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ロックされています  THE SKY IS THE LIMIT   名前: nahato  日時: 2013/03/09 16:10 修正18回   
      
この小説を始めて、早一年ほど。全く文章力が向上しないですがよろしくお願いします。

第1章「馬鹿と出会いとファーストキス」
>>1-32

第2章「大地と飛鳥と光輔の過去」
>>33-71

第三章「団結とAクラスと球技大会」
>>72-

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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/28 03:06  No. 26    
       
大家「名前、大家俊太(おおけ しゅんた)野球経験、野球部に入っている。ポジション、投手。以上」
相変わらず口数が少ないな……。
大家は我が野球部では二番手の投手だ。Maxは126krしかないがその多彩な変化球で打者を惑わし打ち取るスタイルだ。ついでに言うならとんでもない変態でよく光輔と体育館裏で何か取り引きしているのを見かけたことがある。
当然合格だ。

風峯「風峯蘭丸(かざみね らんまる)に御座る。野球部に所属しており拙者は中堅手を担当しているに御座る。これから一年どうぞよろしく頼むで御座る」
語尾が御座るの偽忍者もこのクラスだったか。
風峯を一言で表すなら『リア充』がふさわしいだろう。髪は長髪で女子のように後ろで束ねて結んでいるのだがこれが女子から好評価を受けておりしかも運動神経もいいとくればモテるのも当然だろう。たとえ御座る語尾でも……。
気に食わないが合格。

那覇「那覇昌樹ッス! 野球は去年まで野球部だったけど理由があって退部したッス! これから一年よろしく頼むッス!」
そう。那覇は去年まで三塁手として野球部に所属していた。ミートとパワーに定評があり野球部唯一のスイッチヒッターだった。まあ、合格だ
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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/28 15:18  No. 27    
       
順調に自己紹介が進んでいき最後に残ったのは光輔のみとなったのだが光輔はどうやって抜け出したのか十字架の前でうつ伏せに倒れていた。むろん全裸で。

拓真「おーい光輔、いつまで寝てんだ? いい加減起きろー」
返事がない。拓真はもしやと思い脈を計る。

拓真「脈がない……!? お前ら!誰でもいいから職員室に行ってAEDを持ってきてくれ! 光輔が……死んでるぞ!!」

糸縞「うっそ…! まさか初日から死人がでるなんて……」

拓真「まだ助からないと決まった訳じゃない! 隈守!AEDを頼む!!」

隈守「お、オッケー! すぐ取ってくる!」
言った瞬間に隈守の姿が消えた。さすがは陸上部のエースだ。あの速さなら1分もあれば戻ってくるだろう。その間にやれるだけのことはやらなければならない。
拓真は光輔を仰向けにして心臓マッサージを始めた。
仰向けにした瞬間女子の悲鳴が聞こえた気がしたがたぶん気のせいだろう。
しばらく続けていると隈守がAEDを抱えて戻ってきた。
AEDの使い方なら知っている。と言っても中学の時に救命体験というので一回使ったきりだが。

拓真「光輔!絶対に助けてやるからな!」
拓真はAEDの電源を入れた。
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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/28 17:48  No. 28    
       
?「…対……ける……な!」
光輔はどこかで声がしたのを聞いた。ここじゃないどこかで。
光輔は今見渡す限りの草原に立っていた。教科書で見たどこかの遊牧民が住んでいそうな草原に。
光輔は以前にもここに来たことがあると直感した。
そう…確かここには川が流れてて……看板があって…そこには……三途の川って書いてあって……

光輔「三途の川!? じゃ、じゃあ俺は死んじまったのか!? い、いや待て…落ち着くんだ柏木光輔…。あの世なんてある分けないじゃないか♪そうだよ! きっとこれは悪い夢か何かで……」
するとどこからかまた声が聞こえてきた。拓真によく似た声が。

拓真?「みん……離れ…いく……」
聞こえた瞬間に体に恐ろしいほどの衝撃が走り世界が暗転した。
また声が聞こえた。今度ははっきりと聞こえる音量で

拓真?「もう一度だ! みんな離れろ! 電圧300Jチャージ!!」
再び体に衝撃が走った。
光輔は声のする方に必死に駆け寄る。三度の声と衝撃。
光輔は足をもつれさせてしまった。転けそうになるが必死にこらえる。ここで違和感に気づいた。地面がない。
必死に空気を蹴る。しかしそれはなんの推力にもならず光輔は奈落に落ちていった。
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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/28 18:11  No. 29    
       
光輔「…………ん…う…ーん……はっ!」

拓真「よかった……目を覚ましたか…」
拓真が言うと周りの生徒がフゥと息を漏らす。
こ…こは…教室? あ…れ俺ってさっきまで三途の川にいたんじゃ?

拓真「なにボーッとしてんだ? まったく…冷や冷やさせやがる……」
すると拓真の後ろにいた美少女が

?「ホントにそうだよ。君が譫言で前世の罪を懺悔しはじめたときはもうダメだと思ったよ」
美少女は苦笑しながら言う。
あれ?この子って誰?もしかして僕のお嫁さん?じゃあ抱きつくぐらい許してくれるよね…

?「うわあああ!! な、なにすんのさ!? いきなり抱きつくなんて……。こ、心の準備ぐらいさせてよね……」
か、可愛いぃぃぃ!! その上目遣いは反則だろぉぉ!!
このままの勢いでキスを……
光輔は美少女に唇を近づける。なぜか周りの男子が殺気立っているが気にせず続ける。
そしてあと少しで唇が重なりかけたとき拓真が

拓真「あー…光輔。お楽しみのところ悪いが……そいつは男だぞ?」
唇が重なった。
 
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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/29 01:59  No. 30    
       
俺は幸せの絶頂にいた。なにしろ今まさに美少女とキスをしているのだ、これでなにも思わない奴のほうがどうかしているだろう。
 眼前の美少女は頬を朱に染めながら驚いた様子で目を見開いている。まあいきなりのキスは正直やりすぎたと思っている。あとでクラスメイト達から殺されるだろう。しかしこのあとに死ねるのであれば本望だ。
 しかし一つ気になることがある。あの馬鹿はこの子のことを男だと言ったように聞き取れた。こんな可愛い子が男な訳がない、と不意に美少女が唇をはなした。時間的には約5秒程度だったが体感した時間は無限とも思えるほどだった。
 そして彼女が口を開き驚愕の言葉を放った。

?「ふふ……。柏木君に僕のファーストキス奪われちゃったなあ。しかも同性だし」
 嘘だろ? 俺も初めてなんだぞ? 初めての相手が男同士?
 俺は思わず自称男に叫んでしまった。

光輔「俺のファーストキスを返せえぇぇ!」
 つい叫んでしまった。しかし眼前の自称男はアハハとこれまた反則級の笑顔をこちらに向けながら

?「そんなこと言ったってそっちが勝手に抱きついてキスしてきたんじゃないかー。むしろ僕は被害者だと思うケド?」
 なにも言い返せなかった
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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/29 02:40  No. 31    
       
正論すぎる……と俺は思い黙り込むしかなかった。確かに彼女に非は全く無い。こっちが勝手に盛り上がりいきなりキスをしたのだ。10:0でこちらに非があるだろう。ここで再び彼女が口を開いた。
?「柏木君も初めてだったんだー。これはどうもご馳走さま♪と、そろそろ自己紹介をしとかないとね。僕の名前は阪本藍那(さかもと あいな)覚えといてね♪ ちなみに卓球部に所属してるんだけど……どう? 柏木君も入って僕と一緒に汗を流さない?」
 阪本はとどめにウインクまでしてきた。意識が遠のきかけたがなんとか持ちこたえる。
 ここで今まで黙っていた拓真がこちらを見ながら
拓真「さっきも言った気がしたが自己紹介をしていないのはお前だけだ。さっさとすませてくれ」
 自己紹介か……こういうのは掴みが大切なんだよな。堅すぎず、かといって柔らかすぎずに相手の心を掴むには……あれしかない!!
光輔「みんなのアイドル柏木光輔です! みんなは気軽にダーリンって呼んでね♪」
 しまった……!! 気づいたときにはもう遅く教室は静まり返っていた。
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ロックされています   Re: 大鳥学園  名前:nahato  日時: 2013/03/29 03:06  No. 32    
       
 静まり返る教室に教壇の横にいた拓真が何かを察したように俺の横に歩み寄り両手を上げる。そしてリズムをとるように数回手を振りあるタイミングでさん、ハイッという風に手を振り上げるとクラスほぼ全員が
「ダアアァァァァリイイィィン!!!」
とこちらに向かって一斉に叫んできた。中には手を突き上げるものやジャンプする者までいる。しかし自分で呼んでと言っておいてなんだが……この呼び方は……あまりにも不愉快すぎる!!

 この後数週間光輔のあだ名がダーリンになったのは言うまでもない。

 そしてこの後のHRの時間も球技大会の作戦が練られ正式なチーム分けが行われ話し合いの結果、光輔はBチームに入ることが決定した。

そして放課後の拓真との帰り道で光輔は意外な提案をされる……。
光輔「野球部に入れだあ!?」
何でいきなりそんなことを言い出すんだ? 球技大会に張り切っているのは分かるがこの提案はあまりにも唐突すぎるだろ……。
拓真「ああ、そろそろお前もあのことと向き合わなくちゃいけないだろ? もう5年になるじゃないか」
そうか……。もう5年になるのか……俺が野球をやめてから……。
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ロックされています   Re: 本気の実力データ  名前:nahato  日時: 2013/03/29 10:30  No. 33    
       
あの頃の俺はただ純粋に野球が好きだった。来る日も来る日も野球ばかりしていた。本当にあの頃の俺は輝いていたんだと思う。だからこそあんな事になってしまったんだと思っている……。

ー七年前のとある公園ー
?「光輔ー! 勝負だ! 今日こそ俺の魔球で三振を取ってやるぜ!」
光輔「だったら俺は新しい打法でホームランにしてやるぜ!」
小学校四年生の頃の俺は幼なじみの拓真のほかにかけがえのない親友がいた。
光輔「いつでもこいよ大地! ホームランを喰らわしてやるよ!」
大地「よーし!! いくぜぇ! 喰らえぇ! スーパーウルトラボーール!!!」
こんな感じで毎日二人で野球をしていた。とうぜん公園などで野球などのボール遊びは禁止だったのでよく近所のおばさんに
おばさん「こらあぁぁ!! あんたたち今日もやってるのね! いい加減にしないとお母さんに言いつけるわよ!!」
怒られたりもした。
 進級して五年生になると俺はますます野球の魅力に引き込まれていった。しかし大地は進級してすぐに地元の少年野球チームに入り休みの日に遊ぶことはメッキリ減ってしまった。そして進級して2ヶ月経ったある日、俺は拓真と大地から意外な誘いを受ける。
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ロックされています   Re: 本気の実力データ  名前:nahato  日時: 2013/03/29 19:57  No. 34    
       
光輔「少年野球?」
 六月も半ばにさしかかり季節は春から梅雨に移り変わった。梅雨らしく雨が降り運動場も水浸しで教室での休み時間を余儀なくされた俺は拓真と大地というおなじみのメンツで野球の話に花を咲かせていたところ急に拓真が提案してきたのだ。少年野球に興味はないか? と。
大地「どうしたの拓真? 急に光輔を勧誘するなんてさ」
拓真「いや、なんとなく…なんだけどさ。どうだ光輔、野球に興味はないか?」
この頃から拓真は既に野球をやっていた。聞いたところには小学二年の時からやっていたらしい。大地と同じチームに所属しており最近何かと三人で遊ぶ機会もないから気を回してくれたんだろう…と、このときの俺は思っていた。実際のところは理由は全く違ったのだが。
光輔「そりゃあ興味はあるけどさ、父さんと母さんが許してくれるかどうか……」
俺の両親は今は海外に出稼ぎにいっているが小学校までは姉と一緒に四人で暮らしていた。そして両親は勉強にうるさかった。なので親がそんなものを許す分けないと思っていた。
拓真「大丈夫だよ! 俺と大地も説得しにいくからさ!」
大地「えぇ〜…」
その後なんとか大地を説得し放課後に俺の家に集まることが決定した
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/02 02:09  No. 35    
       
母「駄目です」
母からの返答はやはり思っていたとおりの結果だった。
 放課後に光輔の家に集まった二人は早速家にいた母に少年野球のことを頼み込んだのだ。当然おれも必死に頼んだが答えは予想通りのものだった。
光輔「そこを何とか頼むよ母さん! 俺、本当に野球がしたいんだ!」
母「駄目です。それに野球なんて始めたらただでさえ悪い学校の成績が余計に下がってしまいます。そんなことになったら母さんはお父さんになんて言ったらいいの?」
ーーくそ! 学校の成績がなんだ!? そんなに俺が成績が下がるのが嫌なのかよ!? 父さんに怒られる自分が嫌なだけなくせして!
思わず心の中で毒づいてしまうが当然そんなことを言う勇気などあるわけがなく光輔はただその場でちぢこまることしかできなかった。
拓真「こいつの勉強のことが心配ならそれぐらい俺が教えます! だから……!」
大地「お、俺も拓真ほど頭はよくないけど…それでも少しなら教えることもできると思います! だから……!」
拓真・大地「だからお願いだから光輔が野球をするのを許してあげてください!」
光輔は胸の奥からこみ上げてくる感動を抑えきれなかった。
 ここで意外な人物が助け船を出してくた
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/02 02:36  No. 36    
       
?「別にいいんじゃない? やりたいことやらしてあげたら」
光輔「あ、姉貴……!」
 部屋からでてきたのは長めの黒髪、整った顔立ち、170cm弱の身長、そして体幹前方上部のボリュームがとても14歳とは思えないパッと見はモデルにしか見えない光輔の姉、柏木渚である。
 拓真と大地は光輔の姉はこれが初見だったはずで顔を赤くしながら二人とも見とれていた。
渚「私はよく分かんないけど光輔は野球をおもしろいと思ってる。やりたいと思ってる。これ以上に必要なものは無いし、たとえ親でも…いや、親だからこそ我が子がやりたいと思ってることを否定し拒否する権利はないと思うわ。逆に親なら背中を押して応援するべきじゃないの? 母さん」
母「でも成績が……」
渚「それなら簡単に解決するじゃない。今ここで光輔と約束したらいいわ。きちんと勉強もするってね」
母「でもあの子がそんな約束を守るはず無いわ!」
 うんうん、と思わず光輔は心の中で頷いてしまう。
 確かに自分はそんな約束は守らないだろう。たぶん5日で忘れるはずだ。するとそんな心の声を読みとったのか渚は殺気の混じった微笑を顔に浮かばせながら恐ろしいことを言った。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/02 02:57 修正1回 No. 37    
       
渚「そのときは私からたあっぷりときっつーいお仕置きをしてあげるから♪」
光輔は凍り付いた。理由としては以前に渚から受けたお仕置きの内容を思い出していたからだ。渚のお仕置きはお仕置きであってお仕置きのレベルを遙かに越えているのだ。それこそ命の危険を感じるほどの……。
母「渚がそこまで言うのなら仕方がありませんね。条件を飲みましょう」
ーー母上待ってくだされ! 勝手に人の命を危険にさらさないでえ!
母「では光輔。あなたが少年野球に入るのは承諾するかわりにかかさず勉強もすること。もし破ったら渚からのお仕置きという条件でいいのなら少年野球にはいることを許可します」
光輔は高速で土下座の体勢になり震えながら返答した。
光輔「お断りします……」
拓真と大地にどつかれた。
 その後拓真と大地に半ば強引に条件を呑まされ少年野球チームにはいることが決定した。

 よくよく考えればこの時に意地でも入るのを断ればよかったのだろう。そうしていれば俺は大切な親友を失わずにすんだかもしれなかったのに、あの女に出会わずにすんだかもしれないのに……。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/02 21:23 修正1回 No. 38    
       
光輔「試合!?」
 光輔が少年野球チーム、希望ヶ丘キッズに入団してから8日が経った日の解散前のグラウンドで大地から聞いたのである。三日後の土曜日に試合がある、と。
光輔「でも俺って入ったばっかだぜ? 試合には出ないだろ?」
大地「まあね。でもうちのチームは六年と五年合わせて10人しかいないから誰か一人でも休んだりしたら光輔がその穴に入らなきゃいけないんだよ?」
 さらりと恐ろしいことを言う親友に対して光輔は少しニヤリとした顔で親友の肩に手をおいて
光輔「そんときはそんときだよ。それにお前は絶対に休まないだろうしな、なにせ……あいつが応援にくるんだから」
 あいつと言う奴のことを大地は瞬時に理解したのか顔を真っ赤にしながら反論してきた。
大地「あ、飛鳥のことは関係ないだろ! そ、それに僕は飛鳥が応援に来ようと来まいと試合には絶対に来るしね!」
光輔「ほーう、へー、ふぅーん、なるほどねー」
 光輔は相変わらずニヤニヤしながら大地のことを見回していたが六年生キャプテンの永城さんがこちらに向かって
永城「おまえらー! いつまで喋ってんだぁ! 早く集まれぇぇ!!」
光輔「やっば!行くぞ大地!」
 俺たちは走り出した。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/03 01:35  No. 39    
       
ーーどうしてこんなことになったんだろう……。
 光輔は七回の裏、つまり最終回の場面で打順が回ってきてしまったのだ。
ーーしかも2アウトでランナー2、3塁、得点は2対3のビハインド。1打サヨナラのチャンスかあ……。気が重いなあ……。
 そもそも光輔に打順が回ってくることじたいおかしいのだがこのようなことになったのは約一時間前に遡ることになる。

光輔「よかったあ……。誰も休んでないみたいだな……」
拓真「よかったじゃないか光輔、いきなりスタメンじゃなくて」
 拓真が少し顔をニヤつかせながらこちらに話しかけてきた。
光輔「ホントだよ……僕みたいな初心者がいきなり本番なんてことになったら緊張でチビリかねないしね」
 すると今度はストレッチを終えた様子の大地がこちらに近づいてきた。
大地「光輔も拓真もストレッチは終わったの? 特に拓真はちゃんとやっておいてよね。それと光輔も出番がこないと決まった訳じゃないんだからきちんとやっておきなよ」
 大地がここまでやる気なのは珍しい気もするがその理由は一重にあいつが応援に来ているからだろう。
 そう、あいつ。

 如月飛鳥が。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 01:32  No. 40    
       
?「だーいち!」
 不意に後ろから声が聞こえ振り向くと一人の少女が光輔の隣にいた大地に向かってダッシュしてきている。
ーーあれ? 止まる気配なくね?
 と思った瞬間、少女は大地に飛びかかった。
 当然小学生では受け止められるわけもなく二人揃って芝生に倒れ込んだ。
大地「いだっ! な、何するんだよ飛鳥!」
飛鳥「へへーん」
ーー落ち着け…落ち着くんだ、俺。抑えろぉ……抑え……
光輔「こんのリア充があぁぁ!!」
 抑えられなかったようである。

その後なんとか光輔を落ち着けた後に飛鳥と別れ光輔たちは三人でベンチに向かった。

監督「集まったかい? それじゃあ早速今日対戦する夢ヶ丘ベースボールクラブのオーダーを発表するよ」

1番中 永城
  ………
5番捕 清水
  ………
7番投 筑波
  ………
監督「これでいこうと思うからね。それと柏木君も代打起用するかもしれないからね。それじゃあ……みんな! 絶対に勝とうね!!」
全員「オオォ!!」
運命の試合が始まった。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 17:58  No. 41    
       
一回の表夢ヶ丘ベースボールクラブの攻撃

大地はマウンドでボールの感触を確かめていた。
 大地はまだこのチームにはいって二ヶ月だがエースナンバーを背負っている。理由としてはチームにろくな投手が居なかったからだが……。しかし大地は自分は兄には遠く及ばずとも多少は才能があると思っている。
ーーさて……今日は飛鳥が来てるし格好悪いとこは見せられないな……。
 プレイボール!!

 主審の声がグラウンドに響いた。試合開始だ。
ーー相手の1番は俊足だったはずだよな……。でもミートはあまりよくなかったはずだから……!
 まるで大地の心を読みとったかのように拓真が外角低めのカーブを要求する。大地は頷きセットポジションから投球した。小学生とは思えないきれいなフォーム。大地は確かな手ごたえを感じた。が、大地の手から放たれたボールはあろうことかど真ん中に向かっている。打者は少し笑みを浮かべながら甘くはいったボールを見逃さずフルスイングした。インパクトの瞬間にものすごい轟音がしたかと思うとボールはあっという間にレフト方向にに消えていった。
 1-0
 先頭打者ホームランでいきなり試合が動き出した。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 18:29  No. 42    
       
ホームランを打った打者がチームメイトとハイタッチを交わすなか大地は意気消沈していた。初球からたたき込まれたのだ。
飛鳥「だいちーー!! もっと頑張ってよねー! これで負けたら承知しないからねーー!!」
 飛鳥がフェンス越しにこちらに向かって叫んできた。瞬間あちこちから殺気に満ちた視線を感じたが今は気にしてはいられない。
ーー承知しない、か……。じゃあ負けるわけにはいかないよな…。
 大地は飛鳥に向かって笑いながら親指をたてる。任せておけ、と。すると殺気はさらに増し舌打ちまで聞こえてきた。試合終わったら大変だろうなあ…、と思いつつ拓真を見る。拓真は何も言わず頷き腰を下ろした。二番打者がバッターボックスにはいる。
 プレイ!と主審の合図とともにバッターが構える。
 拓真はまず内角のストレートを要求する。頷き投げる。
スパン!と小気味いい音がしてボールは要求通りの場所に収まった。
ストライク!
 打者は驚愕している。それもそうだろう。大地のストレートは最速で126キロもでるのだ。とても小学生の球とは思えない。今のストレートは120キロはでているだろう。しかし大地の凄さはそこだけではない。
 拓真はサインを出した。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 19:05 修正1回 No. 43    
       
拓真が大地に要求したサインはど真ん中のカーブ。バッターはこの球で振ると拓真は確信していた。なにせど真ん中の絶好球だ。
 大地は頷き投げる。
 案の定バッターは真ん中に変化してくるボールにフルスイングしてきたが甘い。
 大地のカーブはキレが抜群に良い。バットはボールの上の方を強く叩きすぎてしまい投手ゴロ。
 次の三・四番は空振り三振にとり一回の表の攻撃を終えた。
 一回の裏大鳥ベースボールクラブの攻撃。

拓真「永城さん! かっ飛ばしてくださいよ!」
永城「おうよ! こっちもホームラン打って同点にしてやるよ!」
 永城さんは俊足堅守で決してホームランをバカスカ打てるタイプでは無いがここ一番と言うときには必ず打ってくれる頼れるキャプテンなのだ。
 永城さんは期待通りにセンターオーバーの二塁打を放ち無死二塁となる。そして続く二番がレフト前ヒットで無死一・三塁といきなり同点のチャンスとなるも三番は三振、四番は三飛となり二死一・三塁という場面で拓真に打順が回ってきた。
光輔「頑張ってこいよー」
と、光輔が気の抜けた応援をしてきた。
拓真「おーう。任せとけー」
と、こちらも気の抜けた声で返しバッターボックスに向かう。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 22:19  No. 44    
       
ーーさて……どうするか……。
 考えながら拓真はバッターボックスに立ちバットを構えた。
 プレイ!
 まず相手投手は真ん中低めのストレートを投げてきた。
 ストライク!
 次の球は内角低めのストレート
 ボール!
 三球目はこれまた内角低めのストレート
 ボール!
 四球目は外角低めのストレート
 ストライィク!
ーー低めに集めてる? それにストレートしか投げてない? いや投げれないのか? なら多分次の球は……!
 投手がボールを投げる。拓真の予想したとおり内角高めのストレート。拓真は迷わずフルスイングする。先頭打者本塁打のとき以上の轟音が轟いた。
 まさに弾丸ライナー。ボールは三遊間をあっと言う間に抜けレフトのフェンスに直撃。あまりの早さに守備も反応できておらずボールがフェンスに直撃した音でようやくボールを追いかけた。
 拓真は三塁に悠々セーフ。走者一掃の三塁打でいきなり逆転に成功した。しかし六番は遊ゴロに倒れ三死でチェンジとなった。
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ロックされています   Re: 本気の実力  名前:nahato  日時: 2013/04/06 22:45  No. 45    
       
三回の表夢ヶ丘ベースボールクラブの攻撃。
 大地は多分今日一番のピンチを迎えていた。
 二回の攻撃は両チームとも三者凡退に倒れたのだが三回に入り八番からの攻撃が始まったのだが大地のはなったボールが思ったところに入らず四球、さらに続く九番にも四球をあたえてしまい無死一・二塁の場面でさきほど本塁打を打たれた一番にはセンター前ヒットを打たれ無死満塁という場面になってしまったのである。
ーー無死満塁……、長打を打たれたら一気に逆転……こうなりゃ奥の手を使うしか……!
 しかし今回拓真が要求してきたのは真ん中高めのストレート。思わず首を横に振る。次に要求してきたのが内角高めのカーブ。これも横に振る。このやりとりが十回以上続き、とうとう拓真が主審にタイムをとりこちらに走り寄ってきた。
拓真「おい…! 一体何なんだ!? なにを要求すれば納得するんだ!」
大地「拓真……、奥の手を使いたいんだけど……」
拓真「駄目に決まってるだろ!? あれは今使うには早すぎる!」
大地「お願いだよ! 練習もして完璧にマスターできたんだから!」
拓真「………この打者は俺のサイン通りに投げろ…。もし打たれたら奥の手でも何でも受け止めてやる」
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