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記事閲覧  ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前: スコットランド学派  日時: 2016/12/14 17:10 修正5回   
      
 このスレッドは,主に2017年・二月に執筆を開始する予定である「イーグルスの星・第二部」を投稿するためのスレッドです。

 お楽しみに。

 鍵を開きました。第二部が始まります。
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/02/06 12:07 修正1回 No. 79    
       
 第五十一章 「紅白戦の話」

 巨人軍の春季キャンプは終盤となった。もうじきオープン戦も始まる。相手はオリックスである様だ。

 ところで。この日は晴天も甚だしく,温暖でもある。さわやかな南国宮崎を象徴していると言い表していても差し支えなかろう。最後の紅白戦が開かれる。この結果次第で開幕投手が決まるらしい。候補は二人。誰って。決まっている。菅野さんか,井本さんだ。

 そのようなことを,心に強く刻むように。横田真司は,ファースト・ミットをはめて,試合前の内野守備連携練習に勤しんでいる。ところで。坂本勇人二世としてもてはやされている高卒新人がいる。増田陸。背番号は63。本業は遊撃手なのだけれども,二塁を守らせてみても,元気が良いことよ! と,横田は感心しながら素直に思うのである。守備範囲が広いし,地の肩も強い。スローイングもしなやかで上手だと思う。打撃にも走塁にもセンスが溢れる。体はまだ出来ていないと思うが,仕方がないとも思う。将来性にあふれているので,頑張れば,坂本勇人以上の逸材となって,吉川尚輝と共に,鉄壁の二遊間でも構成するのだろうか……。そんなことを考えているときに。

「お,ファーストライナーだ」
 そつなく反応してミットに収める横田である。我ながらに守備力は秀逸であると思う。事実,将来のゴールデングラブ賞候補として評されている訳なのだから。少しニヤリともしてしまう自分を許してしまおうとも思う,そのような横田真司である。それと。背番号12をつけている大卒ドラフト一位である,高橋優貴という左腕は,性格が良いほうに改良された井本さんなのかな,とも思う横田である。

「あ,増田君からの送球だ」
 キャッチキャッチ。小気味よく声をかけておこうと思う。
「増田君,二塁手のくせに,地肩強すぎるぞ。何やってんの!?」
 増田は屈託のない笑顔だ。
「左舷弾幕が薄いんですよ!」
「言い得て妙だな!」
 横田は素直に思う。自分と増田は仲がいい。陸は本当に,イイ奴だ……。
 タワーに鎮座していらっしゃる原監督も機嫌がいいようなので,普通にアピールチャンスだな,と思う,スター気質の横田真司である。
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/02/06 14:48  No. 80    
       
 ランチが終わり。午後一時。一時間後に試合が始まる。天候不順の心配がない故,確定事項であるのだから,横田を始め,各々選手たちは準備に余念がない。ところで,当の横田はベンチに座って,じっと,ぼんやりしている。何故って。横田にとっては,試合開始直前程の憩いの時間は無いからである。何も考えないことが,尚の事吉であると。そのような精神性である。ところで。宿敵である真上秀行はというと,自分とは正反対で。高校野球世界大会に,日本代表として共にしていた時も,彼は弟である捕手の正と共に,念を押すように打ち合わせを欠かさない。軽い投げ込みをも欠かさなかった。目に焼き付いているので,横田自身は,そのようなライバルの姿を一生忘れまいという心構えなのである。ところで,横田自身。ドラフトに万が一かからなければ,一般受験で慶應義塾大学の理系に進学するつもりであったのだが,もう終わったことだ。東大脳である真上兄弟とは大違いであるのだが。兄の方は,理数に入れたようで,弟の方は,比較的立場が弱めな農学部に入れるレベルであったようだが,それも,終わったことなのだ。

 と。そこへ。

 ちょんちょん,と右肩をされたが,横田にはお見通しだ。とりあえず,後ろを振り向いてみよう。……,あぁ,やっぱり。満面の笑みを浮かべるヤングマン投手が仁王立ちしているではないか。その彼は,間髪入れずにこういった。
「ワタシの縦カーブはセカイイチデース!」
「あ……,はい。そうですね……」
 いつも軽く受け流しておく。しかし。ここでは終わらない。クックがヤングマンの背後に忍び寄り。背中を右こぶしでどついた後,矢継ぎ早に,満面の笑みでこう言った。
「ミーのフォーシームはコスモナンバーワン!」
 しかし。横田はこうも思う。確かにクックの直球の威力は抜群だ。けれども。どちらかというと,技と制球力を駆使して,アウトローに小気味よく決め込み要所を締める精神性である,と。
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/02/06 14:52  No. 81    
       
 しかし。ここで終わる原ジャイアンツではない。隣で陽気な宮本投手コーチと真面目な水野投手コーチ,そして,いつもうつむいている頭脳派投手コーチである杉内さんが,話し込んでいる様だ。盗み聞きしてみよう。
 宮本は「今日も熱血! プロ野球情報〜!! ズームイン!!!」
 ……,日テレの「ズームイン! サタデー」癖が抜けていないようで,仕方ないと思いつつ,「この人大丈夫だろうかな」とも思ってしまう。
 水野は「結構前,巨人で工藤さんが左腕エースだったころだけど。その工藤さんからさ……,『おい,水野ちゃん』『なぁ,水野ちゃん』『水野ちゃん,なぁ,水野ちゃん……。水野ちゃんってさぁ,デストラーデにデッドボールぶつけたことある?』って何度も話しかけられてさ……。屈託のない笑顔でな」
 横田は思う。呆れ顔で,だから今更一体なんなんですか!? どうしてなんですか!? パ・リーグだったんだから,巨人軍というセ・リーグの投手だった水野さんには関係ない話でしょ!? オープン戦でのことですか? それとも,当時巷を賑わせていた巨人対西武の日本シリーズでの話ですか!? ……,何でだぁ〜〜あああああぁぁぁぁあああ! と。行き場のない心の叫びを心の中で叫ぶ,不安が不安がるMartin Heideggerの心意気である。
 杉内は。「大江を将来の左腕の柱の一人に育てなければ……。内海さんが西武に行っちゃったよ。炭谷と引き換えだからって,内海さんがいない中でどうすればいいだろう……。戸根を山口のぐっさん並みの中継ぎエースに育てたいが,如何せん育成対象である若手の頭数が,豊か過ぎて手が回らない。いっそのこと,高田を代わりに回すのもアリだが,中川がしっかりしてくれないと困るわけなんだが。京介,京介,京介,京介京介京介きょうすけ……,ぶつぶつぶつぶつ……」
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/02/06 14:55 修正1回 No. 82    
       
 横田は,その杉内の根暗姿をいつも目の当たりにしているので素直に思う。杉内さんは,コーチとして,心の球持ちを鍛えたほうが宜しいのではないのでしょうか? と。そして,横田はこうも思う。コーチの方々も,僕たち選手たちの為に,日々大変な思いをしているんだなぁ〜,と。横田は妙に,御仏の心持である。精神的に,杉内コーチよりも,球持ちが良い。自分でもそう思う。……,元木コーチが満面の笑みで伊右衛門500ミリリットルを杉内コーチの頭上に全部ドバドバぶっかける様が目に焼き付いたが,杉内コーチは気づいていないようだ。元木コーチはつまらなそうな顔つきであるようなので,横田は「よしっ!」と,シャキッとしながら立ち上がると,バットを持ち込み。ベンチを出て,素振りをすることにした。……,後で分かった話なのだが。作並さんから紹介されてようやく認識することが出来た「空気之介・外野手」が,自分の隣で粛々と素振りをこなしていたらしい。遠目で原監督が彼を見守っていたようだ。タワーの上から。
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/02/06 14:59  No. 83    
       
 お読みいただき,ありがとうございました。
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/02/09 19:31 修正1回 No. 84    
       
 一時半となった。発表された打順は次のとおりである。

 白組

 一番 遊撃手 坂本勇人
 
 二番 二塁手 田中俊太

 三番 左翼手 アレックス・ゲレーロ

 四番 捕手 阿部慎之助

 五番 三塁手 岡本和真

 六番 一塁手 作並信

 七番 中堅手 亀井善行

 八番 指名打者 石川慎吾

 九番 右翼手 松原聖弥

 先発投手 井本大助

 紅組

 一番 遊撃手 増田陸

 二番 二塁手 吉川尚輝

 三番 捕手 小林誠司

 四番 三塁手 クリスチャン・ビヤヌエバ

 五番 一塁手 横田真司 

 六番 中堅手 陽ダイカン

 七番 右翼手 丸佳浩

 八番 左翼手 重信慎之助

 九番 指名打者 イスラエル・モタ

 先発投手 菅野智之
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/03/09 08:54  No. 85    
       
 番外編 真上吉良のその後

 秀行と正の父である吉良は,あの時以来。公務員も辞めれば土建屋もたたんだ。

 財をなげうって,喜捨に回すことにした。年金を貰っている身分であるので,必要最低限度の生活には困ることはない。隠遁して本を読みながら,仏門に入ることも考えている。

 吉良はこうも思う。

 我が真上家の,今の稼ぎ頭は,秀行であり,正である,と。
 
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/03/14 15:43 修正2回 No. 86    
       
 番外編 その2 玉川 修(たまかわ おさむ)のお話

 巨人軍沖縄キャンプ序盤のある日の事である。

 横田は何気ない様子で、セルラースタジアムの通路を歩いていた。その時である。

 ぎゃああああああぁあああっ!!!

 横田は,冷や汗をかいて思った。つぶやいた。
「……,井本さんはいつも,大ベテランの猪狩守さんを虐めているが,もしかしたら……」
 背筋が寒くなりながらも,悲鳴の方向へ走る。バタンとドアを開けたら。案の定。

 井本とその彼の子分数人が,巨人の大ベテラン投手である,猪狩守(いかり まもる)38歳に対して殴る蹴るの暴力の限りである。井本の方は,背中しか見えないが。腕組みしながら面白がっている様が感じ獲れてならない。たまに,猪狩のはらわたに足蹴している。
「……,これはいくらなんでも……」
 横田は今日という今日は我慢ならず,駆け出そうとした,その時。
 横田の目の前を,見た目仔犬のような美少年が通り過ぎた……,否。
「玉川さん……」
 玉川修。巨人に今シーズンに出戻ってきた。先発中継ぎ抑えを上等にそつなくこなす,「愛玩犬型今水野」という二つ名がある……,まず。置いておこう。
 玉川は猪狩守を庇うように両手を広げ,仁王立ちした。そして。
「やめろ,やめろよ!! こんなことしてカッコ悪いぞ!!」
 仔犬のような渾身の叫び声である。悲壮感が顔から突き刺さるように感じとれてならない。

 その後の話の余計な部分はそぎ落とす。ただ単に。井本たちは,玉川を軽蔑して「球界の渡り鳥」と罵りながら,おめおめと去っていったのだ。それだけだ。
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/03/14 15:45  No. 87    
       
 ふと。玉川はこちらの方に気が付いたようだ。パタパタ寄ってきて,まとわりつきながら話しかけてきた。
「なぁ,横田。横田真司! お前,勇気ないよなぁ〜!! これでも我が巨人軍が誇る将来の四番なのか? わらわは情けない思いだぞ!」
「屈託のない顔つきでそんなこと言われても困ります……」
「疲れ顔してお前はこんなこと言う。真司は優しいなぁ〜!」
 玉川の両目は大きく輝いている。その時。原監督が入ってきた。彼は開口一番話す様だ。
「修の大きい声が聞こえるぞ」
 すると。
「原監督〜!!」
 今度は玉川。原監督の方にまとわりついてきた。原監督は面食らったかのように嬉しそうだ! 彼の頭をひたすらに撫ででいる。そして。原監督は。
「修。今シーズンのお前は,中継ぎを主にやってもらいながら,先発の穴埋めもやってもらうからな。抑えもいざとなったら,できるよな?」
「うん,やる! できる!!」
 玉川は本当に屈託がない。いつもの事である,と横田は思う。玉川修という投手は,プロ12年の選手生活の中で。巨人 西武 阪神 と三年ずつ。千葉ロッテ オリックス と一年ずつ。そして。巨人に今シーズンから戻ってきた。彼は,自分の事をひたすらに必要としているところであれば,どこにでも行くが。人格で選ぶことのできる分別分析眼があってこそ,である。

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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/03/14 15:48  No. 88    
       
 翌日。練習休日。昼間。横田はテレビを何となく見ていると。玉川が遊びに来た。そして,彼はこういった。
「横田。お前はお前の部屋に何しに来たのだ? 何の用があるのだ? わらわは来てみたのだぞ?」
 いつもの事であるから,突っ込まないことにしておく。

 チャンネルを回してみた。西武ライオンズに謎電撃入団した,例の怪物投手が映った瞬間。

 玉川はけたたましいほどの,悲壮感がこもった万力な悲鳴をあげた。泣きじゃくっている。仔犬の声そのものなので,響く。耳が痛いが。横田は彼を介抱したが。彼はこう喚き散らしていた。
「アイツがなんで〜!! なんでだ〜〜〜!! 出ていけ〜!! 出ていけ〜〜〜!!」
 テレビに映っているその男。玉川とは,うり二つだ。

 名前は明神 陽(みょうじん よう)という。

 160`を誇る「澪ストレート」という超怪物球威と,「悪魔のチェンジアップ」が持ち味である……。不遜極まる性格らしい……。実際もう,チーム内で問題を起こしている様だ……。


 玉川修には,白系イギリス人の嫁がいる。

 玉川修の矜持の一つはこうである。

 人を虐める人は,嫌いだ。どのような立場の人であっても。

 終
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/03/15 04:55 修正1回 No. 89    
       
 番外編 その3 前回の続き。

 横田真司は翌日に,玉川と近くの食堂で昼飯を共にした。それにしても,と横田は思ったが。デモ隊たちが,破壊活動の塊で野蛮賦存極まる,と。

 横田が玉川から聞いた話は概して次の通り。

 自分は常に二律背反で葛藤の塊であるが故に,悩むこともあるんだと。皆同じだと思うけれども。

 そういう自分は,普通に。問題児だ。

 最初の巨人軍との三年間は,かなりの長期契約だったけれども。ライオンズがこれでもかというくらい,自分のことを欲しがっていたので,暗にそれに感極まっただけだ。

 しかし。あえて自分は単年契約を選んだ。何故かというと。自分は臆病で弱虫だからだ。

 二年経って。三年経って。嫌なことが沢山あって。迷惑をこれ以上かけられないと思い。自ら退団を願い出た。何故か監督やオーナーたち,選手たちの多くは引き留めたが。理由は分からない。

 それが阪神タイガースの三年間でも。ロッテやオリックスの一年間でもそれが続いて。

 巨人に呼ばれたことが,嬉しかった。もうここがいいんだ。

 と……。

 横田は素直に思った。

 玉川は二律背反の塊であるが故に,一人の人間としていいヤツだ。

 半面。

 明神 陽 という輩は,一律で動いている。

 悪いヤツだ。

 玉川は打ち明けてくれた。陽には,酷い虐めを受けていた,と。

 日本に捨てられてから,自分よりも弱い人間たちを沢山目の当たりにしてきて,正直腹が立ちつつも。自分だって,弟の陽には虐められてきたから。尚更,自分は無知なバカな人間であると思うように努力を続ける義務があると。

 そのことを。秀行にスマホで電話してみた。すると。秀行は。

「あぁ,俺。玉川さんの悲壮……。痛いくらいに解る……」
 電話越しからしみじみした温かみのある声色であった。

 終
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記事閲覧   Re: ファイターの小説・第二部  名前:ファイター・ドクトリン  日時: 2019/03/15 04:59  No. 90    
       
 横田は玉川の事をこう思っている。

 同義語反復が唯名論方式で限界無く永遠である,と。しかし。そのような玉川はいつも限界状況である,と。

 あと。秀行はこう言っていた。

「沖縄の新基地は,第一に。第二に,第三に。不可量転の永遠先まで,辺野古ありきだよな……」

 と……。

 終
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:ハンドルネーム替えます。  日時: 2019/06/10 19:21 修正1回 No. 91    
       
【イーグルスの星 番外編】阪神タイガースのレギュラー二塁手である孔子ちゃん17歳(←オイオイ!w)は,今日も無事,見事順調に疲れうなだれています。
 
 俺は阪神タイガースで一軍監督を務めている矢野監督で阪神タイガースの監督を務めている阪神の矢野監督なんだけれども,今,阪神甲子園球場で中日ドラゴンズとのナイトゲームを戦っている阪神タイガースの監督を務めている矢野監督なんだよな,これが。うん。座って腕組んでます。うん。

 今,戦局はこうなっています。うん。

 五回表 無死無塁 バッターは,中日・京田。

 阪神0−9中日

 ちなみに,今は五月の下旬に差し掛かるところだよ。

 先発の青柳が持ち前の制球難を見事無事に果たしてくれたので,甚だちょうどいい形で,幾何学的整然さが伴っていること,この上ない二回も持たない9自責点のノックアウトだったんだよな。仕方ないので,ネロ皇帝陛下ちゃん様13歳(←オイオイ!w)をぶつけてみたら,しっかりと「辛辣強烈激重威圧感の如きマドリッド臣民の苛烈で且熾烈なる灼熱愛情でもって,ヤンキースの伝説守護神・リベラの助言で生まれた誉れ高きカットファストボール」で,中日ドラゴンズの打者たちの大切なバットを真二つにバキンバキンッ!!!!……,ってへし折りながら,全部ピッチャーゴロに仕留めてしまったのに,球審の白井さんから退場宣告を受けたネロちゃん皇帝陛下13歳(←オイオイ!w)は,四回終了まで無失点に抑えてくださった偉大なる陛下様ネロ皇帝ちゃん13歳(←オイオイ!w)なんだよな,これが。うん。
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:ハンドルネーム替えます。  日時: 2019/06/10 19:23  No. 92    
       
 ……,ところで。そんな俺の隣にいるのが……。

 ……,ついこの間,チームドクターから,「重度精神分裂病」「うつ病」「パラノイア」「適応障害」の四重苦を診断された,阪神タイガースの四番打者である孔子ちゃんという女の子17歳(←オイオイ!w)が,物憂げに,頭両手で抱えうなだれながら,「うぅぅぅうううううううううう……」って,小声でうなりつつ,ぶつぶつ小声つぶやいている女の子,孔子ちゃん17歳(←オイオイ!w)なんだよな,これが。うん……,ん? 孔子ちゃん,俺に目を向けてきたぞ。話しかけてくるようだ。聞いてみよう。
「矢野監督……,今のあたしの成績は,打率3割1厘 4本塁打 49打点 ですよね……」
「うん……,そうだけどさ……」
「帰っていい?」
「何で?」
「野球選手引退したいので,もう二度と呼ばないでください。自分ちの書斎で,古典科学論文でも嗜んでおいて,グッタリしていればそれでいいし。あたし,孤独が好きだし……」

 俺,矢野監督は,阪神タイガースの監督である矢野監督なんだけれども,孔子ちゃん17歳(←オイオイ!w)を,試合途中で帰しておきました。長らく,孔子ちゃん17歳な女の子(←オイオイ!w)は休養に入ります。いつ復帰するのかは皆目見当つかんし,そのまま引退する可能性も高いんだけど。うん。


 終
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:ハンドルネーム替えます。  日時: 2019/06/17 09:22  No. 93    
       
 第52章 紅白戦の話 続き

 白組の四番を務めることになった阿部慎之助は,ベンチで浮かない顔をしながらしょんぼり座っている玉川を見つける。

 試合開始まであと,20分。

 玉川は,こちらに気付いたようで,更にか細い声で話しかけてくるようだ。聞いてみよう。
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:ハンドルネーム替えます。  日時: 2019/06/17 09:23 修正1回 No. 94    
       
「阿部のあんちゃん。わらわ,適応障害な。あと,高速チェンジを投げるのもいいが。正直,アレは,肘の骨筋と,指の筋肉繊維に多大な負荷がかかる。フォーシームが,打者の手元で伸びなくなって,重みも無くなってきた。ロッテ時代から『あれ,おかしいなぁ……』と,感じていたものの,オリックスに入ってからは,いい加減肘にネズミが走ってきたから,もう駄目かな……。ということで,直球とチェンジアップの組み合わせのみで何とか組み立ててください。あんちゃんのサインには従います。けれども,適応障害だから,投球中に何度もサイン確認をすることになるから……」
 阿部慎之助は,沈痛な面持ちとなり,ゆっくりと頭は縦に振った。そして,こう返事をしよう。
「……,分かった! 無理はするな! 原監督にはもう伝えておいてるからな。お前は,開幕ベンチ入りは当確であるようだけれども,事実,ほぼ登板はないと思え。二軍にいると思え。調整に調整を重ねて,いずれは,いざというときのためのロングリリーフで起用する手はずだそうだ。先発をさせるにしても,五回までだってよ。無理すんなよ! 五回三失点で十分だって,原監督は言っていたからな,安心しろ!」
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:スコットランド学派  日時: 2019/06/17 09:24  No. 95    
       
 しかし。玉川の顔は,依然として浮かない。菅野よりも一つ上であるに過ぎないのに,引退間近な顔をしている。実際,球を受けてみても,直球に伸びがない。軽い。高速チェンジがすっぽ抜ける。だめだな,と阿部慎之助は思ったのである。
 さらに,玉川は話し出す様だ。
「井本は,三振を取れる直球と,コントロールを持つ反面だよ。球質が軽い。ピンポン球。いざ,詰まった打球を飛ばされても。昨シーズンは,丸にバットの根っこにトルキャ当てられてマツダスタジアムのライト中段に持っていかれたそうだな。スタミナもない癖に,前のめりだよ。クイックが上手だから,サークルチェンジを覚えさせる方がいい。スタミナをつける気は,井本はないだろう。あの性格だから,仕方がないんだよ。あいつは,母親の手一つで育てられて,努力の塊だから……」
 阿部は更に沈痛になった。
「……,分かった……! 井本は仕方ないやつなんだよ。あいつには俺から言っておくからな……」
 
 ……,試合は,紅白戦とは思えぬ,ド迫力だった。開幕投手の座を争うにしても,井本にしても,菅野にしても,飛ばしすぎているように,捕手である阿部慎之助には思えてならない。
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:スコットランド学派  日時: 2019/06/17 09:26  No. 96    
       
 規定回数は七回まで。六回の裏に,井本は自慢の浮き上がるトルネードキャノンを,横田にとらえられてしまった。どん詰まりではない。完璧だった。乾いた小気味が良すぎるほどの打球は,レフトスタンドを越えて,場外に消えた。三点本塁打。

 紅白戦なので,試合が決まっていても。阿部慎之助率いる白組は,守備に就く。阿部はマスクをかぶる。18.44メートル先には,力ない顔で立ち尽くす仔犬がいる。

 阿部は,思った。

 制球力は,格段レベルで優秀になったなぁ……,と。

 試合結果。

 紅組10−0白組

 菅野智之の開幕投手が当確した。

 玉川は,7自責点であった。
 
 終
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:ハンドルネーム替えます。  日時: 2019/06/22 09:44 修正3回 No. 97    
       
 第53章 

 真上秀行は,前日の夜,巨人軍にいる,限界状況な仔犬から,スマートフォンから次のような電話をされた。内容は,こうである。

 わらわ,東京ドームと阪神甲子園球場の観客の多さ,大歓声に押しつぶされていた……。人気があるのはいいが,ありすぎるのも困ったもので。わらわ,所詮は内実,巨人阪神,阪神巨人にとっての客寄せとしてペッティングされたに過ぎない仔犬だったようだ。

 わらわ,埼玉西武ライオンズにいた時が,野球人生で一番華やかだったときだったな。今のお嫁さんに巡り合えました。所沢の西武デパートの近くで拾われました。内心,怖かった。お座りをして,様子を見てみたら,エマは優しく抱きかかえてくれました。

 西武ライオンズドームの梅雨から夏にかけては,わらわにとって環境が悪いものの,袖をめくればいい。球場の場所もあるのだろうが,観客は少なく,いつも閑散とした環境だが,わらわにとって,それが良かった。リリーフとして,最多登板と,セーブ王というタイトルを取れたが。次に渡った阪神タイガースという,阪神甲子園球場は,東京ドームと同様の地獄だった。語るに及ばず。
 それにしても。ネロ帝様は,なんであんなに頑張り屋さんなんだろう。いつか,肘壊すんだよな,ネロ様は。あのカットボールは,肘に相当な負担がかかるのに,権藤権藤雨権藤では,もう,ネロ様も終わりかな……。

 ロッテやオリックスにいた時は,わらわはもう,引退が近いと悟った。だから,わらわ。今シーズン限りで,現役を退くことにする。でも,これからわらわ,どうしよう……。🐶

セントラルリーグが,弱っちい理由はなぁ。巨人阪神がいるんだもん!🐶

 秀行は,目を瞑り,暫し静まってから,こういった。
「東京が嫌ならば,田舎に住めばいいのでは?」
 仔犬は,涙ぐみ声で,「分かった……,そうする」と,言った後で,電話を切った。

 秀行は,翌日の,対オリックスバファローズ第三戦目の予告先発投手である。開幕ローテ,それも,先発三本柱に当確である。 
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記事閲覧   Re: ノベルズ=クリムゾン 第二部  名前:ハンドルネーム替えます。  日時: 2019/06/22 13:01  No. 98    
       
 3月31日 日曜日 当日

 楽天生命パークでの五回の表。二死満塁で,秀行の目の前向こうの右打席には,四番・ショートの姫路瑞樹(ひめじ・みずき)。秀行は,右バッターボックスに入る前に,素振りをしている姫路の様子を見ているが,こう思う。唾を飲んで。

 ……,バットが風を切り裂いている。空気が分断されているかのようだ。それにしても。空気は,いくら姫路さんに切りつけられても,懲りはしないな……。

 武者震いしている自分自身を,秀行は感じている。

 間の悪さを,弟の正は感じたのだろう。キャッチャーマスクを上げて,内野を集めて,こちらに小走りで向かってきた。
 
 正は,ミットを口に当てながら,こちらに話しかけてきた。冷や汗をかいているようである。
「兄さん,これだけは言っておく。サークルチェンジをすっぽ抜けさせないように,お願いします。姫路さんには,緩急は通用しないようです。フォーシームと,高速カーブのみで,組み立てます」
 了承することにしようと思う。首を縦に振っておこう。
「分かった。お前だけが頼りなんだよ」
 すると,後ろにいる二塁手の藤田さんが。
「センター返しをしてくるだろう。ゴロだったら,いい所で守っている俺だから大丈夫。気にするなよ」
 頼りがいのある先輩の力強き言葉である。
 更に。浅村が。
「おめー,一体何やってんだよ。しっかりしろよ。球数は?」
「……,100球です」
「……,っ,それでよく,無死四球で0に封じることが出来てるよな。天才か!?」
「すみません……」

 各自,守備に着きなおした後で,正は,外角低めにかなり外れる算段である「高速カーブ」をサインした。
 秀行は,首を縦に振った後で,額やこめかみに冷や汗を感じながら,セット・ポジションから,投げた。

 ……,姫路は,何らお構いなく,コントロールミスな球を,強烈に轟かせつつ,その打球は恐らく,センターオーバーだろう。
 秀行は,悟り顔で,無言でいいと,立ち尽くしながら思った。

 オコエが,しっかりと,フェンス際で追いついてくれた。

 秀行は,嬉しいと思ったが,オコエは「いいから」とだけ,言ったので。

 終
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