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ロックされています  プロを目指せ  名前: 疾風騎士  日時: 2012/10/27 23:27 修正9回   
      
このHN、そして小説サイト…ずいぶん久々な気がする。正直半年以上のブランクは痛い、この小説はかつて、他のサイトで書いていたが閉鎖により保存していなかったため、残念ながらほぼ全ての話を消滅させてしまった…。
ならばここで書き直すまで…
※このスレでは私以外の書き込みを禁じます。

第1章〜氷水高校へ〜 >>1-30
第2章〜夏の大会編1年〜 >>31-65
第3章〜荻野中学編〜 >>66-82
第4章〜主戦力の穴と新戦力編〜 >>83-100
第5章〜2年生編〜 >>101-
記事修正  スレッド再開
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/01/05 00:27  No. 100    
       
第100話〜助言〜

「Though it is thought that it knows if it knows me. I have received Tommy John surgery before.
And, though it heard from Eric … When you ..calling certain kurenai.. also receive Tommy John surgery, and remodeling the form that caused the injury started.
(私のことを知っているなら、知っていると思うが。かつて私はトミー・ジョン手術を受けたことがある。
そして、エリックから聞いたが…確かクレナイと言ったね、君もトミー・ジョン手術を受け、怪我の原因となったフォームの改造に入ったと。)」
パトリックは手術痕の残る右肘を紅に見せる

紅は縦に頷き肯定の返事をする。
そして、パトリックに言われたとおり今まで通り模索中のフォームで投げてみる。

「Indeed(なるほど)」
パトリックは紅の肘を指差しながら

「Because eaves are thrown out in the fear of the injury of a right elbow, power is not transmitted to the ball. Shake the arm without fearing it to one's heart's content. I will hurt the shoulder and its waist again as it is
(右肘の負傷を恐れて庇って投げているから球に力が伝わらないんだ。恐れずに思い切り腕を振ってみろ。そのままじゃあまた肩や腰痛めるぞ)」
パトリックは紅に檄を飛ばす。

紅は頷き不安になりながらも思い切り腕を振り投げ込んでみる。すると、先程までとは比べ物にならないぐらいのボールがネットに突き刺さる。

「『なんだ?これは…なるほど、ビビっていてはダメなのか…まさか、パトリックからアドバイスもらえるとは』」
紅はフッと笑みを浮かべる

パトリックは驚きながら紅を見る。
今後、紅は努力を積み重ね日本へ帰っていくのは先のお話。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/01/05 02:04 修正1回 No. 101    
       
第101話〜レギュラー陣〜

時は程よく暑い5月から夏本番の7月に飛ぶ。
暑いが夏服になるため、男子高校生のとってはある意味至福の季節かもしれない。
紅がアメリカでリハビリを続けている最中、日本では夏の大会が始まろうとしていた。
今年の氷水高校は1回戦からの登場である。
また、レギュラーはこのようになった
1黒木
2吉村
3諸口
4橘
5蓮本
6池田
7稲本
8荻野
9松井

荻野は手渡されたレギュラー番号の8を見ると笑みが零れ出る。

「ちぇ、荻野先輩もレギュラーか〜まぁ俺も勝てなかったし仕方ねぇか。」
松井は安心しきってる荻野を現実に戻すかのような口調で言う

「ま、まぁ…君もレギュラーに選ばれたしいいじゃん。そこは…僕を蹴落とす気でいたのかい?」
荻野は少し言葉に詰まる

少し間を置いて松井は口を開く
「入部の時にイキってあんたに負けないって宣言しちまったからな。それに8番取られたのが悔しいっす。次こそは負けません。」
松井は自分のレギュラーポジションであるセンターを取られた悔しさを露わにする。

「うちらは2回戦からの出場だが"氷水"高校としての夏は今年で最後だぞ。来年度から比叡国際高校と名が変わるんだからな。で、オーダーは…今から伝えておくぞ、1番セカンド橘!2番センター荻野!3番ショート池田!4番キャッチャー吉村!5番ライト松井!6番サード蓮本!7番ファースト諸口!8番ピッチャー黒木!9番レフト稲本!基本的このオーダーで行くぞ、橘!荻野!お前たちの快足コンビを見せてみろ!」
大橋は檄を飛ばす。

そう、氷水高校は来春を持って学校名が変わる。元々留学制度はあるが、留学制度を格段と強化するために学校名そのものをかえるということらしい。

「すげーじゃん!ルナ!1年ながら4番ってさぁ!」
蓮本は目を輝かせるように吉村の肩を揺らす

「やめろ、トシ。別に自慢するほどのものでは…まぁ任されたからには期待には応えてみせるがここで、1年で4番だからって自分に自惚れないことだ。大体最近1年から4番とかエースとか騒がれた奴で大勢したやつなんて、あんまいないんだ。縁起のいいもんじゃねーし、自惚れたらそこまでだ。じゃあな、トシ」
吉村は4番に選ばれてもそこまで喜ばずに、練習が終わり下校時間になると蓮本と軽く会話して帰っていく。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/02/23 17:20  No. 102    
       
第102話〜池田と荻野〜

金属音と金網に白球が当たる音が一定のタイミングで聞こえてくる。

「いいぞ、オギ!強く振れるようになってきたじゃないか。後は実践で結果を出せるかだけだな。」
池田は荻野にボールをトスしながらしゃべる

「…ありがとございます。まぁ実践で結果出てないんで、野球が甘くないのは、僕もわかっていますけどいい加減欲しいですからね。」
荻野は少し間を置いてから口を開きながらトスされた球を打つ。

「おいおい、お前にしては冷たい反応だな。まぁいいけど。」
池田は荻野の反応にやや呆れる

「…まぁあの時は軽く流すようにやってた自分が悪いし、ヘラヘラしてた僕が悪いんで怒られて当然ですけど、正直あの時はそこまで言うかって思いましたし、言っちゃあ悪いですけど頭には来ましたけど、結局のところ僕が悪いことには変わりないので、まぁ僕のタメを思って言ってくれたのはありがたいんですけど…。それに完全に嫌ってるなら、池田さんと練習後に2人でこうやって練習はしませんよ?」
荻野は池田のことをどう感じているかはっきりと言うが、自分のために言ってくれたということは理解してはいるようだ。

池田は舌打ちしそうなのを我慢しながら
「ずいぶんとはっきりと言うな…お前。まったく…。まぁいい、そりゃあ言いたくなるわ、持っているものはいいのに全然それを生かせてないし、生かす気もないからな。その上熱意というか執着心っていうものがないからな!
俺みたいな小粒な選手からしたらお前の能力が羨ましいよ。っと、そろそろ時間か。ボール片付けてラーメンでも食って帰るか。」
池田はフッと笑い散らばったボールをボールケースに片付け始める。

「『羨ましい…か。』そうですね。行きましょう!」
荻野はバットケースにバットをしまうとボールも片付け始める

片付け終えると駅の近くにある夜遅くまでやっているラーメン屋に行く。

「まぁいつものにするか、オギお前もそれでいいだろ?」
池田は荻野に確認を取る

「あっはい、それで。ところで、ここの野球部って何故かラーメン好き多いですよね。僕も好きですけど。」
荻野はふと疑問に思う。

「ん、そうだな…
ところでオギ、話結構変わるけど。お前は将来プロ目指さないのか?」
池田は荻野に聞く

「プロですか…?…正直まだ考えたことないですね。」
唐突に来た池田からの質問に荻野は驚く
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/02/28 18:58  No. 103    
       
第103話〜池田と荻野〜

池田は荻野の一言を聞くとフゥーと息を吐く
「…そうか、だがまぁ正直に聞こう。お前将来何をやりたいか、考えたことあるか?」
池田は荻野に質問を続ける

「…まだ、僕はそういうのも考えたことないです、今の高校生活が楽しくてそれ以外はまだ、将来どういう仕事をやりたいかどうなりたいかとかはまだ…」
荻野は苦笑する

「フッ、そうか…わりぃな先生見たいな質問して。
でもまぁ…なにになりたいか?は考えておけよ…お前が今後どうするか知らんが2年次までにはある程度決めておいた方がいい。…俺は質問を受け付けるのが苦手だから聞かれる前に答えておこう、俺はここを卒業した後は就職するつもりだ、俺の頭では行ける大学なんてたかがしれている。ならば就職したほうがいいからな。」
池田が荻野と話していると注文したラーメンが運ばれてくる。

「そうですか、就活…大変でしょうけど頑張ってください。」
荻野はそう言いながら笑みを浮かべる

池田はフッと鼻で笑いながら
「男に満面の笑み浮かべられてもあまり嬉しくないが…お前やカズは笑顔がガキそのものだな…。まぁありがとよ…。
…オギ!明後日からの大会。勝ち進むぞ!だからお前たちの力も貸してもらうぞ!お前とカズで快足野球を魅せつけてやれ!」
池田は目に力を入れるように言う。普段はチームを引っ張りながら気合を見せているが、池田の口からここまで言うのは今回が初めてだろう

荻野はラーメンを食べる手を止め
「…はい!わかっています。その、実践であまり結果が出てないのが僕自身あれですけれど…とにかくヒットじゃあなくても塁に出て…僕とたっちーで掻き回せたら…」
荻野は照れくさそうに言う

「…何故照れくさそうにする?まぁいい。それと6月末からお前の練習に付き合ってあげたが、お前もわかってると思うが、俺もあの練習だけではすぐに効果が出るとは思えない、効果が出れば儲けモン。と俺は考えている。だから焦るなよ?焦ってフォーム崩したらそれこそ意味がなくなるからな…。結果は自ずとついてくる。だから結果が出なくても焦るな、お前ができることをしっかりとやればそれでいい。」
池田はそう言い終わるとラーメンを口に運ぶ

池田の荻野の未知なる才能開眼に対する期待は計り知れない。
そして池田の最後の夏がもうすぐ始まる…。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/03/12 11:51  No. 104    
       
第104話〜苦しむツバメ〜

時期は6月下旬へと遡る。

「ハァハァ…」
1人の若手選手は大量の汗を書きながら苦しそうに練習メニューを消化してた。その選手はルーキー白瀬淳である。


若きツバメ達は苦しんでいた。
先発ローテーションが早々と崩壊し学徒動員状態が続くヤクルトスワローズ、その中に白瀬も駆りだされていた。

白瀬は甲子園未出場ながらヤクルトスワローズにドラフト1位で指名された逸材だ、故障した澤田の代役という声が大きいが実力は同等と考えたのだろう。

しかし、白瀬はここまで1軍で8試合投げて6度の先発、2度の敗戦処理を経験しているが結果は0勝7敗 防御率16.80と散々たる成績。
ファンやメディアからは高卒ルーキーを潰す気か!とヤクルトの首脳陣に批判が相次ぐ。

球団側も代わりがいるのならかえてやりたいのだろうがけが人が多い現状のヤクルトでは2軍に白瀬以上に勢いのあるボールが投げれる投手がいないのだから仕方ない、とはいえ、首脳陣も白瀬自身も辛く苦しい状況には変わりない。

「『…くそっ、どうして投げる球全てが打ち返され読まれているんだ?…なんでだよ…』」
白瀬は自問自答しながらショートダッシュを繰り返し、走り終えると苦しそうな顔をしながら青く光が照りつける空を見上げる

練習後白瀬は監督の古田に呼び出される。

監督室のドアをコンコンッと丁寧にノックする。

「ん、どうぞ。入ってくれ」
古田はドアを叩く音に気付き声をかける

「あ、はい…。失礼します。」
白瀬はやや緊張しながら入る

緊張した顔のまま監督に話しかける
「あの古田さ…古田監督、話とはなんでしょうか?」

「白瀬くん、君とは試合の時とは話してなかったね…。君の投げる球一つ一つはどれも素晴らしい、高卒とは思えないよ、君と組むのは正直楽しさを感じられる、将来どんな投手になるのかな?ってな」
古田は緊張している白瀬をほぐすためかいきなり白瀬を褒め称える

「は、はぁ…ありがとうございます。ですが…」
白瀬は照れながら言い方後古田が口を開く

「そう、しかしながら結果は出ていない、投壊しているチーム事情もあり結果が出てなくてもいてもらっているが…明日の巨人戦、結果次第では戸田に行ってもらうぞ!」
古田は強い口調で白瀬に言い放つ。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/03/12 15:17  No. 105    
       
第105話〜白瀬対巨人打線〜

やや薄暗くなってきたがまだ日中のジメジメした暑さが残っている神宮球場、今日は巨人との1戦である。

「ピッチャー、白瀬淳背番号67」
ウグイス嬢が白瀬の名をコールする。

白瀬の名がコールされると失望するファンの声がちらほら聞こえてくる
「んだよ…またこいつかよ…いい加減落とせ古田ー!」 「外人獲ってこいよ!いい加減まともな投手をだな…」 「実力もなんもない無名をドラ1でとるからだ!」
やはり白瀬や首脳陣に向けた野次が多い

「『…やはりファンは手厳しいな…』」
白瀬はベンチ前で軽く身体を動かている白瀬の耳に野次は聞こえてくる

「淳、気にするな。結果は出てないのは事実だが…今野次ったファンを見返してやれ、な?」
宮本は白瀬の肩をポンと叩き白瀬を慰めるかのように言う。

試合は始まり、白瀬はマウンドに上がり巨人の先頭打者が打席に入るのを待つ

「1番レフト矢野」

「プレイ!」
球審が試合開始の合図をすると白瀬は米野のサインに頷き第1球目を放る。

しかし、スッポ抜けてしまう

「『甘いぞ、ルーキー』」
矢野は白瀬が投じた外角高めのボールを捉える。

打球はライトフェンスに直撃し宮出がもたつく間に矢野は2塁へ進塁する。

「2番セカンド仁志」

白瀬は米野のサインに頷き投球フォームに入り、仁志に対し第1球目を放る。
白瀬が投じた変化球はベースの前でバウンドし、当然仁志もこれでは振らない球だ。
仁志は白瀬の内角高めのボールを強引に打ちに行きセカンド正面へ飛ぶ。

「『矢野さんには3塁進まれるが、これでまずは…っ』」
白瀬が安心しかけるとセカンドを守る田中はボールをファンブルしてしまう。

「わ、わりぃ淳…」
田中は少し申し訳無さそうにしながら白瀬に言う

白瀬は完全に巨人のペースに飲み込まれつつある
「『こんな大声援プロ初登板の東京ドームでは聞こえなかったぞ、なんなんだ…この威圧感は…。』」

「3番センター高橋由伸」

「『苦しい局面だが頑張れ、淳。』」
米野は白瀬の心境を察しながら白瀬にサインを送る。

白瀬は米野のサイン通りに投げるが、第1球目は大きく外れまずはワンボールだ。続く2球目はシュート回転しながら入った甘い球を捉えられ打球は勢い良く飛び、特大ファールとなるが、白瀬に精神的大ダメージを与えるには十分だろう。

「タイム」
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/03/12 23:16  No. 106    
       
第105話〜白瀬対巨人打線2〜

「タイム!」
米野が球審にいいタイムを取り白瀬の元へ内野陣とともに集まる

「ノーアウト3塁1塁か…厳しい局面だけど、踏ん張るんだ!淳!」
岩村は白瀬にロージンバッグを渡しながら言う

「…俺、怖いっす。何言ってるんだ?と思われるかもしれないですが…ここまでマウンドで怖いと思ったことはないです…。自分の実力が足りないことやここがプロってのも分かってます。それでも怖いっす…投げる球尽く弾き返されて…投げるのが…怖い。」
白瀬は珍しく弱気な発言をする。

白瀬の発言にマウンド上に集まっている選手は唖然とする。
真っ先に口を開いたのは米野だった。
「…淳、1軍でのマウンドや打席で結果が出なくて試合が怖い、試合に出たくないと思うのは多分結果でない人は誰もが思うことだと思う、俺もそうだった。その怖さに押しつぶされるか、その恐怖を乗り越えて前へ進むか…。打たれるのが怖いって思うなら…もう今は思いっきりがむしゃらに投げてこい!打たれたら俺が責任を取る、とにかくここは開き直って投げてこい!」
米野は軽く白瀬の胸を叩くと守備位置へと戻っていく。

「プレイ!」

「『開き直れ、か…確かに今はそれしか無いな…米さんありがとうございます。』」
白瀬はロージンを手につけ、米野のサインを見る。

「『だったら、今の俺のすべてがどこまで巨人に通用するか試してやる!』」
米野のサインに頷き豪快に投げ込む。

やや高めに浮くも高橋は見逃す。

「ットライーク!」

「『ようやくいい球が来たか…コントロールが暴れているが…打てない球ではない。』」
高橋は冷静に白瀬の球を分析する。

「『若い投手だから、荒々しく闘志剥き出しで来るだろうが…』」
高橋は白瀬が投げてくるのを冷静に待つ

白瀬の手からボールが離れ、高橋は読んだかのように直球を思いっきり振りぬく

高橋は打球を見ながらゆっくりと一塁方向へと歩き出す
「『だが、変化球が決まらない以上、直球に頼らざるを得ない…ならばこちらもそれに絞るだけ』」
高橋は喜びも最小限に抑え淡々とホームベースを踏む

白瀬の投球内容は6月らしい天候のようにスッキリしない投球内容だが、なんとかプロ入り最小の5失点に抑え、ラミレスの逆転満塁弾などで棚ぼたではあるがプロ入り初勝利を飾った。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/03/13 21:33  No. 107    
       
第107話〜戸田へ〜

白瀬はウイニングボールを持ちながら初勝利のインタビューに答え遅れてロッカールームへと戻っていく

「ヘイ、淳!初勝利オメデトウ!」
ロッカールームに入ると今日の勝利のヒーローであるラミレスが白瀬のことを歓迎する。

「あ、ありがとうございます。ラミちゃ…ラミレス…さん。貴方のお陰ではい、なんとか勝てました。」
白瀬は照れながらお辞儀をする

「ふぅ、これでようやく連敗脱出か…ここから乗って行きたいな…」
岩村はフッと一息をつく。

「淳、着替え終わったか?古田監督が及びだぞ」
ロッカールームで着替え終わると同時にトレーナーは監督が呼んでいると白瀬に伝えに来た。
白瀬は「はい」と短い返事で監督室へと向かう。

白瀬は古田に呼び出された理由がわかっていた、いやそれ以外理由はないし、呼び出される材料がないのだ。

白瀬は監督室のドアを丁寧にノックする

「淳か?入ってくれ」
古田がそう言うと白瀬が入ってくるのを待つ

「来たか、淳。…まずはプロ入り初勝利おめでとう。高卒1年目で勝てたのは嬉しいよな!」
古田は一先ず白瀬のプロ入り初勝利を祝福する。

「ありがとうございます、監督。ですが…今回は野手の皆さんのお陰で…」
白瀬は嬉しさと悔しさが入り混じった顔をする。

「…そうだな、プロ入り初勝利とはいえど、野手陣のおかげだ。本題に入るが昨日、今日の投球内容次第では下に落とすと伝えたよな?結果は6回被安打8自責点5四死球2だったな、初勝利とはいえまだジメジメしていてピリッとしないピッチングだな…。残念だが、淳。今回君はここに残ることは出来ない、戸田へ行ってしっかりと自分を伸ばしてから帰ってきてくれ!…だが、5回の2塁3塁のピンチで李承Yを三振に討ち取ったスライダーのキレは良かったぞ、以上だ。」
古田は白瀬に戸田行き、つまり2軍行きを通告した。

「…はい、分かりました。次戻ってくるときは監督や首脳陣、ファンに応えられるようになって戻ってきます。」
白瀬は悔しさを顔に出さないように押し殺しながらお辞儀をして監督室を後にする。

白瀬にとっては覚悟していたとはいえ、辛く悔しい現実であった…。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/07/20 11:13  No. 108    
       
第108話〜紅き右腕〜


池田は監督である大橋と対戦相手を決める抽選会場にいた。

「なるべく、最初はなるべく強くない相手と戦いたいな…」
池田は順番待ちながらボソッと呟く

「東海大平沼高校。3日目第2試合保土ヶ谷球場」

会場中にアナウンスが響く

順番が進み池田がくじを引く番が回ってきた

『東海大平沼とは逆のブロックにいきたい、新横がまた引いてないが…出来ればあそこに…』
池田は対戦表を見ながら心の中で呟きながら引く

池田は係の人に紙を渡し元の位置へ戻ろうとする

「氷水高校、3日目第2試合…保土ヶ谷球場…東海大平沼高校戦」
会場にアナウンスされる、無情にも当たりたくなかった東海大平沼高校と当たってしまう

大橋は池田と会場を後にし、カラッと晴れた天気と正反対にどんよりとした曇のような表情を浮かべた池田を見ると
「…ああいうこと言うとこうなるんだよな、身から出た錆だと思え。それにいずれは当たらなければならん相手だぞ」
大橋は池田を慰めるわけではなく冷たく言い放つ

「…はい、ですが投手が…今はチーム離れてますがあそこを抑えられるのは」
池田は唇を噛み締めたあとボソボソとしゃべる

大橋はため息を付いて
「…去年の冬から少しずつ投げられるようになってきただけだ、もうその時点であいつは自身の最後の夏しか間に合わないからな。今いるメンバーでどうにかするしかないな」
大橋も池田と同じあの投手を思い浮かべる

〜ところかわりアメリカ〜

『日本ではもうそろそろ夏の大会か…。この夏は間に合わないな…むりに合わせて再び爆発したら選手生命絶たれるかもしれない、ならばチームには悪いが俺は最後の夏に間に合うように調整するまで』
紅は屋外ブルペンでキャッチャーを座らせて軽めに投げてる。

紅が投球練習しているととある日本人が紅の近くに行く
「優生、調子はどうだ?来週の大学の交流戦、そこでお前に中継ぎで投げてもらう、久々の登板だし不安もあるだろうから1イニング限定ね。なるべく楽な場面で投げさせたいけれどね。非公式戦だから君も特別にマウンドへ上がる許可をお願いしたんだ。君も実践で投げて確かめたいんでしょう?」
メガネの似合いそうな男は紅が留学している大学部の留学生担当のカウンセラーである。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/07/27 01:10  No. 109    
       
第109話〜マウンド〜

アメリカの気候は湿気こそないが日本より暑い夏だ。
日本ならばこの時期甲子園をかけた全国地方予選が行われている頃だろう。

そんな中アメリカでは大学同士の交流戦が行われていた。
紅の留学しているパシフィク・ノーザンユニバーシティとフェニックスユニバーシティの交流試合と題した練習試合である。
紅は1週間ほど前に登板予定があることを伝えられている。

そのためなのか紅は珍しくこの1周間は落ち着きがなかった。

ウォーミングアップ前のロッカールームでもそうだった
「おい、ユウセイ、いつもクールなお前がそこまで落ち着かないって珍しいじゃあないか」
ややカタコトながら日本語を話す彼はパトリック・ダン、パシフィックの切り込み隊長でありムードメーカーでもある。

紅はペットボトルを手にしながら
「ダンか…そう見えるのか…?…正直マウンドに上がるってのは楽しみなんだよ非公式だろうがなんだろうが」
紅はフッと笑みを浮かべながら答える。

ダンは紅の雲ひとつ無いような明るいかを見ると笑みを浮かべ何も聞かずに笑みを浮かべた。

さて、試合は始まり紅はブルペンで自分の出番を待つ
『中継ぎなんてやったことないからどう待機していいか分かんねぇな』
紅は慣れない中継ぎ待機に戸惑いながら試合を見守る

なるべく楽な場面で投げさせたいと思ってた大学側の思いとは裏腹に膠着状態で試合は進み両チーム無得点のまま7回に紅の出番が回ってきた。

「Go!yusei!」
紅はポンとおしりを軽く叩かれるとブルペンが出て一歩一歩球場の雰囲気を噛み締めながら小走りにマウンドへと向かう
紅はマウンドへと上がるとマウンドの感触を確かめるようにしながら投球練習を行う。

6番打者のアイクと対戦を迎える
紅は投球フォームに入り負担のかかりにくいフォームからボールを放つ
初球はストレートから入るが狙いすましたかのように打たれ一二塁間を抜けいきなりランナーを背負う

続く7番のトムとの対戦2球連続で際どいコースを突くがボールと判定されピッチャー不利のカウントとなる
『以前の俺ならここから球数増えただろうが球数を少なくするには…』
紅は以前の自分と比較しながら第3球目を放る
ストレートに似たそれは紅の予想通りトムの当たりは詰まりピッチャーゴロゲッツーに仕留めた。
次の打者は初球打ちのサードゴロに抑える
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2014/12/22 17:34  No. 110    
       
第110話〜対東海大平沼戦〜

セミが鳴き始め、夏の到来を感じる。
そして、夏の大会がこの季節に行われる。

49校の各都道府県の代表をかけた予選が今始まる。

氷水は3塁側のベンチ、つまり先攻となる。

「………東海大平沼…。」
吉村は相手チームのユニフォームを見るとボソッと呟く

橘は頭の後ろで手を組みながら吉村の発言に同調するかのように
「東海大平沼かぁ〜まさか初戦で当たりたくはなかったよね、ルナ」
橘は吉村に話しかけるが吉村は橘の声を無視する
橘は少しむすっとしながらぶつぶつ呟き続ける

「…おい、カズうるせーよ。相手がどこだろうが関係ねぇ、俺が抑えればいいだけの話だ、それに甲子園を目指すならばどこのチームとも戦わなければならねぇ。しょっぱなから諦めてる馬鹿野郎がどこにいるんだ。いいか、カズ。お前とオギの足はおそらく平沼でも厄介なほど足はある。ならば足でかき回してみろ。」
黒木はまるで紅のような言い回しでチームに喝を入れる

黒木の言葉でさっきまで動揺があった一部のメンバーから動揺が消える。
「…ルナ、てめぇと平沼に何があるか知らねぇけどよ、俺とお前のコンビで勝ちに行くぞ。…勝ちたいんだろ?お前が一番あそこに」
黒木は吉村に囁く

そして試合が始まる。
東海大平沼には2年生エースの大木がマウンドに上がる

「1番セカンド橘くん」

橘はアナウンスされると打席に入り一礼をする
『夏の大会、クロの言うことで目が覚めた…。でも僕は去年の夏の悔しさは忘れていない。』
橘は去年の唯一1年レギュラーとして抜擢されるも全く歯が立たなかった打撃を脳裏に浮かべる。

大木の手からボールが放たれる。

『その悔しさがあるかぎり僕はぁ!』
橘は大木が投げていたストレートを逆方向に弾き飛ばす。
打球は右中間を破り、橘は2塁を陥れる。

『くそ、油断した。』
大木は舌打ちをする

「2番センター荻野くん」

荻野は2番打者として打席に入る

『今のたっちーの打撃、凄い…。見下ろしてたわけじゃないけど僕より力がないと思ってたのに…いとも簡単に』
荻野は橘の打撃に驚きながら自分も続こうとしてた、
しかし、対照的に速球に苦しめられ進塁打にするのが精一杯だった。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/09 12:47  No. 111    
       
第111話〜先取点〜

「3番ショート、池田君」

7月中旬セミが鳴き日中は動くと汗が出る気温の中、甲子園を向けた試合は行われていた。

池田は一礼してから打席に入る。

『2年生ながらプロ注目の大木…手ごわい相手だがこいつを倒さないと先には進めん、か…。』
池田は高橋を見つめながら心の中でつぶやく

高橋は投球モーションに入り、池田はボールが来るのを待つ。

「ボール!ワンボール!」

「ん?」
池田はふと何かを感じる。

2球目も大きく外れてボールになり、池田の疑問が確信へとかわる。

池田は高めに浮いた変化球をとらえ、見事に打ち返す。

ボールが転々とする中池田は一気に三塁を陥れ再びワンアウト3塁のチャンスを作る。

「4番キャッチャー、吉村くん」

アナウンスされ、吉村は打席に入る

『橘さんの時から感づいていたけどこいつ今日あまり調子よくないんだな…。点取れるうちに取っておかねぇと後がきついっての』
吉村はチャンスに気合を入れる。

『なぜ、高めに抜けるんだクソ…』
大木は池田の打たれた悔しさなのかいらだちを隠せない。

そして冷静になる前に投げ込んだのか大木はボールから手を離した瞬間にあっと声をあげそうになる

加須シニアでも4番として活躍してた吉村が失投を見逃すわけなく、豪快に振りぬく。

心地の良い音色に聞こえる金属音から放たれた打球は美しい青空を撃ち抜かんというばかりに大きく舞い上がりグングン奥へ奥へとのび、柵を越えたところにボールは落ちる

吉村は冷静に淡々とベースを一周する。

「ナイスバッティング!」
池田は笑顔で吉村を迎える。

吉村は照れ臭そうに笑みを浮かべ
「あざます。池田さん、あんたこそナイスタイムリーでしたよ。そのおかげで僕も打てたんで」
吉村も池田のタイムリーに感謝するかのように言いベンチへと戻っていく。

3番のタイムリー4番のホームランで効率よく先制した氷水高校。9回までははるか遠く相手が相手だけに油断は禁物だが、ともあれ大きな先取点である。

その後大木は立ち直り後続を打ち取る。

黒木は初回気合を入れてなんとか三者凡退に抑える。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:・スA・ス`・ス・ス  日時: 2015/08/23 14:06  No. 112    
       
第112話〜悪夢〜

氷水は不安定な大木を攻め続け4回までに8点差と大量リードを広げる。

「よっし、8点差!このままいくぞ!」
池田は満面の笑みでグラウンド向かう。これから始まる神の悪戯による悪夢の主役に選ばれているにも知らずに…

『まさか平沼相手に序盤で8点差をつけられるなんて、おれたちこのまま勝てるんじゃね?』
池田はショートの守備位置で点差を考えて心の中でニタニタしてる。

キィンと鈍い金属音が響く。

「ショート、打球行ったぞ!」
吉村はマスクをとり池田に指示する。

池田は吉村の声に気付きとっさに反応する
「…え?あっ。」
しかし池田は打球を見てなかったのか簡単な打球を後ろにそらしてしまう

荻野が慌ててバックアップし中継の橘にボールを返す。

橘は荻野から受け取ったボールを黒木に返しながら
『池田先輩らしくないな…どうしたんだ。』
橘はボールを返した後少し池田の方を見つめる。

吉村は黒木の投球をとりながら顔をしかめる
『くそ、球が浮いてきてる…。飛ばしすぎた黒木さん』

マウンド上の黒木は肩で息をしながら投球を続ける。
相手はセーフティー気味にバントをしかけるが強すぎて黒木の正面に転がる。

黒木は躊躇なく2塁に送球するが、池田がまたしても簡単な打球を弾いてしまい。ノーアウト2塁1塁となってしまう。

黒木は少しガクッとする。それもそうだろう。本来ならばツーアウトランナーなしのはずがこのザマなのだから。

『くそ、どうしてこんな…』
黒木は内心イラつく
『強豪、名門相手に一つのミスは命とりなのに…それも平沼相手なんかに…!」
吉村も黒木同様もはや平常心なんかではない。

こうなってしまえばもう待ってる未来は一つしかない…。
直後東海大平沼は気落ちした黒木をまるで嬲り殺しにするかのように連打連打で大量得点を重ね一気に逆転をする。
投手を一年の赤田にかえても荷が重く吉村のリードも精彩を欠き勢いを止められない。
池田の慢心と油断、そしてバッテリーの精神の弱さが招いた惨状。それは炎天下の中で招かれた地獄。

結果は8-21と東海大平沼に勝利し大勲章を上げるどころか東海大平沼の強さを逆に見せつける試合となってしまった。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/24 22:46  No. 113    
       
第113話〜地獄の後に待ち構える氷の鬼〜

ホームベース前に両チームが並び、ありがとうございました。という挨拶とともに試合終了を知らせるサイレンが球場内に鳴り響く

勝利して当たり前と言わんばかり王者のような振る舞いをする東海大平沼と対極に出る涙も出なくなるほど悲惨な負け方をした氷水は応援に駆け付けてくれた生徒たちに謝るようにお辞儀をするしかなかった。

試合後学校に戻るも未だにあの地獄が忘れられないのかほぼ全員が放心状態に近い形だった。

大橋は部室で放心状態の部員を見渡して呆れたかのようにため息を一つつく
「…お疲れ様でした、と言いたいところだが。それはまず言えんな…。8対21…随分無様に負けたな。いくら東海大平沼相手とはいえ無様すぎるぞ。」
大橋は腕を組みながら厳しい言葉を使いながら残酷な現実を再び思い出させようと言わんばかりに8対21を強調する。

その大橋の言葉には誰も何も言えない。その時、静寂な部室に怒気の籠った大きな音が響く。
俯き加減だった部員はビクッと反応しながら音の発生源で前を向く。前には大橋がいて、大橋の前には教卓がある。音の発生源はそこしかない。

「おい池田!お前なんだ、あの腑抜けた2連続エラーは!あれが負けた原因なんだぞ!8点差つけたからって調子に乗っておろそかなプレーしてんじゃねぇよ!てめぇよ!おい!ふざけてんのか!それから黒木赤田。投手陣お前たちのランナー出してあたふたあたふたすんな腕をふれ腕を!相手にはい打ってくださいと言わんばかりの球投げんな!こら!そして吉村!お前加須シニアで4番正捕手だったとか1年だとか関係ねぇぞ。お前もお前で野球なめてんじゃないぞ。しっかり頭使え頭をよぉ!単調になりすぎなんだよ。」
大橋の怒鳴り声は部室の外にも聞こえるんじゃないかというほどの大声である。
「…だが、すぎたことは仕方ない。ミスもあった。それは覆すことができない事実。これが力の差意識の差だ。3年にとっては辛い最後の夏になってしまったな。この惨劇を招いたのは俺の指導不足でもある。それは申し訳ない。」
大橋はさっきまでとうってかわって追いついた口調で頭を下げる。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/24 23:05  No. 114    
       
第114話〜次世代に託す思い〜

頭を下げる大橋に驚く部員たち。

「ちょ、ちょっとなんで頭下げるんすか。負けたのは俺たちの力不足で大橋監督のせいじゃ…」
池田は慌てふためく

大橋は頭を上げ、一息ついて
「3年の皆。悔しい最後だったと思うが一先ずはお疲れさまだ。これからどうするかはしっかりと考えてくれ。進路相談ならいつでも相談に乗るぞ。1,2年は秋の大会でこの悔しさを先輩たちの悔しい思いも晴らすような結果を出していこう。それから次のキャプテンは俺の中ではもう決まってる。だがそれは今この場にいない紅優生だ。とはいえいないやつをキャプテンにするわけにはいかない。荻野!お前が代理を務めろ。紅の連絡して情報を共有しながら代理を務めてくれ。明日は休養日だ、新チームの始動は明後日からだ!期待してるぞオギ。…話は以上だ。解散!」
大橋は話を終えると部室を後にする。

「くそっ、なんでだよ…」
吉村は俯き加減で出口に向かい、扉の近くを悔しさを表すかのように叩いてから部室の外に出る

荻野は椅子に座りながら驚いた表情を見せる
「ぼ、僕がキャプテン…?」
少し現実を受け止めてられないのかキャプテンという言葉を口に出す。

黒木は少しは吹っ切れたのか荻野にちょっかいを出すように左ひじを荻野の頭にのせながら
「つっても、まぁ代理だけどな。優生が復活するまでの。」
黒木は荻野をからかうような感じで言う。

「っし、負けて後味悪いけど。オギのキャプテン代理就任を祝ってオギのおごりで食べに行こうよ。」
橘も驚いてる荻野にちょっかいを出す

「あ、それ私もさんせーい。じゃあいこっ皆」
茜はスコアブックを鞄の中にしまい、部室の外へと向かう。

荻野はムスッとした顔をしながら
「ちょっと待ってよ、皆。僕奢るとも一言も言ってないんだけど!」
荻野は3人の後を追うかのように走っていく

池田は2年生組のやり取りを見ていてフッと笑う
「…まったく、大敗したとだというのに…仲がいいなあいつらは…。でも新チームは頼んだぜオギ。そして白瀬先輩や俺が叶えられたかった夢を叶えてくれ。」
池田も部活用かばんを背負い、部室の外に出て3年間お世話になったのを感謝するかのように一例をする。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/24 23:27  No. 115    
       
第115話〜新チーム始動〜

2日後新チームが始動する。3年生が抜けただけでなにもかわりはない。
いや、一つ変わったのがあると言えばホワイトボードとロッカールームの上にある掲示板には2日前の悪夢のような東海大平沼戦のスコア写真が掲示されており、掲示板にはスコア写真の下に打倒東海大平沼!この悔しさを胸にわれらは栄冠へと続く道を歩み進んでいく。という言葉も飾られている。

この言葉を考えたのはマネージャーの神原茜(かんばら・あかね)である。

青空の下、砂の匂いとセミの大合唱が聞こえるそんな炎天下の中に部員は集まってた。

「練習を始める前にだ、オギ!前に来い!挨拶をしろ」
大橋は荻野を手招きする

荻野は一瞬えっと顔を引きつるが前へと出る
「…えっと、…おはようございます。」
まず荻野がそういうと他の部員もおはようございますと繰り返す
「代理ですが、新キャプテンに任命された荻野浩一です!え〜私たちの目標は甲子園優勝です。ですがそこには道は険しくまだまだ力も足りません。一回りも二回りも大きくならないといけません!しっかりと練習して今よりももっともっと力をつけましょう!よろしくお願いします。」
荻野は力いっぱい演説めいた挨拶をし一例をするとパチパチと拍手が起こる。

大橋は笑いながら
「威厳のねぇやつだなオギお前…まぁ挨拶は演説くさい言い方を置けば合格だな」
大橋は相変わらず部員をいじるのが好きなのか荻野にも軽くいじるような言い方をする。

「さて、本日から新チーム始動だが、チーム方針をかえるために練習内容も今までとかえるぞ。」
大橋は茜がバインダーに挟んである練習メニューを見てくれと言わんばかりに指をさす。

「詳しくは部室に貼ってあるのを見るのもいいだろう。大方見て分かったと思うが。守備練習中心だ」

「っと、それはなんでなんすか?」
黒木はポリポリと頭をかきながら大橋に問う

「まず吉村橘荻野のセンターライン3人の守備力は高水準で安定している。この間炎上したとはいえお前も赤田も守備の乱れさえなければそこそこ抑えられる力があるだろう。そして優生も帰ってくる。打撃練習の時間を守備練習の時間に大きく入れた方がこのチームのためだと判断した。それに守備が強固ならこの間みたいにならないだろう。それが理由だ」
大橋は黒木や部員全員の疑問にしっかりと答えるような説明をする。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/28 11:53  No. 116    
       
第116話〜守備チーム〜

夏も終わりに近づき、暑さもやわらいできたある日の昼下がり、この日も氷水高校は守備連を中心に練習を行っていた。
練習場からはボールの転がる音とミットの音が聞こえてくるぐらいだ。

グラウンドを見渡してみるとダブルプレーの練習が行われているようだ、走者役は荻野、打者走者役は稲本だ。
打球は橘のもとへと転がる。しかし打球は早くしかもイレギュラーしたため橘は抜かれそうになるが小柄な体を精一杯伸ばして捕球すると即座にショートの蓮本にトスをする。
蓮本は2塁にスライディングしてくる荻野をよけながら正確に1塁へと送球し、打者走者役の稲本もアウトにとる。

荻野は体を起こしながら
「蓮本君、いい送球だよ!たっちーも流石だね、ナイスプレー」
荻野は蓮本をほめながら蓮本の腰をポンと叩くと蓮本は照れ臭そうにお辞儀をする。

「ありがと、代理君。…でもこんなんじゃあまだまだ僕は満足できない、しっかりと抜かれないようにして正面からトスしないと。バックトスでは相方を不安にさせてしまう」
橘は守備位置に戻りながら納得のいかない顔をする。

蓮本と橘の二遊間は最初は息が合わなかったがここにきて急激に息があってきた。2人の基礎守備能力の高さもあるのだろうか。蓮本は新チーム結成以後元のポジションであるショートに戻された影響でやや時間がかかっただけなのかもしれない。

その蓮本が抜けた三塁には2年の佐藤が入りファーストには1年の諸口が入る。佐藤は持ち味の強肩を生かし素早い送球を諸口に送る。
佐藤はもともとは外野手であるが外野からはじき出されてサードに回った形だ。

さて、その強肩の佐藤をもってしても弾きだされた外野は荻野、稲本、松島の3人である。全員佐藤と同じ2年生だ。佐藤からしたら悔しさが強いはずだ。
この3人は打力自体はそこまで期待できないと言いたいところだが荻野は夏の大会前から急激に打球の質が変わってきているため、継続できれば頼もしい存在になりうる。
しかし、この3人の共通した持ち味は瞬足強肩である。俊足を生かして打球を好捕する。恐らく外野の守備範囲の広さは神奈川県トップクラスなのかもしれない。

夏では屈辱を味わった氷水高校がチーム伝統の文字味である火力を大幅に下げてまでも守備走塁特価チームになりつつある。
秋の大会が楽しみだ。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/28 14:17  No. 117    
       
第117話〜黒木隆之という男〜

最速143kmのストレートにカットボール、カーブ、シュートを中心に投球を特に特徴のない投手。それは今夏エースナンバーを背負った黒木隆之である。

黒木はある日の全体練習終了後1人学校に残りもくもくと練習を続けていた。
気が付くとあたりは真っ暗で唯一聞こえてくるのは虫の鳴き声、そして灯りは職員室からの灯りのみ。

大橋は通常業務を終えて休憩するためにかタバコをもって校庭の近くにある喫煙所へと向かいながら考え事をする。
『来夏には優生も使えるが、おそらくあいつの実力が絶大でも1人では県予選勝ち抜くのは不可能に近い。黒木が伸びてくれれば優生の負担も減るが…』
大橋がタバコを吸おうとすると黒木が偶然にも視界に入る。

「黒木、今日もやっていたのか。」
大橋はランニングしている黒木の近くに行き、黒木に声をかける。

黒木は声の主に気付き動きを止める
「…んあ、なんだ大橋監督っすか、っかれーっす。」
黒木は相変わらず砕けた言い方をする。

大橋はフッと笑い
「しかし、お前がそこまで練習好きだとは思わなかったぞ。しかし残って練習するならほかの連中も誘ってやったらいいんじゃないのか?ここ1年ずっと全体練習後、1人で残って練習しているじゃないか」
黒木に尋ねる

黒木は少し間をあけて
「…っすね、もうそんなになるんすか?全然意識してねぇ〜。まぁ別に練習なんて好きじゃねぇ。俺はドMでもなんでもないんで。でも日課になっちまったつーかなんつーかやらないと気が済まないってやつ?ってかあいつらもあいつらで自分でやるっしょ。こっちが誘っていやいや来ても効率が逆に下がるだけ。だったら俺1人でやった方がマシっす。」
黒木は大橋に何かを隠すかのように理由を述べる。

大橋は黒木が何か真意を隠しているのには気づいているがあえて問わなかった。
「…そうか、しかしお前もあいつみたいな考え方持っているんだな。流石は投手だな。」
大橋は黒木の後半部分の発言をある人物と重ね合わせる。

「今日はいい風が吹いてるな」
大橋は突然黒木に雑談を持ち掛ける
「…っすね、ちょーきもちいいっす。練習にはちょうどいいっす」
黒木は軽く笑みを浮かべる

「…邪魔して悪かったな。秋の大会、頼んだぞエース。」
大橋は気分が晴れたかのような顔をして職員室へと戻っていく。
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:アチャ  日時: 2015/08/29 12:07  No. 118    
       
第118話〜秋の神奈川県大会〜

朝、氷水高校は再びにぎやかになっていた。今日は夏休み明けの9月になり学校も始まる。だが彼らにとってはもう一つ始まるものがある。地区予選を勝ち抜き、神奈川県大会へとコマを進める。
地区予選とは違い、県予選は強豪揃いだ。

「もしもし?久しぶり。荻野だけど、そっちの調子はどう?今のチームは守備的チームになってるのと、僕たちの世代は君がキャプテンだ。あ、それと秋の地区予選なんとか勝ち進めて県予選まで進めたよ」
荻野は誰かと電話をしているようで少し楽しそうに話す

「…そうか、分かった。わざわざ連絡すまない。それと監督に伝えておいてくれ。帰れる日がはやまったと。」
荻野から電話を受けた相手は荻野からの情報に感謝しつつ荻野に伝言を伝える。

ある日の土曜日球場には懐かしい声が響く。この日は秋の県予選初日だ。
「整列!礼!」
「よろしくお願いします!」
あいさつが終わると守備位置へと散らばる氷水高校。

さて、県予選はどこまで勝ち進めるのだろうか。
やや暑さが残り、心地の良い風に秋独特のにおいのなか、試合は始まる。
生まれ変わった氷水高校の鉄壁な守備力の前に相手は得点できずに試合は進み、氷水はわずかな得点をとり逃げ切り順調に勝ち進む。

そして準決勝で山手聖学院高校とぶつかる。
山手は県内屈指の打力を持ち、氷水とはある意味相反するチームだ。

「打力のあるチーム?知らねぇよ。ンなもん。ヒット打たれても点を取られなきゃ打力があるだとか、そんなん関係ねぇよ。」
黒木は打力的チームに不安を抱く吉村を突き放すように言いながらも点は取られるはずはないと絶対的な自信が伝わってくる。

この日は氷水高校の打線が大爆発する。今大会好調の荻野はこの日は全打席出塁など大活躍し、後ろを打つ吉村はチャンスで打ちまくり、7回表で7−0と大差をつけ、裏の守備でも油断することなく簡単にツーアウトを取り、最後の打者を追い込む、しかし黒木と吉村はここにきてサインがあわないのか首を横に振りまくる。

吉村はなにかピンと来たのか顔色が変わる

『それだよ、気づくのっせーんだよ。』
黒木は投球モーションに入り右腕からボールを放る。

白球は遅く緩く甘い球。投げそこなったかのようなボール。
当然打者はしめた!と思い思いっきりふりに行く。
しかし、ボールはゆらゆら揺れながらストンと落ちる
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ロックされています   Re: プロを目指せ  名前:・スA・ス`・ス・ス  日時: 2015/08/29 12:32  No. 119    
       
第119話〜因縁の東海大平沼戦〜

「まさかこんなにはやくリベンジする機会が来るだなんて。最高だぜ!前の試合で1球投げたが、俺にはアレがある。倒してやるよ。やつらを」
黒木はスタジアムに向かいながら少し笑みを浮かべる。

決勝の相手は夏に惨敗した東海大平沼戦だ。決勝の相手に唯一人を除いて悲観するものはいなかった。いや、悲観というより他の感情が出るものは。

気温も季節も完全に秋だ。天候は秋晴れ、スポーツにはちょうどのいい気温の中決勝戦が始まる。

「1回表、東海大平沼の攻撃。1番、センター原くん」

東海大平沼の1番打者原が打席に入ると同時に試合開始のサイレンが鳴り響く。

『夏にボコした雑魚…と言いたいが守備の綻びから狂ったようにも思えるから油断はできないが、雑魚は雑魚にかわりはねぇ。』
原は黒木を見ながら不敵な笑みを浮かべる。

黒木はノーワインドアップのフォームからこの試合の1球目を投じる。まずはインハイをつく直球だ。
原はボールだと思い見逃す、初球は原の予想通りボールだ。黒木はテンポよく2球目3球目と力で押す投球を続ける。

原は3球目を打つも打球はショートの蓮本が捕球し難なく1塁へと送球する。

『マジか、アレを難なくアウトにすんのかよ…ちっ。足には自信があるからセーフになると思ったんに』
原は悔しがりながらベンチに戻る。
黒木はこの試合も3回まで相手を完ぺきにねじ伏せる。

そして4回表再び原に打席が回る。原は黒木の球に対応できずに追い込まれる。そして、3球目もスイングし、空振りになるが。捕手の吉村は気を抜いたのかなんでもない投球を後ろにそらしてしまう。吉村がボールを取り1塁に放ろうとすると既に原は1塁を駆け抜けていた。その後黒木は吉村との息が合わず2番の中畑もフォアボールで歩かせてしまう

『へっ、雑魚は過去にやられたときに似た局面になると動揺すんだよ』
原は2塁で突如乱れ始めた黒木を貶すような目で見る。
3番の打者は1年の菅原、吉村は何故か意地になるようなリードをする。球数を使いながら追い込むがまたも同じ球を要求する。これで何球連続だろうか。黒木は吉村のサインを無視しシュートをひっかけさせる。打球は蓮本の前に転がり橘に転送し1塁の諸口へと送球し、ダブルプレーとなる。4番の高木はセカンドゴロに打ち取り切り抜ける

「ルナ、ちょっと来い」
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