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記事閲覧  夢色高校〜夢見る野球人〜  名前: めめ  日時: 2013/06/30 21:11    
      
さて夢色高校なのですが、久々の更新となるとどう構成していたのかもわからなくなってきましたので最初から書き始めることにしました。

文章力やストーリーの構成など様々なことで至らぬところや、途中で前の夢色高校をやめてしまったことなど申し訳ないところが多いのですが、申し訳ありません

では前回とは少し違った夢色高校をお送りいたしますのでよろしくお願いします。
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/06/30 21:29  No. 1    
       
「本当にそこの高校でいいんでやんすか?」

心配そうに見つめる同級生は、練習でドロドロに汚れたユニフォーム姿で語りかける

太陽は沈みかけで、グラウンドに残っているのは二人だけだ

「俺親父を甲子園に連れて行ってやりたいんだ、選手としては甲子園に行けなかったんだけど、親父の夢を引き継ぎたいんだ」

同じくドロドロに汚れたユニフォームでにこやかに笑いながら幼い時からの親友に語りかける

その言葉を聞いた親友は少し眉を動かし問いかける

「なら浅井君は親父の夢を引き継ぐために夢色高校にいくんでやんすね?」

自主トレのかたずけをしながらたんたんと話す

「そうだけどどうしたの?」

「自分が甲子園に行きたいっていうのはないんでやんすか?自分の意思がないとあまりお勧めしないでやんすよ」

はっきりとなげかけられた言葉、実際その通りである

「それは…」

「それに強豪校でやんすからレギュラーになれるかもわからないでやんすよ?」

それでも

「それでもかなえたい夢がある、俺も野球をしている親父の背中を見て育ったんだ、それに甲子園に出場するのは俺の夢なんだ」

「そうでやんすか…」

親友は一言つぶやき

「ならオイラと浅井君は今日から親友でありライバルであり敵でやんすね、オイラはパワフル高校にいくでやんす」

「そっか…ならお互い甲子園を目指そう、そしてあきらめないで頑張ろう」

自分の夢を胸に秘めた男同志の誓いを立てた
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/06/30 22:50  No. 2    
       
「パワフル中学出身の浅井健吾です、ポジションは外野手で右投げ左打ちですよろしくお願いします!」

夢色高校

部員数は今年の新入生を合わせても34人と少なめだが、独特の練習と超攻撃的な攻めのチーム

県内では名門北川西高校と毎年のように甲子園の切符をかけて激闘を繰り広げている高校である

監督は鬼門 鉄心、甲子園出場し全国制覇の経験もある名将だ


「さて新人の自己紹介も終わったことだし、さっそく練習を始めたいと思うから坂倉頼む」

そういうと監督は残った仕事かたずけてくるとどこかに歩いて行った

「さて新入部員のみんな練習を始める前に自己紹介をしておくよ、坂倉 哲弘(さかくら てつひろ)主将で捕手をしているよろしく」

『お願いします!』

「じゃあまず今日の練習に参加してもらうんだけど基本が自主トレーニングになっていて、ポジションで固まって練習してるんだ」

「んでもって個々の力と意識を高めていくってのがうちの方針」

急に主将の後ろからニコニコと歩みよって来て、主将のセリフを横取りする

「…幸樹…」

坂倉は少し黙り込んでかけていた眼鏡をクイッとあげる、周りから見れば少し変なオーラが見えてもおかしくないような雰囲気だ

「こいつは笠松 幸樹(かさまつ こうき)夢高の四番でライトを守ってる、話はそれてしまったんだけど今からポジションごとにわかれて開始してくれ」

だがここはさすが主将といったところだろう、冷静にまとめ練習を開始させる

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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/07/05 00:18  No. 3    
       
「それじゃあ今日はここまで、体はしっかり休めておけ解散」

【ありがとうございました!】

監督の短いミーティングが終わりこれで今日の練習は解散となる、と言っても自主練習がメインの練習なので監督は基本何もしていない

「おーい健吾ー自主トレやろうぜ?」

そう声をかけてきたのは今日知り合ったばかりの 前川 慶次(まえがわ けいじ)同じ一年生でポジションはレフトと同じ外野手である

「でも自主トレしても大丈夫なのか?初日から…」

「それなら心配ないぜ?」

後ろから声がし、振り向いていると我らが外野手の先輩笠松さんだった

いつもへんなところから声をかけてきたりするらしく、いたずらなど少し子供っぽい部分もある

しかし野球になると一変して人が変わり、2年生ながらこの夢色高校の4番打者を務め、現在県内NO1スラッガーとして君臨している大物だ

「練習したけりゃすればいいししたくなかったらしなければいい」

「わかりました、ありがとうございます笠松さん!」

お礼を一言のべると適当に返事をしながら担いでいたバットを持ってほかの場所に移動していく

「じゃあさ今日はTバッティングでもしようぜ」

慶次はネットに向かって歩きながら健吾に語りかける

「俺も別にかまわないけど、俺T長いぜ?」

「それは俺も一緒だぜ、まぁよろしくたのむよ」

そういってほぼ最後の方まで居残り練習をしてへとへとになり、かたずけをして帰路に就いた…
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/07/14 21:53  No. 4    
       
入部してから初めての土曜日が始まった、どうやら夢色高校は練習試合はあまり組んでいないらしく土日は一日練習となる

「さーて今日は一日打撃練習、以上!」

そういってすたすたとバックネット裏の監督室に入っていく、やる気があるのかないのかわからない人だ

「じゃあまずは準備からなんだけど、各ポジションの先輩の指示に従ってもらうから」

てきぱきと支持を出しながら作業を効率よく進めていく坂倉さん、さすが主将といったところだ



準備ができてアップが終わったのが大体10時そこから6時まで練習が続く、夢高名物地獄の打ちっぱなしらしい

「夢高打線に火をつける男ドでかい打球をス〜タンドヘ〜♪」

快音と共にボールはライトのフェンス上段ギリギリに突き刺さる

右足が上がり遠心力とヘッドスピードで打球を飛ばす、まるでフラミンゴのような独特な打ち方をしているのが笠松さん

そして教科書のような打撃フォームで左右に打ち分けているのが坂倉さん

ほかにも先輩方がいるが全員凄い、しかし親友との約束を守るためにこの人たちにも負けることは許されないのだ

次は慶次と俺の番だ

慶次はノリノリで自分の応援歌だったらしい歌を口ずさみながらカンカンと外野の頭を超えていく

俺は俺で笠松さんと同じフォームで鋭い打球を飛ばしていく


しかし知る由もなかった、これが始まりだということを
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/13 06:03  No. 5    
       
「へいへい健吾ー足が上がってないぜー足がー」

現在時刻は11時、ぶっ続けのバッティングは今7週目である

「がっ、頑張ります!」

必死に足を上げボールに食らいついていくが、生半可なスイングでは140キロのマシンから放たれるボールは打ち返すことができない

「ヘイヘイピッチャー球が遅いぜー♪」

顔や腕に汗をにじませながらも始まりと全然変わらないスイングスピードにはもはや尊敬しかない、しかも同じ一本足打法

「俺が知ってる一本足はもっと足が上がるんだけどな?」

後ろからは交代待ちの坂倉キャプテンがニコニコ笑いながら、アドバイスをしてくれている…鬼だ

そしてもう一人順番待ちの男、慶次こと前川は腕立て伏せをしながら汗で地面を濡らしている

「ぜっぜー、ざがぐらざぁん…あと何回やればハァッハァッ…終わりが来るんですか?」

「うーん…じゃあ次スクワットしようか」

さわやかな笑顔でメニューを言い渡す…やはり鬼


「ラストで―す」

マシンを入れている人がラストの指示を出すと隣りの笠松さんが息を整える


快音が響くと高々と打球が上がり軽々とフェンスを飛び越えていく


俺はというと

「ふぐっ!」

どん詰まりのセカンドゴロ

もはや力が入らなくなっている


「んだよ健吾ーフグが食べたいのかよー」

げらげらと笑いながらヘルメットを脱ぐ笠松さん


…別にフグが食べたいわけではない…
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/13 06:32  No. 6    
       
こうしてだんだんと新入部員がダウンしていくので、それに見かねたショートを守っていた先輩がピッチャーと一緒に走りに行かせることを提案した

それを聞いた坂倉はすこし考えて、OKのサインを出した


靴をはきかえ、野手たちは全員校門にいるピッチャーの先輩に合流した


「大石だよろしく」

『よろしくお願いします!』

夢高のエース大石 真也 県内最強の左腕の呼び声が高い絶対的エースだ

「よしじゃあついてきてくれ」

そういって学校の裏にある山の方へと走っていく大石




数分走ると坂がだんだんときつくなりはじめ、到着した場所では想像を超える光景がめに入ってきた

選手が二人ほど倒れている、そしてそれを看病するマネージャーの姿も見られる

「倒れたのか?」

大石さんはゆっくりとちかづき二人の選手を見る

「うーん、倒れたというよりは立てないかな?」

それを看病しているのは二年生の栗原 舞 

とても美人でかわいい人だ

「まぁしゃあねぇか…よしお前ら、行け」

真顔でとんでもないことを平然と言ってくる

今目の前に見えている風景は200段はありそうな階段だ

「最初は7往復ぐらいでいいからなー」

そういって倒れた二人の看病を始める


…どうしてこう常識人が少ない高校なのだろうか
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/14 12:30  No. 7    
       
「真也新入部員たちは?」

帰ってきた大石を見かけた坂倉は、新入部員がいないことに違和感を感じて話しかける

「えーっと…おいてきた」

実際その通りだが坂倉にはわけがわからない返事にしか聞こえない

じっくりと考えた後坂倉は

「今日山?」

とメニューを聞いた

「山だな、新入部員には軽く7往復でいいって言ったな」

そりゃかえってこられないよ、といったような顔で眼鏡をとり目じりを抑える

「栗原を置いてきたから大丈夫だろう」

「うーん…つかさーちょっと来てくれないか?」

はいはいと返事をすると駆け足で近くまで走ってくる、先ほどのショートを守っていた人だ

「なんだい哲?」

「いや実はね…

それまでの経緯をつかさに話了解を得たところで安心することができた、しかし話を聞いたところによると全員7往復することができなかったとか


「…ダメだねこれ」

少々呆れ気味の坂倉だった

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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/18 06:22  No. 8    
       
「足がパンパンでたてねぇーってのー!」

必死で吠えながら立ち上がろうとする慶次、しかしプルプルとまるで生まれたての動物のように震える

「けど7往復できなかったのはちょっとだめなんじゃないかなー?」

『!!』

全員が振り向くとそこには先ほどショートを守っていた先輩がいた

「草木先輩どうしてここに?」

栗原が少し不思議そうに首をかしげる、それを見て草木はにこりと笑い

「お迎えってとこかな?」

そう切り返した

どこからどう見ても優しさの塊のような先輩だ


「自己紹介が遅れたね、3年生の草木つかさだよよろしくね」

にっこりと笑いながら自己紹介をしてくれる

「ちなみにさ、みんな何往復ぐらいで動かなくなっちゃったの?」

目をキラキラさせながら、まるで子供のように聞いてくる先輩はさながら小学生だった

「みっ、みんな5往復が限界でした!」

少し緊張しながら同じショートのポジションの小山 雅が答えた

「雅ーしっかりしなきゃ、僕に追いつけないよー?」

相変わらず優しくニコニコしながら小山に気合を入れる

「はっはい!頑張ります!」

あこがれの先輩の前のおかげなのか、先ほどまで立てなかった小山は立ち上がり話を聞いている

これが師弟愛なのか…



それからしばらく話をして、全員はゆっくりと歩いて帰った

ちなみに歩いて帰ったことは内緒だ
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/24 18:02  No. 9    
       
練習終わりに雨の日以外はあまり使われてない雨天練習場に、同級性全員が集まっての話しあいをすることになった

発案者は雅で、どうしても話しておきたいことがあるらしい


「おいおいどうしたんだよ雅ー、俺は早くバット振りに行きたいんだけど」

「まぁまぁ落ち着けよ慶次、雅だってわけがあるんだろうよ」

早く練習をしたいようで慶次は少し荒っぽくなっている

「健吾君ありがとう、実は今日のことなんだけど」

少し真面目な雰囲気を感じたのか、慶次は持っていたバットを担ぎ黙って地面に座り込む

「僕らが先輩たちに追いつくには今のままの練習じゃダメだと思うんだ、だからみんな今まで以上の練習をしよう!」


そう言い切った後雅はうつむきグッとこぶしを握る、いつも控えめな雅の精一杯の勇気を振り絞った言葉だった


すると最初に声を上げたのは、ピッチャーの子鴉幸助だった

「俺は賛成だな、でも全員同じメニューってわけにもいかないんじゃないか?」

「それなら今日の階段がいいんじゃないかな?」

そこに同じ投手である早川あおいが声をあげる

「野球は足腰が大事だって言うし」


この二人の声を聴いた一年生たちはそれもそうだとやる気を起こしていく、どうやらこれが狙いだったらしい


しかしこの言葉を聞いても慶次だけはだんまりと座り込んだままだった


あまりこの意見をいいと思っていないのだろうか?


ともかく平日の朝の5時半から朝練の始まる7時までに、階段を7往復するということになった

最初のうちは難しいというか、正直無理に近いのだが毎日の積み重ねが大事だろう

そういった様子で今回の話し合いは終了した

だが慶次だけは最後まで口を開かなかった…
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/24 18:53  No. 10    
       
これはその日の夜中の話


コンコン


「・・・・んっ?」

眠い目をこすりながら窓際から音がしたので確認をしにゆっくりと歩いていく、しかしこんな時間にとても迷惑だ

「あれ?どうしたのこんな時間に?」

そこにいたのは幼馴染だった、昔から決まって私に話したいことがあれば夜中に私の部屋の窓をたたく

迷惑この上ないがもう慣れてしまったし、普段よくしてもらっているので断る理由もない

私は部屋の明かりをつけ幼馴染を招き入れる

「コーヒーでも飲む?」

「いや寝られなくなるから」

「あんたは小学生か!」

思わず笑ってしまった

「うるせっ!しかし寮に住んでんのにコーヒーなんて買えばいいだろ?何でインスタントなんだ?」

こいつはほんとに馬鹿なのだろうか?

「そんなことしてたらすぐお金なくなるでしょうが、あんた普段からもう少し考えてお金使いなさいよ!」

「うっ…はい…」

「ったく…」

世話が焼けるのも昔から変わってない

「ほら話があるんでしょ?夜更かしは乙女の天敵なの」

「何が乙女だよ」

と二人して笑う

そして話を一通り聞き終わった後幼馴染は満足したようにかえっていった、いつも通りだ


普通ならこんなことに付き合わないが、幼馴染だから…いや彼だから断らないのかもしれない


「乙女だなぁー…」


私はそうつぶやいて布団に入った…
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/25 21:40  No. 11    
       
早朝


朝起きるのはとてもつらかったのだが、自分が言い出したことなので仕方ないなと思いながら移動する


そして集合時間より20分も前についたので体を温めるためにストレッチをしていると、階段を降りてくる人影が見えた

早朝なので健康に気を使って歩いているお年寄りの方だろうと思っていたが、それは見知った顔だった


「けっ、慶次君?」

少し動揺してしまった、昨日の提案を最後まで何の意見も言わずに黙り込んでいたのだ、てっきり反対なのだろうとばかり思っていた

「おぉー雅おはよう」

汗まみれの慶次はニコニコしながらさわやかな笑顔であいさつをしてくる

「お、おはよう、早いんだね」

少し笑いながら世間話を始める、しかし気になることが一つだけある

「慶次君昨日僕の提案の後ずっと黙り込んでいたよね?僕てっきり反対かと思ってたんだ…」

すると慶次は頭に巻いているタオルを少し縛り

「俺あんとき寝てたんだわ」

笑ながらとんでもないことを言う、確かに一言一句しゃべらなかったし、話し合いが終わった後もあそこから動かなかった

だがあの短時間で眠れるなんてとてもすごいことだ


とそんな感じで話をしていると階段から人影が降りてくる

「健吾ーおせぇぞー」

「馬鹿野郎、お前が早いんだよ慶次!」

健吾君だった

どうやら二人ともとても朝早くから階段トレーニングを初めていたみたいで、もうすでに足がプルプルと動いている


凄いな…僕も二人に負けないように頑張ろう

そう決意した早朝だった
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/26 20:36  No. 12    
       
「明日練習試合をするから準備しとけよ」

練習の終わりに監督から唐突に放たれた一言に、俺は驚いたが上級生の人はびくともしていない、よくあることなのだろう

「わかりました、ところで相手はどこなんですか?」

坂倉さんはいつもと変わらない冷静さで監督に詳しい内容を聞く

「あぁ、まだ四月だしあかつきと練習試合しようと思ってな」

『!!』

一瞬にして全員の空気が変わった

一年は驚いたように、上級生は殺気ともとらえられるようなビリビリとしたオーラを放っている

それを見た監督は口角を少しだけ上げて

「じゃあ今日は早く寝ろよ、寝坊したら大変だからな、解散!」

『ありがとうございました!』

「うーい、坂倉ーちょっとこい」

「?、はい」

そういって監督に連れて行かれる坂倉さん

「じゃあ俺先あがりますね、失礼します」

そういって笠松さんが三年生にあいさつして帰っていく、笠松さんが早々に練習を切り上げるなんて珍しい

「おい健吾、いつもと雰囲気違わねぇか?」

「そうだね、なんか危ない雰囲気だ」

「まぁ仕方ないよ」

「!」

「ごめんね急に、階段の日以来だね」

「大丈夫です、お久しぶりです!」

慶次にしては珍しく、丁寧な言葉づかいをする

「ごめんね自己紹介できてなくて、ここ自主トレメインだから同じポジションの子しか知らなくて」

「いえいえ大丈夫です(優しそうな人だな)」

優しさの塊だなと健吾は思う

「去年あかつきのエースに大きな借りを作っちゃってね、だから特に試合に出てた奴らはピリピリしてるんだ」

「なるほど・・・草木さんもですか?」

「つかさでいいよ、まぁピリピリしてないって言ったら嘘になるかな?」

とニコニコ笑いゆっくりと歩き始める、今のニコニコ笑いはとても怖かった

「じゃあ明日遅れないようにね」

『はい失礼します』

しかし明日が楽しみになってきた、笠松さんや坂倉さん、つかささんが借りを作るほどのピッチャーがいるなんてわくわくする

明日は寝坊しないようにしようと、いつものメニューをこなし、寮に帰った健吾と慶次であった
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/26 20:43  No. 13    
       
「ではメンバー発表を行う、まぁ今日は向こうさんもフルメンバーじゃないしな、うちも試したいことあるからフルメンバーじゃないからそこんとこはよろしく」

現在グランド内でアップとノックを済ませた部員たちは監督のミーティングを聞いている最中である、やはり昨日とは変わらずビリビリと感じるオーラは隠しきれていない様子で、先輩たちは怖い

「泣かせてやりますよ」

急に口を開いた笠松さんは目が殺気走っている

それもそのはずだ、いつになく低い声で坂倉さんが

「俺たちに惨めな思いをさせてくれた一之瀬は今日は先発じゃないらしい」

とお怒りのようだ、それもそのはずスタメンのメンバーの中に因縁の相手、一之瀬塔哉は入っていないからである

苛立ちはピークに達しているのがわかる、しかしあかつきから見てみればうちも同じような状況である

「じゃあメンバーいくぞ

一番 セカンド   草木 三年
二番 ショート   小山 一年
三番 キャッチャー 坂倉 三年
四番 ライト    笠松 二年
五番 レフト    浅井 一年
六番 サード    栗峰 二年
七番 ファースト  国府 二年
八番 ピッチャー  小鴉 一年
九番 センター   新井 三年

とまぁこんな感じだ、セカンドの林は肘痛めてんだろ?」

と言って三年生の林さんをジロリとみる

「・・・」

「まぁ俺は見たらわかるからよぉ、無理するのはまだはえぇから今日は一年のガキにチャンスやってくれや」

「はい」

「大石と三木もだ」

すると二人も小さく返事をする

「ほらそろそろ整列だ、並んで来い」

その言葉を聞いた全員は顔を引き締め気合を入れなおした、相手はあかつき、負けるわけにはいかない・・・
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/26 20:47 修正1回 No. 14    
       
一方その頃前川慶次はというと、試合にはいかずグランドに残っていた

呼ばれた一年生や二年生以外はグランドに残って練習するか、試合を見に来るかという選択権があり慶次やグランドに残っている者たちは練習を選んだ

現在はいつもと変わらない自主トレとなっているが、一味違う

「もう少しボールを引き付けて近くのポイントでとらえたほうがいいね、そうして君の場合は引っ張らず広角に打ち分けるイメージだね」

そういって指導してくれているのは三年生の先輩である 松下 拓実 (まつした たくみ)だ

一年生が入ってくる前の練習試合で左膝の靭帯を断裂して戦線から離れている選手だ、時期が悪く最後の夏に出られるかは絶望的であろう

しかしあきらめてはおらず、大学に進学して監督を目指している

「燃えてきましたよ俺!」

「うん、がんばりなよ」

そういって他の人のところにいく松下さん、これほどの選手がごろごろといるのだから夢高は凄い

ここにいるのは一年生13人中10人、二年生10人中4人、そして三年生が2人だ

もう一人はピッチャーの先輩で彼も松下と同じく監督を目指しているらしい

腰の剥離骨折が原因で彼も戦線を離脱している

(見てろよ健吾…)

名前を呼ばれなかった悔しさをバネにライバルである浅井健吾に負けないようにと、コツコツ努力を重ねる慶次だった
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/26 20:50  No. 15    
       
早川あおいもグランドに残って練習していた、同じピッチャーとして呼ばれた小鴉君や雅を見るのが嫌だったのもあるが、練習をしたかったのもあった

今はブルペンで投げ込んでいる最中だ、受けてくれているのは二年生の 幸田 仁 (こうだ じん)さんだ、実力は坂倉さんが認める折り紙つきで、試合に呼ばれていたがボクの球を受けたいという理由で断ったらしい

変わり者だ

「いい球なげるね早川、でも今後の課題はコントロールとスタミナと、ボールのキレと、武器であるシンカーのさらなる進化だね」

と無理難題を仕掛けてくる幸田さん

「まぁその辺のトレーニングは俺が教えてやるよ」

そういってくれているのは三年生の広田さんだ

「何でも聞いてくれよ」

「はいありがとうございます」

やはり夢高に来てよかったと今でも思う、女だからと差別されることもないし、対等に扱ってくれる

あの時監督に声をかけてもらっていなかったら、今の自分はないだろう

(感謝だね)

そう思いながら幸田さんのミットめがけてボールを投げ込むあおいであった
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記事閲覧   Re: 夢色高校〜夢見る野球人〜  名前:めめ  日時: 2013/10/26 21:21  No. 16    
       
僕は今とてもドキドキしているのがわかる、シニアの時にこんなドキドキを感じたことはなかった

「大丈夫?そんな緊張しなくても大丈夫だよ」

そう声をかけてくれているのは今回二遊間を組むことになったつかささんだ

「すいませんつかささん、僕がショートに入ったから本職じゃないセカンドをやることになってしまって」

「気にしないで雅、それに今は焦る時期じゃないから僕としてもほかのポジションの経験は積んでおきたいからね」

優しい言葉をかけてくれるつかささん

自主トレの時はよくお世話になっている、守備のセンスは頭一つとびぬけている人なので僕の憧れの選手でもある

「気楽にいこうよ、ほら健吾だって」

すると健吾君はあくびをしながら上を眺めていた

「クスッ・・・僕頑張ります」

「そうだね、わからないことがあったら聞いてね」

「はいありがとうございます」

ドキドキがわくわくに変わったのがわかった、試合が楽しみだ
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