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ロックされています  THE SKY IS THE LIMIT   名前: nahato  日時: 2013/03/09 16:10 修正18回   
      
この小説を始めて、早一年ほど。全く文章力が向上しないですがよろしくお願いします。

第1章「馬鹿と出会いとファーストキス」
>>1-32

第2章「大地と飛鳥と光輔の過去」
>>33-71

第三章「団結とAクラスと球技大会」
>>72-

上のアンカーをクリックすればスムーズに読むことが出来ますので是非お使いください。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 23:02  No. 46    
       
 言うと拓真は守備位置に戻っていった。
 どのみち抑えなければ失点するのだからここは拓真の意見を呑むことにした。これで抑えても奥の手で抑えても要は失点さえしなければいいのだ。
 拓真が主審に謝る素振りを見せ腰をおろした。
 プレイ!
 拓真が要求してきたのは真ん中高めのストレート。大地は頷き投げた。
 ストライィク!
 次のサインはど真ん中のカーブ。
ーー待て、それはまずくないか? 同じ打者に二度も同じことが通用するか?
 思わず首を横に振りそうになるがなんとか堪える。
 大地は頷き要望通りの場所に投げた。
 カキィィン!
 ボールはセンター前に落ち打者二人が生還。逆転されてしまった。またも失点してしまったわけだがこれで奥の手を使うことができる。
 拓真は一度胸をバン!と叩きどこにでもこい、と言った雰囲気でミットを構えた。
 これからは一本のヒットも許されないのだがこれから三死をとるにはクリーンナップをアウトにしなければならない。
ーーでもいける! 奥の手さえ使えば!
 三番がバッターボックスに入り構えた。
 プレイ!
 大地はボールを投げる。
 大地は第一球目から奥の手を使った。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/07 08:38  No. 47    
       
 大地が投じたボールは通常のカーブ……では無かった。ボールは通常のカーブより変化がかなり大きくさらに鋭く曲がっている。
 ナックルカーブである。
 これが大地の奥の手……の一つである。
 ストライク! バッターアウト!!
 相手打者は大地の投げるカーブに全く反応できずに三者連続三振を喫した。
 掠られることすらなかったのにはさすがに驚いたがそれは当然なのかもしれない。ナックルカーブを小学生が投げるなど聞いたことがない。それどころか日本球界で投げられる選手すらいないと言われ、ナックルカーブが活躍しているのは海の向こうのメジャーリーグだからだ。
 相手ベンチはすっかり意気消沈と言った感じだ。それとは逆にこちらのベンチは逆転こそされたものの、大地の奥の手でクリーンナップを三者連続三振にしたことで明らかにムードが明るい。

 三回の裏大鳥ベースボールクラブの攻撃
大地「頑張れ永城さーーん!」
 一番永城さんからの攻撃だったが……。
永城「すまんかった……!」
 永城さんはヒットで出塁こそしたものの盗塁が失敗してしまいアウトになってしまったのだ。
大地「大丈夫ですよ! 俺がもう絶対に得点させないですから!」
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/08 15:22  No. 48    
       
 奪三振ショー。
 まさにその言葉通りのことがマウンドでおきていた。
 試合は三回以降はランナーこそでるものの得点まではいかずスコアは0の文字が続いていた。しかもランナーがでたのは全てこちらのチームで相手は大地の投げるボールに掠ることすら叶わずに次々と三振に倒れていった。のだが……。

七回の表夢ヶ丘ベースボールクラブの攻撃。
 とうとう相手チームから快音が聞こえた。
ーーまずいな……
 拓真はミットを構えながら考えていた。
 現在の状況は二死一塁なのだが…
ーー大地の息がかなりあがってるな……。しかも徐々に変化球のキレが落ちてきてタイミングを合わせられてる……。
 マウンド上の大地はすでに肩で息をしており疲労がピークに達しているのは明らかだ。しかもこの回になってボール球が増えバットにも当てられてきた。
ーーだから駄目だと言ったんだが……、明らかなスタミナ不足だな……。ここからは出来るだけナックルカーブは控えさせなきゃな……。
 思い拓真は外角低めのストレートを要求する。このコースなら打ち取ることができるし長打も出にくいだろうと思ったからだ。
 大地は頷き少し乱れたフォームで投じる。
 刹那
 快音が響いた
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/10 22:17  No. 49    
       
拓真「センタアァァ!!」
 拓真はマスクを取り叫んだ。
 ボールはセンターオーバー確実。いや、フェンス直撃もありうる弾道だ。
 取れない。
 本能的にそう思った拓真は思わずマスクを地面に叩きつけた。
永城「うおぉぉぉ!!」
 永城さんは全力でボールを追いかけている。諦めていない。しかしボールはすでにフェンス前に落ちそうである。取るのは不可能である。
永城「うおおぉぉぉ!!」
 永城さんが飛んだ。しかし永城さんはフェンスに頭から直撃してしまい倒れてしまう。捕球が出来たか否かはまだ分からない。
永城「………!!!」
 永城さんが無言で左手を突き上げた。そのミットの中には確かに白球が収まっていた。
 アウトォォ!!!
拓真「うおぉぉぉ!!」
大地「は…はは……」
光輔「永城さんかっけええぇぇ!!」
ーーほんとに凄い人だな…永城さん!!
 失点は防いだ。あとは最終回で逆転するだけである。
拓真「永城さーん? 交代ですよー」
 永城さんが倒れたまま動かない。血の気が引いていく。今、顔をみたら拓真はきっと真っ青なのだろう。
拓真「永城さん!?」
 拓真はセンターに駆け出した。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/11 11:27  No. 50    
       
キャプテン永城さんの負傷交代。プレー続行は不可能とみられ病院に連れていかれた。
 しかし病院に連れていかれる直前に光輔に言った言葉。
永城「あとは任せたからな!」
ーー任せるって何を?
監督「柏木君ちょっといいかな?」
光輔「なんすか監督?」
監督「永城君が途中交代になったから七回の裏から、と言っても最終回なんだけど。とにかく七回の裏から君を出すことにしたからね。ちゃんとバットを振っとくんだよ? 話はそれだけだから」
ーーえ……俺が一番打者? まだろくにボールを打つことも出来ないのに?
 待て、落ち着くんだ、と言った感じで状況を整理する。
 七回の裏の攻撃は六番からだ。もしこの内の二人がヒットを打った場合はゲッツーでも取られない限り確実に光輔に打順が回ってくる。
ーーやばくねえか…? いやいや! 誰かがホームランを打ってくれれば!
拓真「おい光輔! お前もこっちに来い!」
 見るとそこにはチームメイトたちが円陣を組んでいる。これに混ざれ、と言うことだろう。
 光輔は拓真と大地の間に入り肩を組む。
拓真「みんないいか! この試合、永城さんのためにも絶対に勝つぞ!!」
 オオゥ!!!
 最後の攻撃が始まった。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/11 16:46  No. 51    
       
ーーどうしてこんなことになったんだろう……。
 七回の裏二死二・三塁。
ーー1打サヨナラのチャンスかあ……気が重いなあ……。
 などと言った逃避的な思考を巡らせていても周りから聞こえる声援は消えない。むしろどんどん音量が上がっているようにも聞こえる。
「頼んだぞ」
 の言葉が。
ーー別に俺に頼らなくてもいいじゃないか…。なんでこんなときに永城さんがいないんだよ!
 もちろん永城さんに非はない。むしろあの負傷は名誉の負傷とも呼べるだろう。
 プレイ!
 拓真から教えてもらったことは……
 相手投手が大地と比べたらあまりにも不格好なフォームでボールを投じる。
 光輔は振る。
 確かな手ごたえ。
 そして快音。
ーーこの投手は直球しか投げられない! 
 しかもいつも打とうとしている大地のボールと比べたら欠伸がでそうなほど遅い。もちろん相手が消耗しているのもあるが。
 ボールは徐々に左に切れていきファール。もう少し振るのが遅ければ確実にホームランだった。
 思わずバットで地面を殴ってしまったがそれと同時に
 いける。
 光輔は確かな自信を胸に宿し再び打席にたった。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/16 22:08  No. 52    
       
思わず打席から離れる。何度かスイングしもう一度気持ちを整える。
現在の状況は二死二・三塁、2S1B。しかし既に球数は10球を越えている。
ーー球は見えてるのにタイミングがなぁ……。
 光輔は思いながら打席に立つ。
 光輔の打つ球はどうも流しすぎてしまう傾向があるようだ。しかしそれを修正しようとして早めに振ると今度は引っ張りすぎてしまう。どうも丁度良いタイミングに振ることが出来ずに6球連続ファールをしてしまった。
ーーどれもHR級のあたりだったし……、って!
 ボールが迫っていた。バットを振るが間に合わない、と思ったが辛うじてバッドが掠ったようで鈍い金属音が鳴り、
 ファーール
 サードの左側を転がっていった。
ーー危ねえ!! もう少し遅かったら確実に三振だった……!
 体中から変な汗が出てきている。ヌメヌメして気持ちが悪い。早く終わらせたいという気持ちが余計にバットを振るタイミングを早める。
 19球目、2S2B
 相手投手が投じたボールはど真ん中。もらった。光輔は迷うことなく全体重をかけフルスイングした。
 まるで爆弾が爆発したような音がしたかと思うとボールは既にセンターの遙か頭上を越えていた。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/18 21:14  No. 53    
       
ーーあれ? あれってもしかして……
 ボールはセンターの遙か頭上にあり確実にホームランかと思われたが……
 アウトォォ!
 ボールはセンターのグラブの中に収まっていた。
 ゲームセット!


 ありがとうございましたー!
 ありがとうございましたー……。
 この挨拶を聞くだけでどちらが勝者か敗者かはハッキリと分かるだろう。

光輔「俺は俺なりに頑張ったんだよう……あれは風がぁ……風が悪いんだよう……」
 必死に言うが監督すらも笑いながらからかってくる。
監督「うんうん、柏木君は頑張ったよね。あれは神風が吹いたんだから仕方がないよね」
拓真「監督監督! 神風ってこっちじゃなくて相手が使うべきでしょ!」
 周りが和やかな笑いに包まれるが光輔は全く和まない。なにせその「神風」の一番の被害者なのだから。
監督「それじゃあ僕は永城君の様子を見に病院に行くから解散ね。明日の練習は9時からだから遅れないようにね」


〜試合の帰り道〜
大地「ごめんよ光輔……。僕が三点も取られ……うおぉ!?」
 申し訳なさそうに喋る大地に何者かが背後から抱きついた。
?「だぁぁいち!! お疲れー!!」
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/20 14:04  No. 54    
       
大地「飛鳥!? 帰ったんじゃなかったのか!?」
 大地が限界まで首を回し抱きついた張本人に問いかける。
飛鳥「今日頑張った大地を置いて先に帰るわけないじゃーん!」
 頑張った、という単語を聞き大地にまとっていた負のオーラが数段アップした気がする。
大地「僕は……頑張ってなんかないよ……。僕のせいでチームが負けたんだから……」
 それを聞き思わず反論してしまう。
光輔「そんなことねえよ! お前は何にも悪くない! 悪いのはあの場面で打てなかった俺なんだよ!」
飛鳥「そうだよ大地! 悪いのは全部この豚野郎のせいなんだからね! だから大地は何にも悪くないよ!」
ーーこちらに指を指して言っているってことはもしかして……俺が豚野郎?
 などと考えていると今まで大地の隣にいたはずの飛鳥が俺から10mほど離れたところでクラウチングスタートの姿勢をとっており……
飛鳥「聞いているんですか!? こんの豚やろぉぉぉ!!」
 腹に飛び蹴りをおみまいされた。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/21 17:34  No. 55    
       
光輔は今、見渡す限りの草原n…(ry

光輔「あれ!? 三度目だからって人が生死の境にさまよってるのに扱いひどくね!?」
作者「うっさいw さっさと蘇生して物語の続きをしやがれ」
光輔「やっぱ扱いひどくね!? まあ……あんたがそう言う……」
作者「はい、再開!!」
ーーやっぱ扱いひでえ……。


光輔「……ん…う……ん……」
ーーあれ? さっきのって夢?
 重い瞼を少しばかり開けると夕日が眩しすぎてすぐに目を閉じてしまう。しかしすぐに聞き慣れた友人の声とともに体を揺さぶられる。
大地「あ! 光輔が目を覚ましたよ! ねえ光輔! 大丈夫!?」
 大地だな……と思い体を起こそうとするが体のあちこちが痛む。特に腹が。
拓真「おい大地、ちょっと代われ。こういうのは力ずくが一番効果的なんだぜ? まあ見てな」
 力ずく? やばくね? などと思い、
ーーあいつの力ずくはやばくね!?
 という結論にたどり着いたのだが。
 再び腹にものすごい衝撃が襲い、また意識が遠のいた。意識が無くなる直前に光輔はこう思った。
ーーもっとちゃんとした友達を作るんだった……。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:れのん  日時: 2013/04/24 02:52 修正1回 No. 56    
       
あの出来事から一年……は経っておらず一時間後に目を覚ましたときに光輔は家のベットに横たわっていた。母が言うには、なんでもあの忌々しい三人が家まで担いできてくれたそうだ。特に感謝もしていないが。
 時計の針は17時4分を指している。リビングからテレビの音が聞こえる。きっと姉がニュースでも観ているのだろう。
 ひどく腹が痛む。腹筋に少し力を入れると指すような痛みが走る。思わずうめき声を漏らす。
「湿布でも貼っといたら治るだろ……」
 重い体を引きずるようにして部屋からリビングに向かう。はっきり言ってドアノブを回すことすら一種の試練のように感じられる。
 やっとこさリビングのドアを開けるとやはり姉はテレビを食い入るように観ていた。
「ててて……姉ちゃんなに観てんの?」
 どうやらこちらが声をかけるまでこちらの存在に気づいていなかったようで一瞬肩がぴくりと動いた。
「ああ……なんだ光輔か。ビックリさせないでよね……。もう寝てなくて大丈夫なの?」
 姉はまだ中学生のはずなのだがやけに言動が大人っぽい。いや、正確には身体の方も中学生とは思えないほど大人びているのだが。
ーーなんでこんな美人なのに彼氏がいないのかなぁ……
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/04/27 18:32  No. 57    
       
すると姉は不意に立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。そして膝を曲げこちらの顔をのぞき込む形になり顔を近づけてくる。もう少しでお互いのおでこが当たる距離まで顔を近づけると
「…………」
「…………」
 こちらの顔をひたすら見つめてきた。
ーーな、なんかすげえ気まずくねぇ!?
 この状態が1分ほど続きあまりの気まずさに耐えかねた光輔は目を逸らし口を開いた。
「な、なんだよ姉ちゃん……ずっとこっち見てさ……」
 すると姉はいつもの微笑を顔に浮かべこちらの頭を叩きながら
「何で私に彼氏居ないか不思議に思ってた?」
「は、はぁ!? な、なんでわか……あ……」
 うっかりと言うべきかあっさりと姉の誘導尋問にはまってしまった。こうなったら正直に話すまで離してはくれないだろう。今、頭に乗せている華奢な手がどれほど恐ろしいものかを光輔はイヤと言うほど知っていたので白状することにした。
「だ、だってそうだろ? 姉ちゃんってほかの女子に比べたら桁が違うぐらいかわいいし……。そ、その……スタイルもいいし……」
 最後のところは必死に声を小さくしたつもりだったが姉には聞こえたらしく一度苦笑された。
「そんなことない……けどね」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/04/27 18:49 修正2回 No. 58    
       
「まあでも、確かに毎日靴箱にラブレター入ってたり、なぜか男子からチョコもらったり、学校行くとき男子が鞄持ってくれたりはするけどね」
ーーも、モテモテじゃねえか……。
 謎の敗北感に襲われたがすぐに姉が口を開き
「でも私は彼氏を作らない理由があるからね」
 理由なんてのはもちろん初めて聞いた。そもそもこんなにモテていることすら初めって知ったぐらいだ。
 一つだけ異変があった。
 姉の顔から微笑が消えていた。悲しげな雰囲気を漂わせており、どこか遠くを見るような目をしている。こんな顔の姉を見るのは生まれて初めてだ。直感で聞いてはいけない、と悟った。しかし口が勝手に動きだし
「な……んで……なの?」
 聞いてしまった。開けてはいけない宝箱を開けてしまった気分になる。しかし姉はただ何も言わずにこちらを凝視している。まるで何かを試すかのように。そしてようやく姉の口から言葉が発せられた。
「教えてほしい?」
「え……? い、いいの?」
 意外だった。目を丸くしてしまう。姉にはいつもの微笑が浮かんでいるように見えたが光輔には分かった。いつもの微笑とは明らかに違うことを。涙も流れてはいなかったが確実に
 姉の目は泣いていた。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/04/28 15:17  No. 59    
       
「………うん。教えてほしい」
 姉の表情から再び微笑が消えた、がすぐに小悪魔めいた笑みを浮かべながら
「絶対教えてあげないよーーだ」
ーーじ、じゃあなんで聞いたんだぁぁぁ!!
「そんなの決まってんじゃん。光輔の反応がおもしろそうだったから」
「も、弄ばれたのか……弄ばれたのか俺は!? って! なんで読めたの!? ……あ」
「なんでって……。あんた普通に声出して言ってたじゃん」
 姉の口から笑みがこぼれる。ようやくいつもの姉に戻ったようだ。先ほどまで感じていた哀愁感は全く感じられない。
「代わりにいいこと教えてあげる!」
 不意に姉が立ち上がりソファにドカッと座り込み自分の右側をチョンチョンと指さす。つまりは私の隣に座れ……座らなかったらお仕置きよ♪……という意味だろう。お仕置きは勘弁!!と思いすぐさま立ち上がり姉の隣に座る。
「んじゃあ、いいこと教えてあげるね」
 姉はなぜかこちらの肩に腕を回し自分の方に引き寄せる。こちらを向いてニヒヒ、と笑ってから口を開いた
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/04/29 09:18  No. 60    
       
「あんたってさ……好きな人いる?」
 穏やかな口調で喋りだした姉は質問を投げかけてきた。
「いない……けど」
「んじゃあ親友は? 絶対に失いたくない親友」
 親友か……少し考えるがどうしてもある二人の顔がこびりついて離れない。
「いる……二人」
「拓くんと大ちゃんか……よろしい」
 アッサリバレてるなー……などと耽っていると
「じゃあその二人の内どちらか一人を失うことになったらどっちを取る?」
 この質問は卑怯だ。どんなに憎らしくてもあの二人の内どちらか一人を選べなんてとても自分には出来ないことだ。
「選べない。だから俺はもしその選択を迫られても二人ともと一緒にいられる方法を全力で探す」
 これが今の自分の精一杯の答えだ。はっきり言ってこれ以上の言葉が見つからない。すると姉はクスッと笑みをこぼしながら言った。
「あんたにしてはいい答えだね。でもさ……どんな人ともいずれ別れは来るんだよ……。どんなに抗っても絶対に逃げることは出来ないし、絶対に打ち勝つことも出来ないってことを……」
 いくらバカな光輔にもこの言葉の意味は容易に分かる。つまり姉は死について語っているのだ。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/04/29 09:30  No. 61    
       
「でもね!」
 さっきとはうって変わって明るい声で喋りだした姉はソファから立ち上がり窓を開けベランダに出た。光輔も何となくその後についていき再び姉の横に並んだ。
「でも…ね! もしその人がこの大空の下にいるなら! その人を忘れないであげて欲しいの……。だってこの無限に続いている空の下でその人も光輔のことを思っているはずだから。どんなにその人と辛いことがあって、その人との間に亀裂ができても! その人は心の奥底では自分のことを思っているってことを忘れないで! その人も光輔が見ている空を見ているってことを忘れないで! この空に制限なんてないんだから……」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/04/30 00:17  No. 62    
       
「この空に制限なんて無い……ね」
 試合中にこんなことを考えるなんてなんとものんきなもんだ、と思う。それも六年の卒業試合に。
 この言葉を聞いたのはもう一年も前のことだが今でもその時の姉の声はいっさいのノイズもなく鮮明に覚えている。
 そろそろ気持ちを切り替えなければ、と思いバットを二度、三度振る。
 今日の俺の成績は三打数二安打一打点。なかなか好調だ。スコアボードにはそれぞれのチームの点数が書き込んであり、相手のチームには0の文字が続いている。大地がノーノーをやらかしそうな勢いだ。逆にこちらには合計して3点が入っている。内一点は俺、二点は拓真のツーベースで入ったものだ。そしていまは七回の表、こちらの攻撃だ。打席には四番の拓真が相手投手を睨みつけている。
「あの眼は犯罪者の眼だよなぁ」
 うっかり本音がこぼれたがベンチにいる全員がうんうんと頷いている。おまいらはホントにチームメイトか? と笑い付きで疑問したがもちろん誰も応じない。
 乾いた打撃音が響いた。
「おいおい……マジかよ……」
 打球はライトの遙か彼方へ消えていた。
「きもいなぁ……」
 再びベンチ全員が頷く。
ーーこいつらってチームメイトだよな?
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/05/02 18:51  No. 63    
       
拓真に手荒い祝福をした後にヘルメットとバットを持ちネクストバッターサークルに向かう。五番は同学年の佐治、そこそこのパワーがあるのだがミートは止まっているボールを打つのがやっとのレベルの典型的な当たれば飛ぶバッターである。
 結果は期待を裏切らない見事な空振り三振。しかし当の本人はさして落ち込む様子もなく笑いながらベンチに戻っていった。「全く……」と呟き、すれ違いざまに背中を思い切り叩く。佐治は恨めしげにこちらを睨んでからベンチに戻っていった。
 「さて……と一発放り込みますか……」
 この一年で光輔は野球が劇的に上達した。もとから才能があったのもそうだろうがなによりの理由は勉強を捨てて野球に打ち込んだからだろう。そのおかげで光輔の成績は違う意味で劇的な変化を遂げてしまった。ハッキリ言って「もう戻れねえ」と言うのが正直な本音だ。

 光輔は後にこの行動についてこう語る。
「やめとけばよかったのにねぇ……。マジで精神科医に行った方がいいですよね。ハハハ!」

 光輔は左手でバットを持ち上げバックスクリーンにバットの先端を向ける。
 ホームラン予告である。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/05/03 19:12  No. 64    
       
相手投手の眼に再び闘志が宿ったのを光輔は如実に感じ取った。相手はなめるなといった感じでこちらを睨みつける。俺は一度ニヤリと笑みを浮かべバットを構える。
ーーなんだその挑発的な目は……? その目を一瞬で絶望の色に変えてやるぜ!
 相手投手からボールがリリースされる。決して速い球でもなく打てない球でもないが……、恥ずかしいほど大きな空気を切る音をたて空振りした。
 途端に相手選手がゲラゲラと笑い出す。あまりにも見事な空振りだった。しかも味方からも笑われていることを感じる。
「くっそぉぉお!! お前らいまに見てろよ!? 俺の特大アーチに腰抜かすんじゃねえぞ!?」


「…………。もういいよぅ……。調子乗って悪かったよう……」
 あの後光輔は佐治と同じ道を辿った。いや、これは佐治よりダサい。予告ホームランかましときながら、空振りの三振。ボールに掠ることすら出来なかったのだから(笑)

「てんめクソ作者! なに(笑)つけてんだよ!?」
 ノリです(笑)

 試合にこそ勝利はしたが光輔にとってはなんとも後味の悪い試合になってしまった。
 今回のヒーローはなんといっても大地だろう。まさかのノーノーをやらかしました、はい。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん@pcから久々の更新  日時: 2013/05/18 17:16  No. 65    
       
ーーこの状況から脱する術を誰か教えてくれないか?
 光輔は教室で両手をついて倒れている。ここまではいい、しかしまずいのはここか
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