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ロックされています  青空に奇跡を願う  名前: 投手  日時: 2012/12/04 20:33    
      
初めての小説ですが、
よろしくおねがいします
記事修正  スレッド再開
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/13 15:58  No. 62    
       
〜〜〜「6話 球技大会4」〜〜〜

笹巻が2−Cの代表と向き合ってお互いに睨み合っている。
そして両者の腕が腕が動き始めた。
笹巻「最初はグー! じゃんけん! ポン!!! しゃあ!」
笹巻がグーで勝利した。そして実行委員に「先行」と言った。
相手投手の投球練習が終わった。結構いい球投げる。
110キロくらい? 素人にしては十分すぎる。
先頭打者、気帆(きぼ)は見事な空振り三振、二番七宮はストレートのフォアボール、
背が低いからストライクが入らなかったか?。
あ、七宮がこっち見た。読んだのか、あいつ。
俺が打席に入った。肩にバットを置いて、打つ気が全くないように見えるかもしれない。
初球、ど真ん中。一振り、打球は中弾道でグングン伸びて行き、レフトスタンドに到達した。
笹巻「え? うそ? 陽介、凄すぎだろ……」
笹巻は茫然のしているのは遠目でもわかった。だが俺がサードベースを回ると、サード側のベンチから、歓喜の声が出始めた。
ホームベースを踏むと、俺はベンチに向かって拳を高々と上げた。
俺のこの動作の後にベンチから手荒い祝福。
この試合はいきなり主導権を獲得した。
このまま俺たちは流れを渡さず、9−3で勝利した。
先発した七宮が5イニングを無四球完投、打撃では0打数=3四球。
七宮ってコントロールがかなり良い。スピードは100キロ届いてないだろうが、心理を読んだりして、上手く攻撃をかわす。
反則じゃないか? 心を読むって……。
スタンドのバックネットにある日影でひと眠りしようと寝転がると、よく聞く声が聞こえた。
悠莉「陽介く〜ん、ちゃんと来てくれたんだ」
あ、スタンドにはこいつがいるの…忘れてた……。
陽介「ホームラン3本ってちょっと、相手がかわいそうだったよ」
確かに俺から見てもちょっとかわいそうだった。
一人で7打点……ちょっとやりすぎた。
悠莉「じゃあ、行こうか!」
え? どこに?。
悠莉が俺の手を引いて球場を出た。そして向かった場所は第二体育館だった。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/13 16:06 修正1回 No. 63    
       
体育館に到着するまで同級生からの視線がやや精神的にダメージを与えられた。
悠莉「これからなんだ、わたしの出るバスケ、ここで見ててね」
いいのか? こんな入り口に立ってて?。
俺が悠莉を見ると、悠莉は既にバスケに出場するメンバーのもとに歩いて向かっていた。
ま、見てくれって言うくらいだから、結構得意なんだろ。
試合開始まで15分あることを知った俺は一度体育館を出て、自販機でコーラを買い再び体育館に戻ってきた。
俺が帰って来たのと試合開始はほぼ同時、ナイスタイミン! 俺!。
いきなり悠莉がボールを持ったと思うと、一人でボールを持ち込み、3Pを打った。
ボールはリングに当たることなく、鮮やかに決まった。
その光景が何度も続いた。
陽介「すげえ……?」
七宮「相当すごいですよ」
隣から七宮が突然現れた。瞬間移動?。
七宮「瞬間移動じゃないです。」
読むな!。
七宮「皆沢さんって全国ベスト4帝鵬中のSG(シューティングガード)だったらしいですよ」
陽介「ヘェ〜」
ってゴメン、シューティングガードって何?。シュートをガードする人?。
その間にまた同じようなプレイが繰り返された。
七宮「6本目」
七宮がつぶやいた。
陽介「なんだ? 七宮、最初から居たのか?」
七宮「はい、見てた場所はここじゃなかったですけど、読唇術で天海くんがすげえって言ったのが聞こえたのでここに移りました」
読唇術って何? なんか超怖い……七宮。


試合はほとんど悠莉の力だけで勝利したように見えた。これじゃあ……まるで……。
スコアは……39ー18、強い。
あれ? 七宮が居なくなった。
悠莉「陽介くん、どうだった? わたし?」
悠莉の額からは汗がまだダラダラ垂れていた。
陽介「悠莉、タオルは?」
悠莉「ん? ないけど」
おい! お前本当に女子か? いや、人か? 普通汗かくのはわかってるだろ。
タオルくらい持って来い!。
俺は自分の首にかかっていたタオルを悠莉に軽く放った。
陽介「俺が使ったけど、それで良ければ貸すぞ?」
この3秒後にメールが届いた。七宮からだ。
[天海くんってすごいですね。そんな行動を何の考えもなしに出来るなんて]
なんだ? これは?。まあいい、とりあえず返信だ。[意味がわからん、黙れ]
悠莉を見ると俺に何も言わず既に俺のタオルを使って汗を拭いていた。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/13 16:14 修正1回 No. 64    
       
陽介「いいのか? そのタオル俺がもう使ったやつだぞ」
俺はケータイをいじりながら言った。また七宮から返信がきた。
[君が渡したくせに何を言ってるんですか?]
リアルタイムの会話か! そう考えた4秒後に再び七宮からのメール。
[リアルタイムの会話か! いいえ、メールです。]
黙れえぇーーー!!! 無駄なのはわかっているが言いたい! じゃなくて思いたい! 黙れ七宮あぁ!!。
[黙ってます。これはメールです。]
知っとるわーーーー!! こいつうぜえーー!。
このとき悠莉が俺にデコピンをした。
陽介「ぃてぇ! なにすんだ!」
悠莉「ん〜? デコピン、なんか陽介くんの意識が半分どこか飛んでたから」
しまった……そこまで七宮とのメールのやりとりに真剣になってたなんて……。
悠莉「ポケットに入ってた石、見た?」
俺はポケットから試合開始前にこのポケットから発見した石を取り出した。
この石か? まさか、こいつが入れたのか? 俺のポケットに。
悠莉「その石その石、それ綺麗じゃない? 今日な登校中に見つけたんだ」
陽介「確かにそうだが……それよりどうやって俺のポケットに入れたんだ?」
悠莉「わたしがコケかけたときに陽介くんが支えてくれたでしょ?
その時にポケットに手を突っ込んだけど、気が付かなかったから入れた」
再び七宮からのメール、もういいよ……。
[天海くん、150円ください。今から取りに行きます]
何なんだ? こいつ。
て、本当に来やがった……。
悠莉「あ、七宮くん、どうしたの?」
俺より先に悠莉が七宮に声をかけた。そしたら七宮は「天海くんに用が」と言って俺のほうをジッと見た。
陽介「なんなんだ? 150円って?」
俺は七宮に「絶対やらないぞ」。と言いはしなかったがそんな空気を纏った。
七宮「さっき購買部に行ったら僕の大好物のコロッケパンが一個50円の大安売りだったので、
買おうと思ったんですが、生憎今日は持ち合わせがなくて……借りにきました」
誰があげるか、リミットがない。
七宮「僕に150円くれたら3つ入りのカツサンドが90円の大特価で手に入りますよ」
本当だな? 本当なら今すぐいくぞ! 七宮!。
七宮「本当です。行きましょう天海くん!」
俺が購買部に小走りで向かうと、七宮だけではなく、何故か悠莉までついてきていた。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/13 16:18  No. 65    
       
本当だ、コロッケパン安っ!。
陽介「七宮、カツサンド」
七宮「はい、任せてください」
七宮が「ヒカルさん!」と誰かを呼ぶと一人の女子生徒が出てきた。
ヒカルさん「七宮くん? どうしたの?」
七宮「彼がカツサンド三つ入りのを安く買いたいと僕に土下座までして頼みに来たんで、しょうがなく頼みに来ました。」
おい! 俺は土下座なんかしてねえぞ! クソ七宮!。
ヒカルさん「おいてめえ……何がクソ七宮だ? あたしの七宮くんに何言ってんだよ? ぶっ殺すぞーー!!!」
うわ〜〜、ダルイ、まさかこの人も……読めるのか? 七宮。
七宮「はい、そうです。それとヒカルさんは怒らせないほうがいいですよ、怒ると僕の300倍は怖い……僕には怒りませんけど」
お前は全然怖くねえよ。あ、その辺も考慮しての300倍か。
悠莉「わぁ〜、陽介くん、今日かなり安く売ってるよ。パン」
俺はパンの値段に目を移すと驚いた。カツサンド三つ入りは普通に90円じゃねえか!。
陽介「七宮……」
七宮が一度軽く微笑んだのは俺の目の錯覚か?。
七宮「この150円は返しません」
ヒカルさんとやらがいるし……もういいか、150円くらいどうでも。
俺はカツサンド三つ入りを15袋も買ってしまった。流石に買い過ぎた……。
まあ、いいか! なんか今日は気分いいし!。
七宮はコロッケパンを買わずに150円はポケットに入れた。
まあ、まだ昼食には早いしな。当然か。
このとき悠莉がカツサンドの入ったビニール袋に手を突っ込むと一つ開けて食べはじめた。
陽介「太るぞ」
悠莉はムッとした顔で俺の頭を叩いたのと同時に全種目一回戦終了のアナウンスが学校の敷地内に鳴り響いた。

6話END
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/13 16:27  No. 66    
       
〜〜〜「7話 球技大会 5」〜〜〜

12時06分にてプレイボールした俺たちの二回戦は……苦戦です。
スコアボードには俺達1−Dは初回に2点、2回に1点。
それに対して相手の3−Bは2回3回で共に3点を奪い、現在のスコアは3−6。
つまり、3点ビハインドだ。
あと2イニングで3点か、正直俺の一発だけじゃ逆転できる可能性は激低だな。うーん勝てるか?。
4回の表の7、8、9の打順では快音が聞けず、三者凡退。
4回裏、この回から七宮をピッチャーへ、一死一二塁のピンチを迎えたが5-6-3のダブルプレイ。
なぜ5-6なのかは俺がショートだからだ。
笹巻のまぐれだろうけど三塁線の横飛びの打球を捕球したおかげでピンチを免れた。
笹巻は七宮に何か視線で訴えていたが、大丈夫だ。
七宮にはそんなことしなくても頭で考えときゃ伝わる。
5回表、最後の攻撃。笹巻がこの試合に一番に匹敵されている三四 五六(みよ いつむ)に声援を送ったが、あの表情は聞いてないな。
俺は三四のことは数字と呼んでいる。頭の中でな。
数字が打席に入った時に俺はポカリを飲みはじめたために、快音が聞こえた瞬間を見逃してしまった。
数字はセカンドベースにいた。ベース上で「うおおおおおお!!!」と叫んでいた。
暑苦しい、気付けば2番七宮のヒット(内野安打)、七宮にとっての初ヒットである。
七宮はここまで6打席6出塁そのうち5打席がフォアボール。
3番笹巻はファーストのエラーで出塁。
ついに四番、俺の打席がやってきた。ここまで5打数5安打3ホーマー。
敬遠される可能性がある。まあ外されたら強引に打てばいいか。
初球はインハイだった。俺の得意コース、ボール気味だが無差別だ。
スイングした。しっかりと、とらえた。完璧だ。
打球はバックスクリーンと言ってもないけど、
とにかくセンターの頭上をはるかに越えてホームランとなった。
俺は「うっし!」とファーストベースを回った時に軽くガッツポーズした。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/13 16:30  No. 67    
       
俺のこのホームランで逆転した。6ー7だがまだ攻撃の手を緩める事は出来ない。
こっちの投手は比較的レベルが低いのだから。
この後も1ーDは攻めたまくった。その結果1点を追加して2点リードとし、勝利をぐっと近づけた。
最後の守備、相手の先頭打者は初球をショートの頭の上に打った。
可哀想に、ショートが俺でなければヒットどころか長打なのに……。
俺は目一杯のジャンプをした。ボールはグローブの中に収まっており、ワンアウト。
笹巻が横から俺に拍手をした。だが俺はそれを鮮やかにスルー。
次の打者はピッチャーの足元を本来なら抜ける打球、残念ながら七宮だったために、
普通の人よりも低い打球がキャッチ出来る。
案の定、キャッチ、一塁送球でツーアウト、あと一人、この緊張感、やっぱり最高だ。
最高に気分がいい。これで俺がマウンドに立ってたらもっと気分がいいんだよな〜。
こんな事を考えているうちに次の打者が打った。俺のとこにゴロが飛んで来た。
これを調子に乗ってファーストへ全力で投げた。ファーストの数字はグローブをはめた右腕を、
全く動かさなかった。ただ何度も瞬きをしていた。
笹巻「うお〜……陽介、すげえボールだな……やっぱりお前ピッチャーやれよ」
笹巻が俺の肩に手を置いて話しかけて来た。俺はその手を払いのけて返答した。
陽介「言ったろ、俺が投げたらキャッチャー死ぬんだよ」
笹巻「大丈夫大丈夫、七宮が捕ってくれるよ」
何で七宮に頼るんだよ! あんな小さいやつに、バカかこいつ。
「こら! 1ーD! 早く並べ!」
実行委員会の審判に急かされた。まあしゃあない、急ぐか。
「8ー6で1ーDの勝利、礼!」
「あざしたー」と言う者もいれば、「ありしたー」と言うバカもいる。ちなみに俺は何も言ってない。
それにしても、第一グランドは広すぎる。野球をこのグランドだけで3試合同時にやっていると言うのに、
更にサッカーも同じグランドで1試合やっているなんて、広すぎるだろ……。
全く、いくら本土にある東京23区の土地よりも埋め立てで作られたこの東京都外島区(とじまく)の方が、
二倍くらいあるけど、その中にあるからって舞空は土地を持ち過ぎ、使い過ぎだろ、
まあどうでもいいか、そんなこと。
とりあえず、腹減ったし飯食うか。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/15 04:04  No. 68    
       
俺、悠莉、笹巻、七宮は第三グランドの奥にある芝生があってよく俺が昼寝をしに来る場所で昼食。
「ベスト4進出おめでとう〜〜」
悠莉からの祝福、どこかで受けたような? 気のせいか? 何だか懐かしい……。
「陽介〜、お前カツサンド買いすぎだろ!」
笹巻はうるさい、考え込んでる時に大声出すな!。
「ですよね、天海くん。笹巻くんって全く空気を読めませんよね、完全的なKYですからね、笹巻くんは」
七宮、取り敢えず読むな。それとなんかKYって聞くの久しぶりな気がするな。
「ところで悠莉、お前のバスケはどうなったんだ?」
俺はカツサンドを食べながら言った。
「ちゃんと2回戦も勝ったよ、32ー20で!」
俺は「ふーん」と軽い反応をしてから最後のカツサンドを食い上げた。
「早いですね」
「まあな」
……沈黙が続く、ただひたすら続く、誰か話せよ。
「天海くんが話して下さい」
読むな! 七宮! いい加減にしろ! 便器舐めさせるぞ!。
「それは……嫌です」
「陽介くん、脳内で七宮くんに何か伝えるのやめてよ、わたしに聞こえないじゃん」
悠莉がブスッとしている。そんな顔だとブスだぞ。
「皆沢さん、天海くんが心の中でブスって言ってます」
「この〜! 陽介くんのバカ! カス! ゲス! よく女の子にブスなんて言えるわね!」
いや、言ってないんですが……誤解だよ。
悠莉の右手が顔に飛んで来た。ビンタだ、パチンッと大きな音がした。
痛っ! ジャッキー・チェン並の攻撃だ。
「ジャッキー・チェンの攻撃はもっとえげつないはずです」
七宮が「アチョー!」と言った。キャラが崩壊している。
さすがにめんどくさくなった俺は、右手で七宮の頭をぶっ叩き、左手で悠莉のデコをパチっと叩き、右足で笹巻のボディーに蹴りを入れた。
「なぜ俺も?」
笹巻の今にも消えそうな声は悠莉の声で消えた。
「いったーー!! 何にすんのよ! 頭が割れたらどうするのよ!?」
そう簡単に、割れねえよ! 何言ってんだお前! まあ別に割れても良かったけど。
あ、七宮、伝えたらぶん殴る。
七宮は俺に一礼した。
「申し訳ありませんでした」
そう言うとペットボトルのお茶を一口飲んだ。
「悠莉、ちなみに俺はブスとか言ってねえぞ。七宮が勝手にそう解釈しただけだ」
一応誤解は解いとこう。

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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/15 04:09  No. 69    
       
しかし、無視された。まあ、いいか。
悠莉は試合の時間が近くなってきたらしい。走って体育館へ戻った。
何だか少し左足を引きずっているような……? 気のせいか?。
「皆沢、なんか少し足引きずってないか?」
笹巻が俺に蹴られた腹を押さえて、まだ腹の痛みがあります。とアピールするような言い方だった。
俺は「俺もそう思う」と言ったついでにもう一度笹巻の腹にさっきと同じ、いやそれ以上の衝撃を与えた。
あのまだ腹が痛いですよアピールいイラっときた。内心では内臓潰れろ、とまで思っていた。
笹巻は、言葉にならない声で叫んでいた。
だが、俺と七宮はそれを何事も起きていない状況と同じように過ごしていた。
「僕たちも、もうそろそろ戻りません?」
七宮の言葉に俺は頷いて、「そうだな」と言って立ち上がり、少し散らかったゴミをすべて拾った。
そして歩き出して約5秒、気が付けば笹巻が七宮の右隣りにいた。
「なんだ? 生きてたのか?」
俺の自分でも少しひどいと思う一言。だが笹巻に鼻で笑われた、あの笹巻に。
「俺が死ぬわけないだろ、なんせ俺は__」
笹巻がこの続きを言おうとした刹那、笹巻の頭に七宮の鉄拳が炸裂した。
笹巻はそのダメージに耐えられず転倒。
「全然不死身じゃないじゃないですか」
「まだ口で言ってねえだろ!」
あ〜、状況が機会できないな……なるほど、これが普段の……。
「お前らー! 何やってんだ! 早く来いよ!」
数字か、まさか! もう時間なのか?。
「みたいですね。僕たち、結構くつろいでたみたいです」
? 数字から読んだのか? よく分からないな。少し悠莉の気持ちが理解できた。
これは確かに面白くない。
それより七宮、いい加減お前の考えを読むネタはやめとかないか?。
「やめれません、力を制御しても少しは聞こえてしまうんで」
「力ってお前……まあお前が思ったことをはっきり言うやつだとわかった」
「それは良かったですね」
はあ〜まったく、舞空にはもっとノーマルなやつはいないのか?。

7話END
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/15 04:13  No. 70    
       

〜〜〜「19話 まだ……駄目だった」〜〜〜

準決勝、VS2ーAは序盤、6点のリードを許すが、4回に一挙11得点!? と自分たちも驚く得点を叩き出した。
最終的なスコアを見てみると、14ー12……何やってんだ。
たった5イニングでここまで点が入るパターンは一つしかない。
そう、エラーだ。1ーD、7エラー。3ーA、8エラー。
正直、俺はこの試合野球のEってヒットだっけ? と、思考が変なことになっていた。
両チーム合わせて15エラーと言うのはさすがに、イライラの次にある呆れを通り越して笑いしか出てこない。
勝ったは勝ったけど勝った気がしない。むしろ負けた気分だ。
「よっしゃー! 勝ったぞー! なんとか決勝戦進出だ!」
うんうん、おめでとう笹巻。それよりうるさいさいから黙って欲しいな。
ふむ、決勝はもう片方の準決勝が終わり次第開始だけど……まだ2回表か、終わりはだいぶ先か。
「天海くん、皆沢さんのバスケ見に行きません? 準決勝がそろそろ始まることですよ」
七宮が体育館の方を指差した。
「うーん、まあ、行くか」
俺は少し顎に手を当てて考えたが、結果行くことにした。
だが別に悠莉の試合している姿を見に行く訳ではない。ただ、確認しに行くだけだ。
悠莉の試合していたのは第一体育館だった。グランドから最も遠い。
試合は1ーDが押されていた。この球技大会のバスケのルールは前半、後半に分けて10分ずつ、
つまり合計20分だ。今はそのうちの約14分を消費していた。
スコアは……19ー24、5点ビハインドか、まあ悠莉なら軽く追い抜くんじゃねえかな?
……あいつが本調子ならな。
「やっぱりだ」
七宮が俺のつぶやきに反応した。
「左足、引きずってますね」
「ああ」
まさかのまさかだ。あいつ、もう完全に限界じゃねえか。
遠目でもわかる、悠莉の顔が険しい。もうやめといたほうがいいんじゃないか?。
時間制のバスケは、野球のように試合のリズムをスローペースにして試合終了時間を引き延ばすことは出来ない。
試合終了は刻一刻と近づいていた。残り1分、32ー23、ゲームオーバーか。
この試合は、悠莉のシュートが外れてほどなくして試合終了のブザーがコート内に響き渡った。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/17 00:01  No. 71    
       
悠莉の呼吸がかなり荒い。ふらついている。これはやばいな。
試合終了後、悠莉が体育館を出ようとしたとき何もないところでつまずき転倒した。
俺と七宮は悠莉に駆け寄った。
「左足、どんな状態なんだ?」
「あ、陽介くん……ちょっとごめん、膝の痛みがなくなるまでちょっと待って……」
顔は笑っているが声に力がない。かなりやばそうな感じだな。
「七宮、保健室ってどこだっけ?」
「生徒玄関から校舎に入って、右、左、からつきあたりを左、で右、の廊下の右側の手前から3番目の部屋です」
下手な説明をどうも。
「よし! 一気に駆け抜けるぞ!」
そして俺は悠莉を背負い、全力疾走で保健室に向かった。
「え? え? 陽介くん?」
状況を理解しろ悠莉。このスピードなら誰にも見つからず保健室まで__。
「さすがにーー! 無茶ですよ! 誰にも見つからず保健室まで走りきるのは!」
「七宮! 思ったより足早っ! それより人が見えたら迎撃してくれ!」
七宮は親指を立てて俺の前に出た。それからしばらく七宮が地獄を作った。

保健室に着くまでにいくつの悲鳴を聞いただろう? 少なくとも10は聞いたぞ。
「16人蹴散らしました」
七宮はドヤ顔で俺を見ていたが…16人蹴散らしたのがなんの自慢になるんだよ。
「水樫先生、悠莉の足は?」
俺は保健室の中を覗き込んだ。
水樫は一度俺を見たが、すぐに視線を棚に戻し、手に持っていたテーピングとハサミを棚の中に入れた。
「古傷が痛んだみたい、中学時代に膝、怪我してたらしいの」
俺は悠莉に近づくと悠莉の膝をポンと叩いた。
軽く叩いただけなのに悠莉は膝を抑えてかなり痛がった。
「お前、膝壊してるだろ?」
悠莉は5秒ほど固まっていたがやがてうなずいた。
「なんで__」
「あ、後で話すから! 陽介くんたち決勝まで行ったんでしょ?」
「天海くん、そろそろもう片方の試合が終わってもおかしくないころですよ」
4時23分……確かにそうか。もうすぐだろう。
「悠莉、後で話せよ。怪我のこと」
悠莉は小さくうなずいた。そして、俺が背を向けて歩き出すと、
彼女の目から透明の滴が一粒、こぼれ落ちた。
「まだ……駄目…だったんだ……」
19話END
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/17 00:10  No. 72    
       
〜〜〜「20話 ファイナル!」〜〜〜

3−DVS3−Cの準決勝、スコアボードにはこの球技大会では本来行われない7回裏まで数字が書き込まれていた。
6−7xで3−Cのサヨナラ勝ち。決勝の相手は……めんどくさい人が来た。
藤井拓巳)、野球部のキャプテン、本当にめんどくさい相手だ。
決勝戦のプレイボールは今から30分後の5:30、第三グランドで途中にナイターが点灯する可能性がある。
「天海〜〜先発メンバーなんだけどこれでいいか?」
笹巻は俺にオーダーを書いた生徒手帳を俺に渡した。
このオーダーは! なかなか面白いじゃないか。
俺は笹巻に「これで行こう」と言って笹巻に生徒手帳を返した。
「み、皆沢!? どうしたんだ! その松葉杖!」
笹巻が悠莉を指さして大きな声を出した。その声に1−Dのゲス共が全員振りむいた。
次の瞬間、悠莉は数字、七宮、笹巻、俺を除く5人に囲まれた。
「数字…じゃなくて三四、お前は行かないのか?」
「行かない行かない、俺は彼らみたいなゲスじゃないから」
数字は案外まともなやつだったのか、すまん……名前で変な奴って思ってた。
「天海くんも結構酷いですね、それより彼ら、本当にゲスですよ。早く皆沢さんを助けないと」
「いや、大丈夫? とか言って心配してるだけじゃないの?」
「いえ数字くん…じゃなくて三四くん、あの顔を見てくださいキモイでしょ? それに僕の力で5人全員の心理を読みました」
七宮が胸を張った。がそれは現実、人としていいことなのか? 
ってお前も数字って呼んどったんかい!。
「じゃあ、天海! 助けろ!」
笹巻……お前が行けよ。
「この4人の中で確実に身長、体重がトップな天海くん! レッツ・ゴー!!!」
俺がため息をついて悠莉救出に行こうと思った瞬間。
バガッと5回鈍い音がした。気絶した男が5人、その男たちの腹を松葉杖で一発ずつ殴ると悠莉は俺たちに近づいてきた。
「あーもう! あのキモイ奴ら何よ! 次は殴り殺してやるんだから!」
キャラが……。七宮のジャッキー・チェン並みにキャラが崩れてる。
「数字…じゃなくて三四、そのゲス共引きずって連れてこい」
数字は笹巻の言葉にやや疑問を持っていたが文句を言わずに5人を第三グランドまで引きずって連れてきた。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/17 00:14  No. 73    
       
その5人を俺は頭を軽くバットで叩いて起こした。
でも一人がなかなか起きなかったため、ボールをすねに投げつけた。
そうするとそいつは起きて、右足のすねを押さえて飛び跳ねた。
軟式ボールだから痛いって言ってもそこまでないだろう。
「よーし! 試合開始はもう少し先だけど1−Dのキャプテンの俺からありがたい一言を!___」
七宮が笹巻に飛びひざ蹴りを腹に炸裂させた。さすがに飛びひざ蹴りはまずいだろ……。
「笹巻くん、キャプテンはぼくです。君のような情けない人にキャプテンはできません」
笹巻は七宮を睨み、反撃に出た。
「お前みたいなチビはもっとキャプテンなんて出来ねえよ!」
そう言いながら拳を振りまわした。
だが笹巻の拳は七宮に当たることはなかった。
その後もしばらく二人のやり取りが続いたが、そのやり取りに終止符を打った一撃は、
笹巻の攻撃でも七宮の攻撃でもない俺の拳だった。
「いい加減にしろ、鼻の骨へし折るぞ」
この時、俺は気付いた。俺には笑えない空気をつくる力がある。
「あ〜なんか悪かった。この空気を変えるためも含めてスターティングオーダー言うわ」
笹巻がオーダーをスローで読み上げる。遅すぎて途中に笑いがこぼれた者もいる。
だがこのオーダー、経験者からしたらメチャクチャに感じるはずだ。
1番天海陽介 2番七宮大地(ななみやだいち) 3番笹巻賢太郎(さまきけんたろう) 4番三四五六・・・。
打率、出塁率順に並べられた打順、正直言うとふざけている。
だが、俺らの場合このオーダーが最強だ。勢いに乗ると誰も止められない。
だが、乗らなければ完全沈黙、テンションにすべてを任せる俺達には、これがベストなんだ。
とうとう決勝か、相手は藤井…さん、正直めんどくさくて戦いたくないな……。
まあいいや、決勝は勝って、最高の球技大会にするぜ!。
9話END
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/17 00:19  No. 74    
       
〜〜〜「10話 白き流星」〜〜〜

球技大会決勝戦、3回表終了。5ー6、一点リード。
七宮が2、3回で5失点、もう限界だ。
4回はどれだけ取られるか……。
だが、俺らならばそれ以上に点を取れる打撃力があった。
だが、あの投手にはこの打線は起動しない。2回裏、2点を奪取した後のノーアウト二三塁から藤井がマウンドに立った。
藤井、大人気ないとは思わないのか? ちょっとひどいぞ、あんたが投げるのは。
130キロ近いストレートに、素人じゃ打てないレベルのカーブ。
そこから2イニング、1ーDは無得点に封じられた。気が付けば、逆転を許していた。
8ー6、この試合、終わったな。もう投げれるやつが居ない。
七宮はもうダメだ。5回表にまた投げたら今度も失点を避けられない。
勝ちたいならば、もう点は取られることが出来ない。

5回表の守備、ノーアウト一三塁、内野陣と捕手はマウンドに集まった。
「やばいな、これ勝てる?」
珍しく笹巻がこんな消極的なことを言っている。お前のキャラ的にここも「勝てる!」 って言うとこだろ。
「あの〜……一ついいですか?」
七宮が小さく手を上げた。
「なんだいい知らせ? 悪い知らせ?」
「たぶん悪い知らせです。笹巻くん。」
七宮は、この言葉に続けて話した。
「僕ってこの試合まででも既に12イニングを投げてるんですよ」
ま、まさか……。
「この試合も含めると16イニング、約270球、すいませんもう肩が上がりません」
忘れてた、七宮はそこらへん素人だったんだ。いや経験者でもこうなるか。
七宮はもう投げれない、笹巻、どうする。
「天海、頼む」
俺は笹巻を蹴飛ばした。
「バカ! 俺以外にしろ!」
笹巻はゆっくり立ち上がると表情が変わった。
「よし! 俺が投げよう」
笹巻か、そういえばこんなイベントだと結構ピッチャーやってそうに見えるのに意外と投げてないよな、
タイプ的にでしゃばって投げて打たれるタイプのやつだ。ダメじゃね? このタイプだと打たれる姿が目に見えるんだけど。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/17 00:26  No. 75    
       
笹巻は投手交代を審判に告げると、自らがマウンドに立ち、投球練習をはじめた。
ボール自体は悪くない、スピードは中の上、コントロールも中の上ってところか、
ちょっといいくらいかこのくらいだと、やや危険度高めってところか。
やがて笹巻の投球練習は終了した。打者は6番、今日2安打。
笹巻は少しぎこちないフォームから初球を投じた。
打者はそのボールを軟式ボールだと飛距離の出やすい打撃法、アッパースイングで打った。
打球はセンターの後方、この時、センターに追いつくようなスピードで俺がセンターを追いかけた。
センターが捕球すると俺はセンターからボールをトスで受け取り、本塁へ送球した。いや送球なんて弱々しくない、まるでグランド内を流星が流れたようだった。グランドを白き流星が横切った。
サードランナーの藤井は打球の飛距離的に当然タッチアップ。
だが俺の送球したボールは藤井のスピードを遥かに上回る、
俺の心配は藤井より先にボールが本塁に到達できるか? よりも七宮が捕球できるか? だ。
傍目からはどう見えているのだろう? この一瞬での出来事を。
おそらく110mほどあった、その距離を俺はライナー、ノーバウンド、で投げた。
こんなボールが投げれる高校生って世界に何人いるんだろう?。
じぶんでも疑問を持ったこのボールは案の定藤井の三本間を駆け抜ける速度を上回り、七宮のキャッチャーミットの中におさまった。
アウト、ダブルプレイ、ツーアウト一塁、よし! 無失点で切り抜けれる!。
「うっわ〜まじかよ……ところで七宮くん、なんで天海は投げないんだ?」
藤井は滑り込んだ所為で破れた場所を見ながら、七宮に質問した。
「役は回って来ていました。でも自ら拒否したんですよ」
藤井は「助かった」とつぶやくとベンチへ小走りで向かった。
俺が守備位置まで帰ってくると、全方位からの歓声、正直メチャクチャうるさい。
7番打者が打席に立った頃にはその歓声がなくなっていたが、
俺がその打者の普通なら三遊間を抜ける打球をキャッチし、勢いの全く殺せていない体勢からとんでもない送球をしたことで再び歓声が大きくなる。
「陽介ーー!!! ナーイス!」
笹巻が俺の背中を叩いた。
「笹巻! てめっ! と言うかお前、呼び方天海か陽介か統一しろ!」
笹巻はニカっと笑うとベンチへ戻った。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/17 01:00 修正2回 No. 76    
       
「落としただと!?」
狭い一室にひときわ低い音が響く、Aと呼ばれる科学者の声だ。
表の世界では医師である。裏の世界ではかなり有名な暗殺の対象とされている天才最強の科学者だ。
「バカか! バカなのか! あの石作るのにどんだけ力使うと思ってんだ!」
Aは鶴崎を正座させ、怒鳴りつけている。
理由は自分の能力により結成出来る石、通称Revival stone(再生石)を鶴崎がどこかでなくしたと言ったのだ。
再生石はどんなものでもなおす、怪我でも、物でも、死体ですら死の前の状態になおす。
つまり鶴崎はこの石を使い、舞空校舎を崩壊させる前に再生させたのだ。
だがこの石を使うにはデメリットもある。この石を持った者はAの治癒能力を一定時間は無害で使える。
だが、一定時間と言うのは個人差があるが通常は最多で30秒、平均で治癒にかかる時間は1分、つまり使えば害があると言うことだ。
害というのは反動、精神崩壊。
反動は治す物によって異なる、怪我で言えばその怪我と同じ痛み、例えば骨折を治すと自分に骨折の痛みが襲ってくる。
だが痛みだけであって実際に怪我はしていないため痛みは一瞬だけ。
もう一つの精神崩壊は個人差が大き過ぎる、なぜなら全くない人もいれば、その精神崩壊で死ぬ者もいる。
つまり普通の人間には使えないと言える。
だが鶴崎や天海正樹のように特殊な力を持つ者なら話は別だ。
特殊な力を持つ者ならば反動と精神ダメージはは4分の1まで下がり、無害で使える時間も30分まで大きく跳ね上がる。
「まあまあ、そんな風に怒るなよ。石なんてまた作ればいいじゃん」
鶴崎はいたって冷静でいるが、もう落ち着いていられないだろう。
「お前は本当にバカか? 別に石自体が消失するのははどうでもいいんだよ、問題は一般人があの石を使ったときだ!」
「あ……まずい……」
Aは「回収して来い!」と言って鶴崎を蹴飛ばした。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/18 19:51  No. 77    
       
「ったく、しょうがねえなーとって来てやるよ」
鶴崎はそう言うと額に人差し指を当てた。こうすると指定した物が宇宙中から探知されるらしい。
ただ疲労が溜まるために本人はあまり使いたがらない。
「4つ見つかった、一つ目は天海正樹の体内、二つ目はベルセルドの基地、三つ目はガルシアの基地、四つ目は……嘘だろ? 天海陽介のポッケの中だ」
鶴崎の最後の一言にAは口にしたブラックのコーヒーを鶴崎の顔に吹いたが、
鶴崎はサイコキネシスでそのコーヒーをAが左手に持つカップの中に戻した。
「よ、陽介が持ってるのか?」
「そうだって言ったろ」
「さっさと陽介から回収して来い! 急げ! あいつが何かをなおしたいと思ったらRevival stoneが発動する! 急げ!」
「あせんなよ、すぐとってくるから」
鶴崎はそう言うとAの目の前から姿を消した。そして次姿が見えるようになったのは舞空校舎の屋上、鶴崎は瞬間移動を使ったのだ。
鶴崎は誰にも見られなかったかを確認すると、陽介のいる。グランドへ向かった。

「カットバセーー!」としか言わない笹巻の声援にいい加減陽介はうんざりしていた。
やがて陽介は笹巻の頬に裏拳をした。
「イダッ!」とベンチ内によく響く声で受けたダメージの大きさを勝手に笹巻は語った。
笹巻のテンションがやや高い理由は現在一死一二塁の長打で同点のチャンスだ。
だが打者は8番、1ーDで2番目に打率、出塁率が低い打者。
不運だ、だが、8番か9番が出塁すれば俺まで回る。陽介は拳を固く握りしめた状態で試合の展開を見据えていた。
ストライクか? ボール、よしツーボールノーストライクこのまま行けば四球の可能性が期待できる。
あ、バカ!。
8番は低めの俺でも打ちにくいようなコースに手を出した。
打球はサード後方にフラフラと上がった。これは? 落ちるか?。
陽介は一瞬そう考えたが、すぐにこの打球は落ちないと判断した。
打球はサードがゆっくりと追いかけて行く、サードが落下点に入る。掴んだ。ツーアウト。
9番は、打率.050にすら満たない玄田 響(げんだ ひびき)ここまで出ているヒットも内野安打。
くそっ! なんてタイミングの悪さだ!。玄田に賭けるしかないのか、確率が低すぎる! たったの5%に賭けなきゃいけないのかよ!。
初球、玄田のバットは動いた。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/19 00:50  No. 78    
       
玄田のバットはボールを見事にとらえた。打球はサードの右横、つまり三塁線を打球は抜けた。
二塁ランナーは帰ってきた。一塁ランナーはどうだ? サードベースでストップか、いい判断だ。
次は俺、二死一三塁なら、いける。
陽介はこぼれかける笑みを堪えながらバッターボックスに入った。
一塁ベースは空いてない。勝負でくる。
そう思っていた、が、ボールは普通に振ってはバットが届かないところをボールは通過した。
敬遠? たかが球技大会で? 冗談だろ? 陽介は二球目も見送った。これも届かないところ、ボール。
三球目も同じだ、届かない。
四球目、俺はスイングを始動した。届くはずがないが手を目一杯に伸ばした。
掠った、飛び込めば打てる。俺ならその打ち方でもサードの頭を越せる。
五球目……試合は終わった。

試合終了時刻は7:28、ナイターが点灯していた。1ーDの9人は小さく集まって何かを話している。
決して周りに声は漏れていない。
周りからは何をしているんだと疑問が浮かぶ、やがて1ーDのメンバーはそれぞれ散らばった。
中心には七宮、数字、玄田、笹巻、陽介、何が始まる?。
「さあ! いよいよです! いよいよ始まります! 優勝した1ーDの、日常をコント化したものです!」
マイクを持ちメガネをかけた女子生徒が大きな声を発声した。その声はスピーカーにより校舎を内全体へと伝えられた。
笹巻のハイテンションな雄叫びでコントははじまった。
「さあ、コント終了まで最終回の5回裏の攻撃について解説しましょう。それと同時進行でコントの実況も行ないたいと思います。あーっと! 天海くん! いきなりのシャウトだーー! ……これはアドリブかーー!? アドリブだーー!!」
「えーっと5回の裏1ーDの攻撃は5番早瀬くんがセカンド宮崎くんのエラーで出塁、6番和良くんは三振、7番田山くんはレフト前へのヒット、8番喜代くんはサードフライ、9番玄田くんは三塁線を抜くタイムリーヒット、そして何より最後の天海くんの逆転スリーランホームラン!!!」
あの人解説下手だな。心の中で陽介は笑っていた。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/19 01:31 修正1回 No. 79    
       
「天海くんはなんとこの球技大会打率10割! ホームラン8! 打点21のスーパースラッガーです! この天海くんが球技大会の決勝戦を劇的なホームランで終止符を打ってくれました。打ったのは5球目です、高めの完全なボール球ですね、これを下から振り上げて打球速度は半端じゃなかった! 一瞬白い流星がグランドで見えました! 多分この打球は150m弾! この球技大会のMVPはもう決定しているも同然です! もちろん、天海陽介!」
各地から拍手が起こる、コントが終わった陽介たちは、正確には陽介はやつれていた。
なぜか陽介だけ完全アドリブでやらされたからだ。こんなコントがあるのか!?。
まあいいとしよう、対して気にすることじゃないし。
「さあ〜MVPを発表します!」
球技大会実行委員長は口で効果音を作った。そして大きな声で名前を叫んだ。
「天海陽介くん!!!」
スタンドからの盛大な拍手、実行委員長が持つメダルを貰いに陽介はゆっくりと実行委員長のもとへ向かった。
到着すると陽介は実行委員長からメダルを首にかけられた。
いい気分、でも、帰ったらさっさと寝よう。今日は疲れた。


「ふへーー疲れたー」
笹巻が気の抜けた声を出した。まあ、当然か。これだけ長い間やってて疲れない訳ないよな。
陽介が体操服から制服に着替え終わったころに気づけば陽介を除く全員が寝ていた。
陽介は一度微笑むと眠った他のメンバーに「今日はお疲れ」とつぶやいて教室を後にした。
そして向かった先は、悠莉のもとだ。

痛むなー、膝、やっぱり無理しすぎたかな? 病院の先生の言ったとうりだった。
はあ〜、バスケ…もう一回ベストの状態でやりたいなー。
悠莉が無言で考え込む中、一人の男が悠莉のもとへ向かってきた。
陽介だ、悠莉は陽介に手を振ると松葉杖をつきながら自分もゆっくりと陽介へ近づいた。

「大丈夫か?」と陽介は言うと軽く悠莉の身体を支えた。
「とりあえず、あのベンチに座ろ」
陽介は頷き悠莉を支えながらベンチまで歩いた。
「膝、どうなんだ?」
陽介はベンチの背もたれに体重を乗せて目を瞑った。
「全然ダメ、歩くのすらキツイもん」
「そうか…悠莉、お前の怪我について、詳しく話してくれるか?」
悠莉は一度、小さく頷いた。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/20 00:57 修正1回 No. 80    
       
どこへだ? 陽介、早く出て来い。何があっても何かをなおそうと思うなよ。
鶴崎は校舎内をさまよい続けている。な何故なら鶴崎がグランドに到着した頃にはグランドに誰もいなかったのだ。なにより。
それにしても、何故だ? 探知が使えない。どうなっているんだ?。
お! いた、あれか? ん? あの女は……皆沢悠莉? あいつも舞空だったのか。
鶴崎は木の陰に隠れて陽介と悠莉の会話に耳を傾けた。

「あれ見て! 星が!」
悠莉が星指差した先には流れ星が無数に夜空を駆け巡っていた。
流星群か…いい眺めだ。
だが陽介はすぐに目を逸らし、視線は悠莉にやった。
「なあ、何でなんだろうな。一度好きになったスポーツからなかなか離れられない理由って」
「うーん……わからない。今日だって自分でもなんでこんなに無茶したんだろうって思ってるもん」
「だよな〜まったくわかんねんだ」
陽介はため息をついた。
「ついでに聞くけど悠莉、お前って帝鵬中に居たのか?」
「うん」
「怪我の理由は?」
悠莉は一瞬躊躇ったか話してくれた。
なるほど、試合中のラフプレーでやられたのがかなり重症で無理して試合に出たら飛んだ時に膝を完全にやってしまったのか。
治せるんなら治してやりたい、俺と少し被るところがある。まあ俺は怪我しても復帰したけどな。
あれ? そう言えば、あの石。
陽介は突然ポケットに手を突っ込むとポケットから石を取り出した。
「それってわたしの渡した石?」
悠莉は首を傾げながら訪ねてきた。俺は首を縦に振った。
「似てるんだ。昔、親父に見せてもらった石、Revival stoneに」

鶴崎は誰にも見えないところで目を大きく見開いた。
それは驚愕するだろう、陽介はRevival stoneの存在を知っていたのだから、

ほんの数秒後、陽介の手は7色ではおさまらない数の色が陽介の手を鮮やかに彩る。
「えっ? な、何? これ?」
悠莉は俺の手をジッと見つめていた。確かにすごい色だから気になるな。
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ロックされています   Re: 青空に奇跡を願う  名前:投手  日時: 2013/04/24 01:25 修正2回 No. 81    
       
やがてその輝きは陽介と悠莉の座っているベンチを包み込んだ。
そして、陽介が「Revival」とつぶやくと、悠莉の膝にのみ光が集中した。

「ば、ばかな……あいつ…俺でも30秒かかるRevival stoneを…たったの10秒で使いやがった。しかも…使い方どこで覚えた……」
鶴崎は陽介を見ながら息を飲んだ。10秒とはAと同レベル。つまり回復させる時間は能力者本人とと全く同じである。

「い、痛くない!」
悠莉は何度もジャンプしていた。このジャンプ力はなんだ? 高すぎるだろう。
「陽介くん、ありがとう!」
そして悠莉は陽介の胸に飛び込んできた。……こんなことソラ以外にやってきたことあるやついねえぞ。
陽介はすぐに悠莉をどけた。何か異変が起きている。そう感じた。
「鶴崎、流星群が狂い始めましたけど、何か起きたんですか?」
鶴崎は頭を掻きながら木の影から出てきた。
「バレてたの?」と言って流星群が狂っている理由を述べはじめた。
「あの流星群は、能力者が作り出している。つまり変幻自在、大きさも、コントロールも、今はおそらく…戦闘中だな。流星群が一カ所に集まっている」
陽介の隣の悠莉は全く理解していなかった。正直言うと陽介もあまり信じていない。
「陽介、Revival stone返せ。俺はこの後星を操る能力者、アレクサンド・ヘルベスのとこへな。」
陽介は鶴崎にRevival stoneを鶴崎に投げた。それを鶴崎はキャッチすると陽介と悠莉の目の前から消えた。
「なあ……悠莉、今、消えたよな?」
「うん…。消えた……」
何者だ? あいつは?。
陽介は再び流星群に目をやると、上空の星が一つに結集し、巨大な白き流星となってどこかに落下していた。

この瞬間は日本各地で写真が撮られ、しばらくの間、大ニュースとなった。

そして、やがて迎える、日曜日、VS鶴崎。

21話END

球技大会編THE END
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