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ロックされています  THE SKY IS THE LIMIT   名前: nahato  日時: 2013/03/09 16:10 修正18回   
      
この小説を始めて、早一年ほど。全く文章力が向上しないですがよろしくお願いします。

第1章「馬鹿と出会いとファーストキス」
>>1-32

第2章「大地と飛鳥と光輔の過去」
>>33-71

第三章「団結とAクラスと球技大会」
>>72-

上のアンカーをクリックすればスムーズに読むことが出来ますので是非お使いください。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん@pcから久々の更新  日時: 2013/06/09 13:30  No. 66    
       

――この状況から脱する術を誰か教えてくれないか?
 光輔は教室で両手をついて倒れている。ここまではいい。しかしまずいのはここからだ。
 今の俺の姿勢は簡単に言うなら四つん這いだ。なので俺と床との間には多少の間があり、人一人が仰向け、又はうつ伏せで入れるぐらいの隙間もある。 もう分りました? 分かったよな? 分からない? 分かれよな!!
 ならば簡潔に言おう。俺は今、少女に覆い被さるようにして四つん這いで倒れていて、(ここからは常時変態主人公光輔の妄想です)  少女が涙目で「優しく…してね?」なんて言ってくれる、どこぞのエ○ゲーさながらのシチュエーションと同じ状況に立たされているのである。
 しかし覆い被さっている相手が最悪だ。なにせその相手はリア充大地の恋人の飛鳥なのだから。
「早くその腐った体を退けてください、この豚野郎…」
 どことなくいつものオラオラ感が感じられないような…。なにやら頬も紅い気もするし…。
「は、早くその体を退けろと言っているでしょう!!」
「お、おい! いきなり動くと…うお!」
 飛鳥が急に動いたせいか、俺が早く退かなかったせいか、俺はバランスを崩し完璧に飛鳥に倒れこみ、飛鳥は俺を受けとめようとしたのか、なぜか俺の背中に手をまわして抱きしめる形になっている。
――今この状況見られたら確実に俺が襲いかかったみたいに見られるんだろうなぁ…。畜生! なんだこの良い匂いは! めちゃくちゃいい匂いじゃねえか!! お前はお前で恥ずかしげに顔を逸らすんじゃねえ!!
 不意に背後で何かを落とす音が聞こえた。反射的に顔を向けるとそこには口をぽっかりとあけ、信じられないというような、眼でこちらを見つめている。
「だい…ち…。違うんだ…。これには訳が…」
 ここまで言ったところで大地が狂ったように笑い出した。
「違うって何が? この状況のどこをどう見たら違うって言えるんだよ!!!!」
 大地はこちらまで大股で近づいてきて俺を飛鳥から引き剥がした。大地は俺を床にたたきつけそのまま馬乗りになり俺を殴り始めた。
 俺は特になにも抵抗せずただ当然のように大地の拳を受け止めていた。
 大地は相変わらず笑いながら俺を殴り続ける。
 飛鳥は泣きながら大地を引き剥がそうとしている。
 俺はただ思っていた。
――俺はとんでもない大馬鹿野郎だ……
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/06/29 15:18 修正1回 No. 67    
       
暴力魔、不良、最低の男…、あの日から大地にそんなレッテルが貼られた。
 あの後、飛鳥が泣きじゃくりながらクラブの監督を連れてきた。監督は教室の光景を見たとたんに大地を俺から引き剥がした。
 あの時の光景だけ見れば、大地が無抵抗の俺に殴りかかっているように見えたのだろう。
 しかし実際は違う。俺が悪かったんだ…。
――俺が…俺…が…悪かった……んだ…俺が…俺が…!!!
「…俺が……」
「どうしたの? 光輔君、顔色悪いよ?」
あれ以来、俺は拓真に殴られた悲劇の人扱いだ。
 同情か興味本意か、今まで喋ったこともなかった奴が俺の周りに集まってきた。正直めんどくさいし、大地は何も悪くないのに目の前で悪口を言われても腹が立つ。
「何回も言うけど、大地は何にも悪くないんだよ? だから俺なんかに構わず、大地と仲良くしてあげてよ」
 今、自分が出来る最大限の笑みを無理やり顔に張り付けて言ったのだが、前にいる女子は
「またそれ? 無理しなくてもいいよ? どうせあいつになにか言われてるんでしょ?」
――お前に何が分かる!? 何も知らなくせして、好き勝手言いやがって!!
 しかし、こんなことを言っても相手には何も通じないだろう。
 大地はあれ以来、1度学校に来て以降、2週間学校を休み続けている。
――今日も行かなきゃ…。

 ようやく今日の学校が終わった。最近は無駄に学校が長く感じるし授業も頭に入ってこない。
――飛鳥にもきちんと謝らなきゃな……
 机を拭き終わった雑巾を洗いに手洗い場に行こうとすると、
「飛鳥?」
 そこにはどこか暗い雰囲気を漂わせている飛鳥がいる。
「少し付き合ってもらいますので、掃除が終わったら、裏門のベンチに来なさい。来なかったら、タダじゃおきませんよ」
 それじゃあ、と言い踵を返されてしまう。
――あれ? 俺が行くこと決定事項?
 久しぶりに苦笑が口からこぼれた。
「行かなきゃな…謝らなきゃ……な」

「んで、なんで俺まで付いていくことになってんだ?」
「い、いやさ、もしかしたら、飛鳥の奴が俺を引っ叩くために呼び出したかもしれないじゃん? そしたらさ、そこで拓真が飛鳥をババーン、と」
「お前は人間のクズか。そもそも、俺は無害な奴に手は挙げん」
「え? 俺はよくぶたれてる気が…」
「俺にとっては十分有害だ」
――ここで膝をついてしまった俺は、負け組なのか!?
「まあ、当たって砕けてこいよ。…骨は拾ってやるから」
「なんで死ぬ前提だよ!!!」
「いいからいいから、行ってこいよ」
「おう…!」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/08/08 15:12  No. 68    
       
飛鳥は既にベンチの前で待機していた。なにやら飛鳥の周りから不可視のオーラが見えている気がするのは俺だけなのだろうか。一言ですますなら「なんか近寄りがたい」である。
ーー俺の本能が言っている…! いま近づくのは危険だと……!
 30秒ほど木のかげからチラチラ飛鳥を見ていると不意に
「いい加減出てきたらどうです? さっきから視線がキモイんですけど」
ーー痛あぁ!! キモイが想像以上に堪えたんですけど!!
「や、やあ」
 観念した俺に出来たのは引き吊った笑みを浮かべることだけだった。

「………」
「………」
「………」
 ・・・・・・・
 二人してベンチに座ったのはいいものの、あれ以来口すら聞いていなかった二人に……と言うより普段から顔をあわすと言い合いになっていた二人に話題など生まれるわけもなかった。そもそもなんでここにいるのかも分からなくなってきている。
ーーあれ? 俺ってなにしにここに来たんだっけ?
 ・・・・・・・
ーー痛あ! 沈黙痛あ!
 ・・・・・・・
ーーこ、これならビンタされた方がマシだったんじゃないか?
 ・・・・・・・
「私から話していいんですね」
 沈黙を破ったのは飛鳥の凛と響いた声だった
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/08/11 00:29  No. 69    
       
「まず言います。これ以降大地に会おうとするのはやめてください」
 半秒ほどかけてようやく意味を理解した。しかしなぜ? この疑問が浮かぶ。
「なんでだよ……? おれはただ大地に謝ろうと……」
「それが大地を苦しめているということをあなたはまだ理解していないんですか!?」
 飛んできたのはこれまで聞いたことのない飛鳥の声……いや、叫びだった。怒りに満ちた声。その中には悲しみの色も感じられた。
「あなたはいつもそうだ! 自分の中で正当化したものを相手に押しつける! それが相手を傷つけることがあるとも知らずに! それがどれだけ苦痛かも知らずに!!」
「ちが……俺はそんなつもりじゃ……」
「じゃあどういうつもりですか!? その行いが自分への償いとでも言うんですか!? そんなものは償いなんかじゃない!! 自分への甘えって言うんだ!!!」
「そ……んな……」
「それにそんなことで大地の傷を癒せるなら大地はとっくにあなたの前に顔を出しているはずだ!! あなたが!! お前が大地の傷を広げているんだ!!」
 飛鳥の目には涙が溢れんばかりに溜まっていた。既に数滴の涙が飛鳥の頬を伝ったあとがある。

ほい。続く。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:黷ん  日時: 2013/08/11 00:45  No. 70    
       
ーーおれはこんなに二人を……いや、みんなを傷つけてたのか? おれがやってきたことは全部間違いだったのか?
 とうとう飛鳥の目に溜まっていた涙が溢れ、止まらなくなった。俺も心のどこかが痛み涙が溢れだした。堪えようともせず、ただ泣いた。
「あなたは……おおバカ…野郎です……」
 そんな声が聞こえた。前によく聞いた飛鳥の声だった。泣いていたせいか詰まってはいたが穏やかな声だった。
 どれだけ泣いたか分からない。しかし気づいたら二人とも泣きやみ、再び沈黙が続いていた。
「ごめん…。ホントにごめん……」
 自然と口から出た言葉は驚くほど小さかったが飛鳥は聞き逃さなかったようで一度にっこりと笑い
「いいんですよ……。私も感情的になってしまい、つい本音が……」
「はは…。なかなかキツイ本音だったけどね…」
「でも光輔は光輔のままでいてください…。時にその性格が人を助けることもありますから」
「うん、分かった。とは言いにくいなぁ…。あんなこと言われた後だし…」
「だからそれは謝ってるじゃないですか…」
 そこで久しぶりに朗らかな笑いが二人からこぼれた。

ほい。再び続く。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/08/11 01:03  No. 71    
       
「……大地のご両親はいまの大地の学校での状況をあまり好ましく思ってないみたいです……」
 そんな言葉が三度、訪れていた沈黙を破った。
「そりゃあ…そうだよね……。誤解とは言えあんな状況じゃ親も黙ってないか…」
 一度貼られたレッテルをはがすのがそう簡単ではないことは光輔でも容易に想像ができた。それに、もうじき四人は中学生である。このままではいまの待遇が中学でも続くかもしれない。
「だから大地のご両親は本格的に転校を考えているらしくて…」
「大地のお兄さんが通ってる中学らしいです」
 大地の兄のことはよく知らない。通ってる学校の名前もよく知らないが全寮制で野球の超名門ということだけは知っている。
「そんな…! 事実を言えば納得してもらえるんじゃ!」
「あなたを殴ったという事実はどうやっても消せないと私は思います…。それに今の大地にはこれがベストかと思いますし…」
「そんな…!」
 思考が回らない。
 世界が回りだした。
 視界が点滅する。
 手足の感覚がなくなった。
 次の瞬間
 世界が暗転した

第二話END
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/01 15:35  No. 72    
       
光輔はベッドから跳び起きた。夢を見ていた。それは覚えている。しかしその夢の内容が思い出せない。どうにか内容を思い出そうと頭の中で糸を手繰り寄せようとするがどうにもうまくいかない。しかし、ろくでもない夢だったのだろう。体中から汗がふきでていて服が肌に張り付いている。
「うっわ…気持ち悪ぅ…。一回シャワー浴びて寝るか」

10分後。さっぱりとした光輔は再びベッドに横になり寝ようとした。のだが、シャワーを浴びたせいで目が冴えてしまった。時計を見やると短針は4を長針は8と9の間を指していた。つまり4時42分過ぎである。
「大地……」
ふと口からこんな言葉がこぼれる。
大地。もちろん覚えている。でもあいつのことは忘れると決めたはずだ。俺のせいであいつは……。
「野球か……」
おれは野球をやめた。せめてもの償いで。ただの自己満足だ。でもこれくらいしかあの頃の俺には思いつかなかった。
「これで……よかったんだよ……」
光輔は再び眠りに落ちた。
そして一瞬だけ思い出したのだ。
あの時の言葉を……。

「そろそろ野球やらないか?」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/04 21:20  No. 73    
       
朝日が眩しい。
カーテンを通して日の光が部屋まで伸びている。目がチカチカするが久しぶりに気持ちのいい朝だ。
目を開けるがまだ視界がおぼつかない。しかし何度か瞬きすると焦点が真ん中にあってくる。
そして自分の体を見ると不可解な点が一つ。
「おれってこんな服で寝てたっけ?」
ーーおおっとぉ? まさかのおれってば夢遊病かぁ? イカすじゃん!
などと、他人が聞けば軽く反歩下がるくらいの威力は秘めていそうなことを平然と考える。自覚なんてないが。いや、ないと思いたい。
まあ細かいことは気にすんな。ウン。男は細かいこと気にしたら負けだしな。とあっさりとこれを片づける。よく考えたらそこそこ恐ろしいのだが。
両手を真上に上げうーん、と声を漏らしながら伸びをする。ベッドから起きあがると淡いスカイブルーのカーテンを開けて日の光を直に浴びようとカーテンに近づく。その時に机の上に置いてあった時計が目に飛び込んできた。
針は9時20分過ぎを指していた。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/06 00:10  No. 74    
       
チン、とトースターから軽やかな音が鳴る。パン粉が焼けた音である。いかんせんパン粉からパンを作るのは苦労した。なにせ固めるのに20分以上もかかってしまった。パン粉の方もさぞ驚いているだろう。まさか自分が再びパンになる運命にあったとは夢にも思わなかっただろう。普通は思わないが。
 光輔はいまリビングで朝食をとろうとしている。つい30分ほど前に自室で時計の針を見て愕然とした後、どうせ急いで行っても遅刻だしのんびり行くかぁ、という事が光輔の脳内裁判で3秒ほどで決定された。
 光輔はパン粉改めパンにバターを塗り終わり、ふと考えた。
ーー今日から授業だよなぁ。サボろうかなぁ。
 実は9時30分頃に学校から体調に問題がないならさっさと来るようにと連絡はきている。すぐ行きます!と即答するも、もちろんそんな気はなくあれから3回ほど学校から電話がかかってきたが居留守を使い切り抜けている。
 五度、学校から電話がかかってきた。出る気など毛頭ない。
「ああー! このパンうめぇ!!」
 パン粉である。しかし気にしてはいけない。なにせ金欠なのだから。ここ一週間はパン粉で切り抜けてきた身だ。まだいける。たぶん。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/06 00:35  No. 75    
       
数分ほどでパンをたいらげた光輔は制服に着替え財布を手にとる。軽い。驚くを通り越して絶望するくらい軽い。驚くなかれその中身、630円である。ちなみに現在4月10日。母からの生活費は毎月25日に送られてくるのだが残りの15日はこの630円でやりくりしなくてはいけない。思わずハア、と重いため息が出てくるのは毎日の週間となってきている。
「行ってきまーす…。」
と、誰もいない無人の家に応答を求めるが返事などはなかった。未だに家族四人で暮らしていたときの癖がある。直さなければと思うのだがやはりなかなかその癖は抜けにくいものだった。

光輔は現在一人で暮らしている。中学3年、つまり高校に入るまでは母、父、そして姉と暮らしていたのだが、両親が仕事の関係で海外に行くことに、姉も向こうの大学に興味があると言い両親に付いていった。両親は光輔にも来るよう薦めたがもとより学力の低い光輔が向こうの英会話など理解できるはずもないと姉が一蹴。こうして元々住んでいたこの家に光輔だけが残ることになったのだ。生活費は送ってくれるし、自由に毎日を過ごせるのだが、唯一の悩みが大鳥学園の学費が高いことである。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/06 00:58  No. 76    
       
 私立大鳥学園。
 創立49年。全校生徒数689名。この学校はそこそこの名門である。その特異なクラス制度などから分かるように勉学に特に力を入れている。(ちなみにこの制度を導入したのは8年前)そのおかげか、名門大学などには多くの現役合格者を輩出している。
 さらに、勉強でなくともスポーツにも熱を注いでいる。特に優秀な成績を出しているのは
吹奏楽部、放送部、陸上部の三つである。吹奏楽部に至ってはなんと3年連続で全国金賞。部員数が100を越えているほどである。
 野球部はと言うと……、微妙だ。可もなく不可もなく。甲子園に行けるほどではないが同地区の中では強い方と言ったところであろう。春夏合わせての甲子園出場回数は6回。しかしその6回とも30年以上も前のことである。
 しかし今年は違うらしい。なにやらモノスゴイ一年と素晴らしい二年が入部したそうだ。ちなみに二年はあの王城学園から転校してきたそうな。まあ今年は要注目!と言ったところか。
 こんな学校なので学費が高い。無駄に高い。AクラスかBクラスにでも入らない限り納得なんて出来ないほどだ。生活費の3分の2は学費で消える。まことに恐ろしいことだ。
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:管理人  日時: 2013/09/06 14:01  No. 77    
       
なかなかですね。
この調子で!
パスワードはkanriです!
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/09 23:17  No. 78    
       
教室に入った光輔にまず飛んできたのは担任鬼瓦の怒声だった。
「柏木。言いたいことは色々あるんだが……とりあえず歯ァ食いしばれぇぇぇ!!!」
「た、タンマ! とりあえず落ち着きましょう! ね? せ・ん・せ・い☆」
……………
10秒ほど時間が止まった。全員が引くなか黒板に一番近い位置に座っていた隈守が不意に手を挙げ
「先生。クラスの意見としては「とりあえずその馬鹿燃やそうぜ」という意見が満場一致で決定しました。」
 すると座っている外道共が賛成、とか文句なし、とか、とうとう疎らな拍手まで起きはじめた。
「うっせ! チビ! 子供はおとなしく牛乳飲んで寝てろ!」
 半秒後、光輔は自分の言ったことがとんでもない間違いだった事に気づいた。周りからはあーあ、やら地雷踏んだな、とか同情の声が寄せられる。しかしもう遅い。隈守の顔はみるみる赤くなっていきその表情からは怒りしか読みとれない。
「柏木。なんだ。隈守と一緒に廊下に出ていなさい。先生もこんな事は言いたくないんだぞ? でも人には言っていいことと悪いことがあるんだ。それを身を持って知りなさい」
「お、鬼! 先生は信じてた……ちょ!? 隈守さん!? いやああぁぁ!!!」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/09 23:39  No. 79    
       
全治九日。それが言っていいことと悪いことを身を持って経験した結果である。しかしこのことはさして、というより全く問題にあがらず「まーたGクラスか。鬼瓦先生も大変ですねぇ」という声がちらほら聞こえただけで終息した。

退院後、初の登校日。光輔は心に誓った。隈守に対し身長のことは今後一切口にしないと。
「おはよー」
 動かない生活が八日続いたからか家から学校まで来ることにさえだるさを感じる。と言うよりキツイ。ただただ疲れる。
「おぉ、光輔殿で御座るか。久しぶりに御座るな」
 言い、近寄ってきたのは野球部のリア充風峯である。
「よお。相変わらず髪長いな。女子かよ。死ねよ。」
「さ、最後の単語は何で御座るかっ!? 拙者に恨みでもあるので御座るか!?」
 ある。大いにある。お前がリア充のせいで俺はなぁ俺はなぁ…
「お前のせいで俺の彼女になる予定だった女達がいなくなったんだよぉ! 俺の井関さんを返せぇ…、返せよぉ…」
 風峯は右手を顎に当てふむと頷くと
「その彼女になる予定だった御仁はCクラス代表の森沢信次殿と付き合っている様子…おや?光輔殿ー!どちらへお行きですかー?」
「ああ?決まってんだろ。森沢しばいてくるんだよ」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/11 00:32  No. 80    
       
「森沢アアアアア!!!」
 Cクラスの教室のドアを無造作に開けたのはもちろん光輔である。なぜかその目には汗のようなものが滴り落ちている。唖然としているCクラスの連中などまるで見向きもせず、五感が森沢信次を探し始める。
「Gクラスごときが気高い僕になんの用かな? おもしろいことなら発言を許可するよ? もっとも、落ちこぼれ以下のクズがそんなことを言えるくらいなら旅芸人にでもなった方がよっぽどいいんだがね」
 いた。しかし初対面に対する態度ではないのは明らかだ。明らかにこちらを見下している。
 森沢は特徴のない顔に不釣り合いなほどの大量のシルバーアクセをジャラジャラと付けている森沢はその形こそ見れば単なるチンピラでGかFクラスくらいが丁度いいかもしれないが現実はそんなに甘くはない。こんな奴でも勉強はきちんとしているようでCクラス代表だ。それはもう少しで脳筋&秀才のBクラスに入れたということである。
 ここで森沢は腰に付けているシルバーアクセを盛大に鳴らし
「何もないんだったらとっとと失せろやッ!」
 言葉遣いを荒くし威圧をしたつもりなのだろうが全く怖くない。逆に無理をしている気がして滑稽にも見える。

続く
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/09/24 15:28  No. 81    
       
光輔はどうしようかと内心で首を捻った。あいつをボコボコにするのは造作も無いことのはずだ。しかしそれでは駄目だ。まだ足りない。井関さんを奪った罪は重すぎる。二度とあんな風に威張り散らせないよう、完膚なきまでプライドを叩き割らなくてはならない。そのくらいしないと光輔の気は収まらない。
一つ閃いた。たぶん拓真に酷い目にあいそうだが。
「俺はなぁ! お前らCクラスに喧嘩を売りに来たんだよォ! 来月の球技大会でクラス対抗戦を申し込む!! つまりなあ!」
一息吸い
「宣戦布告だこの野郎ォォ!!!」
一瞬ほど沈黙が生まれた。しかしすぐにその沈黙はざわめきになり、そしてざわめきは笑い声に変わった。
「おい聞いたか!? Gクラスの奴らが俺達Cクラスに宣戦布告だって!?」
「進級してすぐに申し込むとか聞いたことないよ!? それもCクラスの私たちに挑むなんてさ!」
あちこちから笑い声とともに声が生まれる。
「な、なんだよ!? 何がおかしいんだよ!?」
すると光輔の目の前にいた森沢が右手をあげ周りを制する。そして彼はアクセを不必要にならし
「君は自分が何を言っているのか分かっているのかな? Gクラスの分際でCクラスに対抗戦を申し込むだって? ははっ…」
眼前に立つ相手は明らかに狙って挑発をしてきている。そして顔に浮かばせている笑みが一層こちらの気を障らせる。正直言ってぶん殴りたい。
「なあなあ森沢君?」
「なんだい? えっと…。。。」
こちらの名前が分からないのか戸惑っているとこちらの胸にあるネームカードに気付いたのか
「柏木君。だね? なんだい柏木君?」
「勝負の条件はこっちが決めてもいいんだよな?」
「ちょ、ちょっと待て…。いつ僕がこの対抗戦を申し込みを受け入れると言った?」
どうやら断る気だったらしく目の前で彼は見るからにうろたえている。ならばここで挑発の一つでもしておけば相手はこれに応じるはずだ。
「あれれー? もしかしてー、Cクラス代表ともあろう森沢君が遥か格下のGクラスの受け入れを断るんですかぁ? もしかして負けるのが怖いんですか〜? それもそうですよね〜。もし負けた日にはこいつらに合わせる顔もありませんからねえ…」
「……と言った?」
かかった。と光輔は思った。
「え? なにか言いました?」
「誰が断ると言ったあああ!?」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/10/15 21:04  No. 82    
       
「んじゃあ、今から打倒Fクラスを目指して作戦会議を始めるからお前ら座れー。……いやいや、その場に座るな。自分の席につけ。椅子がないから座れない? お前らクズが座る椅子なんて存在しねえよ。悔しかったら球技大会でFクラスに勝ってから俺にものを言え」
 教壇の後ろに立った拓真がGクラス全員の心をへし折ったところで咳払いを一つ入れ本題を話し始めた。
「球技大会のメンバーだが、おれの独断と権限を駆使し勝手に決めさせてもらう。あ、反対意見言った奴は鬼瓦先生の特別補習コース[ドキドキ☆三分クッキング!〜この世の地獄詰め合わせ〜]に問答無用でたたき込むから覚悟しとけよ?」
「・・・・・・」
 全員がうつむき、うなだれた。もちろんその中には光輔の姿もある。しかし彼は違う意味で絶望していた。そう。
ーー拓真の野郎無駄に張り切ってやがるぅぅぅ!?
 これは予想外だった。てっきり拓真のことだから適当にやるのだろうと思っていた。思っていたから、あんなことをしてしまったのだ。マズイ。非常にマズイ。これは特別補習コースにぶちこまれかねない。
「とりあえず光輔。お前Fクラスに戦線布告してこい」
「は、はひっ!?」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2013/10/16 18:19  No. 83    
       
光輔は暴れる心臓をどうにか押さえ込みながら平静を装いつつ応答しようとした。
ーーよーし。落ち着けおれ。ステイ、ステイだぞおれ。普通にするんだ普通に
「なんで御座るか?」
つい風峰の口調が移ってしまった。
「うおおぉぉお!! おれ御座る語尾使っちまったああ!! 汚れた…おれ汚れちまったよ…。もうお婿に行けねえよ…。すべてはお前の責任だかんなああああ!?」
 ビシィ! とマンガなら効果音がつきそうな勢いで光輔は風峰を指さした。
「何故に御座る!? 拙者はこれが普通、ノーマルなので御座るよ!! 忍びたるものまずは心構えから入らなくては……!」
「忍者は英語使わねえだろ!」
 反論したつもりがGクラス全員からのツッコミを受けへたりこむエセ忍者を後目に光輔は拓真に向かって言い放った。
「いやあ、あのさ? もうCクラスと対抗戦の手続きすましちゃったわ。メンゴメンゴ♪」
 クラスが唖然とする中真っ先に動いたのはこれまで教室の後ろで怪しい本を呼んでいた鬼瓦である。
「それに関してはCクラス代表の森沢から既に話を聞いてある。一度申し込んだら対抗戦の撤回は不可能。勝手な行いをした柏木についてはお前らで好きにしてもいいぞ」
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2014/02/13 00:27  No. 84    
       
「気張っていくぞー」
「お〜〜」

 気の抜けた声の主達はもちろん、Gクラスの面々である。
 それぞれがグラブを手にはめ、ボールが飛んでくるのを今か今かと待っている……わけではない。男子の大半はグラウンドの外で思い思いの相手と談笑している。
 しかし、実はこれ球技大会の練習中なのである。グラウンドをみると、そこには素人の動きのそれとは思えないレベルの練習が行われていた。
 そう!! 彼らこそ「打倒Cクラス! Gクラス選抜メンバー!!」なのである!!!
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ロックされています   Re: THE SKY IS THE LIMIT   名前:れのん  日時: 2014/02/13 15:45  No. 85    
       
光輔は内心ため息をつきながら細目でバッターボックス上の拓真を見た。
「光輔ェ! 行くぞォ!」
同時にカーンという金属バット特有の快音が響く。以前の光輔なら、たやすく取れる程度のフライだが久しぶりに動かす体は全くついてこない。どうにか、落下位置にまで体を持っていくことは出来たが、ボールはグラブに収まることはなくグラブの外側を掠るという結果になってしまった。
 何度かバウンドをしたボールをぎこちない動きでどうにかキャッチし、そのまま拓真にボールを投げ返した、つもりだったのだがボールは途中で失速、そしてピッチャーの手前に落ちてしまった。
「光輔なんだそれェ!! それでも元野球部かぁぁ!!」
「うるさいなぁぁ! こちとら野球離れて何年経ったと思ってんだぁぁぁ!!」
 このようなやり取りがその後も何回かあったが、結果はどれも酷いもので、とても選抜メンバーとは思えないものであった。

 そう。光輔は野球経験者の集まりである選抜メンバーになぜか選ばれていたのだ。拓真の考えたメンバーなので逆らえるわけもないが、内心では「どうして俺が……」と思わざるをえなかった。
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