プロローグ 名前:夕焼けごっこ 日時: 2012/07/21 17:53 No. 2
|
|
桜舞う四月。 某プロ野球球団の敏腕スカウト影山秀路は、将来自分の球団の戦力になる高校生を探っていた。
去年はだめだった。
外れ1位で150キロ剛腕の高校生を1位指名したが、当分は戦力になりそうもない。
だから、今年は成功させなければいけない。
だが、影山は今年新しく高校生になったばかりの選手チェックしていた。 なぜなら、この世代はスカウトの間では黄金世代 と表現されるほど、将来のスターがゴロゴロいるからだ。 この世代のドラフトを成功させた球団が黄金期を築くとまで言われていた。
「うむ…猪狩守君はあかつき大付属か。 あそこは名門だからな。おそらく大き く育つだろう。」
猪狩は、SからGの8段階評価のうちの数少ないSの選手だ。 おそらく、猪狩が一番人気だろうと影山は踏んだ。
「川上君は・・・あった。 恋恋高校?聞いたことないな。 『私立恋恋高校。 東京にある俗に言うお嬢様高校。 一昨年から共学になった。』か・・・。 チェックしておくか。」
他球団の川上に対する評価は、EからGの間だ。 打者転向して間もない選手が評価してもらえるかというと、全中の地区予選でまだ1本のヒットを許していなかった猪狩から、決勝戦で、ホームランを放ったからだ。 川上のチームは敗れたものの、彼の潜在能力の高さに目を付けている球団も少しはいた。
だが、影山の評価はBだった。 影山は、彼のスイングスピードに目を付けた。 おそらく、彼のデータの中では、一番のスイングスピードを持っている選手だった。
楽しみだ。
そう呟いて、影山は席を立った。
|
|