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ロックされています  King nine   プロ野球編  名前: 魁斗  日時: 2013/08/25 10:51    
      
高校野球編の続編でございます。
見る人は少ないとは思いますが、よろしくお願いします。
記事修正  スレッド再開
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/10/06 11:55  No. 18    
       
「セーフセーフ!」

魁は小学生の時のように足を巧みに使い出し、盗塁を成功させた。
足はあまり速くないのに何故か盗塁は成功出来る。
魁には盗塁のセンスがあったのだ。

(ふぅーっ。よかった…)

(くそが…くそが…)

藤沢は何とか理性を抑えている。しかし、次何かあればもう爆発してしまいそうでロッテ首脳陣は怖くて仕方がない。

(今がチャンスだな…)

渡辺は魁にもう一度走らせるように命じた。しかし、走るだけではない。銀宮寺は打つ。エンドランだ。


藤沢は振りかぶり思いっきり腕を振る。魁は走り、銀宮寺はとにかくボールをバットに当てる気持ちでバットを振る。

バットの快音が響き、打球はライト前へ。魁は走っていたので余裕でセーフ。銀宮寺は一塁塁上で小さくガッツポーズ。

「おぉーっ、司っち、ナイスバッティング!」

王城にとっては大きな追加点。続く嵯峨峰だったが…


「おおーっ、嵯峨峰さんありがとー!」

2点追加となるツーランホームランを放つ。その後、キリシヨンにも本塁打が出、この回5得点となった。

ここで、藤沢は降板。グローブをベンチに投げ捨てベンチ裏に消えていった。

6番はライトの伊達鉄兵(ダテ テッペイ)。左投げ右打ちという珍しい選手。
これと言って凄い技がある訳でもないが平凡な選手。
だが、ここぞという時の力はすごいため6番を座っている。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/10/27 12:07  No. 19    
       
6、7番の二人は代わったサイドスロー、三浦大也(ミウラ ダイヤ)に抑えられた。この二人は簡単に抑えられてしまったが8番のこの男は違うかもしれない。

「8番、ショート伊藤達也」

このコールがされると球場の西武ファンの大歓声で球場が埋め尽くされた。

(う…やっぱすげ…ちょっと黙ってくれよ…)


こんな大歓声の中、達也は打席に入る。

プロになった以上、こんな大歓声はずっと聞き続ける。それには今のうちに慣れないといけない。


(よし…やってやるじゃねえかよ! かかってきやがれ!)


一球目、アウトコース一杯に入るストレート。とても遠く感じる。だが、打てない事はないと思い、もう一度達也は気合を入れた。


(次は…何が来るんだ…スライダーか? チェンジアップか?)

2球目、捕手はスライダーのサインを出した。だが、ボールは完全にど真ん中。

達也はこれをフルスイングしたがバットには当たらない。

そう、これが三浦のスライダーだ。このスライダーはホームベースの半分ほど変化する。しかも突然変化するので打者には相当打ちづらい。
だが、打てない魔球ではない。このスライダーを意識さえすればバットには当てられるだろう。

(狙いはスライダー…ツーストライクになれば絶対に投げてくるだろ…)

三浦がスライダーで決めてこれば、打者のセンスが高い達也が綺麗に打ち返すだろう。だが、三浦から見ると達也がスライダーを狙っているのは敢然にわかる。
ならば、スライダーは投げまいとタイミングをそらすように三浦はチェンジアップを投げた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/14 16:49  No. 20    
       
「おおぉー!」

この声が西武ファンの間で聞こえる。

5秒ほどするとその声は歓声へと変わる。

伊藤達也のプロ初打席初本塁打への歓声だ。

ダイヤモンドを一周しベンチに帰ってくると選手達に猛烈な声を浴びた。

「おめでとう、達也!」

「やるじゃん、タツヤ! おめでと!」

「さすが、俺の弟だな…」

と、声を浴びた。


この試合、達也は3打席連続で本塁打を放った。プロの威圧感は感じないようだ。嵯峨峰にももう1本が出、王城はノーヒットノーランという事になった。しかし、王城のピッチングに四死球はなかった。
エラーが3つも出たのだ。

エラーは三つとも伊藤兄弟によるものである。

3回の表、真正面の打球を魁がトンネル。

7回の表、今度は達也がトンネル。その次の打者にセカンドゴロゲッツーを取ろうとしたが、魁が2塁ベースへ悪送球。ベースから離れて達也はボールを捕球した物の、今度は達也がファーストへの悪送球。

8回には達也の悪送球。

打撃は問題なさそうだが、守備の連係プレー、個々の守備は大丈夫なのだろうか。


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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/23 21:15  No. 21    
       
開幕戦から絶好調のライオンズは開幕7連勝で現在パリーグ単独首位となっている。しかし、セリーグでも同じ事が起きている。阪神タイガースと読売ジャイアンツだ。この2チームの直接対決はまだないが両チームとも7連勝で首位となっている。阪神は今年のストーブリーグで目立った補強もないが力を出している。

パリーグ2位には千葉ロッテとなっている。4番の櫻井風真やエース藤沢、ルーキーの小南や四田の活躍もあってのこの成績だ。櫻井は怪我の影響でショートからレフトへコンバートしたが去年は46本の本塁打を打ち本塁打王を獲得。その前のシーズンには148という今岡誠の147打点を抜く驚異的な打点を残し打点王、走っては35盗塁とトリプルスリーにもっとも近いと言われている。

2日後に日本ハムとの3連戦が終了する。あと2つ勝てば開幕9連勝だ。

明日の試合の先発は四夜ヶ嶺となった。
1試合に登板しもちろん1勝。

一方、打線は開幕と変わらず進んでいる。嵯峨峰は6本塁打、藤ヶ谷は10盗塁、銀宮寺は打率4割2分3厘で首位打者、キリシヨンは10本塁打で本塁打王とレギュラー陣があっとう的な数字を残している。多くの野球評論家が今年は西武が優勝すると予想していた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/23 21:21 修正1回 No. 22    
       
優勝へ向け、開幕9連勝としていた西武だが10連勝をかけた試合でついに負けてしまう。

そこから、地獄が始まってしまった。




ある日の朝、寮の食堂のテレビにスポーツニュースが流れていた。
朝ごはんの食べ時なのでそこにいた若手選手達はその番組に目を向けた。


「え〜、続いてはライオンズです。開幕9連勝としていた西武ですがここのところ6連敗となっております。では昨日の試合です」

と、西武は6連敗していた。そして、昨日の試合の様子がテレビに映し出される。


まず1回の表、ライオンズの先発は先日一軍登録された内木が3者連続三振とする。

打線は3回に嵯峨峰とキリシヨンの2者連続本塁打で2対0と今回の相手の千葉ロッテを攻め立てる。


内木は7回1失点という結果でマウンドを降りた。だが、8回、ストッパーの涌井が5失点。
内木のプロ初勝利の権利は消え、次へお預けに。
最終的に6対2で西武は7連敗。つい最近まで1位だったのがついに4位になってしまった。現在の1位はイーグルスだ。




そして、今日の試合、先発は王城。だが、エースの王城も1勝3敗と波に乗れていない。



この日は札幌ドームで対ファイターズ戦。
現在2位で首位楽天とは2ゲーム差となっている。

試合開始15分前、オーダーが発表された。

魁は2番、達也は7番といつも通りの打順である。


そして試合開始。ライオンズの1番は藤ヶ谷。

(ここのところ打率は2割だっけな…今日の試合で2割5分ぐらいまで出来るならもっていきたい…好球秘打で行くかな)

藤ヶ谷はとにかく打ちごろの球だけに狙いを決めた。
一球目、日本ハムの先発二階堂零(ニカイドウ レイ)は右腕から自身の決め球であるフォークボールを投げる。

それに対し、藤ヶ谷は甘いストレートと確認した。
だが、突然落ち空振り。

(くっそ…初球から決め球かよ…。次何来るかわからねえじゃねえか)


2球目、またもやフォークボール。だが、藤ヶ谷はフォークを狙っていたため、ジャストミート。

打球は小さな弾道で右中間へ。

快速を飛ばした藤ヶ谷はあっという間に三塁ベースに到達。さすがチーム1の俊足だ。


(よし! いいぞ藤ヶ谷さん!)

と、魁は藤ヶ谷を褒めたところで、

(この場面…絶対に藤ヶ谷さんを返さないと…)

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/23 21:26  No. 23    
       
点が欲しいこの場面、魁は犠牲フライを狙おうと決めた。だが、二階堂もそう簡単に打ち上げれるボールを投げるはずもなく厳しいコースに変化球を連投する。
(くっそ…これじゃフライも打てないじゃんか…それなら…)


魁は秘策を考える。タイムを取りベンチに戻って渡辺監督と相談を始めた。


「……という事なんですけど…どうです?」

「むぅ…まあいいだろう。藤ヶ谷に伝えてくれ」

魁は藤ヶ谷にもその案を伝え打席に戻った。


(厳しいコースをカットしたら相手はイライラして甘いボールを投げるはず…じゃあ甘い球だとわかったら俺はバントする自信がある…それを上手くつかって…)


(あいつにそんな小技が出来るのかよ…甘い球だったら走れって…まあ、いざとなりゃホームスチールでもすりゃあいいか)


そして一球目、厳しいインコースに来た速球を魁は上手くカット。
2球目、次は高めのボール球。これを見逃し2ストライク1ボール。

この後、3球続いてカットし二階堂のイライラもそろそろ頂点まで来た。

(しつこいって! この野郎! いい加減三振しろって!)

怒りを爆発させて投げた球はかなり甘い直球。これを見て藤ヶ谷はスタートを切る。
魁はバントの構え。スクイズだ。

軽くバットの木の音がし、スクイズは見事成功。
「ははっ! 上手く決めやがった! あのクソ兄貴!」

魁はアウトになったが藤ヶ谷が本塁へ見事帰還。
一点を先制した。続く3番銀宮寺は初球、甘く入ったカーブを引っ張り3塁線ツーベース。
もう一度チャンスをつくりバッターには4番嵯峨峰が入る。
嵯峨峰はここ最近好調だがチャンスではあまり打てていない。

このチャンスを物する事が出来れば先発の王城に最高の援護が出来る。ここでもう一得点とっておきたい。

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/23 21:29  No. 24    
       
(しかし、この人…)

二階堂は嵯峨峰に威圧を感じていた。だが選手としてではない。人としてだ。

(顔怖すぎだろ…投げるのが怖いや…)

だが、ある意味効果があるのかもしれない。

そして、嵯峨峰も二階堂に悲しみを感じていた。

(こいつ…なんども対戦したけど…)


(相変わらずイケメンだなぁ…顔見たくない…)


なんなんだよこいつら。

この対戦、二階堂は逃げまくりボールを連発、嵯峨峰は何も考えず大振り。

結果、二階堂が勝利した。


この回、追加点はなくライオンズナインは守りに就く。
ピッチャーの王城は、(ふっふーん、今日は調子がいいなあ。今のうちにヒーローインタビューの内容考えよっかなあ! ふふふ!)

調子にのっていた。駄目だコイツ。



一回の裏は王城が三者連続三振で占める。
そして試合はそのまま7回まで進む



いつもここまでは良かったのだ。しかし、この後がダメなのである。


(はあはあ…やばいよやばいよ…インタビューとか考えてる暇ないよ…)


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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/23 21:31  No. 25    
       
いつもイケメンな王城の顔はまったく違い、かなり焦っているようだった。
焦っている顔はベンチにいる西武首脳陣や、スタンドの西武ファン、そしてライオンズの選手達も同じだ。

(王城さん…いい加減に本気になってくれないと…)

王城はインタビューのためだけにいまだ本気を出していない。
王城の力なら本気を出さなくても抑える事は出来るが今はそうもいかない。


(本気は出しちゃ駄目だ! 力を出さずに抑えるんだから…そうじゃなきゃ…)


ノーアウト一三塁。ヒットが出れば同点。危うくば逆転されるかもしれない。

ファイターズ5番、中田翔に対しての第一球。30%の力でストレートを放る。
これを中田は鋭いスイングで迎え撃ち、レフト後方へ。

「うわあ!」

スタンドの西武ファンからは悲鳴が飛び立つ。

だが、打球はギリギリポール側に切れてファールボール。

(王城さん…頼みます…本気で…)

だが、王城はサインも見ず、ただ自分勝手にボールを投げた。
その結果、ジャストミートされライナーでセンター前に抜けるかもしれない当たりとなってしまった。

しかし、点はやるまいと魁がダイビングキャッチ。投げれない体制だったため、達也にボールをトスし魁は立ち上がる。

まず、サードに送球。サードランナーはアウト。
そして、ファーストに送球しアウト。

トリプルプレーが生まれたのだ。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/27 17:30  No. 26    
       
「よしよし、よくやってくれた!次も頼むぞ魁!」

魁がベンチに足早に退散すると渡辺監督は手を拍手しながら魁を褒めた。

「いやいや…たまたまですよ…いい送球をした達也のおかげでもあるし…」

こう話している裏では今日の試合の銀宮寺と王城がベンチ裏でとても暗い空気で話をしていた。
「王城さん…お願いですから本気で投げてください…チームのためです」

「嫌だね。本気を出すのは最後だけさ。それに、本気じゃなくても無失点に抑えたじゃん」

「ですが…」

ベンチ裏での会話はすべて7回裏の守備の時の出来事についてだった。
「王城のサイン無視」 捕手である銀宮寺もなんとか怒りを抑えながら王城と話している。

「まずさ。俺が本気じゃなくても抑えられるでしょ。サインだってなくていいよ。司っちはボール捕ってくれればいいし」

「王城さん! そんな言い方ないじゃないですか! あんたチームのエースじゃないでしょ!? あんたが考えてることぐらい大体わかる! 自分の計画を遂行するんじゃなくてチームの計画を遂行するのに協力してくださいよ!」

銀宮寺は王城の胸ぐらを左手で掴み片方の右手で殴ろうとしていた。
王城の発言に対し、これは相当ムカついたようである。


「おいおい、そんな事していいの!? エースのこの俺にさ! そんなことしたらお前、どうなるかわかってんのかよ」

これには銀宮寺は渋々手を離した。だが顔を見ると怒りは収まっていない。
いまにも逃げ出したくなるような顔で王城を睨みつける。
そして、銀宮寺はベンチに戻っていく。

「なあ、司っち。俺はさ。お前に投手のわがままを聞いてほしいんだよ。投手のわがままを聞くのも捕手の役割だと思わねえか? それが出来る捕手と俺はバッテリーを組みたいな。まあ、俺はお前と一番バッテリーを組みたいけど」
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/27 17:35  No. 27    
       
このイニングの先頭は7番の達也から。トリプルプレーを決め、チームの気分は現在最高だ。この回、先頭の達也がなんとか塁に出てチャンスを広げたい。

そして、達也に対する第一投。投手の二階堂はカットボールを投げ込む。
ストレートと認識した達也はそれをフルスイング。
しかし、ボールは達也の手元で急激に変化する。
バットにボールが当たったものの、打球は鈍く二遊間へ。

ショートの大引はそれをしっかり捕球するが達也の足の速さに負け内野安打となる。

「っし!」
達也は塁上で小さくガッツポーズを決める。
そして、バッターは8番ライトで先発出場の天野要。

そして、ベンチは初球から動いていく。

二階堂が投球モーションに入ると達也が走り出した。

天野はバットを振った。
エンドランで一気にチャンスを広げよう。 そうベンチは考えたのだ。


打球はレフト前へ。達也は一気に三塁へ。天野は一塁でストップした。

エンドランの成功で球場の雰囲気はヒートアップ。
ベンチは再度動き審判に代打を告げた。

その選手は高卒プロ23年目の大ベテラン新美伸太郎 ニイミ シンタロウ。
古くからチームを支える代打のスペシャリストであり、阪神タイガースの代打の神様であった桧山進次郎氏のような存在。

「バッター、佐東に代わりまして新美。背番号35」

新美の「に」が発言された瞬間、西武ファンの盛り上がりは頂点に達した。

(俺はまだ0打点…俺だけ遅れてる…俺はまだ出来るんだって事を証明してやる!)


それは、大ベテランとしてのプライドの表れだった。
この歳になると毎年のように引退のピンチが訪れる。
ここで打点を挙げそのピンチを吹き飛ばしたい。


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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/27 17:41  No. 28    
       
しかし、その瞬間、選手交代がウグイス嬢の口から出た。

「ファイターズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー、二階堂に代わりましてライトの大谷がピッチャー。ライトには…」

ライトから球界の二刀流、大谷翔平が走ってくる。マックス160のノビのある速球に新美は対抗出来るのか。


「ストライク! バッターアウト!」

大谷の球にまったく手が立たず新美は三振。ベンチに戻ると自分がスタメンで活躍していたころを知る渡辺監督に「もう、俺むりかもしれませんね…」といいベンチに座った。


打席には一番の藤ヶ谷が入る。初球、天野が走り盗塁成功。

(よし、ここは俺が一発…)
そう思っていたら捕手が立ち敬遠。
「なんでだよ!」
藤ヶ谷がそういうと審判に鋭い目つきで睨みつかれ、「あ、すいませ〜ん」と足早に一塁ベースに向かった。

しかし、ここで一番ムカついているのは2番である魁。
一発打ち、自分は出来るんだぞ! という事を証明したい。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/11/27 17:43  No. 29    
       
その光景を、一塁アルプスからある一人の男が見ていた。

「うっわ…この場面で伊藤かよ…終わったな…」

魁に対して否定的な発言をするこのピンク色の髪の毛をしたこの男。
一体何物だろうか。

(ここは…ゲッツーを狙いに来るかな。んじゃあインコースか…)

魁はインコースに狙いを決め、構える。
スタンドからは自身の応援歌であるゴールデンボンバー今夜も眠れない(病的な意味で)の替え歌が歌われている。

そして、大谷、大嶋のバッテリーはインコース高めにカットボールを投げ込む事に決めた。
投球に入り大嶋はインコース高めに構えると注文通りにそこに来た。
魁にとっても注文通りだが少し違う。

(うっし、狙い通り…!?)

打球は鈍い音をしてピッチャー前。達也と大谷の競争となった。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/01 21:46  No. 30    
       
大谷がボールを捕ると達也はヘッドスライディングの体制に入った。

そして、思いっきり達也が滑ると大谷からトスされたボールが入るグラブを大嶋は達也をタッチ。

判定はとても難しい判断が必要なほど際どい。
達也としてはセーフと思っている。

だが、主審の声から出た言葉は、「アウト!」という声だった。


この判定がされると西武ファンはがっくりうなだれる。達也も下を向き悔しがっていた。

「くっそ! あと少しだったのによ!」

ヘルメットを放り投げ、悔しさを前面に表す達也を見て魁は非常に申し訳なくなった。


そして、バッターは今誰よりも気合いが入っているであろう人物、銀宮寺司。
打席に入る。


打席に入る前、ネクストではこの言葉の意味をずっと考えていた。

「投手のわがままを聞くのも捕手の役割だと思わねえか?」


一体どういう意味だろう。わがままを聞くにはどうすればいい? 捕手の役割? まったく理解できない。


そんなまま、打席に入った。


打席に入ってもあっという間に追い込まれる。
集中力がないせいだ。

(俺はなにしてんだ…ちゃんとやれよ…)

そんな時、王城のいつもの様子を思い出した。

(そういえば、あの人が言う事って…なんだかおかしいんだよなあ…全球ストレートとか言ってスクリュー投げたり…って事は…あの言葉…)

そう、嘘かもしれない。ストレートといってスクリューを投げるのは銀宮寺のキャッチング技術を上げる事が出来る。
だとしたら、今回の事は王城がしくんだ銀宮寺を最高の捕手として目覚めさせる一つの計画なのかもしれない。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/04 20:44  No. 31    
       
(そう信じるかな。よし、打とう)

自分の勘を信じ、気合いを入れる。
鬼のように鋭い目つきで大谷を睨み威圧を与える銀宮寺。
大谷も睨み返し捕手の大嶋は唾を深く呑み込んだ。

一方、ベンチ前で投球練習をしていた王城は捕手の宮古都那珂に練習を終わると伝え銀宮寺対大谷の対決をじっくり眺める。

(ありゃ、気付いたかなあ。まあいっか)


ツーアウトニ三塁。ツーストライク。
1点差でなんとか点がもう少し欲しい場面。
球界ナンバー2の捕手、銀宮寺司は思いっきりスイングした。

一方の球界の二刀流、大谷翔平は160`を超えているであろうストレートを投げ込んだ。


あっという間にホームベースに届く速球に最強のアベレージヒッターである銀宮寺はミートした。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/07 14:59  No. 32    
       
打球はかなり低い弾道でライト線へ。
ライトの嵩端葉吹(タカハタ ハブキ)はダッシュで落下地点まで走る。


(もうちょい? ちゃう! もっと前や!)

と、頭で考えて突っ走る。

(ああ! 行きすぎや! もうわからん!)

端は落下地点から1mは離れたところまで走ってしまい、打球を後ろへ逸らした。

「ああ! あのバカ! 何度も打球は後ろにそらすなって言ったってのに…」

去年からファイターズの監督に就任した金子誠はそう呟く。
その間にも、俊足の魁、藤ヶ谷、天野はホームに戻り4対0。
銀宮寺はただ走る。
ボールが内野の中継に渡ったところで銀宮寺は3塁とホームの中間。
ランニングホームランを狙っていたのだ。

(行ける…行ける…)

そう自分に言い聞かせホームベースに向かってスライディング。
足には大嶋のタッチが来る。

そして、主審から出た言葉は…

「セーフ!」

という言葉だった。


「うっしゃああああ!」

普段静かな銀宮寺も思いっきり叫ぶ。
ベンチ前に出迎える選手や監督は魁や藤ヶ谷にハイタッチする。
銀宮寺も同じだが、最後の人物とのハイタッチは違った。

王城が出迎えると銀宮寺は目を合わした。
銀宮寺が笑顔を見せると、王城は最高の笑顔を銀宮寺に見せた。
「これで信頼出来る…」

銀宮寺とハイタッチした後王城は小さく呟いた。

試合はそのまま西武が逃げ切りようやく連敗を止める事が出来た。
新美が試合後、会見を開くという事を渡辺監督に知らされた。その事を選手達は小耳に挟むが大して気にせずホテルへと帰省。

そして会見。
最初に出た言葉を悲しすぎる言葉であった。


「引退します」
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/09 18:59  No. 33    
       
一方、今日のヒーロー銀宮寺はホテルから少し離れた飲食店で王城、藤ヶ谷と話していた。
すると、藤ヶ谷のスマートフォンに連絡が入る。

「…んあ? 新美さんからだ。ちょっとトイレ行ってきます」

藤ヶ谷は席を立ち化粧室へ向かった。


「はーい、藤ヶ谷でーす。………はぁ!?」


藤ヶ谷が電話に出ると新美は突然引退すると言ってきた。当然驚いてしまうだろう。

「そんな……えっ!? わかりました…はい。では…」

今回の電話は1分程で終了。引退することは話していいと言われた。すぐに王城と銀宮寺がいるテーブルに戻りその事を話す。

「…という事だそうです。今年は優勝しましょうね」

「あの人もついに…か。ま、歳だししょうがないね」

「そうですね。それじゃ、今日はここらへんにしときましょうか」

3人は会計をすませ、札幌市内のホテルへ帰宅。
次の試合に備え準備した。


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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/10 20:47  No. 34    
       
魁達が宿泊するホテルに、先ほど、札幌ドームで魁に否定的な発言をした男が到着。
どうやら同じホテルに宿泊するようだ。

「ふー…疲れた…こんなとこがホテルだったなんて…」
札幌ドームからこのホテルまでの行き方が分からなかった様子。方向音痴のようだ。

「おいおい零斗。あんぐらいで疲れたの? スタミナないなあ。今から走りに行くか?」

「バカ言ってんじゃねえよ。この俺桜咲零斗(サクラザキ レイト)が疲れるわけないだろ。さっさと部屋いくぞ」
ピンク色の髪の人物の名前は桜咲というらしい。
地面に置いた荷物を肩に持ちエレベーターに向かっていった。

「おーい、玲菜。何してんだ。早く行くぞ」

「ちょっと待て零斗。札幌ドームまで走るんじゃ…」

こちらの男のような口調の女性は玲菜(レナ)というようだ。

「バカ。お前だけ行け。俺は眠いんだ。もう寝る」

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/13 16:15  No. 35    
       
次の日の朝、魁はホテルのバイキング式レストランで桜咲と玲菜にばったり会ってしまった。

「あー! チャンスで凡退の伊藤だ! ライオンズの伊藤だ! 打てない癖に金貰ってる給料泥棒伊藤だ! 玲菜、伊藤だぞ! 昨日俺が野次った伊藤だぞ!」

「おい、うるさい。打てない伊藤に聞こえるだろう」

これに対し魁は何も返す言葉が出なかった。
そこに、嵯峨峰や王城、達也などが来ると桜咲の発言はヒートアップ。

「お…今度は怖い顔の嵯峨峰と昨日調子に乗ったピッチングしてた王城! それと打てない兄をもつ打てないし守れないし投げれない伊藤の弟伊藤達也! こんなチームメイトじゃそりゃダメダメだよな! ぎゃははははは!」

「おい、零斗。それは何でも言いすぎじゃ…」

すると、達也は右腕で殴る構えを見せると一言「兄貴をバカにするやつは許さねえ」と言い桜咲に拳を振りぬいた。

「バカ、やめろ!」

そう叫んだ魁が達也の拳を間一髪で止める。


「何やってんだ…そんな事して、試合出れなくなったらどうすんだよ…」

その魁の言葉をしっかりと理解した達也は魁に謝った。

「お前…野球選手だよな? なら…俺と勝負しやがれ」

「は? 何言ってんだよ。あんた投げれないだろ? 勝負なんかしねえよ」

達也は桜咲に勝負しろと発言した。
桜咲の言うとおり達也はあまり投げれない。
勝負をしても桜咲の勝ちが少し見えている。

「大丈夫だ。俺の肩はもう治った。何なら、今日の試合、登板してやろうか?」

「へぇ…おもしろい。やれるもんならやってみろ」
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/15 11:39  No. 36    
       
朝食を済ませた後、先ほどのメンバーで、少し大きな公園へ向かった。

「勝負は3打席。2回勝ったら勝ち。これでいいなクソガキ」

「あぁ。いいよ。さあかかってこい」

すると桜咲は左打席がある同じところで構える。
右腕を達也に向かって伸ばし、その右腕に左手を添えた。まるでイチローのように。バットも達也に向けとても憎たらしいフォームだ。

「のやろ…」

達也は久々に振りかぶった。以前とまったく同じフォーム。かなりの間、投手をやっていないのにフォームが崩れていないのはとても凄い事だ。

初球、以前は投げていない、この球を投げ込んだ。

(うぉ!)

桜咲は驚いたが普通に反応。バットを振りファールとした。

「ほう…パワーカーブか…」

(あんとき藤野に教えてもらってよかったぜ…)

藤野とは達也が風上高校時代、共に戦った一年生エースである。
その藤野の決め球を習得していたのだった。


(次は何かな…確か、スライダーとSSF…それと剛速球が持ち味…だけど…)

そう考えた後、桜咲は誰にも聞こえない声でボソッと呟やく。

「余裕だね」


二球目、一番自信のある球ストレートを投げた。

「速っ!」

魁はそう大きく言った。達也のストレートは長谷川の打球が当たり怪我する以前とほぼ同じスピードが出ていた。

しかし、桜咲はこれを笑いながらスイング。

「はははっ!」

快音が鳴り達也の頭を大きく超えた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/18 18:34  No. 37    
       
センター前と同じコースに打球は落ちる。
センター前ヒット。

「ダメだね、ありゃ。以前のノビがないよ。こんなんじゃ、勝てないだろうね」

達也の高校時代を少し知っていた王城はそう隣にいた魁と嵯峨峰に言った。

「投げ方も野手投げ。多分、ショートをずっとやってたから投手の感覚を忘れたのかも。やり続けたらまた肩壊すよ」

すると、隣に居た玲菜が「それなら、もうここまででいいだろうか。伊藤達也に怪我させる訳にはいかない。それに、あんな棒球じゃどちらにしても零斗は勝つ」


玲菜の声が大きかったようで達也と桜咲にはかなり会話が聞こえていた。

「…ちょっと待てよ…棒球だと? それじゃ俺と勝負しろ! 絶対に打ち取る!」

「無理だって。玲菜は今一番プロに注目されてんだぞ。高速スライダーを決め球とする光都区のエース、赤城美鈴(アカギ ミスズ)の双子の妹でバッテリーも組んでるんだそいつは。マスコミでは大騒ぎなんだぞ? 高校通算59本塁打のこいつと勝負してもお前は負ける。わかったろ?」


桜咲の説明を聞き達也は…


「おもしれえ…」
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