らに一度見せてやりたいんだ」
鬼門は興奮気味に一呼吸おいて
「あのきれいな黒土を、外野の芝をそしてどこを見ても観客だらけの中で試合をする興奮を!」
そこまで言い切って鬼門は落ち着いたトーンにもどり
Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜
名前:
めめ
日時: 2015/01/08 15:12
No. 36
「なんて熱く語っちまうような場所なんだ甲子園は、高校球児全てが憧れる聖地…ぴったりな表現だな」
と一人頷く鬼門
「でだ、お前ら今日から必死にレギュラー争いをして競い合えそれがチームの強さになる、サボればサボっただけ差が広がるし縮まる、分からなければ聞けばいいし教えてやればいい、お前らはもっと強くなれるお前ら高校生に限界やスランプなんてない、ここが限界だなんて思ってる奴は完全な努力不足だ」
そして鬼門はひと呼吸おき
「自分に甘えるな、人を羨むな、慢心するべからず己に勝つべく日々精進すべし…いいな!」
『はいっ!』
「じゃまぁミーティングは終わり、明日から気合入れとけよ」
『お疲れ様です!』
そう言い残しいつもの気だるそうな感じで部屋を後にする鬼門
しかし全員に伝わったであろう鬼門の気持ちは、強い支えになってくれるであろう
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