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ロックされています  King nine   プロ野球編  名前: 魁斗  日時: 2013/08/25 10:51    
      
高校野球編の続編でございます。
見る人は少ないとは思いますが、よろしくお願いします。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/22 11:15  No. 38    
       
そう呟いた達也は玲菜と桜咲にこう提案した。

「俺が、今日の試合、投手で試合に出てやる。それで勝利投手になったら、俺と勝負しやがれ!」

「へえ…おもしろい提案だな。だが、それは無理だ。今日の午後になったら私たちは今度はアメリカに行くんだ。どうしてもと言うなら今度行われる親善試合のメンバーに選ばれてその時私と勝負しよう」

今度の親善試合とは、2020年の東京オリンピックへ向けた試合である。
日本野球機構、選手会の必死の説得によりにイニングは7回までだがソフトボール、野球が競技として復活した。

「なっ…わかった、いいだろう。俺の兄貴と一緒にチームに絶対入ってやる。それまで首洗って待ってろ」

そこで解散、今日の試合に向け、準備をし球場に向かう。


札幌ドームでは一つの話題が集中していた。

「おい、聞いた? 新美さん引退するって」
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/24 10:52  No. 39    
       
「ああ、あの人も歳だしな。あ、知ってる? 今年のオフに王城さんがポスティング使うって噂」

しかし、一人の選手が放った言葉で話題は突然変わる。王城は26歳。高卒で入団しまだフリーエージェントの権利は得ていない。

「それだったら司さんもポスティング使うことないか? あの人王城さんすごい信頼してるし」

「バカいってんじゃないよ。生涯西武って宣言してるじゃん」

「そうだったな。まず、この時期の噂が本当じゃないに決まってるじゃん」

「それもそうか。行こうぜ」

そう言って選手たちはベンチに向かっていった。

その頃、王城は監督である渡辺に一通の電話を掛けていた。

「あ、もしもし、王城です。ちょっと話しがあるんです。今年のオフの事で」

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2013/12/26 21:47  No. 40    
       
「……ポスティング!? 待て待て、シーズンも始まったばっかりだし、こういう事はオフになってから話さないか?」

選手の間で流れていた噂は本当だった。
王城のメジャー挑戦は噂ではなく事実だったという事である。

「まず、理由を話してくれないか? オーナーとも話し合いたい」

「…去年のWBCで世界に対する自分の投球に自信が持てたんです。世界一、ミートの技術がうまいレッド・ウィリアムを三振にとれて一気に自信が持てたんです」

王城は去年の第4回ワールドベースボールクラシックに日本のエースとして選出された。
決勝戦、アメリカとの試合に先発した王城はアメリカの3番打者レッド・ウィリアムを三打席連続三振とし、最強のアメリカ打線を黙らせる事に成功。チームは負けたが自身の力を世界に見せつけた。


「うーん、そうか。俺は賛成する。オーナーとも一度話し合おう」

「ありがとうございます…」

その日の試合、昨日の試合で波に乗れたのか打線が爆発。二桁得点を記録し日本ハムに脅威を見せこれで日本ハムとの三連戦の勝ち越しが決定。
地獄の連敗から立ち直れたようだ。


久しぶりに寮へ帰省した魁はテレビのリモコンを見つけるとすぐにテレビをつけた。

スポーツニュースで今年のルーキーの特集が行われており魁はそのテレビに釘付けとなり一度も目を離さず鑑賞。
ロッテの小南、四田、楽天の青星、中日の橋などほぼすべてのルーキーがその番組に目を向けた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/03 13:44  No. 41    
       
その特集の中でジャイアンツのゴールデンルーキー長谷川に対してインタビューが行われていた。
大人のような喋りで、つい最近まで高校生だったとは思わせないような喋りっぷり。

インタビューの最後に今年の目標を長谷川は自身たっぷりな声でこう言う。

「今年の目標は、ずっと一緒に戦ってきた伊藤魁よりもよい成績を残し、チームを日本一に導く事です」

その言葉を聞いた瞬間、魁はバットを手に持ち寮の外へ走って行った。

(くっそ…絶対、俺らが優勝してやる…成績だって俺があいつ以上に…)

長谷川の言葉で火がついた魁は素振りを開始した。
(俺は負けん…何があっても…)

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/05 23:25  No. 42    
       
そろそろ4月も後半となりもう少しで交流戦。
選手達が疲れるであろうオリックス三連戦、ソフトバンクも三連戦、ロッテも三連戦と、合わせて九連戦の始まりをライオンズは次の日に迎えていた。


「明日は楽しみだな、達也」

寮の食堂で共に食を楽しんでいた魁と達也。魁が突然そう達也に話しかけた。

「なんで? 何かあったか?」
そう達也が返すと、
「明日は、去年まで西武にいた岩村(イワムラ)さんに会えるだろ? 西武の元正二塁手だぞ?」
「ああ、そうだったな。おかわりもらってくる」

魁が言う岩村さんとはフルネームで岩村道広といい、去年、魁の入団と入れ替わる形でオリックスバファローズにフリーエージェント権を使い移籍した守備職人の事である。

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/07 16:35  No. 43    
       
翌日の昼ごろ、京セラドームでの試合に出場するため、大阪府のホテルから出発。
ベンチに入るとオリックスの選手がすでに練習を開始していた。

岩村がティーバッティングをしている後ろで魁はそのバッティングを熱心に見ていた。


「ふぅ…後20だけお願いします」

岩村のティーバッティングが終わると魁はすばやく岩村に声を掛けた。

「岩村さん、西武の伊藤魁です! 今日から三試合、よろしくお願いします!」

「(あ…アイツか…)ああ、よろしく頼む。あ、今日はセカンドにいっぱい打つから注意しとけよ〜」


「はい! お願いします!」

ちょっとした会話の後、魁は試合のために練習を始めた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/08 18:13  No. 44    
       
午後6時、オリックスバファローズ対埼玉西武ライオンズとの試合が始まった。
オリックスの先発はエース金子千尋。
西武の先発は内木。

ビジターの為、西武は先攻。

「一回の表、ライオンズの攻撃は、一番、センターフィールダー、佐助、藤ヶ谷!」

打席に立つ藤ヶ谷はオープン戦で一度だけ使った明鏡止水という特殊なバットで構え打席に立った。

一球目、金子は自身の平均球速144km/hから1km/h速いストレートをインコース低めに投げた。


「ストライク!」
主審の右腕がスっとあがりストライクと大きい声で放った。

藤ヶ谷はサインを確認し、ヘルメットのつばを触りバントの構えをする。

(あれ? 明鏡止水使えばいいのに…)

せっかく明鏡止水を使ってるのに打たないの? と魁は思っている様子。
だが、藤ヶ谷にバントなどする気は無いようである。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/09 20:37  No. 45    
       
超俊足の藤ヶ谷に対し、一塁手と三塁手はかなり警戒し前に大きく出た。
金子千尋が投げた瞬間、藤ヶ谷はバットを引き三塁線に向け思いっきり流した。

「うわぁ!」
自分に向かって100km/h以上の速さで飛んでくるライナーに三塁手は驚かない訳がなくライトスタンドにも聞こえる大きな声で驚く。

通常ならツーベースの打球を藤ヶ谷は快速飛ばし一気に三塁へ。

魁がネクストバッターズサークルが出ようとすると新しくサークルに入る銀宮寺が「魁、アウトになっても俺と嵯峨峰さん、キリシヨンがいる。思いっきり行け!」と、魁を奮い立たせる言葉を放った。
それでやる気が出たのか、魁は打席に入る前バットを3回ほどスイング。三塁ベース上から魁を見る藤ヶ谷は(絶対打つんだろうな)と感じた。

一球目、金子千尋はインコースに向かってストレートを投じた。魁は少し引っ張りライト線切れるか? という所へボールを飛ばす。

三塁ランナーコーチはフェアだと感じ藤ヶ谷をゴ―させ走らせる。

だが、セカンドの岩村は諦めない。落ちそうなところに走る前に三塁ランナーの藤ヶ谷を目で殺し足を止めさせる。するとボールに向かってダイビング。何事も無かったかのようにボールを補球しとまっている藤ヶ谷を三塁にボールを送りアウトにした。

これが、岩村が守備職人と言われる理由である。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/17 23:51  No. 46    
       
銀宮寺の打席、ピッチャーの2mほど上に飛んだ打球はセンターと二塁ベースの間に落ちた! というところへ飛んだ。
しかし、セカンド岩村はこれをダイビングして補球。スリーアウトとなり、ノーアウト3塁の大チャンスは岩村の手で全て消えてしまったのである。

「すげえ…あんな簡単に…」

同じセカンドとして魁は岩村の今のプレーを見て岩村を完全に尊敬し始めた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/19 22:24  No. 47    
       
先発内木の立ち上がりはほぼ完璧な物な様だ。
まず、一番駿太を三球三振、二番川端をライトフライに打ち取った。

そこで迎えるのは3番のプルヒッター岩村。
今シーズン、放った本塁打は全てライトスタンドに打ち込んでいる。
初球から強気の銀宮寺は打者に当たるような所からストライクゾーンへ入る、シュート…いや、カミソリシュートを求めた。
(俺にそんなの出来るか?)
当ててしまうんじゃないか、と不安に思った内木であるが、銀宮寺の補球能力をよく知っていた内木は(あの人なら大丈夫かな…)そう思い首を縦に傾けた。

すぐに投球フォームに入りその場所へボールを投げ、その通りの場所へ来る。
(よし!)
銀宮寺はそう心の中で叫んだ。しかし、岩村は驚く素振りを見せずバットを振り、打球をライトの頭の上まで簡単に運んだ。

その頭の上はスタンドの事。ライトスタンドへ岩村は本塁打を放ったのである。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/20 18:14  No. 48    
       
岩村の一振りで試合は動いた。
4番にも本塁打は生まれツーアウトからまさかの2失点を内木は許してしまったのである。

そして、5番の外国人打者グラフィー・アレックスを迎えた。アレックスは今期、すでに20近く本塁打を打っており、西武の5番打者、キスミン・キリシヨンと共に2013年に王貞治を抜いたヤクルトバレンティンが生み出したシーズン60本塁打の記録更新に向け努力している。

(何とかしないとな…よし、インコース高めにストレート)
銀宮寺はストレートのサインを出しインコース高めに構え、投球フォームに入りそこに向かって投球。しかし、アレックスが出す威圧感が原因なのかボールは真ん中高めのボールゾーンにボールはいってしまった。
(あぶね…)
そう感じた銀宮寺はさすがにバットを振らないだろうというところにボールが行った為、かなりホッとした。

しかし、アレックスはバットを振る。芯に直撃したボールはアーチを描きセンターバックスクリーンに直撃。

今期、16本目の本塁打を放ち、3打者連続で本塁打を放ったのである。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/01/21 19:42  No. 49    
       
そのイニング、何とか内木はそれ以降点を与えずに済んだ。しかし、チームの雰囲気は最悪。2回の表の攻撃は三者連続で三振、そこから5回までは毎回イニング失点。
結果、0対10でオリックスとの三連戦初戦に負けてしまった。

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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/02/01 11:25  No. 50    
       
その日からまた西武は連敗続き。
次の日の試合は王城が完投し何とか勝利出来たがそこからは連敗。一軍に帯同している魁、達也、内木の三人は精神的に限界が近づいてきた。

「はあ…」魁も自然と溜め息が出てくる。するとスマートフォンから金爆の曲、トラウマキャバ嬢が流れてきた。電話である。

「ん? 雅からか」

もちろん魁は電話に応答。4月に病から復活ししばらく会っていない中学生の妹からの電話に気分が少し楽になってくる。

「もしもし、雅さんのお兄さんでしょうか」

普通なら雅の声が聞こえてくるはずなのだが聞こえてきた声は中年程の男性の声。

「え…? 貴方誰ですか?」
もちろん魁はこう質問した。
そして、魁はこう予想。

まさか、雅が倒れたのか?


現実はそうあってほしくない。だが男性から出た言葉は…

「私は救急隊員の者です。雅さんが倒れました。現在意識不明の状態です。今すぐ東京へ戻れますか?」

魁の最悪な予想は的中してしまったのである。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/02/09 13:27  No. 51    
       
だが、今いる場所は大阪。今から東京へ行っても3時間はかかる。
魁は何とか落ち付いて雅の今を思い出した。雅は魁が埼玉に行ってからは友人の家で一緒に暮らしている。ここはひとまず友人の親族に雅を任せる事に。

「雅の住んでる友達の家の…親の方に代われませんか…?」

「…申し訳ない。現在、雅さんとご友人しか在宅しておらず…」

魁はその言葉を聞き涙が目にかなり溜った。しかし、何とかしなければならないこの状況に魁は…

「俺と…弟がすぐにそっちに行きます…なので…雅を…お願いします…」

電話を切り魁はすぐに達也に連絡。二人はすぐに身支度を済ませホテルをチェックアウト。新大阪駅まですぐに向かった。


3時間が経ち魁と達也は地元東京へ帰ってきた。二人は雅が搬送された下西病院へタクシーで直行。病院へ到着し集中治療室へ二人は向かう。その時である。雅が眠る集中治療室から大きな音が聞こえる。

「雅っ!?」

魁と達也が病室へ走るのと同時に後ろからもナースや医師が走ってきた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/02/16 12:25  No. 52    
       
「……………なんてこった…」

病室へ到着すると医師が心臓マッサージを行っていた。もちろん、雅は息をしていない。

「雅…雅!」
達也がそう叫ぶ。しかし、その声は届かない。

「どけ!」

達也は医師を押し倒し、今度は自らがマッサージを始めた。

「雅…死ぬんじゃない…駄目だ…優勝するまで…死なないでくれよぉ…」

一方、達也がそうする中で魁は茫然と何もせず突っ立ている。

「………」
何も出来ない魁の目には自然と涙が溢れていた。


「雅ぃ…逝くなよ…逝かないでくれよぉ…」
達也はすでに号泣。しかし、雅はまったく戻らない。

「お兄さん…少し落ち着いて…」

「うるさい!」

ナースの言葉などまったく聞かず達也は続ける。

「お兄さん…雅さんはもう…死んで…」

「黙れ! 雅が死ぬはずないだろ!」

「達也…もう…駄目だよ…雅は死んだんだ…」

魁は涙を垂らし達也に言う。しかし、達也は「死んでない…雅は死んでないんだ…」
雅の死を認められない。

「雅は…死んでないんだ…絶対に…」

達也はそう言い続ける。だが、すぐに大声で泣く。雅の死は達也が信じられない出来事だったのである。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/03/13 19:00  No. 53    
       
雅の葬儀が終わり1週間が経過した。魁の精神状態はすでに回復しており試合にも出始める。しかし、達也は試合に出れるはずがなく二軍での調整が続いていた。

「達也、いい加減1軍に戻れるだろう。今日の試合ぐらい出たらどうだ?」

「無理だ…とても試合なんか出れません…」

二軍監督の一浦による説得は今日も行われている。しかし、達也はいつまでも同じだった。

「とりあえず、今日の試合には出ろ」

そして、試合開始時刻。達也は試合に出る。なのだが、第一打席。達也の行動はこの日球場に居た者全てを驚かせた。

「おい、達也! 何やってるんだ! ちゃんと打てー!」

達也は右打席の一番後ろの一番端に立っていた。さらに、バットを肩に寝かせただ試合に出ているだけという雰囲気である。

「いかん…これは深刻だ」
次の日、達也は朝早くから二軍のリハビリ担当コーチと共に新幹線に乗った。

「達也君、久しぶり。覚えていますか。落合穂香です」
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/05/18 14:47  No. 54    
       
達也は落合穂香と共に新幹線に乗り込みある場所へと向かっていた。その場所とは有名精神科医が経営する精神科病院だった。
「精神科...? こんなとこ連れてきてなにする気だ?」
その理由は達也の状況を改善するため。
達也はライオンズにとって、今一番必要な存在である。
だから、達也にこの病院を受信させたのである。


「達也君、ここの医師なら貴方を復活させてくれます。安心して治療を受けてください」
そう言われて達也は診察室へと入った。
そこにいたのは、達也の中学時代の先輩、九条魔裕であった。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/06/08 20:51  No. 55    
       
「久しぶり、玄野。今日からお前の主治医の九条だ、よろしく」

九条は驚いた事に野球を辞め、精神科医になっていた。しかも、色んな患者から認められる名医師となっていたのだ。
その後、九条は達也に病名と治療法を説明し始めた。達也の病気の名はうつ病。とても深刻な病にかかっていた。
幸いな事に、達也のうつ病はまだ初期で抗うつ剤で克服出来るという事がわかった。
だが、それは賦活症候群などの副作用の症状が出なければの話。その日から達也の治療は始まった。

一方、ペナントレースでは交流戦がついに始まった。西武は2戦目の相手、読売ジャイアンツと熱い激戦を繰り広げている真っ只中である。
試合は5回で2対2で、敵地東京ドームで同点としている。
今日の先発、内木はジャイロボールとカミソリシュートを上手く使い分け5回までの時点で2失点。
達也の離脱で一時ショートへコンバートし、今年のドラフト2位野手ギルドのプロ入り初ツーランホームランで2点を獲得した。

しかし、今はこの試合最大のピンチを迎えていた。ワンアウト満塁。バッターは中学時代最強とまで言われた長谷川幸太。
あの神主打法に電光石火という特殊なバットを使い打席へ座った。


そして、一球目。直球をインコース低めへ内木は投じた。
長谷川は見逃しストライク。続く二球目。外角低めへボールからストライクになるカミソリシュートを投じる。だが、長谷川はバットをその位置まで伸ばしバットを振りぬいた。木の音が大きく響き打球はライトスタンドのポール近くまで伸びて行った。
巨人ファンは入れ! 西武ファンには入るな! という叫声が聞こえる。この試合を変えてしまう打球は入ってしまうのだろうか。









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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/06/21 21:53  No. 56    
       
打球は速い空中での滞在時間を経て、スタンドへ。
入った所はファールかホームランかとてつもなく微妙な所であった。
2秒ほどの時間が終わり、1塁審が出した判定は驚きの判定であった。
審判は右腕を大きく天にあげ、腕を回す。そう、ホームランである。
その瞬間、球場は多いに沸いた。

「ちょっと待て! どこがホームランだ!」
そう言い放ち、渡辺監督はベンチから飛び出し、判定を下した一塁審に駆け寄った。
そこには、内木や藤ヶ谷、魁なども駆け寄る。

「ビデオで判定しろ! 何ならチャレンジでもするか!?」
判定は、ビデオ判定に持ち込まれた。しかし、yはり判定は覆らず本塁打。
ライオンズに希望が消えた。
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ロックされています   Re: King nine   プロ野球編  名前:魁斗  日時: 2014/08/24 17:55  No. 57    
       
「くそ!」
3アウトとした後、満塁ホームランを浴びた内木はベンチに戻りグラブを投げつけた。
普段温厚な内木がここまで怒るのは珍しい。

「内木、終わった事だ。忘れろ」
ここで藤ヶ谷が声を掛ける。
「でも、あれは完全にファールだ!」
「いいから忘れろ。次、バッターお前だろ。続投って監督が言ってたぜ」
今の藤ヶ谷の発言で内木はしぶしぶ切り替えた。
そして打席に向かう。 

(絶対打ってやる!)
そう意気込み、打席に入った。
今日のジャイアンツのピッチャーはベテラン投手北山。
北山は第一球のストレートを高めに投じる。
だが、衰えが影響しているのだろうか。
完全に甘い所へ行ってしまった。
その球を内木は流す。

「よっしゃー!」
打球が大きく伸び、内木は本塁打だと感じ叫んだ。
だが、この打球も先ほどの長谷川と同じ様なところに
飛んでいた。

「入れ!」
そして、打球はスタンドへ。さらに、本塁打だと誰もがそう思った。
一塁審を除いて…

「ファール!」
おかしい、こんな事はおかしい。
長谷川の打球とは違い今度のは完全にポール際ライトスタンドに入っていた。
その判定にぶち切れ、内木だけでなく、
ベンチの選手、渡辺監督、さらにヘッドコーチまでもが
一塁審に駆け寄った。
「おかしいだろ!」
「お前の目はどうなってんだ!」

藤ヶ谷、嵯峨峰、銀宮司、四夜ヶ峰…さらに、魁。
色々な選手が抗議する。
「うるさい! これ以上言うなら没収ゲームにするぞ!」

「今のはホームランだろ! 何で長谷川だけなんだ!」
もちろん、西武の選手の抗議は止まらない。
すると、渡辺監督が選手にこう声をかける。
「みんな、ベンチに戻れ!」

すると、選手だけでなく、ランナーコーチまでもが
ベンチに戻る。

「ビデオを見ろよ!」
そう言い残し、選手達はベンチに戻った。
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