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ロックされています  King nine  名前: 魁斗  日時: 2013/05/04 13:33 修正5回   
      
小説始めます
そのうち、感想スレ作るので
感想はそちらにどうぞ


書き残した事を書こうと思います。
書き残した事と言ってもドラフト終了直後の事を少し書くだけですが…w
記事修正  スレッド再開
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/14 21:33  No. 178    
       
その日、結局ノックしかしなかったという。

そして、梅雨も段々明けてきたのか雨が降る日が少なくなってきた。
現在は6月。もう少しで魁達3年の最後の夏が始まる。

今回は、魁の過去を紹介しよう…


1998年3月16日、午後5時頃に元気よく生まれた魁は5歳の時、野球に出会った。

「おーい、魁。キャッチボールしないか?」
この声は魁の亡き父親、伊藤孝仁。若い時は野球をやっていたという。

「えぇー。僕ゲームしたい…」

「やろうぜ!」
そう言うと孝仁は無理にでもさせようとする。すると…

「ちょっと! 魁はまだちっちゃいんだから…あまり無理させないでよ?」
この声は魁の、亡き母親、喜代子。この頃に雅を妊娠していた。

こんな感じで伊藤家は幸せな暮らしをしていた。

1年と少し経ち魁は小学生になる。そこで、あの天才に出会ったのだった。

「あの…消しゴム忘れたんだけど…借りてもいいかな、長谷川君…」

「うん! もちろんいいよ!」

その人物が長谷川幸太。この時から魁と長谷川は親友だった。

3年生になると、魁は少年野球団に入部した。長谷川はこの時にはもう入部していた。

そして、ある試合の日…
魁はこのころ5年生。
「よし、じゃあ発表するぞ…」
この日は試合の日。今からスタメンが発表される。

「4番サード長谷川…」
この時から長谷川は4番に座っていた。
センスの塊だったのだ。

魁も自分が呼ばれるのを楽しみにしていた。
しかし、まったく呼ばれる事もなかった。

魁以外の5年生は全員出場していた。しかも、この頃は魁は外野を守っていた。その外野のポジションはあいているにも関わらず魁だけが出れなかった。練習にも毎回参加した。誰よりも努力した。なのにスタメンになる事はなかった。

結局、魁は少年野球団を退部。辞めることを決めた日に母の喜代子にある提案を受けた。

「リトルリーグに入る?」

結局魁はリトルのチームに入団。しかし、それを知った魁の元チームメイトの5年生はそれを許さなかった。

いつものように虐めを受けるようになったのだ。それも、虐めのボスは少年野球団のキャプテン…三崎春人によってだった。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/14 22:03  No. 179    
       
「ははははは!」
「明日は何してやろうか!」
「靴でも奪うか!」
「いいねぇ〜」

この会話をしているのは虐めグループの一部。
遊具で会話をしている。

すると…

「おい、お前ら。行くぞ」

「あ、三崎! 待ってたぞ」

今の人物こそが三崎春人。この虐めグループのリーダー。
野球の際は裏の顔で選手を上手くまとめるが野球じゃなくなると表の顔を露わにする。
弱い者にはとにかくイジメ。そんなことを毎日している。そのターゲットに魁が選ばれてしまったのだ。


ある日…長谷川が魁に声を掛けた。

「なあ、伊藤…お前、辛くないのか? 三崎さんにあんなにされて」

「大丈夫だよ…。お前みたいな見方が居てくれたら…」


来年の4月、三崎は学校を卒業。それと同時に北海道へ引っ越した。

これと同時にピタッと虐めは終わる。
最後の1年は何とかして平和に暮らせていた。

そして、中学へ進学。中学は下西中学校だ。
そこで、今の仲間でもある四田、今北、所山、小南の4人に出会う。
仲良く野球をしていた時…魁に衝撃が走った。
それは2年生の時…夏の大会、地区予選の決勝戦に来ていた。
野球の実力がリトルリーグで大幅に上がった魁は3番セカンドとして試合に出ていた。
孝仁、喜代子、雅の3人は魁の試合を見に行く準備をしていた。

「おし! じゃあ行くか!」

球場まではかなり近いので徒歩で行くことになった。


「はい、ストップ」

信号は赤。しばらくすると青になり進み始める。

すると…

「あんたら! 危ないぞ!」

通行人が声を掛ける。

しかし、その時にはもう遅かった。

孝仁は雅を体で守る。しかし、自分の体は…
喜代子はそのままもろに受け即死…

結局、孝仁、喜代子は即死。雅は腕の骨折だった。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/15 08:45  No. 180    
       
試合の途中に両親が亡くなった事を聞いた魁はすぐ病院へ向かった。

下西中は魁を無くした事が響いたのかコールド負け。関東大会へは出場出来なかった。


一瞬にして両親を無くした魁と雅。奇跡的に雅が生きていたという事に魁は少しだけ喜んでいた。

そして、これは後から分かった事で孝仁達を引いたのはあの虐めのボス、三崎春人だったのだ。三崎はたまたま東京に帰ってきており、そこで一緒に来ていた不良仲間と父の車を勝手に使い無免許運転をしていたのだ。

これを警察から聞いた魁と雅は非常に三崎を許せなかった。自分を虐めて、最終的には両親を殺してしまったのだから。

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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/15 20:10  No. 181    
       
一年後、中3になった魁は志望高校をあかつき大付属高校に決めた。だが、入部テストに不合格。結局、野球部の無い清千学園高等学校に入学したのだ。

中学を卒業し、清千に入学。そして野球部創立、夏の甲子園出場、春のセンバツ高校野球優勝というところまで来たのだ。


………………………



「ほな、明日の一回戦のオーダー言うで」

いつの間にか夏の甲子園予選大会前日。魁達3年生の最後の夏が始まる。
オーダーが発表された時、3年生達には不安の2文字が頭をよぎる。自分のエラーで負けてしまうんじゃないか。自分の三振で負けてしまうんじゃないだろうか。そんな気持ちを持っている者はいっぱいいた。

そして、その日の練習が終了した後、魁は雅がいまだに入院している下西病院へ向かった。

病室の前に着き、ドアをノックをしようと思った魁だがドアが突然開き魁は手をその場からどけた。

「あ、兄貴…」

出てきたのは魁の双子の弟、玄野達也こと伊藤達也。元投手だが遊撃手に転向した選手である。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/15 21:32  No. 182    
       
「お前も明日が初戦なのか? どことやるんだよ」

「覚えてない…けど、毎年予選敗退の高校だったはずだ…」


しばらく会話したら雅の下へ魁は行く。


「あ、兄貴! 明日頑張ってね! じゃあバイバイ!」

「は? 何言ってんだ? おい…」


突然バイバイと言われた…帰れということだろうか。

「嘘だよ! けど、絶対勝ってね!」

「おう…相手は超強威高校だってさ…」

「めっちゃ強そうだけど…」

その後、魁は病室を出て家に帰って行った。

そして翌日…・
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/16 13:39  No. 183    
       
球場に皮の音が響き渡る。その瞬間、審判の声からゲームセットが告げられた。
一回戦を清千学園がコールド勝ちで勝利。今日先発の小南もノーヒットノーラン。スタメン全員にヒットも出、文句なしの勝利となった。


そして、今は練習をしている。3回コールドだったので疲れもまったく溜っていないからだ。
今やっているのは落合の鬼ノック。外野手は定位置から大きく離れた場所の打球を取らなければならないし、内野手は前に出てかなり近距離なノックをする。
これに生き残った1年は凄いとしか言えないだろう。


「おーし終了!」

落合から練習終了が告げられる。部室へと選手が帰っていく。
ちなみに、玄野達風上高校は…?


…………

金属の音が球場内に鳴り響く。打球の行方は小さな球場の場外へ。

「うっしゃぁ!」

玄野はこの日3ホームラン5打点。ツーラン二本とソロ一本。千葉予選の一回戦を簡単に突破した。
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ロックされています   Re: King nine  名前: 魁斗  日時: 2013/08/18 12:02  No. 184    
       
一回戦から数日後、二回戦が都内の球場で行われた。相手は一年の時の合宿中に対戦した一之宮高校だ。
今では強豪ではなくなったが弱くもなく、強いという訳でもない、普通の高校だ。
そして、先発には九条が任されている。現在7回だが、被安打4、自責点は1と一年にしては上出来なピッチングだ。
一方、打線は十一得点と力を出している。魁は四安打二打点とキャプテンとして申し分のない成績を出している。四番の長谷川もツーラン2本と四番としては文句ない成績。
そして、今日一年生ながら五番出ているセイヤだがたったの一安打。どうやらきょしんたんかいを使いこなせていないらしい。


7回の裏となった。このイニングを無失点で抑えればコールド勝ち。三回戦に進出となる。
あきらめない一之宮は九条の球に食らいつくが内野ゴロにしかならない。
最後のバッターをツーストライクまで追い込むと四田が九条の決め玉であるVスライダーのサインを出した。九条はそれを嬉しそうに承諾。最後の一球になるのだろうか。
運良くボールが当たりセカンドへ。完全にアウトだ。
魁がすぐにファーストへ送球。

バッターはヘッドスライディング。
だがアウト。
一之宮高校の三年の夏が終わった。


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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/18 22:08  No. 185    
       
球場からの帰り道、バスの座席に座っていた魁にその魁の隣の明司が話し掛けてきた。

「先輩…今日はお疲れ様です…次も頑張ってください…」
「いやいや…お前も次の試合、出られたら頑張れよ!」

その後会話が続き、いつもは無口な方の明司も自分の野球理論をたくさん話した。明司の以外な一面を知り少し驚いてしまった。
どうやら明司は喋り出すと止まらない性格らしく、結局学校に到着するまでずっと喋り続けていた。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/19 09:36  No. 186    
       
その後も清千は順調に勝ち進んでいった。
ベスト4も決定し、後2回勝てば甲子園に出場出来る。そして、準決勝の相手は去年の夏に、勝利した猪死山学園である。去年の四番、北神はドラフト2位でプロ入りしている。
不良が集まる高校だが野球の腕はかなりの物。その理由はただ腕のある選手を無理やり入れているからという理由だけである。そこに、長谷川も入学させられかけたので、不良になっていたかもしれない。

翌日、神宮球場で行われる試合に清千学園野球部は向かっていた。
球場に到着するとすぐにアップを開始した。
だが、いつになっても猪死山学園野球部が来ないのだ。

「おい、皆ちゃんと飲み物飲んどけよ。待ってる時間に水分取られるから」
今日の気温は39℃。猛暑日となっていた。
魁は皆にしっかり水分を取るように伝えた。部員達も、今日は多めに飲み物を用意していた。


「お、きたで」
落合が見つめる先は猪死山のベンチ。選手達がベンチに荷物を置いている。

試合が開始し、清千が守備につく。今日のピッチャーは小南。

一球目、すっぽぬけたのか、ど真ん中に投げてしまった。しかし、バッターはボールも見ずに見逃した。

結局、この回、だれもバットを振らずに終わった。

(どういうことだ…おい…誰もバットを振らないなんて…まさか…)
青星が何かを考えている。

「おい、お前一番だろ!早く行け!」
靖也が和弥に声を掛ける。すぐに百花繚乱を持ち、打席に向かった。

しかし、何かがおかしい。投手は投球練習も行っていなかった。

「!」

しかも、いきなりボールはど真ん中へ。すっぽぬけたという訳でもなく意図的にやっているように、和弥には見えていた。

二球目もど真ん中に来た。これには和弥もフルスイング。
簡単にホームランとなった。


(そうか…これは…)
だが、和弥はまったく嬉しそうな表情を見せていない。


ベンチに帰ると、長谷川にすぐさま話しかけた。

「おい、長谷川…あいつ等、八百長してんぞ…この試合、多分相手はど真ん中にしかボールは投げないし、ボールは何を投げても振らないぞ…」

「見たらわかるさ。何かあるぞ、今年の夏は…」


この回、結局30得点。清千学園は1回コールドで決勝戦へ進んだのだった。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/19 09:55  No. 187    
       
猪死山の監督、寺門平蔵は八百長で、選手に多額の金を渡し、わざと負けるように仕込ませていた。寺門は野球賭博で猪死山が負ける方に掛けていたのだ。もちろん、自分が猪死山の監督という事を賭博仲間には知らせずに…

翌日の決勝、私立佐上高校との対戦だったがこの試合もおかしかった。
前日のような試合だったのだ。甘いボールしか投げないし、ボール球でもバットを振ってくる、完全なる八百長試合だったのだ。
しかし、準決勝、決勝が八百長試合だったという事を高野連は認めなかった。高野連のトップがその高校野球賭博の中心だったからだ。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/19 21:05  No. 188    
       
一方、玄野達風上高校はどうなったのだろうか。
もしかして負けたんじゃないか…
弟が甲子園に出れなかったら…
魁は非常に心配していた。しかし、スマートフォンで高校野球ニュースの欄にあった「夏の甲子園 代表校全都道府県決まる」という記事の内容を見ると一気にその心配が吹き飛んだ。
そう、風上高校は見事県大会を優勝していたのだ。玄野は毎試合本塁打を放ち、何も言えない数字を残した。
これには魁も感激し、その記事を何度も見ていた。

その一週間後、甲子園に出発。抽選会では第一日目の第一試合目になってしまった。

甲子園での練習日、一年生は甲子園の景色に感激していた。

「お…おい、中村!凄いで!めっちゃでかいわ!」

「いやわかってるよ!まじすげえ!」

一年前も同じだった。甲子園に初めて来た魁達は興奮を隠せていなかった。

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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/19 22:30  No. 189    
       
ついに一回戦が始まった。
相手は滅茶強威高校。野球評論家は一方的な滅茶強威高校の打撃戦になると予想した…だが、現実はその逆だった。

「っ!」

「これは!?行ったか!?」

とにかく打ちまくっている清千学園…ほとんどの打球がホームランとも思える打球ばかりだった。
先発の小南も、四番の高校通算65本塁打、亜前斗磨(アゼン トスル)を完全に抑えている。


「打った!セカンドへ!伊藤送球!アウト!ゲームセット!」

清千7vs滅茶強威1

清千は、一回戦を難なく突破した。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/19 22:35  No. 190    
       
清千は順調に勝ち進んでいった。エース上杉翔、四番のギルド・吉野・ゴールデン要する強豪、帝都実業とも当たったがサヨナラ勝ちで勝利。
そして、ついに準決勝まで来ていたのだ。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/20 02:16  No. 191    
       
準決勝の相手は、つい最近までは無名だった、風上高校…だが、ある一人の不良によって強豪校へと変形した。
この男こそが風上高校野球部の心臓であり、チームにとって、絶対に欠かせない選手だった。その選手はもう野球は出来なかった。肩の爆弾が爆発したからである。しかし、遊撃手として選手に復帰。でも投手としては誰も復帰しないと思っていた。しかし、今日、投手に復帰する…

「4番、ピッチャー玄野君…背番号、6…」

肩を壊し、好きだったピッチャーが出来なくなった…。悲運のピッチャーと言ってもいいのだろうか。


「あいつ…投手…か…」

魁は、一人の選手として勝負出来るのは大変嬉しかった。しかし、一人の兄としては不安でいっぱいだった。

そして、今日一番の和弥に対しての第一球目…この一球に球場全体がどよめいた。

キャッチャーミットの渇いた音が球場内に鳴り響く。球速はこう記録されていた。

156km/h

甲子園の球速記録をたったの一球で抜いたのだ。
和弥、四田は共に連続三振。
そして、ここで伝説の兄弟対決が実現した。

玄野はとにかく厳しいコースだけに投げ込む。この際どいボールには魁も迷うようであっという間にツースリーとなった。

「ふぅ…。らぁ!」
玄野は唸りながら投げる。

「っ!」

ボールはど真ん中に来た。魁はフルスイング。しかし、玄野にはコレがあるのを魁は忘れていた。

魁の視界からボールが消えた。ストレートと同じ速さながら落ちるボール…SSFである。

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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/21 22:30  No. 192    
       
試合は5回まで進んだ。今だ両チーム無得点だ。
たまにヒットは出るがどうも得点には結び付かないようだ。
しかし、清千に最大のチャンスが回ってきた。
ノーアウト満塁、バッターは4番の長谷川。
超集中力が姿を現しており、1点は確実に入ると誰もが思っていた。

玄野は、150km/hはあるだろう剛速球を投げ込んだ。しかし、超集中力が発動し、新電光石火を使用、そして速球には滅法強い長谷川には敵はないだろう。
長谷川はいとも簡単150をジャストミートし、打球はピッチャーへ。
ここで、とんでもないことが起こってしまった。

球場内に鈍い音が響く…
玄野はマウンドで倒れていた。
球場の係り員がすぐに玄野を担架に乗せ、どこかに運ばれていった。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/22 09:36  No. 193    
       
玄野は気を無くしていた。
肩が砕けていたのだ。
医者によるとリハビリを続けたら完治するらしい。



玄野は、テレビの音で目を覚ました。歓声が響いていたのでつい起きたのだろう。
どうやら、映っていた番組はさっきまで自分もいた甲子園の様子だった。
だが、結果はとても残念な物だった。

清4対0風

ツーアウト満塁の場面で長谷川がグランドスラムを放ち、先制した。裏の守備できっちり抑え清千の決勝進出が決まった。

「う…うぅ…」

普段はめったに泣かない玄野もこの時ばかりは泣いていた。
自分があの時捕っていたら、勝っていたかもしれない…このような思いが頭を過る。
玄野は、右肩の骨が砕けるという大きな怪我をしたが、こんな玄野でもプロとして指名したいという球団があった。
埼玉西武ライオンズだった。下位指名でも捕りたということだった。
しかし、西武は魁の獲得を目指しているという噂が流れているらしいが…?

試合が終了した後、魁は長谷川を連れて玄野が運ばれた病院へ向かった。

病室へ入ると…
「あ! てめえ長谷川! 絶対許さんぞ!」

病室へ入ると玄野のチームメイトが手を上げて殴りかかったきた。

「おい、やめねえか」

後ろのベットに座っていた玄野が、煙草を吸いながらそう言った。

「おい! 達也! 煙草はやめろ!」
魁が兄らしく注意した。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/24 12:54  No. 194    
       
玄野も、長谷川の事は恨んでいなかったらしく、快く許してくれた。
しばらくすると、玄野の持っている携帯電話に一本の連絡が入った。
見たこともない電話番号に、玄野は一瞬戸惑いを見せたがすぐに通話ボタンを押し、電話に出た。

「あ、玄野達也…いや、伊藤達也さんでしょうか。私、埼玉西武ライオンズスカウトの山田学という者何ですが、あなたを6位指名で指名させてもらいたいのですが…」

嬉しい事だった。憧れのプロになれるのだ。
これ以上にない、嬉しい事だった。

一方、魁と長谷川達が宿泊している旅館へ帰ってきた後、3年生が猪狩守要するあかつき大附属高校対カットボーラー西城要する光都区高校の試合を見に行くことになった。
甲子園球場に到着すると、一回の裏となっていた。だが、試合はもう決まっていた。

あ10対0光
光都区高校のエース西城は今大会をずっと投げ抜いていた。ついにスタミナが切れたのか、今日のボールにはまったくキレやノビがなかった。

「ゲームセット!」

結局、このまま試合が終了した。決勝の相手はあかつき大附属となった。

魁達は、非常に自らの実力に失望していた。
エースが降板して試合に勝利した自分達。
エースを打ち崩し、試合に勝利したあかつき。
力の差がはっきりとしていた。

そして帰り道…清千の優勝をさらに遠ざける事が起こってしまった。

「おい、あいつ等だ。いくぞ」
人気のない場所を通っていた魁達に、みしらぬ男達が金属バットを持ち、近寄ってきた。

すると…
「おらぁ!」
長谷川に向かってバットを振り回した。

「ぐぁ!」

長谷川の膝のお皿をバットが直撃してしまった。
その後も次々と選手達が攻撃されていった。

小南は左肩の打撲、青星は右足の捻挫、四田も右肩の打撲、今北が右手首と左腕の骨折、所山が腰の打撲、そして魁だったが…
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/24 18:06  No. 195    
       
ついに迎えた決勝戦。しかし、清千が不利な状況なのは変わりない。
だが、こんな状況でも勝つために、選手は全力を尽くすという気持ちでいた。

そして、試合開始…
ベストなオーダーではない清千は一年生が多く出場している。
今日のバッテリーは九条と堺、センターは中村、ショートは明司だ。所山と長谷川は、無理をしての出場だ。

一回の表、あかつきの攻撃は一番の猪狩進から。来年のプロの目玉だ。

(どういう事なんだろう…このオーダーは…何かあったのかな…)

進も今回のオーダーを見て、不思議に思っていた。
進は、3球目にスクリューを引っかけ、セカンドゴロ。アウトかと思ったが…

「ぐ…あ…」

セカンドの魁がエラー。いつもはエラーをしない魁だが珍しくエラーしてしまった。
だが、真正面の打球をエラーしたのだ。何かがおかしい。

2番は、雅と面識がある瀬賀隼人。バントの構えをし、バントは見事成功。

そして、3番はショートを守る、天王寺遼魔。
この選手はミートがかなり高いので要注意しないといけない。

堺は九条にツーシームのサインを出した。
そのツーシームを天王寺は簡単に九条の上をライナーで突き抜けた。
それを、明司がダイビングキャッチ。飛び出していた進をタッチしアウト。ゲッツーで一回の表が終わった。

裏の攻撃が始まろうとする時、魁がベンチの裏に行った。


「はぁはぁはぁ…くっそ…」

魁が肋骨を押さえ、壁にもたれていた。

すぐにベンチに戻り、ヘルメットを被り、自分の打席を待った。

だが、一年生が守の球にかする事もなく凡退。三番の魁にすぐ回ってきた。

しかし、一球も振らずに凡退した。
だが、どうして? それには、昨日起こった事件にあった。


昨日の事件は野球賭博が関わっていた。あかつき対清千の試合、あかつきが勝つと賭けた寺門平蔵は、何としても、そうだいな金を得るために清千の主力に怪我をさせたのだ。
その時に、魁は肋骨にヒビが入ってしまった。その事を魁はずっと隠しているのだ。
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ロックされています   Re: King nine  名前:魁斗  日時: 2013/08/24 18:42  No. 196    
       
試合は、2回の表に綾奈のホームランであかつきが先制。3回にも守のホームランが出、0対2という展開になった。
その後、試合は0点のまま7回へ。そろそろ点を取らなければ清千の勝ち目が消えるかもしれない。
そして、バッターは今日は4番に座る靖也から。しかし、期待されているが虚心坦懐が使いこなせいのだ。

しかし、今の状況がしっかりわかりさえすればこのバットの実力が発揮できるのだ。

今の靖也はそれが出来るのだ。
(やって…やる…このバットで…チームの為に…)

靖也はとにかく来た球をフルスイングと、そう思い構えた。

そして、フルスイング。

木の音と、木が折れる音が球場内に響き渡る…
打球は右中間へ。

すぐに、ライトとセンターの綾奈は追いかけるのを辞めた。

そう、打球が満員のスタンドに入ったからだ。

その後、満塁としたが、実らずチェンジ。

1点差で、7回を終えることが出来た。
ピッチャーは銭形に交代した。
つい最近までイップスに陥っていたことを見せないノーヒットピッチング。8回の表を簡単に抑えた。だが、8回の裏で無安打に終わった。だが、9回の表もしっかりと銭形は抑えることができた。
9回の裏、バッターは一番の中村から。

(こういう状況になるなんて…思ってもいなかったよ…フッ…久しぶりだ…こんな面白いゲームは…)

守は、全力で自ら編み出したストレート、ライジングショットを投げ込んだ。

しかし、中村は意表を次ぐセーフティバント。俊足を走らせ、一塁に優々セーフ。

その後、盗塁し、見事成功。堺も送りバントを決め、ワンアウト3塁の絶好のチャンスとなった。しかし、バッターは今日怪我をし、今だノーヒットの魁だった。

(怪我なんて気にすんな…どうせただヒビが入ってるだけだ…こんぐらいどうってことない…)

魁は、無心で打席に入った。小学校時代の虐めも…両親が亡くなった事も…雅が倒れた事も…全てを一時的に忘れ打席に入った。

(伊藤…君を抑えれば僕達の優勝が決まる…だから、ここで君を抑える…僕達が優勝するために!)


守はライジングショットをインコースの一番打ち難しい所へ投げ込んだ。
しかし、魁はそれを…

快音が響き、打球はセンター前へ。だが、魁は走らない。いや、走れなかった。
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ロックされています   Re: King nine    名前:魁斗  日時: 2013/08/24 19:00  No. 197    
       
その後、魁は玄野と同じ病院に運ばれた。やはり、肋骨にヒビが入っていた。
試合は、綾奈に逆転ホームランを打たれ敗戦。春夏連覇とはならなかった。

数日後、魁と玄野は退院し、久しぶりに自宅のベットで寝た。
雅の体調もかなりよくなり、来年の春には退院できる事になった。

そして、9月…魁の怪我は完治した。玄野の怪我も月末になると完治するらしい。




…………………

今になると出来すぎだった。
間違えて入学して、野球部を創って春の甲子園で優勝。夏の甲子園も準優勝。

魁は、最初はもう無理だ。と思っていたがここまでこれたのも諦めなかったからだ。

魁はプロの道に進むのか。それとも、大学で自分を鍛えるのか、それとも、野球は辞めるのか…舞台は…どうなるのだろうか…


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